ふろむ京都・播州山麓

京都の西山&播州山麓から、気ままな雑話をお送りします。長期間お休みしていましたが、復活近しか?

宇宙の「虎の子」 <片瀬五郎 記>

2010-06-20 | Weblog
 7年もの間、宇宙をさまよった宇宙探査の小舟「はやぶさ」MUSES-C。オーストラリアのウーメラ砂漠に予定通り、無事に着陸帰還しました。6月13日のことです。この地は原住民アボジリニの聖地であり、だれも住んでいない。あえて無住の地への着陸許可を、宇宙航空研究開発機構JAXSAはアボジリニの皆さんと打ち合わせていたのではないでしょうか。万が一の杞憂人身事故をも配慮した、周到な帰還計画だったのでしょうか。

 満身創痍、ボロボロになりながら、はやぶさは何度も迎えた危機にもめげず、地球からの操作にこたえ続けた。健気な姿には、ほとほと感心してしまう。
 いつも行く百万遍のガソリンスタンドのおやじさんは、「男の鏡ですなあ。感激しました。はやぶさの一途な勇姿には、励まされます。たいした奴ですねえ」
 はやぶさの航行距離は60億キロ。地球と太陽の距離の40倍に相当するそうです。宇宙で迷子にもなりながら、寅年に無事帰還した本当にたいした奴です。
 ところで「はやぶさ」の本来の名は「虎之児」。「虎は千里行って千里還る」と、山頭火からとった。「此機宇宙翔百億里」、開発初期時点からの名だそうです。また佐賀県嬉野市の井手酒造の銘酒・虎之児にちなむ。井手酒造からは命名祝い、成功帰還祈願に日本酒「虎之児」が飲みきれぬほど、JAXSAにプレゼントされたそうです。<参考ホームページ:宇宙航空研究開発機構JAXSA>

 はやぶさ、すなわち大切な虎之児は大気圏に突入し、役目を終え燃え尽きました。TVでも使命を果たし、炎を放つ探査機の映像をみましたが、彼の勇姿には涙が溢れそうになりました。しかし血も涙もないわたしです。溢れそうでしたが、こぼれませんでした…
 核のカプセルは、ウーメラ砂漠にパラシュートを開いて落下しました。ラーメン鉢を2枚重ねたような型です。はやぶさトラの愛児、虎之児之子は直径わずか40センチほどの、胎内秘蔵だったかわいい赤子です。カプセルは、径500メートルほどの極小惑星イトカワの砂を持ち帰ったのでしょうか。結果は数か月先に発表されますが、入っていなくともいいと、思います。おみやげは、宇宙のロマンで十分です。夢を無事に持ち帰ったのですから。

 ところで、虎之児の後継機「はやぶさ2」ですが、文部科学省が申請した開発費17億円が、例の民主党の予算見直し、事業仕分けでわずか3000万円に削られてしまった。これでは虎之児の子どもは産まれない。科学技術や文化事業の仕分けは、もっと柔軟に対処すべきだと思います。今回の快挙を評価し、追加予算を潤沢に復活追加しても、国民のほとんどは決して異をとなえないのではないでしょうか。

 話しはかわりますが、京都の岡崎動物園で、トラの子が3頭産まれました。「虎之児」帰還の3日後の16日から3日間、まいにち1頭ずつの出産でした。母のアムールトラ「アオイ」は、愛児の虎の子をネコかわいがりしています。こちらも大切な虎の子です。すくすく育つことを願います。子どもの1匹には「はやぶさ」と、命名してもらいたいですね。
 それから銘酒「虎之児」。宇宙の「はやぶさ」とアオイ母子のことを想いながら、一献やりたいものです。どこの酒屋で売っているのでしょうか。
<2010年6月20日 片瀬五郎>
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