以前から指摘している、かの国のウィークポイントですが、そこから見えるのは、わが国との・・・もそうですが、むしろ日米の実力差なのでした・・・
韓国の家計債務が膨張しているもようです。国際決済銀行の発表によると、今年6月末時点における同国の家計の負債総額は1637兆ウォンにおよび、その対GDP比は約96%と、昨年末(92%)からのわずか半年で4%も上昇し、英国(約85%)、アメリカ(約75%)、EU・日本(50%台後半)を上回り、主要各国の中でも最高水準に達しているとのこと。そればかりか、同国では企業の債務も増加し、非金融部門の負債比率は対GDP比で約105%と、20世紀末のアジア通貨危機時の水準(同107%)に迫っているそう。そして韓国に特徴的なのは、それらの多くが、財務基盤の弱い自営業者によるもので、よって今後、リセッションに向かったりしたら、脆弱な家計に加えて、これら零細企業の破綻も相次ぐことになりそうです・・・(?)
このように韓国で家計・企業の借金が増えたのは、例にもれず新型コロナウイルス感染拡大にともなう景気下押し圧力・・・に加え、長く続く世界的な低金利環境のなか、同国でも不動産とか株といったリスク投資が盛んになり、その元手としての借金を国民が重ねた結果、ということのようです。実際、同国の不動産担保ローンの金利は、5~6年前は6~7%であったのが、いまは2.5%前後と大きく下がっていて、そのせいか家計に対する銀行の融資も増え、今年の上半期だけで60兆ウォンに上るとのことです。
といったように韓国では債務リスクが高まり、かつてと同様(か、それ以上の?)金融・通貨危機の再発が懸念されるわけです(?)。ではこれに対する備えはどうか、ですが、韓国の9月末時点の外貨準備高は4200億ドルあまりと、現時点では世界では9番目くらいの、それなりの額になってはいます。しかし・・・一方の対外債務額は、今年6月末時点で1994年末以降では最高額の約5030億ドルと、上記の外準額を上回ってきています(以上、データは韓国銀行)。加えて、上記の家計債務額1637兆ウォンを現在のレートでドル換算すると約1.4兆ドルにもなり、その一部が貸し倒れただけでも非常に大きなダメージが、かの国に及びそう。といったあたりからすると、やはり韓国の経済・金融システムはまだまだ脆弱で、自力では来るべき(?)危機に対処できそうもありません。なので同国としては他国によるサポート―――何らかの金融セイフティーネット―――がほしいところでしょう・・・
・・・って、そんな韓国の大きな支えとなったのが、この3月、つまりコロナ禍が世界的に急拡大した局面において、アメリカ・・・のFRBと韓国銀行との間で結ばれた総額600億ドルの為替スワップ契約でしょう(って、この期限ですが、当初は今年9月末までだったのが延長されて来年3月末までになっています)。この締結により、韓国でのドル調達リスクが緩和され、ウォンが対ドルで上昇し、同国の対外債務不安は(少なくとも今年春の局面では)遠のくことになりました。