新月の高野三山に登ってから2 週間、
月は廻り満月の彼岸の一日。
和歌山に向かう前に立ち寄った貝塚の水間観音。
龍の滝は何時になく豊かな水をたたえ、春の陽射しにすがすがしい空気が漂う。
2 つの川が交わるところ。それで水間と言う名がついた。
もうひとつの、今はコンクリートで固められた滝も勢い良く流れる。
犬鳴峠を越えて和歌山へ。
日本の桃源郷と呼ばれる桃山町を通るが、
日本一の桃はまだつぼみで、
4月に入ると、桃と桜で花にまみれに。
懐かしい道を走り続けると、
ふと気になる標識。
「武内宿禰(たけうちのすくね)生誕の地」
いつもさんざん通る道端、そんなものがあったとは聞いた事もなく眼を疑う。
その名前に引き寄せられ、吸い込まれる。
武内宿禰(たけうちのすくね)
歴史上では、数百年生きたとされる実在の人物で、
古代日本の形成において重要な流れを受け継ぐ一族の代表的な一人で、
今では不思議な霊能力を発揮する武運長久、厄除けの神さまでもある。
こんな寂れた小さな社があるだけの傍らに、
産湯を使ったとされる井戸が、今もキレイに整然と残っていた。
不思議な時間の経過と、この地に今も住む人の長い営みを感じる。
私の先祖も同じようにこの辺で生きていた。
今も松尾姓の多い場所。
ふと・見上げると彩雲。
気分良く無事墓参りも済ませ、おきまりの和歌山ラーメンもいただき、
復路。
私の一族の出身と言われている場所を通ると決まって身体が火照る。
そこからは東に高野山に向けて山の中を走る。
一時間程した頃、「権現滝」という看板を眼にする。
またまた強烈に引き寄せられる。
ナビを頼りながらその場所へ、
車はかなりの山道を登り始める。
春だ!
またまた彩雲。
淡い花の光に喜んでいると、
ここから登りは急激に、さらに道は究極に細く。
普通車で来た事が間違いだった事に気付くも既に遅く、
前進する以外は道が細すぎて後戻りできない選択肢のない状況に、
命がけのドライブが始まる。
何度もタイヤを滑らしあわや・谷底へ・・・
遂に道は行き止まりに。
そこにはようやくUターンの出来る踊り場が。
車を降りる。歩き始めると、
原生林に迎えられ聖域への結界を潜る。
出た!
突然現れた岩屋権現神社。