はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

一日一首

2012年04月27日 06時14分20秒 | 日詠短歌

2012/4/2(月))
   課内異動で別の出張所へ。

 かるがると行く春靴に地下道の凝る汚水は触れられもせず


4/3(火)
   本当の台風でも、ここまですごくはない。

 無言劇そこここにたつ春嵐の雨連弾と散弾と薙げ


4/4(水)
   散髪は月一回。今日の店内は若い子が多かった。

 髪梳きの鋏の音のさきさきと花よ新たな門を見守れ


4/5(木)
   「うたう☆クラブ」からメール。ほんとに、タイミングを狙ってるのか?

 蔦の這う瓦礫廃場よ春嵐に磨かれ月は輪郭を増す


4/6(金)
   課歓送迎会。異動者だけで20人以上。

 宴ならさらに笑えというのだろうぬばたまの昼あかねさす夜


4/7(土)
   近所の高台に、広大な霊園がある。

 青天にふさと蕾める桜ばな四月の霜はまだ溶けきらず


4/8(日)
   この時期に、まだ手袋が必要だとは。

 公園の桜の下の生け垣の柔葉を口に入れてみる 噛む


一日一首

2012年04月20日 19時44分20秒 | 日詠短歌

2012/3/26(月)
   職場で周りの人たちが大異動。さらなる嵐の予感。

 終電のガラスに触れて指先に籠もってしまう熱を逃がそう


3/27(火)
   車内に「鎌倉学園 送球部」のジャージを着た女の子がいた。

 いつもより遅い電車に人びとは附箋だらけの体で眠る


3/28(水)
   結局、三月は公園で昼食を取ることが出来なかったけれど。

 置き去りのなし崩しでも春の陽は塩のむすびの確かさに似て


3/29(木)
   爪やすりは化粧品に売っていた。まあ……言われてみりゃそうなんだろうけどさ。

 ほおづえをつけば眼下は白妙のマスクの群のゆらめく夕べ


3/30(金)
   「立春から春分までの間に」吹く風を言うのだそうだが。

 県道を赤色灯の連なりが春一番にあらがい駆ける


3/31(土)
   正に百花繚乱。めまいがするほどに。

 唐突に辛夷の花のほぐれるは回しがけする蜜なのだろう


4/1(日)
   日本に根付かないのは食べ物とセットになっていないからだ、という説。

 道走りする雉の尾を追う四月馬鹿はこの日にだけ泣けばよい