久しぶりに、映画館で映画を見ました。
『コクリコ坂から』(宮崎吾朗監督 スタジオジブリ)。
舞台は、1963年の横浜。
高校二年生の少女が、一学年上の少年とふとしたきっかけで親しくなる。しかし、あるとき意外な事実が……
あらすじで言ってしまうと、はっきり言って陳腐です。
今どき、こんなにも先を読みやすいストーリーの映画など、無いかも知れません。
声を出して笑うところもありません。
手に汗握るアクションもありません。
涙を流せる感動の場面もありません。
それでも、一夜明けた今でも胸に染みわたっている、切なさに似たもの、でも決して不快ではないものがあります。
言葉にはとてもしにくいのですが、「静謐なひたむきさ」と言えば少しは近くなるでしょうか。
私事になりますが、僕は1967年に横浜に生まれました。
とは言っても、この映画の舞台から徒歩と電車で30分以上は離れた住宅街ですが。
それでも、かすかに覚えているあの頃の風景が見られるだろうか、と思ったのが、この映画を見たきっかけでした。
結論から言えば、残念だけど見覚えのある風景はほとんどありませんでした。
僕がものごころついたのが幼稚園の頃だとしても、10年近く前の時代なのですから。
その10年のうちに、日本は高度経済成長を迎え、街並みはどんどん変わっていったのでしょう。
そういう意味では期待に添う映画ではありませんでしたが、おそらく僕は、もう一度この映画を見に行くでしょう。
自分が体験しなかったはずのあの時代の空気、誰もが体験するはずのあの年頃の静謐さを、また感じるために。
皆さんも、よろしかったらどうぞ。
91分の小品ですが、時間以上のものを与えてくれると信じています。
追記
そういえば、父母にこの映画を見せたいな。
主人公たちとほぼ同年代、あの時代に父はあの街で働き、母はあの街の学校に通っていたのだと、聞いたことがあります。
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