録音が始まると急にノイズが天上から降り注ぐ。
照明・空調を切ってすべてのノイズをカットしての録音にもかかわらず、
それでも何故か・途中で、
ハービスエンタ全体の空調を管理するダクトから大きなノイズが鳴り始める。
そんな瞬間的なケースがたまにあると言う事は事前にお聞きしていましたが、
それは聞いていたそのケースに当てはまる事のない、永遠に持続するノイズでした。
これが続けば録音は出来ない・。
支店長を呼んでも原因は解明されず、
スタッフ全員が、脚立を立ててその天井の音源を探り始める。
「もう・今日はだめか・・・」
今回の録音を諦める気持ちがよぎる。
様々な原因を検証しても解らないまま、
ふと・その大きなダクトを上に押し上げたところ、
突然ノイズが止む。
なんとも・それは、番組の台本に書かれているくだりの一節みたいでした。
太い大きな館内全体に張り巡らされた空調ダクトに巻かれたビニール状のものが、
その下に接する排水管に巻かれたビニール状のものと接して、
空調ダクトに送風される振動がそのビニール状のものに伝わりノイズを発していたのでした。
それは、このホールでは今までに起はこって無かったケースでした。
誰もが想定外でした。
その後も録音中、何回も起こるたびに脚立に登りダクトを上に押し上げてくれていました。
スタジオ使用リミットの7時までもはや4時間。
4時間で9曲収録の壮絶な戦いが、
この後繰り広げられます。