はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

「五首選会」終了します

2014年12月16日 06時56分50秒 | イベント

そんなわけで時間となりましたので、「五首選会」を終了いたします。
今回は、僕を含めて9人の方が参加して下さいました。
どうもありがとうございます。

お一人ずつへのお返事は、『五首選会参加(見本を兼ねて)』のコメント欄に別掲しましたので、どうぞお読みください。

年々参加者が減っていく傾向にあったので、内心今年の開催を危ぶんでいたのですが、蓋を開けてみたら沢山の方が名乗りをあげてくださいました。
毎年参加していただいている方、初めての方、お久しぶりの方……
本当に感謝の言葉もありません。

毎年言っていることですが、「題詠100首」が続く限り、この会も毎年開催したいと思っております。
表現の場がブログからツイッターなどのより先鋭的なツールに移行しているためか、「題詠」も今ひとつ活気に欠けているように感じます。
でも、毎年100首を詠み、他の人の同じテーマの歌を読むことは、とても楽しいことだと思うのです。
難しいことは言いませんし言えません。
「歌うことは楽しいことだ」をテーマに。

皆さま、来年もぜひ参加してくださいね。

「五首選会」業務連絡です

2014年12月15日 19時06分49秒 | イベント
開催中の「五首選会」について、事務連絡します。参加中の方は、以下をお読みください。

会にご参加いただいた、とみいえひろこさんが、何らかの不具合により中村のブログにトラックバック出来ない状態です。
参加者の皆さまは、以下のアドレスあるいは中村にコメントいただいた とみいえさんのリンクから、とみいえさんのブログにアクセスし、選を行って下さい。

とみいえひろこさんのブログ
http://d.hatena.ne.jp/hirokototomi1/20141213/1418422925

トラックバックが可能になりましたら、またご連絡します。
どうぞよろしくお願いします。

五首選会 終了延期のお知らせ

2014年12月15日 18時38分00秒 | イベント

ただ今開催中の『題詠100首2014 五首選会』ですが、終了を下記のように変更いたします。

  【受付期間】 ~12月12日(金)→ ~12月14日(日)

  【投稿期間】 ~12月13日(土)→ ~12月15日(月)

このように、二日ずつ伸びます。

理由は、単純に開催者(中村)の都合によります。
(みんなアベが悪いんや)
伸びた分、参加者の方々はゆっくりと納得のいかれるよう選をなさってください。
参加を考えられている方、今がチャンスですよ!

ということで、よろしくです。


五首選会を開催します

2014年12月13日 20時18分30秒 | イベント
「題詠100首2014」終了を勝手に記念して、「五首選会」を開催することにしました。
 その名のとおり、「題詠100首2014」参加者が投稿した短歌の中から、5首を選ぶ会です。
 完走者(100首詠んだ方)でなくても大丈夫。
 「選」のみの参加も、大歓迎です。
 お気軽にご参加ください。

 選の基準は、なんでも可とします。
 「いいと思った歌」はもちろんのこと、「おいしそうな歌5首」「哀しい歌」「意味はわからないけどグッとくる歌」等々、さまざまな「選」をお願いします。

【参加資格】 
・「題詠100首2014」参加者(完走者でなくても、可。)
・他の参加者の歌を選ぶ、「選」のみの参加も可。
・「題詠」に参加していない人も、選のみでの参加は可。
【受付期間】 12月1日(月)~12月12日(金) → 12月14日(日) に変更しました!
【投稿期間】 12月1日(月)~12月13日(土) → 12月15日(月) に変更しました!
【ルール】
・参加希望者は、ご自分のブログに「五首選会参加」用の
 記事欄を作成してください(「五首選会参加(見本を兼ねて」)を参照)。
 その際、できれば「自選五首」を書いていただけると、会が盛り上がります。
・そこから、ここのすぐ下の記事欄 「五首選会参加(見本を兼ねて)」に
 トラックバックしてください。
・参加者は、他の参加者のブログに行き、
 その人が「題詠100首2014」で投稿した歌の中から五首を選んで、
 コメント欄に記入してください。
 (参加者は、最低でも一人について選を行ってください。)
・その際、できれば鑑賞についてのコメントもお書きください。
 (全体についてでも、個々の歌についてでも可。)


「五首選会参加(見本を兼ねて)」

2014年12月13日 20時16分53秒 | イベント

 「五首選会参加(見本を兼ねて)」

 自選
 《料理》五首


002:飲
 甥たちが喉を鳴らして飲み干せば氷に刺した瓶が傾く

004:瓶
 鳴き声の止む瞬間に背伸びして棚に仕舞った瓶詰めがある

023:保
 それはもう本格的で捨てられた保冷パックの身のようだった

029:スープ
 花冷やす光を受けて海亀のスープとことん透きとおりゆく

030:噴
 卯月尽たけのこ飯の土鍋より噴きこぼれるは淡色の泡


今年、懸案のひとつだった『斎藤茂吉料理歌集』にやっと目途が付きましたので、それに合わせて自分の料理短歌を。
って、ほとんど料理になってませんね。美味しそうでもないし。
でも、これが中村の(現在のところの)料理なのでしょう。
いつか、みんなが台所に走るような歌を作ってみたいものです。


「題詠blog2014」 投稿歌

2014年12月01日 19時21分45秒 | 題詠100首2014

001:咲
ボンネット赤く染まれば一面に雨を咲かせてまだ進めない

002:飲
甥たちが喉を鳴らして飲み干せば氷に刺した瓶が傾く

003:育
ぬくもりを育みながら駅に着くきみの左手わたしの右手

004:瓶
鳴き声の止む瞬間に背伸びして棚に仕舞った瓶詰めがある

005:返事
しめり雪ライトに舞うは問いかけを止した人への返事じゃないか

006:員
つづれ折り蔦の絡まる標識の《幅員減少》うん、知っている。

007:快
雪の日は土曜日が良く寝床から快速線の過ぎる音聞く

008:原
一号線戸塚原宿渋滞のしるしも無しに行く情けなさ

009:いずれ
風雪に梅の白さは褪せるとも「いずれ」の前に「もうすぐ」はある

010:倒
きみはまだ倒れたばかりあけぼののカウント8まで横たわれ

011:錆
道のわき積まれた雪に鈍色のチェーンの端の錆が滲んで

012:延
五枚目の遅延証明 ならぶのは好きです人が挟んでくれる

013:実
薄闇に梅うきあがり幾百のさよなら遙か実を結ぶまで

014:壇
餡のかお求肥のころも飴えぼし雪を削ってひな壇とする
(求肥=ぎゅうひ)

015:艶
ああ素足 踏む地団駄も艶やかに甲に浮きでる静脈ひとつ

016:捜
東京を捜されつくすさみしさの啄木/たくぼく/やはり嫌いだ

017:サービス
街の色木の色すこし深くなる雨は弥生のサービスとして

018:援
鳴きやんだ鳥の代わりに夕月の昇る力を援けられたら

019:妹
いっせいに指輪をつぶし投げ上げる妹たちの満ちる空間

020:央
五本目の赤い電車に追い抜かれ横須賀中央駅海はまだ

021:折
床のうえ今日の具合を折り鶴の嘴の長さで教える人よ
(床=とこ)(嘴=はし)

022:関東
大根も葱も土から首を出し関東平野は山を持たない

023:保
それはもう本格的で捨てられた保冷パックの身のようだった

024:維
頬擦りを返す童のうなじより繊維一本いっぽんを抜く

025:がっかり
目を閉じて人肌よりもあたたかな風にがっかりして春となる

026:応
てのひらの動きに応え乳色の無香せっけん泡立ちを増す
(乳色=ちちいろ)

027:炎
煙突の先の炎のように咲く白木蓮のもったり具合

028:塗
春になりポケットが減り塗り込めの手口おしえて横溝正史

029:スープ
花冷やす光を受けて海亀のスープとことん透きとおりゆく

030:噴
卯月尽たけのこ飯の土鍋より噴きこぼれるは淡色の泡

031:栗
栗の花ふさと下がれば芳香の生々しさよ生馬のごとく

032:叩
冷たさに燃える流れへ晒すこと叩かれること身を搾ること

033:連絡
「咲くんですだから行きます」メモ帳に連絡済みのフラグを立てる

034:由
晴レタナラ目当テノモノハ出来ヌ由土ノ事情モオ汲ミクダサレ
(由=よし)

035:因
朽ちかけた木碑によればこの河は傷に因んだ呼び名だという

036:ふわり
指先が陽を吸い過ぎて動かないふわりだなんて音きこえない

037:宴
名付けられはじめて風となる風よ宴に添える花房ひとつ

038:華
曼珠沙華ぐらりと回る帆を張れば進むものだと思っていたか
(曼珠沙華=まんじゅしゃか)

039:鮭
塩鮭は層成し淡くくずれゆく石の流れる音が聞こえる

040:跡
爪の跡唇の跡液の跡あなたのあとをなぞるたまゆら

041:一生
風が吹くたびに裏見せまた返る葛葉のような一生だろう

042:尊
三尊像やすらう初夏の本堂はドイツワインのカーヴにも似て

043:ヤフー
しずけさが増す午後一時部屋中にヤフー閲覧履歴積もれば

044:発
始まりは日々増えてゆき今日も発つ楓若葉のうすさつめたさ

045:桑
3組の工藤教諭は壮健か桑の若葉を油で揚げる

046:賛
協賛の企業のロゴが回ごとに小さくなってゆく集会場

047:持
次々と持った名前をつぎとぎと零すフェーズに入りつつある

048:センター
夕餉どきちらちら光る曲面のレフト張本、、センター柴田

049:岬
横揺れの連絡船は波をひき岬の裾を洗う菜の花

050:頻
新緑の切り通しへと風抜けて頻りに肩を揺するものたち

051:たいせつ
板戸から漏れる陽射しよ〈でーうすのおたいせつ〉とはぬくもりの意味

052:戒
空はまだ広く明るく戒めの十一番目のある可能性

053:藍
ひきこもる力をどうぞくださいな今日も窓から藍色の空

054:照
照らされることがすべての始まりで雀、すずめよ葉に群がれよ

055:芸術
そこここに芸術はあり麦の穂が顔となるから目を逸らせない

056:余
溝ひとつ柩の中に鎮められ二千余年を経た人の手は

057:県
直線に慰められることもある県道203号北へ

058:惨
惨劇をいくつ潜ってここにある私の腋をすりぬける風

059:畑
目も粗く小麦畑を囲む網隔てることが文化であれば

060:懲
太陽へ近づきすぎたイカロスの懲りた結果が飛蝗であろう
(飛蝗=ばった)

061:倉
膝抱えひきこもりたいはつ夏の風と光で組む校倉に
(校倉=あぜくら)

062:ショー
ねず色のレインコートで並びたいイルカのショーの最前列へ

063:院
院政の下にうごめく上皇のような目つきを晒すな餓鬼よ

064:妖
皆伐ののちの誉れを歌う碑よ妖しひとつを鎮める位置に

065:砲
部屋隅の漫画死ぬまで捨てまいぞ〈拡散波動砲〉響き良し

066:浸
風のなか風を重ねるビル街よ塵の匂いに髪を浸せば

067:手帳
アボカドの薄い緑のこびりつく作歌手帳にかすれた「好」の字

068:沼
新月の波紋ひろがる隠り沼に暗渠の流れ辿りつく音

069:排
つづまりは己のうちに見る我か排と愛とは楕円の二心

070:しっとり
土曜日の窓辺の髪はしっとりと干したシーツに嬲られる風

071:側
甥ふたりいること心安らいで三塁側に啜るかちわり

072:銘
待つための恋文もある真銘を生のたまごに刻むがごとく

073:谷
米軍機五月最後の夜を裂き月の痘痕はみな谷である
(痘痕=あばた)

074:焼
右だけの革手袋を嵌め終えてサンバイザーを焼く稲妻よ

075:盆
皹割れの目立つ小道よあじさいも新盆までの花と思えば

076:ほのか
あじさいの辺りほのかに照らされて雨が葉をつく葉が毬をつく

077:聡
アボカドの聡く実れば追熟を待つ一昼夜部屋がくろずむ

078:棚
まあなんだ騒いだわりにとりあえず棚を一段増やしたくらい

079:絶対
恍惚と語る〈絶対領域〉の単語のたびに爪先は揺れ

080:議
境内に満ちるしずけさ梅雨寒の猫の会議の流れ解散

081:網
さらしなの素肌が網にひしめけば新たまねぎの香り始めよ

082:チェック
罅のある硝子の兵士いま少し稼げよチェックメイトまで五手
(兵士=ポーン)

083:射
雑踏の光を透かしまた仰ぐ射手座の鏃の向きを
(射手座=サジタリウス)(鏃=やじり)

084:皇
飛沫たつ窓辺女教皇の札がわずかに左へ傾ぐ
(飛沫=しぶき)(女教皇=ハイプリエステス)

085:遥
猩々緋東の空を塗りかため今日の〈遙か〉は市境にある
(猩々緋=しょうじょうひ)

086:魅
笑み 氷 波涛 朝焼け触れ得ても魅了ののちは消えゆくものを

087:故意
さらさらにさほどの熱も籠もらねば未必の故意を犯す夕暮れ

088:七
梅雨明けの十日あえぎを遠ざけて七星はるか天頂を掻く

089:煽
蜆蝶つかずはなれず紫の二頭が夏の光を煽る

090:布
七月の小島ゆかりの新刊にシャツの布地のしめりが移る

091:覧
閲覧可スタンプなぞる塾生の歩けるほどの鎖骨の太さ

092:勝手
夏はなお勝手きわまるジェノベーゼ未だ奥歯に貼りついたまま

093:印
八月の声上手すぎるうぐいすよ印鑑証明コンビニで取る

094:雇
また一つ桟橋流れこの地にも雇われ下手の王様がいた

095:運命
ぶりかえす鼻風邪のなか運命がルンバに端を囓られている

096:翻
翻りまたひるがえり梅雨明けを絡め集めて玉にしてゆく

097:陽
次々に陽が割れてゆきあおむけに置いた眼鏡の雨滴に凝る
(凝る=こごる)

098:吉
吉凶は角度によるとキッチンの床に平たく眠るコーギー

099:観
あかつきの時世をはるか見晴らせば歌人たちが観た潮の色
(歌人=うたびと)

100:最後
その背なに白羽の幾度刺さりしか最後尾より望むパノラマ