世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【韓米、3月締結の為替スワップ協定を来年3月まで延長】韓国から見える日米の実力差①

2020-10-29 00:32:42 | アジア
 以前から指摘している、かの国のウィークポイントですが、そこから見えるのは、わが国との・・・もそうですが、むしろ日米の実力差なのでした・・・

 韓国の家計債務が膨張しているもようです。国際決済銀行の発表によると、今年6月末時点における同国の家計の負債総額は1637兆ウォンにおよび、その対GDP比は約96%と、昨年末(92%)からのわずか半年で4%も上昇し、英国(約85%)、アメリカ(約75%)、EU・日本(50%台後半)を上回り、主要各国の中でも最高水準に達しているとのこと。そればかりか、同国では企業の債務も増加し、非金融部門の負債比率は対GDP比で約105%と、20世紀末のアジア通貨危機時の水準(同107%)に迫っているそう。そして韓国に特徴的なのは、それらの多くが、財務基盤の弱い自営業者によるもので、よって今後、リセッションに向かったりしたら、脆弱な家計に加えて、これら零細企業の破綻も相次ぐことになりそうです・・・(?)

 このように韓国で家計・企業の借金が増えたのは、例にもれず新型コロナウイルス感染拡大にともなう景気下押し圧力・・・に加え、長く続く世界的な低金利環境のなか、同国でも不動産とか株といったリスク投資が盛んになり、その元手としての借金を国民が重ねた結果、ということのようです。実際、同国の不動産担保ローンの金利は、5~6年前は6~7%であったのが、いまは2.5%前後と大きく下がっていて、そのせいか家計に対する銀行の融資も増え、今年の上半期だけで60兆ウォンに上るとのことです。

 といったように韓国では債務リスクが高まり、かつてと同様(か、それ以上の?)金融・通貨危機の再発が懸念されるわけです(?)。ではこれに対する備えはどうか、ですが、韓国の9月末時点の外貨準備高は4200億ドルあまりと、現時点では世界では9番目くらいの、それなりの額になってはいます。しかし・・・一方の対外債務額は、今年6月末時点で1994年末以降では最高額の約5030億ドルと、上記の外準額を上回ってきています(以上、データは韓国銀行)。加えて、上記の家計債務額1637兆ウォンを現在のレートでドル換算すると約1.4兆ドルにもなり、その一部が貸し倒れただけでも非常に大きなダメージが、かの国に及びそう。といったあたりからすると、やはり韓国の経済・金融システムはまだまだ脆弱で、自力では来るべき(?)危機に対処できそうもありません。なので同国としては他国によるサポート―――何らかの金融セイフティーネット―――がほしいところでしょう・・・

 ・・・って、そんな韓国の大きな支えとなったのが、この3月、つまりコロナ禍が世界的に急拡大した局面において、アメリカ・・・のFRBと韓国銀行との間で結ばれた総額600億ドルの為替スワップ契約でしょう(って、この期限ですが、当初は今年9月末までだったのが延長されて来年3月末までになっています)。この締結により、韓国でのドル調達リスクが緩和され、ウォンが対ドルで上昇し、同国の対外債務不安は(少なくとも今年春の局面では)遠のくことになりました。

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【さすがの日銀でも米治安悪化圧力は抑制不能…】誰が大統領になっても変わらないアメリカ⑨

2020-10-27 00:01:34 | アメリカ
前回からの続き)

 アメリカ内外のメディアで報道されているように、来月3日の米大統領選挙は、終わった後も、ドナルド・トランプ現大統領かジョー・バイデン氏のどちらかが圧勝でもしない限り、相当にゴタゴタしそうな気配です。個人的には、マーケット的に(・・・ってバブルのみに頼る、かの国にとってそれはほとんど「アメリカ的に」と同義だと思いますが)、もっとも望ましいシナリオは、バイデン氏がトランプ氏に大差で勝利、というものだと考えています。というのも、民主党のバイデン新政権が発足すれば、こちらの記事に書いたように、多額の献金等を通じて民主党に肩入れしてきたGAFAM(米IT企業群)の株主利益(≒独占)が守られるだろう(?)こと、そして民主党政権は共和党政権以上にデカい(財源の当てなき)財政出動を実行しそうなこと(で、金融セクター等には恩恵がありそう)、などから、バブルの筆頭であるにはプラス、と予想されるためです・・・

 が・・・実際には、どちらが勝つにしても、それほどの差にはならない感じです。で、いちばん可能性が高く、かつヤバそう(?)なのは、バイデン氏が僅差で勝つ―――トランプ氏が僅差で負ける―――というものでしょうか。となると、最近の言動等から判断する限り、トランプ氏そして同氏の支持者らは、郵便投票に不正があった、とか、〇〇国が選挙に介入した、などと訴えて敗北を素直に受け入れようとしないかも。そして白人急進右派勢力は、トランプ氏落選に失望し、先日の民主系州知事の誘拐未遂みたいなアブない行動にいっそう走るおそれも(?)。こうしてアメリカの新大統領はなかなか決まらず、政治情勢は大いに混乱し、それが経済に波及して、リスク・オフに・・・

 ・・・ってあたりが、一番ヤバいような気がします。綴ってきたとおりアメリカを支えているのは日銀(の超緩和的な金融政策)ですが、そのサポートは上のバイデン氏完勝!?みたいなリスク・オン時に効果を発揮する一方、リスク・オフのときは力を失う―――市場原理「円>ドル」が正常に働いてマネーが日本に集まるとともに、アメリカでは金利上昇圧力が高まり、同国はインフレ制御できなくなる―――わけです。さらに悪いことに、上記のように今度は・・・治安の悪化圧力(?)も高まるばかりであり、それはさすがの日銀(?)でも抑えようがありません。そのあげくアメリカは・・・以前からの悲観的予想のとおり、自ら内乱内戦状態に陥っていくしかないように思えます(?)・・・が、これまた日銀の本当に本当の想定のとおり・・・(?)

 26日付のAFP時事は、アメリカでは都市でも地方でも銃の購入熱が沸騰している、と伝えます。新たなステージに向け、やはり準備万端のようですね、かの国は・・・

(「誰が大統領になっても変わらないアメリカ」おわり)

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【日銀が政策を変えない限り、アメリカの進路は変わらない?】誰が大統領になっても変わらないアメリカ⑧

2020-10-25 00:00:42 | アメリカ
前回からの続き)

 前回、チャイナマネー人民元)に限界があるのは、その合計額が、その価値を裏付けている中国人民銀行(中銀)の資産の大半を占めるドル資産の額にほぼ限定されるから、みたいなことを書きました。なので、人民銀が引き続きドル資産に基づく以上(って、先述のようにそれしかできないでしょうが)、人民元がドルに対して大きく値上がりすることは考えられず(って、その逆にドルに対して人民元を切り下げることはいくらでもできますが)、したがって中国のアメリカをサポートできるマネー力は、貿易等で新規に稼いだドル額の分しか増えず、その程度ではアメリカがいま大量に振り出している米国債をとてもファイナンスし切れません(っても中国の米国債投資がアメリカにとってありがたいことには違いなく、よってドナルド・トランプ大統領は対中貿易赤字[アメリカにとっては債務を引き受けてくれるおカネ]をあまり悪者視しないほうがいいと思いますが)・・・

 そのあたりがジャパンマネー)とはまったく違うところですね。つまり、人民元が米国債に裏打ちされているのに対して円は日本国債に裏打ちされているため、ドル円が変動しても日銀B/Sの資産・負債のバランスは崩れないし、前述のように市場原理に委ねさえすれば、いまの1ドル100円台が同50円、同30円・・・と円高ドル安が進行するから、ジャパンマネーのドル価値は2倍、3倍・・・とどんどん拡大し、それによって日本の対米投資は(為替リスクが減るなどして効率的になるから)いまよりずっと進むとともに、アメリカはこれに米国債を余計に引き受けてもらえて、日米ともにハッピーとなる、といったことです(?)。もっとも実際には先述したとおり、日銀の市場原理に反した(?)政策のせいで、上記ができなくなっていて、日米ともに不幸、という有様ですが・・・

 ということで前回とカブったことを書いていますが、上記のような中国の限界を引き合いにすることで、本来のジャパンマネーには無限のポテンシャル(≒ドルに対して制限なく上がり続け得ること;実質金利で「円>ドル」)があることを強調したかったわけです。そのパワーは・・・上記のとおりアメリカをも動かせるくらい・・・って、本稿に関連させると、大統領にもFRBにもできないことができてしまうくらい、です・・・(?)

 ―――などと徒然に綴っているうちに、米大統領選挙の投票日である来月3日が近づいてきました。「Real Clear Politics」の現時点の結果(各調査平均値)によれば、ジョー・バイデン氏支持が50.7%、トランプ氏支持が42.8%と、これ本稿一回目に紹介したときよりもバイデン氏のリード幅が小さくなっているみたい。といったあたりからも、この選挙、やはり投票箱を開けてみないと結果は分からない感じがします・・・が、繰り返しになりますが、どちらが勝っても、その政権そしてFRBがやることは同じであり、進む方向―――制御不能のインフレ堕ち?―――も変えようがありません、唯一、アメリカを変えられる日本・・・の日銀が現行政策を変え、上記市場原理を回復させない限りは・・・(?)

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【中国が世界一の貿易黒字国になっても限界にブチ当たる理由】誰が大統領になっても変わらないアメリカ⑦

2020-10-23 00:16:49 | アジア
前回からの続き)

 前回、もし日銀が「異次元緩和」をしていなかったら(為替レートを市場原理に委ねていたら)、きっと現在のドル円レートは1ドル50円程度(?)にまで円高ドル安が進んでいたであろうから、日本はいまと同額の円貨で倍以上(105円/50円)の米国債を買うことができた―――アメリカは日本に、いまの倍以上の債務を引き受けてもらえたことで、その分だけインフレリスクを低減できた―――といったことを綴りました・・・って、まあ以前から書いていることですが・・・

 ところで、本稿タイトルからは外れますが、上記と同じことを中国もできるのではないか、なんて想像ができそうです。かの国は世界一の貿易黒字国であり、日本と並ぶドル・米国債保有国ですから、その勢いで(?)人民元高ドル安を容認すれば、単位当たりで買えるドル資産が増えるので、中国のアメリカをサポートする力も高まっていきそうに思えるのです・・・

 ・・・が、実際にはできないでしょう。というのも中国はドル・ペッグ制をとっているからです。これようするに、中国人民銀行(中銀)が自身の発行通貨・人民元の価値の裏付けにドル・米国債を充てているため、これらの価値の変動に人民元も否応なく供連れにされるから、人民元の対ドルレートが、たとえば円の価値がドルに対して4倍以上(1ドル360円→アベノミクス前の同80円以下)になったみたいに大きく上昇することは、いまのままでは考えられない、ということです(って、その逆、すなわちドルに対して人民元を安くすることはいくらでもできますが)・・・

 このあたりを具体的に説明すると・・・人民元の価値を対ドルで倍にするには、中銀資産勘定のドル・米国債の価値を負債勘定に対して半減させ、その減った分をドル・米国債以上に価値の高い他の資産で埋め合わせる必要が生じます。で、その資産は・・・ゴールド)くらいしか見当たりません。まあだからこそ中国は、こちらの記事等で書いたように、金準備をせっせと増強しているのでしょう(?)。なので、先述のようにFRBが市中にドルを大量に吐き出している(ドル価値を劣化させている)状況に(中銀資産劣化の)危機感を抱く中国が、将来のあるとき、自身の金準備の評価替えを行って、人民元の価値をドルに対して大きく切り上げようとする可能性も考えられるでしょう(?)。

 ですが、これもまた現実には至難の業です。たしかにこれ、金本位制に近いものであり、人民元の対ドル価値向上と信認維持のためには理想に近いスキームかもしれません。しかし、これ(≒金本位制)を真に生きた仕組みにするには、人民銀がその金融政策の運営に当たって市場を相手に金の売買、とくに売り(金融引き締め:人民元の回収)を自由自在に行えなくてはなりませんが、実際にはハードルが高すぎてできないでしょうからね、こちらの記事で綴った理由で・・・

 かくして中国・・・の人民元は、結局はドル・米国債に基づく以外になさそうです(ドル資産の相当部分をユーロ等で代替しようとしているみたいだが、ユーロ自体がドルよりも弱い通貨なので、それも虚しいばかり…)。それは、人民銀の資産が1兆ドルなら、人民元も総額1兆ドルの価値以上にはなり得ない、といった感じです。これが日銀の場合、その資産(≒日本国債)をかりに100兆円としたとき、日銀券()のトータルは1ドル100円なら1兆ドルですが、同50円になれば倍の2兆ドル、同30円になれば3倍超の3.3兆ドル・・・などと、いくらでも拡張していける(?)わけで、そのあたりこそ日中両国の決定的な違いであり、日本のポテンシャルと中国の限界を痛感させられる本質的な部分だと思っています。

 もちろんそのへんは、上述、アメリカに対する日中のサポート力の差となってきます。つまり、アメリカにとって、本来の日本がどれほど頼もしいか、ということになります・・・が、前述したとおり、実際にはその日本にアメリカはハメられてしまった(?)、つまり・・・日銀の意図的な円安ドル高誘導によるジャパンマネーのドル建て価値の急減と対米投資手控えが大きく影響して、アメリカは制御不能のインフレの瀬戸際に追いつめられているわけですが・・・

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【アメリカのインフレ堕ちは日銀誘導の結果?】誰が大統領になっても変わらないアメリカ⑥

2020-10-21 00:55:41 | アメリカ
前回からの続き)

 先述したように、アメリカを真に動かし得るのは米大統領(政権)・・・ではなく、FRB(米中銀)・・・でもなく日本・・・の日銀だと思っています。以前から書いていることですが、アメリカの国家的弱点は「金利」であり、これをいかようにもできる(?)のは、「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」すなわち実質金利が世界でもっとも高い日本(日銀)だということ。で、その日銀がいままで7年以上にわたって続けてきた金融政策「異次元緩和」の狙いがそのあたり―――無理やり「円<ドル」にすることによるアメリカ支援(同国のバブル膨張サポート等)―――にあることは、こちらの記事を含めて何度も指摘しているところです・・・

 ・・・が、さすがの日銀でも、これまでの7年間と同じようにアメリカを支えることは、もはや不可能になりつつあります。同国の債務の規模が、とくにコロナ禍以降、日銀の手に負えないくらいに拡大してしまったためです・・・

 先月、米議会予算局は、アメリカの2020年会計年度(昨年10月~今年9月)の財政赤字が過去最大の3.3兆ドルになるとの予測を明らかにしました。同赤字はGDP比で約16%と、19年度実績の4.6%から急上昇し、第二次大戦以来の大きさになるとのこと・・・って、いかにコロナ禍が戦争に匹敵する(?)大災厄とはいえ、これ、どう考えてもデカすぎでしょう。そのあたり、たとえば今年6月時点の日本の米国債保有額は外国勢としては第一位の1.26兆ドル、次いで中国が1.07兆ドル(香港と合わせると1.34兆ドル)などとなっていますが、たった1会計年度だけでこの両国が保有する米債務の合計にほぼ等しいくらいの米国債が新たに振り出されるわけです。そんなにたくさんであれば、日中・・・のほか産油国などの全世界が束になってかかってもこれを「消化」できるわけはありません。結局、金利上昇を食い止めるべくその大半をFRBが買い支えるしかなくなり、その分マネーが市中に吐き出されて・・・アメリカ経済と市民生活はいま、確実に制御不能のインフレに「没入」しつつあるわけです・・・(?)

 ・・・って、上記も実は日本(日銀)の演出、という意味で日本がアメリカを動かしているともいえそうです。つまり、日銀の政策はアメリカを支援している・・・ようで、円安ドル高誘導によってジャパンマネーを対米投資から遠ざけ、結果として上記のようにアメリカをインフレのふち(FRBをひたすらマネーを刷らざるを得ないところ)に追い込んでいるからです。このあたりこそ、以前からシツコク指摘している、本当に本当の日銀の狙いでしょう・・・(?)

 ちなみに、かりに日銀が「異次元緩和」を行っていなかったとしたら、「円>ドル」の市場原理が働いて、同開始直前の1ドル約80円からさらに円高ドル安が進行し、こちらの記事に書いたコンサバな(?)レートをさらに超えて、いまなら1ドル50円とかになっていたでしょう(?)。その意味するところは、同じ額の円でいまの倍以上(105円/50円)のドル債が買えた、ということで、それだけ日本は効率よくアメリカを支えられたし、FRBはマネー増刷を減らすことができてインフレリスクを低減できたはず・・・でしたが・・・(?)

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【アメリカを真に動かし得るのは日本・・・の日銀】誰が大統領になっても変わらないアメリカ⑤

2020-10-19 01:26:05 | アメリカ
前回からの続き)

 超大国アメリカをリードしているのは大統領(政権)・・・ではなくFRB(米の中銀)・・・かと思ったら、そのFRBはその政策(金融政策)のコントロールができない―――金融緩和(米国債やら不動産担保証券やら低格付け社債やらをひたすら購入してマネー[ドル]を市中に吐き出すこと)はできても、金融の引き締め(マネーの回収、利上げ)ができない―――状態に陥っていることが分かりました(?)。では、大統領でもFRBでもないとすると、いまのアメリカを真に動かし得るのは、いったい誰なのか・・・

 ・・・って、本ブログで大昔からシツコク述べているように、日本以外にあり得ません。その理由は、思い切って単純化すれば、たった一つ。すなわち円>ドル」が成り立つ―――日本の実質金利がアメリカのそれよりも高い―――からです・・・

 これまた以前からの指摘になりますが、アメリカの国家としての「弱み」(他国に頼らなければならない点)は「金利です。そして日本の「強み」は、世界最高の実質利回りを有する通貨「。よって、このまま放っておけば(市場原理に委ねれば)、マネーはおのずと同金利の高いほう、すなわち円資産(日本国債等)に流入し、他方で同金利の低いところ(アメリカ・・・を含む日本以外のほぼすべての国の国債等)からはどんどん流出してしまいます。で、当然ですが、この構造のもとでは、前述した、大規模なコロナ禍経済対策に必要なマネーを大量に調達しようというアメリカの目論見は達成されない・・・どころか、「金利」が急騰して同国は非常にマズい事態に陥りかねません。すなわち、その上昇を抑え込もうとしてFRBが米国債をはじめとするありとあらゆる資産を無限に購入してドルを吐き出し、その結果、(ハイパー?)インフレを招いてしまう、ということです・・・

 で、これを食い止めるには、無理やり(市場原理に反してでも)「円<ドル」にしてマネーがアメリカに流れる(アメリカからよそに出ていかない)ようにする必要があります。当然、それを意図してできるのは、上記のとおり日本だけであり、具体的には日本銀行の政策「異次元緩和」で行うことになります。これで日本の実質金利をアメリカのそれより下げることができれば、上記した理屈からマネーはアメリカに向かい、その債務はサポートされ、金利は低い水準に抑制される、と期待されます。他方でこれ、日本にとっては悪性インフレ(実質マイナス金利)を喚起しかねない、非常に危険な面を持つ策ですが、不自然な分、いざとなれば自然に戻せばよい、つまり市場原理が働くようにすれば(同緩和策を少しだけ引き締め方向に戻し、本邦金融機関がフツーに国債投資ができる環境にすれば)、同緩和策前と同じくマネーは再び円債に還流するから、財政は低コスト(低金利)でファイナンスされるので、大丈夫、真に危険な事態―――財政破綻・ハイパーインフレ等―――は回避される、という読みもあるのでしょう・・・(?)

 以上などにより、アメリカを真に動かしているのは―――インフレなき財政出動&バブル支援ができるのは―――大統領(政権)はもちろんFRBでもなく、同国の弱点「金利」の上昇を抑え込むことができる日本・・・の日銀ということになりそうです。よって、大統領が誰になろうが、日銀がいまの政策スタンスを変えない限り、アメリカはいまのスタイルの経済運営ができそうに思えます・・・(?)

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【アメリカの真のリーダーは大統領ではなくFRB?】誰が大統領になっても変わらないアメリカ④

2020-10-17 11:48:21 | アメリカ
前回からの続き)

 来月3日の投票日を前に大詰めを迎えている米大統領選、一見すると、ドナルド・トランプ現大統領とジョー・バイデン氏の主張する政策等は違っているように思えますが、先述したように、その本質と目的が、FRB(米の中銀)におカネ(ドル)を刷ってもらってバラまく、あるいはそれで膨張させた資産バブル(の資産効果等)で経済の浮揚を図る、みたいなところにおいて同じ・・・というより他に変えようがありません

 そして米中対立に象徴されるアメリカの貿易不均衡問題も、その根本的な原因は、中国などの貿易相手国の側にあるのではなく、輸入品にどっぷりと依存しているアメリカの側にあるわけで、その構造を変える―――メイド・イン・USAで代用できるようにする―――なんて、誰が大統領になろうが、まずできるはずはないでしょう。よって、「タリフ・マン」(tariff man:関税男)を自認する(?)トランプ大統領が関税障壁等を設けて中国産品の米市場への流入を抑えようとしても、それに代わってメキシコやベトナムなどの他国品がどんどん輸入されるから、どのみちトータルの貿易赤字は増え続けることに。で、その支払いに充てるおカネを立て替えるのは・・・巡り巡って最終的に、これまたFRBになるわけです・・・

 ・・・となると、現在のアメリカを支え、動かしているのは、大統領・・・とかその政権などではなく、FRBだということが分かります(?)。たしかにトランプ大統領のツィートは、ときにキョーレツで、なかなか興味深いです・・・が、FRBのジェローム・パウエル議長の発言やFOMC(FRBの金融政策決定会合)の決定が米経済や国民生活に与えるインパクトに比べたら、失礼ながら、ずっと小さなことに過ぎません(って、にもかかわらず、とくに本邦メディアは、トランプ氏のツィートばかりに過剰反応する印象を受けますが)・・・

 ということで、いまや米大統領をしのぐ影響力を有するに至ったFRBこそ超大国アメリカの真のリーダー(的存在)である・・・と結論付けたいところですが、そのためには、FRBがその政策でアメリカを本当にコントロールできていることが条件になるでしょう。じゃあ、できているのか、といえば・・・できていません、まったくといってよいくらいに。というのも、上記のようにFRBはドルを発行して流通させる(金融緩和する)ことはできていても、それを回収する(金融引き締めする)ことができないでいるからです。これ、ブレーキの利かない車に乗ってアクセルをふかし続けるのと同じです・・・

 このあたりは以前から書いているとおりですが、FRBはリーマン・ショック(2008年秋)直後からこれまで延々と超緩和的な政策スタンスを続けています。まあその間、金融引き締め(利上げ再開とか)をちょっとは試みましたが、それは本稿の文脈に基づけば「FRBは、中央銀行として、そして真のアメリカのリーダーとして、米経済と市場をコントロールできている」という、そぶりを見せるために過ぎず、案の定、実際には不可能でした(引き締めはちょっぴり、かつ短期間で終了)。そして結局FRBはもとの緩和路線に戻り、そのあげく、現在は実質マイナス金利(名目金利-予想インフレ率<ゼロ)を放置している(?)ありさまです・・・

 以上から、大統領(政権)以上にアメリカをリードしていると思われたFRBにも、実はそれができていないことが理解できるわけです。大統領でもなくFRBでもないのなら、では超大国アメリカを実質的に操作しているのは誰なのか・・・

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【対中強硬?それとも融和?とは無関係に膨張する米貿易赤字】誰が大統領になっても変わらないアメリカ③

2020-10-15 00:04:24 | アメリカ
前回からの続き)

 前述のとおり、いまのアメリカは、大統領が誰か(誰になるか)に関係なく、コロナ禍対策も含め、どのみちFRB(米の中銀)の超緩和的な金融政策で経済を回していくしかありません。それはドナルド・トランプ大統領が、4年前の大統領「候補」だったときに、同政策でバブルを起こしてしまったとFRBを批判していたのに、大統領になってみたら、こちらの記事に書いたように、そのFRBに同政策のいっそうの緩和(≒バブル膨張)を暗に要求したりしていることからもうかがえるというものです。

 このあたりの話を進めるにあたり、一部メディアが非常に気にしている(?)、アメリカの対中国戦略で関連するところの考えを綴っておきます。現状、トランプ大統領が再選されたら現行の対中強硬策が維持あるいは新たな展開に進められそう、他方でジョー・バイデン氏が新大統領になったら同スタンスの施策(制裁関税等)は緩和されて米中融和が始まりそう、といった見方が一般的かな、と思いますが、そうだとすると、次の大統領が両者のうちのいずれになるかによって、米中関係がかなり違ってきそうですが・・・

 ・・・って、それでもアメリカは変化しないでしょう。つまり、中国との間がどうなろうが、アメリカの外国産の輸入品にどっぷり依存する構造は変わりようがない、ということです。

 米商務省によれば、8月の米貿易赤字額は671億ドルと、2006年8月以来14年ぶりの高水準となりました。そのいちばんの要因は輸入の増加であり、とりわけ消費財輸入額は過去最大を記録したとのことです。いっぽうで対中貿易赤字は264億ドルと前月から19億ドルほど減っています。このこと―――対中赤字は減っているのに全体の赤字が増えていること―――から推察されるのは、アメリカは自国への流入が抑制されたメイド・イン・チャイナに代わる産品を中国以外の国から買っているようだ、ということです。実際に同月、隣国メキシコ相手の貿易赤字額は125億ドルと史上最高になったりしているから、まあそうなのでしょう・・・

 そもそも米中対立が激化・・・というよりアメリカのほうが一方的に(?)中国を問題視するようになった第一の理由は、両国間の巨大な貿易不均衡(アメリカ側の大幅な入超)にあったはず。すなわち問題は、中国云々よりも、この不均衡のほうであり、その是正こそがアメリカにとっての重大な通商政策テーマだということ。しかし、実際には、こうして対中国の赤字が減ったと思ったら、その分アメリカは他国からよけいに輸入してしまい、全体の収支の改善は進まない・・・どころか同収支はむしろ悪化しそうな気配です。これが意味するのは、中国から輸入する・しないとは無関係に、アメリカは輸入への依存度を下げることができない―――輸入品に代わる(≒自国民がプライス&品質の両面で満足できる)メイド・イン・USA用意できない、ということなります。このへんこそアメリカが巨大貿易赤字を抱えるに至ったところの根本的な理由であり、これ大統領がAさんでもBさんでも、どうにかできるものではないでしょう・・・

 こうして貿易赤字が膨らんでやまない、ということは・・・アメリカは上記財政資金の調達と同じことをせざるを得なくなる、つまり外国に対する支払い等に充てるための通貨をFRBに刷ってもらうしかなくなる、ということになります・・・

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【来月4日、米株価は大幅に上昇か?】誰が大統領になっても変わらないアメリカ②

2020-10-13 00:01:21 | アメリカ
前回からの続き)

 来月3日の米大統領選挙の投票日が迫るなか、ドナルド・トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染して一時入院したこともあって、アメリカばかりか世界中の人々の同選挙に対する関心が高まっているものと思います。しかし、前述のように、トランプ氏が再選されるのか、それとも民主党のジョー・バイデン氏が新大統領になるのか、のいずれによらず、新政権が行うことに大きな違いは生じないはずです。つまり・・・どのみち、もっとも重大なコロナ禍の経済対策・・・のための巨額の財政出動が、財源のあてのない状態で実行されるだろう、ということです。

 ・・・となると、その財政資金は、当然ながら税収だけではまったく賄えず、よって新政権はこれを金融マーケットから調達するべく新規に米国債を振り出すことになります・・・がその量が多すぎるため、何もしないとその価格は暴落、金利は暴騰してしまうことになります。これを防ぐには、おカネの市中調達を断念し、代わりにおカネを刷ってもらう、すなわちFRB(米中銀)に同国債を買い取ってもらうしかありません(?)。これが量的緩和(QE)であり、本ブログでは何度も指摘しているように、アメリカにはそれ以外に財政資金をねん出する手段がありません。このあたりFRBは今春のコロナ禍局面での同緩和策の再発動に当たって、米国債の無制限購入を発表しましたが、コロナがあろうがなかろうが、どのみちこうなることは、こちら等で以前から悲観(?)しているとおりです。そんなこんなで、市場には、FRBが買い取った国債額と同じ金額のマネーが次々と放出されていくことに・・・

 上記から、いずれかの当選が明らかになった段階で、米株価は大きく跳ねるのではないでしょうか(?)。つまり、新大統領は自身の政策アピールもかねて大規模な経済政策をやると宣言し、これを受けたFRBは金利上昇圧力を抑え込むべくQEを強化するしかないので、その結果、市中にはQEマネーがあふれ返り、その多くは株式市場に流入して株価を押し上げるだろう、ということです(って、この株価押し上げも上記経済政策の[最大の?]狙いでしょうが)。なので来月4日(大統領選挙の翌日)の経済ニュースが「4日の米株価、大幅な上昇、新政権の経済政策への期待で」みたいな見出しで報じるのが、いまから目に浮かぶようです(?)。したがって、ひょっとしたら、いま米株を買っておいて、上記選挙直後のご祝儀(?)局面で売り抜けると、リスク・オンの円安ドル高も手伝って、けっこう稼ぐことができるかもしれませんね・・・って投資の判断は自己責任でお願いします。

 ・・・などと書いていて思い出されるのは、4年ほど前、民主党オバマ政権時における同選挙戦中の、こちらの記事でご紹介した当時のトランプ氏のコメント「We’re in a bubble.」。そして同氏は、自分が大統領になった(共和党政権になった)後にバブルが崩壊したらイヤだな、みたいな素直な気持ちを語っていました。それから4年後の現在も、(まあ予期せぬコロナ禍が起こっているとはいえ)アメリカは当時とまったく同じ・・・どころか、上記の株に象徴されるように、バブルにいっそう依存するようになってしまっています。そしてトランプ大統領は、あれほど警戒していたはずのバブル(≒高すぎる株価等)を、今度は自身の経済運営の成果であるかのように(?)誇るとともに、かつてはバブルを煽ったとFRBを攻撃していたのに、今度は(バブルを引き起こす低金利が好ましいから)FRBはもっと金融緩和しろ、みたいな180度逆なことを平気で言うわけです。このあたりも、政権交代があろうがなかろうが、アメリカは変わらない―――バブル依存しか選択肢がない―――ことを示すものだと思っています。

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【バイデン氏支持がトランプ氏支持を10%リードも…】誰が大統領になっても変わらないアメリカ①

2020-10-11 00:52:07 | アメリカ
 大統領の影響力はずいぶんと小さくなってしまいましたね。それは、ホントの影響力を行使できるのが・・・だから、なのでしょう・・・か(?)

 ご存じのように、ドナルド・トランプ米大統領が新型コロナウイルスに感染して一時入院し、病院での治療および執務継続を経て先日、無事に(?)退院しました。来月3日の大統領選挙日まであと1か月という微妙なタイミングでの、この現職米大統領のコロナ感染には、アメリカ国内外の誰もが驚かされ、まさに「オクトーバー・サプライズ」(選挙直前月の10月に起こった同結果を左右するような驚くべき出来事)となった印象を受けます。これが同選挙に影響しないはずはなく、新大統領が決まった後も、しばらくはこの出来事が選挙民の投票行動をどう左右したか、なんて分析がニュース番組で報道されそうです。

 それにしても、トランプ大統領?それとも民主党のジョー・バイデン氏?勝つのはいったいどちらでしょうか。同国の世論調査サイト「Real Clear Politics」の9日時点の調査平均値によれば、バイデン氏支持が51.6%に対してトランプ大統領支持が42.0%とバイデン氏が10%近くリードしています(正確には、ちょっと前よりもリード幅を広げています)・・・が、これくらいの差であれば、バイデン氏が優勢、とも言い切れず、4年前もそうだったように、実際に投票箱を開けてみないと結果は分からない、といったところかと思います。

 とはいえ・・・いまのアメリカでは、両者のうちのいずれが新大統領になろうが、政策に大きな差が生じることはない、といえるでしょう。どちらも(共和党政権も民主党政権も)大型経済政策、ようするに巨額の財政出動を、財源の当てがないまま実行する、という点では同じ、というような意味です。先般、トランプ政権は、米議会において、コロナ禍の追加経済対策を当初の1.6兆ドルから1.8兆ドルに増額して野党・民主党に提案しましたが、同党はこれを2.2兆ドルに増額して、財政難に陥った州(ってNY州など民主党が強い州?)への資金援助を行うべき、などと主張したため、これに今度は共和党が反対し、結局、協議がストップする事態になっています。このあたり、上記大統領選、そして同時に行われる米議会選を前に、両者の駆け引き的な要素も感じられますが、まあ、多少の規模の違いはあっても、上述の点―――財源の当てなき財政出動―――では同じです。

 アメリカのシンクタンク「責任ある連邦予算委員会」がこのほど、バイデン氏・トランプ氏の政策が今後10年間に増加させるであろう財政赤字額について、バイデン氏(民主党政権)の場合は5.6兆ドル、トランプ氏(共和党)でも4.95兆ドルになる、と試算しました。この試算も、上記の議会協議と同様、民主党政権になったほうが米財政の悪化度合いは共和党政権よりも大きくなりそう・・・ではあるものの、ともに、赤字増加額がデカいことと財源を説明することができていない、という点で五十歩百歩だ、ということを示すものでしょう(?)。

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