はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

一日一首

2012年02月23日 19時28分20秒 | 日詠短歌

2012/1/30(月)
   読み聞かせの会で『しずくのぼうけん』という絵本を読んだことがある。
   子どもより、お母さんたちにウケた。

 蛇口からゆるりとねじれこの水はいつか私の中にいたろう


1/31(火)
   丹沢に雪の積もりて近くかな

 水面の朱をしずかに揺らしつつ象一頭の泳ぎゆく暮
 (朱=あけ)


2/1(水)
   もうすぐ春ですね 恋をしてみませんか?

 家中のめもりをずらし昨日とは確かに風の色が変わった


2/2(木)
   晴天は、関東だけだったようだが。

 如月の逢魔が刻に霊峰は白のすべてを喰らわれて果つ


2/3(金)
   風花、と言うには少し多かったけれど。

 青空の塵たちはみな両腕を拡げて踊っていた姫の末


2/4(土)
   「どうしたんだ、そんな浮かない顔をしてさ?」
   「陽気になる理由がないのさ」
               (トルストイ『戦争と平和』)

 肉厚の鏡が濡れる無香料せっけん臭う湯気にさらされ


2/5(日)
   「スカボロー・フェア」(サイモン&ガーファンクル)を聴いていたら。

 マカロニは煮すぎくらいがちょうどよくparsley,sage,rosemary,and thyme.


一日一首

2012年02月15日 19時19分05秒 | 日詠短歌

2012/1/23(月)
   今日の夜も雪が降るって言ってたけれど。

 日の延びを芽のふくだみをとらまへて春じや春じやと浮かれそめけむ


1/24(火)
   やれやれ。明るい歌のひとつもうたいたいもんだけど。

 日のかげのよわよわしさに目をほそめ春よ来るな、という声もする


1/25(水)
   「シベリヤはどうしてこう寒いのかね?」
   「神様の思召しでさ」
     (チェーホフ『シベリヤの旅・サハリン島』)

 くちびるに〈ペチカ〉と綴るはだか火の言葉あたたか もえろよペチカ


1/26(木)
   泣きたくなるほど透き通った夕焼け。裂け目のような三日月。そして宵の明星。
   で、この歌かい。

 フロアーに金平糖を敷きつめろ体ころげて虹色になれ


1/27(金)
   この一週間で200回くらい同じ説明を繰り返した。おかげでときどき音跳びする。

 なぜ岩であんなにうれしそうなのだ亀に言葉が無いというなら


1/28(土)
   久々に晴れの休日。窓からの日射しが嬉しい。

 体からゆらめく湯気も愛しさとして開け放つ扉ひとつを


1/29(日)
   人口四一万の市に大きな図書館が四つ、図書室が十一。誇っていいと思う。

 しがみつく一日ひとひの色は濃く本は糊から駄目になるもの