卓上の老眼鏡は靴底のガムを見据えしポーズにも似て
「詠草」
枝垂れ桃、しだれの櫻、名を知らぬ花を従え雨の夢殿
夢殿の花のしだれに掌をやれば付き来る弁の白さに詫びる
(弁=ひら)
「おおきに」の抑揚真似る店のそと三月書房雨あがるころ (☆)
烏丸の「る」を聞き逃し取り零しかけあがるには北大路駅
北大路 春大文字 加茂川の小滝のかみに鴨一羽浮く
「うたう☆クラブ」
オノマトペどろどろひろと引きずって畑の畝をゆく鉄の爪 (☆)
土道は右から左へ抜けてゆく短歌辞めたくなる影の中
幹となることを夢見て今日もまだ歌詠む平凡人の俺は
定型という凶器あり こいつらはこんなにりっぱじゃなかったはずだ
手風琴鉄琴木琴水琴をかなでる穂村弘になって
(☆)のついているものが、取られた歌です。
「詠草」の歌は、4月に奈良・京都へ一日逃亡したときのものです(詳しくはカテゴリ「たんたか雑記」の「発作的奈良京都紀行」をお読みくださいね)。
日帰りで友達にも会えなかったけれど、あのトンズラ、もとい旅は本当によかった。
また逃亡したいなあ。