はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

五首選会を終了します

2015年12月20日 08時32分23秒 | イベント
そんなわけで、締切日となりましたので「五首選会」お開きにさせていただきます。
が、これはあくまで〈中締め〉という意味です。
まだ選が終わっていない方、先方さえ宜しければ、引き続きお相手のブログにコメントを書き入れてください。
「五首選会」は、皆様の優しさで出来ています。

今回の参加者は、中村を含めて10名。おなじみの方、初めてお越しいただいた方、色とりどりの選をしていただき、会が盛り上がりました。
個別のお礼コメントは、それぞれのブログに投稿いたしましたので、ぜひお読みください。

『題詠マラソン』がブログで開催されるようになってから10年。「五首選会」も、同じ数だけ会を重ねてまいりました。
こんなにも長く続けてこられたのも、参加してくださった皆さん、そして『題詠』主催の五十嵐きよみさんのおかげです。本当にありがとうございます(深くふかく頭を下げる)。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、『題詠ブログ』は来年から≪Facebook≫に場所を移し、引き続き開催されるそうです。
もちろん中村も参加するつもり満々です。
が、正直なところFacebookは未経験のため、「五首選会」に関しましては、どのような運営を行えばよいか、今のところ方策の目途が立っていない状況です。
なんとか最適な方法を見つけ、開催したいと考えておりますので、なにかアイデアがありましたらお知恵をお貸しください。

ともあれ、今年も無事終了することが出来て、ほっと胸を撫でおろしています。
願わくば、来年以降もこの場にて皆様とお会いすることが出来ますように。

本当にありがとうございました。

五首選会 終了延期のお知らせ

2015年12月13日 21時00分00秒 | イベント
ただ今開催中の『題詠100首2015 五首選会』ですが、終了を下記のように変更いたします。

  【受付期間】 ~12月11日(金)→ ~12月18日(金)

  【投稿期間】 ~12月12日(土)→ ~12月18日(土)

このように、一週間ずつ伸びます。

年末の忙しい時期、皆さんの負担になっているのではと考えました。

参加者の方々はゆっくりと納得のいかれるよう選をなさってください。
参加を考えられている方、今がチャンスですよ!

ということで、よろしくです。

五首選会を開催します

2015年12月13日 18時10分40秒 | イベント
「題詠100首2015」終了を勝手に記念して、「五首選会」を開催することにしました。
 その名のとおり、「題詠100首2015」参加者が投稿した短歌の中から、5首を選ぶ会です。
 完走者(100首詠んだ方)でなくても大丈夫。
 「選」のみの参加も、大歓迎です。
 お気軽にご参加ください。

 選の基準は、なんでも可とします。
 「いいと思った歌」はもちろんのこと、「おいしそうな歌5首」「哀しい歌」「意味はわからないけどグッとくる歌」等々、さまざまな「選」をお願いします。

【参加資格】 
・「題詠100首2015」参加者(完走者でなくても、可。)
・他の参加者の歌を選ぶ、「選」のみの参加も可。
・「題詠」に参加していない人も、選のみでの参加は可。
【受付期間】 12月1日(火)~12月11日(金)→12月18日(金)に変更しました!
【投稿期間】 12月1日(火)~12月12日(土)12月19日(土)に変更しました!
【ルール】
・参加希望者は、ご自分のブログに「五首選会参加」用の
 記事欄を作成してください(「五首選会参加(見本を兼ねて」)を参照)。
 その際、できれば「自選五首」を書いていただけると、会が盛り上がります。
・そこから、ここのすぐ下の記事欄  「五首選会参加(見本を兼ねて)」に
トラックバックしてください。
・参加者は、他の参加者のブログに行き、
その人が「題詠100首2015」で投稿した歌の中から五首を選んで、
 コメント欄に記入してください。
 (参加者は、最低でも一人について選を行ってください。)
・その際、できれば鑑賞についてのコメントもお書きください。
 (全体についてでも、個々の歌についてでも可。)


「五首選会参加(見本を兼ねて)」

2015年12月13日 18時08分37秒 | イベント
 「五首選会参加(見本を兼ねて)」

 自選
 《水》五首


008:ジャム
 あかねさすジャムの大瓶
 倒れても漏れることなく
 上澄みのみが

034:前
 重心が前へと沈む
 コンデンスミルクのような
 沼地の靄に

035:液
 液漏れの電池を腹に
 ひきがえる這いずり出れば
 濡れてゆく土

086:珠
 カフェラテの渋みを前に
 珠として凝る笑顔の
 深さをおもう
 (凝る=こごる)

095:申
 さるすべり細かな花に
 気怠さを申し立てれば
 帰路に夕立



今年度の縛りは「三行歌」。
五七/五七/七 のリズムを、一度追求してみたかった。
読み返してみると、意外に水や液体に関する歌が多かったので、その中から五首。
なんか、どろりとした情景が多いですが、これは三行歌の特色などではなく、中村の心象風景によるものなのでしょうね。


「題詠blog2015」 投稿歌

2015年12月13日 18時00分24秒 | 題詠100首2015

001:呼
まどろみの尻尾を掴む
呼び水としての呼吸の
リズムの浅さ

002:急
左とはどちらのことか
急な段らせん階段
膝が暴れる

003:要
ふかぶかと打たれた要
狂い無くそろう扇骨
ゆるやかに薙げ

004:栄
一閃に陽はさざめいて
渡りゆく虚栄の海を
凪も終わろう

005:中心
湖に中心ふたつ
岸辺より産まれる靄に
波紋は届く

006:婦
婦随の音葦に響かず
沼を発つ片おしどりの
腹の柔毛は

007:度
波のまま凍りゆく海
北天の星の深さで
緯度を測ろう

008:ジャム
あかねさすジャムの大瓶
倒れても漏れることなく
上澄みのみが

009:異
皹走る第二関節
冬の夜の異形の指に
ぼうぼうと熱

010:玉
宝玉を草に敷き詰め
存分に宴を成そう
風が止むまで

011:怪
愛しさは募る感情
怪しさは積もる感情
指が食い込む

012:おろか
魔女メディアおろかな雌獅子
愛ゆえに屠りつづけて
腕に抱くは

013:刊
浮き沈み毎度のあがき
棚に差す隔月刊の
まだ硬い角

014:込
セルビンに封じ込めたら
こするまで出られないよう
知られないよう

015:衛
半眼の衛士は若く
槍の噴く錆じりじりと
篝を弾く

016:荒
鮭の身を荒くほぐして
和えまわすパスタとサルサ
無言のうちに

017:画面
街頭の画面右下
ありえない色を見つけた
遠い土漠の

018:救
茨でも蜘蛛の糸でも
縋るのが救いとなれば
自分の指で

019:靴
スキー靴ネイビーブルー
足首を固められたら
揺れる上体

020:亜
薄雲の広がる西に
亜麻色の空の夕刻
瞳がひらく

021:小
飴色の小ぶりの太鼓
てっててこ叩くのは指
人をさすゆび

022:砕
山の端は星に斬られて
ぐずぐずと木だったものが
燠火を砕く

023:柱
円柱はメソポタミアの
ふくらみの千年の旅
木があたたかい

024:真
ティンパニの震えを帯びて
微粒子は真剣を成し
また崩れゆく

025:さらさら
杉の葉はさらさら燃えて
君たちはなぜそんなにも
世を溯る

026:湿
全身の湿りいとしく
咽せえづく花粉の舞よ
鴨の波紋よ

027:ダウン
ヘイ ウエィト ミスター・ダウン
濃密な靄の吸い取る
暖明色を

028:改
改元の湿りと光
その果てが何処へ続く
列であろうと

029:尺
戦前の長尺物の
雨の降るフィルムのなかに
河を見つけた

030:物
物乞いが罪というなら
花よ陽よ早う降れよと
踊るも咎か

031:認
目を閉じる署名の前に
うち伏した夢の襤褸の
認知のために

032:昏
日輪は垂直に落ち
昏れなずむなどという語を
海が蔑む

033:逸
夕光が炎に逸れて
湾岸の煙突群の
にじむ焦点

034:前
重心が前へと沈む
コンデンスミルクのような
沼地の靄に

035:液
液漏れの電池を腹に
ひきがえる這いずり出れば
濡れてゆく土

036:バス
ターミナル町はずれから
バンパーのぶらぶら揺れる
バスが闇へと

037:療
看板に偽りよあれ
騙されるため扉をひらく
心療内科
(扉=と)

038:読
日だまりに読みさしを置く
くしゃみさえなければ多分
幸せだろう

039:せっかく
ちいせぇなあ頬杖ついて
せっかくの小一時間が
湯気に冷えゆく

040:清
真裸の清さのために
五月田の泥を掬って
胸に擦ろう
(擦ろう=なすろう)

041:扇
もろ脱ぎの大胸筋が
海原に扇を射てば
翼とひらく

042:特
泥葬の場所を探して
特別な傷の見えない
沼をさがして

043:旧
たゆたいは行きつ戻りつ
旧かなのゐの字ゑの字の
うずを巻くさま

044:らくだ
てんでんならくだの歩幅
乗る人はぎっこんばったん
白茶けた月

045:売
身のものを一つずつ売る
少年が最後に投げた
ピアスの温み

046:貨
花の中レールの隙を
貨物車は律儀に拾う
あお向けの空

047:四国
目覚めれば四国の寒さ
駅前に歌う少女の
前のCD

048:負
頻繁に鼓動が狂う
ひさかたの負債整理の
光の中に

049:尼
中年の尼僧の窓辺
するすると刺繍の針の
描く光は

050:答
文書にて返答しよう
紅玉の酸味を好む
わけを綴ろう

051:緯
陽とともに高まる鼓動
歳月の運ぶ経緯を
見たくはないか

052:サイト
右の目を布で覆えば
日曜の銭湯までの
サイトシーイング

053:腐
大山の蕾は硬く
腐れ雪踏み分けるたび
濡れてゆく膝

054:踵
踵より降り立つ土漠
ぬばたまの静の海を
塵は動かず

055:夫
画板とは筆あってこそ
夫とは妻のいてこそ
風の日曜

056:リボン
引き出しにもう使えない
数本のインクリボンの
刻まれた穴

057:析
ウロボロス円環を成し
果てしない解析の果て
塵は芽吹いた

058:士
黎明の行政書士の
手にめくる戸籍謄本
生から死まで

059:税
あしひきの課税証明
期限切れ意味を無くした
数字の痒さ

060:孔雀
凛と立つ雌の孔雀の
深青のあるか無きかの
鶏冠ふるえ

061:宗
両の掌の回りきらずに
ひややかな孟宗竹の
空洞震う

062:万年
鉢植えの鉢が割れれば
鉢植えの形どおりの
万年青の根群
(万年青=おもと)

063:丁
窓際に並べ置かれる
林檎へと丁字を刺せば
外灯に雪

064:裕
また増えるベルトの余裕
森の中どんな色素を
吸い取られたか

065:スロー
あのときもアンダースロー
対岸の繁みの人に
放った缶の

066:缶
コーラ缶受け損なった
最上川曲の淵は
今も濁るか

067:府
光源は五日の月に
都府楼のいしずえ遙か
揺るぐことなし

068:煌
刃の欠けた剃刀を埋め
梅雨なかの八つ手の青の
煌めく窓辺

069:銅
ゼラニウム深紅の房を
銅のバケツに収め
さあ、夏よ来い
(銅=あかがね)

070:本
この生を本と変えれば
誤字脱字ときおり逆字
まあ読めはする

071:粉
両の手は肘まで白く
粉を練る少女の朝よ
酵母のにおい

072:諸
某曰く諸行無常と
そういえば今年は桃を
まだ喰ってない

073:会場
会場は不意にしずまり
演台の縁を掴んだ
雄指の太さ

074:唾
向日葵は真宵もひらき
ぬばたまの普段と違う
唾液の味を

075:短
短夜と誰が決めたか
まあいずれ眠りの幅に
変わりは無いが

076:舎
延々とかまぼこ営舎
金網に錠を掛ければ
鍵はどちらに

077:等
平野部に降りしきる陽よ
等しさは不公平さの
象徴として

078:ソース
血のソースあかねさす鴨
人体に近いものほど
染み込む美味さ

079:筆
紺碧の梅雨明け十日
筆岩に寄せ来る波も
穗は濡らせずに

080:標
白霜を道標として
今代は仕舞いと羽根を
しずめる蝶よ

081:付
付属物として生きよう
その幹へ加えることが
出来るのならば

082:佳
佳歌はそうガードレールに
月光の映るがごとく
冷めるがごとく

083:憎
黒揚羽背後をよぎり
憎しみは微風に気付く
腋の汗沁み

084:錦
目つむれば錦の翳り
息吐けば波音のまた
重なる島よ

085:化石
堆積の果ての化石よ
抉られた森の青丹に
降る蝉時雨

086:珠
カフェラテの渋みを前に
珠として凝る笑顔の
深さをおもう
(凝る=こごる)

087:当
当てるため射るのではない
射るときは中るのだから
凪は無くとも
(中る=あたる)

088:炭
燃やしたら炭となるから
コンビニのこのビニールも
生きていたのだ

089:マーク
濁り眼のマーク・スペース
バドワイザーは瓶でなくちゃあ
口呑みにして

090:山
標高の基点は海よ
その山の尾根がどれだけ
鋭かろうと

091:略
ぼろぼろの十八史略
書き込みの煩さこれは
先々代か

092:徴
徴候即微動と君は
決めつけているのだろうが
治らない傷

093:わざわざ
その傷もわざわざならば
もう手には切るカードなど
無いのだろうさ

094:腹
本当に会えるだろうか
脇腹の部分を削いで
炙れば月夜

095:申
さるすべり細かな花に
気怠さを申し立てれば
帰路に夕立

096:賢
ふと土の香りのすれば
腎臓のソテーは音を
漏らさず切れる

097:騙
一瞬に鼻は騙され
六歳の角の空き地に
いた雨上がり

098:独
年老いた独角獣の
秋口のふるえのように
蔦の影絵は

099:聴
冷房を切れば窓から
隣室の歌が聴こえて
雨二三滴

100:願
願いとは誓いではなく
降りしきる塵に石碑の
溝埋まりゆく