世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【インフレ扇動の真犯人が日銀であることに気づかせぬために…】日銀:原材料インフレの張本人③

2021-10-29 22:19:40 | 日本
前回からの続き)

 いま、わたしたちの目の前で、電気代、ガス代、ガソリン代・・・などの原材料価格がどんどん値上がりしていますそれは先述、そして本ブログでシツコク書いてきたように、日銀の現行の金融政策(長短金利操作付き量的質的金融緩和)によって活発化した円キャリートレードで、これら商品価格(ドル建て)が押し上げられてきたところに、同トレードが(名目)金利差に着目したドル(をはじめとする外貨)買い・円売りをも促したことで、結果として原油等の円建て価格が同ドル建て価格以上の割合で上昇していることの反映、と解釈するべき。

 このように、日本国民が現在食らっている物価のダブルパンチ(世界共通の原材料価格の上昇・円安にともなう上昇)は、ほかならぬ日本・・・の日銀が繰り出しているものということになるわけです。したがって、インフレ高進しています、といったニュースを流すのであれば、上記をふまえて頭に「日銀の金融政策によって・・・」と伝えるのが正しいはず。にもかかわらず、マスコミ各社はどこも、コロナ禍からの世界経済の回復期待で需要が伸びたため、みたいに、インフレの原因があたかも実体経済面にあるかのように報じます。そんなはずはありませんって。なぜなら、石油とか小麦等の消費量は、こんな短期間で価格上昇幅と同じくらいに急増したりするわけはないのですからね。

 では、どうして本邦メディアは上記のような報道をするのでしょう。個人的な結論をいえば、それは・・・視聴者・購読者(わたしたち)がインフレの主因が日銀の上記金融政策にあることに気づかないようにしたいため、だと考えています。インフレ・・・うれしいですか?ありがたいですか?もしそうなら「インフレが加速しているのは日銀様のおかげです!」などと日銀を堂々と称えていいはずですよね。実際にはそうではないでしょう。ガソリン代などが上がることを日本国民の大半がつらく思うのは当たり前です、日本は産油国ではないのですから。よって、その張本人が日銀だということが知れ渡ったら、国民の間から「日銀はインフレを煽るのをいいかげん止め、その鎮静化に動け!」といった声がいっせいに上がることでしょう・・・

 で、そうなったら、日銀そして日本政府にとってはヒジョ~にマズい事態となります。というのも、それが現行の金融政策に対する否定圧力となって、場合によっては、日銀は政策スタンスをいまよりも引き締め方向(インフレ抑止方向)に転換することを余儀なくされるかもしれないためです。となると何が起こるか。その政策目的である「インフレ年率2%」の達成が不可能になるでしょう・・・ってのはどうでもいい・・・というより、現状をみれば分かるように、そっちのほうが日本経済&国民生活にはるかにプラスで、歓迎すべきことでしょう。日銀・政府が真に恐れるのは、そんな「表向きの目的」が未達の状態(インフレなし)の心地よさに国民が目覚めることで、インフレを喚起することの「本当の目的」の達成が危うくなること。だからこそ政府は・・・(茶番なことに?)産油国に対して原油の増産を要請し、その忠実な下僕?たる報道各社は、コロナ禍収束だの世界経済の回復だのを引き合いに出すわけです。そうやって、国民に、インフレの原因が遠い海の向こうの中国とかサウジアラビアとかにあるように思わせることで、すぐ近くにいる真犯人を見つけられないようにしよう、というのでしょう・・・(?)

 ではでは、そこまでしても―――国民にインフレの苦しみを政策意図的に強いても、日本経済を控えめに見積もっても今世紀の世界で最悪の1兆数千億ドルものマイナス成長に沈ませても―――死守したい日銀政策の「本当の目的」とは、いったい何なのか・・・

 ・・・って、もはやこれしかないでしょう、「アメリカ支援」・・・

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【円安の最たるネガティブ面がエネルギー円建て価格の押し上げ】日銀:原材料インフレの張本人②

2021-10-27 00:13:36 | 日本
前回からの続き)

 日銀の現行の金融政策(俗称「異次元緩和」[2013年春~]、現在の正式名称は長短金利操作付き量的質的金融緩和)がもたらしてきたことは前述、そして本ブログでは何度も述べたとおりです。

 そしてこれは昨年まで「アベノミクス」と呼ばれた、2012年12月に発足した自民党の安倍晋三政権の主要政策スタンスとほぼイコールです(その後、現政権に至るまで同スタンスに変更はない模様)。したがって、このたびの衆院選でその自民党が勝てば、上記金融政策は維持(あるいは緩和強化?)されると(外国人投資家が)みるのは当然(?)でしょう。そこから、円キャリートレード(上記政策によって市場原理を上回るほどの超低金利となった円を借りて高金利通貨[ドル等]や株や商品等に投資して利ザヤ稼ぎを目論む取引)がいっそう活発化し、その結果、原油・天然ガス・小麦・飼料などの価格は世界中で!さらに上がるとともに、とくにわが国では同時に円安ドル高も進むからその円換算の価格上昇率はドルのそれ以上となって・・・原材料インフレがいっそう激しくなる可能性が高い、と読むわけです。もっとも、(あくまで自己責任ですが)株とか商品ETFとかを買っておくと比較的短期で利ザヤをゲットできるかもしれませんが・・・(それとも「噂で買ってニュースで売る」のとおり、選挙後はいったん下がるかな?)

 とまあともかく、日銀の現政策が始まってから現在に至る8年あまりの間は、基本的には上記トレンドのままです。とくに為替レートは一貫して円安モードといっていいでしょう、同緩和後は一度も同前を超えて円高方向に行ったことはないわけですから、この間とくに昨春以降はスゴい勢いでドルが市中に吐き出されているにもかかわらず、です。繰り返しますが、これは日銀の政策がもたらしたことで、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)とか市場メカニズムの反映ではありません。

 では、その円安が、日本経済そしてわたしたちの生活に及ぼした影響をどう評価するべきか?・・・って、これこそ本ブログで書きまくってきたように、「間違っている」と断言できるほどネガティブ、といえます。でないのなら、こちらの記事等で書いてきたように、主要各国との比較でみたときのGDPが日本だけ1兆数千億ドルものマイナス成長に沈むはずはないのですから。

 で、その具体的なダメージは・・・順不同に、経済安全保障力の低下([本邦企業や先端技術等の被買収リスク増大、国際的な訴訟沙汰での不利化、など)、軍事面での弱体化(この間、実質の国防費は合計で11兆円ほども減少[おそらくこれも21世紀中で世界一の軍縮額]!)、外交面の交渉力低下(商品投機を煽って油価・ガス価を押し上げて北方領土を不当に占拠し続けるロシアを増長させるばかり)などなど、いくらでも挙げることができますが、その最たるものが・・・原材料、とりわけ石油や天然ガス等の円建て価格の上昇といえるでしょう。これまた以前から書いているように、それらエネルギー」こそ日本の「アキレス腱」(外国に依存せざるを得ない国家的弱点)だというのに、よりによって日銀は自身の政策でそれらの円建て価格を自分で跳ね上げるという自殺行為まがいのことを続けている、ということです。その結果、たとえば、企業等の多くは、増え続ける円建てエネルギーコストの支払いに、従業員の賃上げ原資を充てざるを得なくなっていることでしょう・・・(って、勤労者の実質賃金は減ってしまっている)

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【自民党勝利で物価は一段と上昇するだろう】日銀:原材料インフレの張本人①

2021-10-25 00:16:16 | 日本
 今次の衆院選、自民党が勝利したら物価はさらに上がるでしょう。その覚悟、ちゃんとできていますか、有権者の皆さん・・・

 世界、そしてとりわけ日本において、原材料インフレが高進しています。本ブログ流の結論からいえば、これ、本稿のタイトルの通り、99%(?)は日銀のせい、具体的には日銀の現行の金融政策のせいであって、本邦メディアがいうような、コロナ禍からの世界経済の回復期待で原油等の需要が高まったため、なんてことではけっしてありません。そのあたりは以前からさんざん書いてきたことではありますが、この瞬間の諸情勢が重要な局面に差し掛かってきていると思われるため、繰り返しになりますが、以下、次のような順で論じてみることにします。つまり・・・上記インフレが起こる理由と日銀政策との関係、日銀政策の目的・・・って、これ3段構えになっているわけで、表向きの目的(インフレ年率2%達成)、本当の目的(アメリカ支援)、本当に本当の目的(アメリカをインフレで自壊に追い込むこと)について。ちなみに現時点は・・・本当に本当の目的が達成されるのも時間の問題、という段階かと思っています・・・(?)

 で、足元でインフレが巻き起こっている理由ですが・・・端的にはこういうことでしょう。すなわち、まず世界的には、こちらの記事等に書いたように、遅くとも昨年の春以降、米FRBの量的緩和によってドルが実質マイナス利回りの通貨になったことから、モノへの投資のインセンティブが高まっていたところ、各国のコロナ禍がある程度収まって投資家のリスク許容度が回復した結果、超低金利マネーが石油、天然ガスなどのエネルギー資源や、大豆とか小麦等といった国際商品の各市場に大挙流入し、これらの価格を跳ね上げた、ということ。

 そして日本では・・・上記に加え、この間に進んだ円安ドル高による円建て原材料価格の上昇分がオンされる形で電気代、ガス代、ガソリン代、その他、小麦や飼料などの価格がいっそう上がった、というわけ。ここで、為替が円安に振れた理由は、リスクテイクが活発化し、超低金利の円を借りて円よりも高金利のドルを買う動きが大きくなったため(ここでいう金利とは名目金利)。上記のようにドルは現在、実質マイナス利回りだから、円がそれよりも安くなれば、このままだと、わたしたちが食らうインフレのダメージは相対的に大きくなっていきそうです・・・

 では、どうして日本の金利は、上記の取引(円キャリートレード)において調達通貨(投資の元金)とされるくらいに超~低いのか、といえば・・・日銀が現行の金融政策(俗称「異次元緩和」、現在の正式名称は「長短金利操作付き量的質的金融緩和」)でそうしているから(国債を市場原理では説明がつかないくらいの高値買いをしているから)です。以前から書いているように、日銀としてはこうして円安ドル高を誘導し、原材料インフレを起こして、自身の政策の(表向きの?)目標であるインフレ年率2%を達成させたいという目論見があるわけですが、今回、それがついに実現することになる(なってしまう)のでしょうか・・・

 そんなコストプッシュ型インフレ(≒悪いインフレ・・・と言い切っていいと思います)を煽る日銀の現行政策に対しては、自民党(現与党)はもちろん野党各党からも目立った批判等はない印象です。となると、衆院選後はおそらく冒頭に書いた展開になるでしょう。すなわち、自民党勝利→日銀、現行政策は国民に信認されたと判断し、超緩和的な政策スタンスを維持→安堵した投資家(大半が外国人?)の円キャリーがますます活性化→円安進行→インフレ悪化へ、という流れです・・・

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【習近平政権、本気で不動産バブルを終わらせる気か?】中国と欧米との癒着ぶりを示す恒大集団のデフォルト騒ぎ⑥

2021-10-21 00:02:28 | アジア
前回からの続き)

 先述したように、中国の不動産大手「中国恒大集団」(China Evergrande Group)の債務危機は、同社の株主、債権者・・・のなかでも同社ドル債をしこたまかかえた欧米金融機関に大損害を食らわすほか、これが対中投資のアブナさを顕在化させることで海外マネーの中国流入が止まり、これに依存していた同国の民間企業の多くが資金ショートに陥って次々に破綻・・・といった危機の連鎖が始まる寸前となっています(?)。これ実際に起こったら、かの国のバブルは派手に崩壊し、不動産価格は暴落して、資産効果も失われて消費が冷え込んで・・・中国経済は非常に厳しい局面を迎えるでしょう・・・

 ・・・って、それを回避するのは簡単です(?)。上記でご紹介の「三道紅線」(3つのレッドライン)と呼ばれる不動産融資規制を緩和・撤廃すればいいだけのこと。そうすればレバレッジ(借金)を利かせた不動産投機が再開でき、同バブルは再度膨張し、恒大ほかの支払い能力は回復し、各社の株価や社債価格も上昇して・・・などと、いいことずくめです(?)。なので、高額のマンション等をいくつも持っているような共産党特権階級はもちろん、彼ら彼女らと利害が一致する欧米投資家もまたこの環境に戻すよう、水面下では中国当局に対して上記規制緩和を求めているに違いありません(?)。

 が、あくまでも現時点での個人的な観測では、習近平政権は本気でバブル退治に乗り出しているように思えます(?)。そこには、不動産バブルを軟着陸(と言われるが、実際にはハードランディング?)させて、その価格を、ある程度の収入のある都市住民が何とか入手できる程度にまで引き下げることで、習体制への支持の拡大や、バブルに乗っかっている政敵の弱体化を図るなどの狙いもあるのでしょう(?)。そのあたり、上記の実行には、恒大の危機に代表される強烈な副作用は避けられないので、どこまで現政権がこれに耐えられるか、はたまたバブル組(中華資産家層&欧米投資家)が巻き返すのか、恒大債権なんぞほとんど持っていないわたしたちは「高みの見物」といきたいところです・・・

 ・・・って人ごとのように余裕こいていたら、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人:公的年金の運用期間)が先月末、中国の人民元建て国債への投資を当面見送る、なんて投資方針を明らかにしました。ということは、戦慄すべきことに?これまでGPIFは中国債をけっこう買ってきたことになりますね。何度も書いているように、人民元建て債券など、市場原理が回復すれば(1ドル110円→同50円になれば)、その円建て価格は現状の半分程度まで一気に暴落するから手出し無用だし、そもそも「Quad」の一員たるわが国は中国におカネ(それも虎の子の年金原資!)を貸すようなことは手控えるべき(?)・・・なのにもかかわらず、実際にはこの有様です。ここから分かることは・・・共産主義者(≒国営金融機関とか国営企業等)のやること(ボロい債券高値掴みボロいプロジェクトへの乱脈融資等)は、中国や日本の違いによらず、どこも同じ・・・ってことなのでしょうね・・・

(「中国と欧米との癒着ぶりを示す恒大集団のデフォルト騒ぎ」おわり)

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【中国、欧米からの借金踏み倒しで海外マネーが途絶えるリスクも】中国と欧米との癒着ぶりを示す恒大集団のデフォルト騒ぎ⑤

2021-10-19 00:02:51 | アジア
前回からの続き)

 先述したことから、深刻な資金繰り危機下にある不動産大手「中国恒大集団」(China Evergrande Group)をはじめとする中国の各企業は、わずかに残ったキャッシュを身内すなわち自国(共産党?)投資家に対する返済にすべて回し、他方で外国人投資家に対する債務はデフォルトする気でしょう(?)。そのあたり、当局(共産党)の圧もあるし、各社の目の前には中華債権者が「カネを返せ!」と押し寄せているみたいだから、まあ仕方ないでしょうね(?)。こうして5千数百億ドルもの中華債権ファンドは、ほぼ「紙くず」と化し?、欧米諸国のほうでも投資家が「カネを返せ!」などと騒ぎ出しそうです(?)。そこで・・・一部の(欧米の)国(の銀行等)は、せめて自分のところの分だけでも回収しようと「抜け駆け」、すなわち、ウイグルや台湾に対する中国共産党政権のスタンスを支持する、などと中国(当局)を突然ヨイショしたりするかもしれませんよ。かの国は、そういうの、効きそうだからね・・・(?)

 まあそんなわけで中国(企業)は、外国からの借金を実質的に踏み倒すことで、巨額債務の軽減を図るつもりでしょう。が、それは一方で、中国企業の海外からの資金調達を困難化させるリスクを招きます。当たり前ですが、今後、外国人投資家は中国への投資を手控えざるを得なくなる―――借金を返してくれない(返せない)相手には、もうおカネは貸せないよ、となる―――いうことです。

 そもそも中国は言わずと知れた世界一の貿易黒字国&外貨準備国です。それなのにどうして同国企業は数千億「ドル」もの借金を外国に対してしているのでしょうか。常識的に考えると、各社は容易に国内で(銀行融資、社債発行などによって)おカネを借り受けることができそうなものですが・・・

 ・・・って、その理由に中国が共産主義国たる所以を見出すことができます。端的に言えば次のようなことでしょう。たしかに中国は上記のとおり貯蓄超過で銀行にはおカネがあるわけです。が、そのおカネの多くは(共産党系の)身内である国営企業に(ろくな審査等もされずに)投融資されるばかりで、民間企業には回りません。よって後者は、高コスト(≒高い利払い負担等)に目をつぶってでもソトのおカネに依存せざるを得ない、という次第です・・・

 本当なら―――中国がもうちょっと市場経済的な国なら―――銀行融資は、ちゃんとした経営のもとで採算の合う事業を展開する企業(≒民間企業)に対して行われ、他方でヤバい経営の企業(≒国営企業)にはローンが貸与されることなく、それらはやがて淘汰されること等で、市場の健全性が維持されるのでしょう。が、そこは共産主義者、つまりおカネを貸す側は乱脈融資、借りる側は乱脈経営で、いずれもおカネを持ち逃げするような感じ(?)。そのあげく、国中に「鬼城」(ゴーストタウンみたいな、誰も住めないマンション群)と不良債権と借金の山が立ち上がる、というわけです・・・

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【中国恒大、国内投資家に利払い実行!欧米人に払う気なし?】中国と欧米との癒着ぶりを示す恒大集団のデフォルト騒ぎ④

2021-10-17 09:00:28 | アジア
前回からの続き)

 やはり・・・前々回に予想したとおりの展開になりましたね・・・

 深刻な債務危機に陥っている中国の大手不動産企業「中国恒大集団」(China Evergrande Group)は、19日期日の人民元建て社債の約1.2億元の利払いを実施する、と発表しました・・・って、同社は9月以降の3回の期日においてドル建て社債の利払い(約2.8億ドル)のほうは行っていないにもかかわらず、です。その意味するところは・・・厳しい資金繰りのなか、同社(と中国当局?)が元建て社債の保有者(自国の投資家)への支払いのほうを優先した、ということ。他方でこれ、ドル債保有者(欧米投資家)にとっては恒大のデフォルト(債務不履行)宣言も同然でしょう。19日に1.2億元ものキャッシュが「身内」に渡れば、同社の手元にはもう「びた1セント」も残らないでしょうからね・・・

 というわけで、UBS(スイス)やブラックロック(米)などなどの債権者は巨額の貸し倒れ損害を食らうことになってお気の毒・・・だなんて、正直、思いません。すべては自己責任だし、中国の一般庶民の苦労はそっちのけで、結果として恒大や共産党特権階級等とともに不動産バブルを煽ったあげくのことですからね・・・

 とはいってもこれ―――過剰債務(それもドル建て債務)―――は、恒大だけではなく、中国の、とくに不動産セクターにおいては、先述のように構造的な問題です。したがって恒大がこうしてデフォルトすれば当然、他社も・・・となるのは避けがたいでしょう。実際、今月4日には不動産中堅の花様年(ファンタジアHD)が2億ドルあまりのドル建て社債の償還に応じることができずにデフォルトと認定されたほか、江西省などで事業を展開する新力控股の長期債務の格付けが投資不適格のシングルCに格下げされるなど、多くの企業のドル借金が次々と返済不能になりつつあります。そしてこのデフォルトのドミノは、そのまま欧米投資家の手持ち中華ドル債の不良化ドミノになるわけです。その総額は、少なめに見積もっても5千数百億ドル以上。これ、恒大のケースをふまえると、大半が貸し倒れる(欧米投資家のドルは中国人投資家への支払いに充てられる)と保守的に想定しておくべきでしょう。そのダメージは相当なインパクトがあるものと考えられます、日本円で60兆円超が消滅する?わけですからね・・・

 もっともそのあたり、内外の経済メディアの多くは、中国の不動産バブル崩壊にともなう影響は同国内にとどまり、欧米金融システムへの波及は限定的、なんて見方を伝えています。が、わたしはもっと危機感をもったほうがよろしいかと考えています。というのも、上記、そしてこちらの記事等でも書いているように、欧米諸国は、高い利ザヤを得られるということで、超低金利マネーを借り受けて、これを中国(おもに民間企業)に貸し付ける、というディールを延々とやってきているわけで、これまた構造的、ようするに、(主要中銀演出の超低金利環境と)かの国のバブルの膨張を前提としたものだからです。それが崩壊するわけですから、次のような逆回転は不可避でしょう、つまり・・・中華不動産投資ファンド価格が暴落→レバレッジをかけていた投資家が大損→返済資金確保のために資産売却→株価・債券価格が急落・金利急騰→・・・といった毎度の?コースが現実となる、という次第です・・・

 なので・・・欧米と中国の両者は、(ウイグルとかそっちのけで?)水面下で仲良く?いろいろやっているんじゃないでしょうかね・・・?

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【中国恒大デフォルトは5千億ドル対中債権焦げ付きとイコール?】中国と欧米との癒着ぶりを示す恒大集団のデフォルト騒ぎ③

2021-10-15 00:02:19 | アジア
前回からの続き)

 これまで綴ったことからすると、約2兆元(日本円換算で約33兆円!)もの巨大債務を抱える中国の大手不動産会社「中国恒大集団」(China Evergrande Group)の破綻は、ほぼ避けがたいと考えられます。となると、同社債務の大半はデフォルトとなるのでしょうが、中国(当局)のことですから、わずかに残った同社の資産は自国の債権者救済に回すでしょう。その逆に、外国人投資家の返済順位はボトム、というわけで彼ら彼女らは恒大につぎ込んだマネーのほぼ全額を失うことになりそうです(?)。その損害額は195億ドル、日本円で2兆円あまりとなります・・・

 もっとも前述のとおり、その程度の(?)金額であれば、(最近の金融市場はちょっとしたことで何が起こるかわからないので正直、自信はありませんが、)それほど大きなリスクにはならないでしょう(?)。が、問題は・・・中国では第二、第三の「恒大」が続々登場してきそうなこと。上記のように、恒大の債務危機は、これ以上の不動産バブルの膨張をおそれた当局が「三道紅線」(3つのレッドライン)と呼ばれる不動産融資規制を敷いたために生じた面があります。ということは当然、恒大の同業他社も一転、厳しい経営状態に直面しているであろうことが推測されます。

 実際、先月あたりからは、株価が急落したり、地方政府に公的支援を要請する文書がネットに流出(って真偽は不明?)したりする会社が出てくるなど、中国の不動産関連企業は全体として恒大と同様の危機的状況を迎えつつあるようです。まあそりゃそうでしょうね、いきなり、負債を自己資本の100%までに減らせ!って急に命令されて、はい減らしました、なんてサクッとできる会社なんて、まずないでしょうから。ということで多くは、見た目のバランスシートだけは言われたとおりにして、それ以上の負債は簿外に隠しているとのこと。恒大も自己資本に対する資本比率は6月時点で177%と、公表値(もちろん100%)を大きく超過しているそうな・・・(トムソンロイター)

 といった感じで、同国の不動産業界は、恒大に代表されるように、いまや構造的な資金繰りリスクに見舞われているとみるべきでしょう。そして不動産セクターは、中国のGDPの約1/4を占めています。そんな大きなセクターがこうして激しく動揺すると、不動産の含み益が急減し、あるいは不動産債権が不良化し、それによって資産効果が失われ、消費や投資にも強烈な下押しの力が働いて、中国経済を一気にシュリンクさせそうです。そうなれば他の様々な業界の企業等の資金繰りまで悪化して・・・最終的に、そのダメージは欧米投資家に及ぶことは避けがたい・・・のでしょうね・・・

 ということで、恒大の債務危機とは、現在、欧米投資家が抱える、少なく見積もっても5千億ドル超もの対中債権全体の不良化と、ほぼイコールである、といっても過言ではないでしょう。このスケールは、なかなかにスゴいですよ・・・

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【中国恒大のジャンク債?保有者、欧米の有名どころがずらり…】中国と欧米との癒着ぶりを示す恒大集団のデフォルト騒ぎ②

2021-10-13 00:02:28 | アジア
前回からの続き)

 前述したように、中国の不動産大手企業「中国恒大集団」(Ghina Evergrande Group)の債務危機が日本バブル崩壊後の同種の危機と決定的に異なるのは、これが海外投資家のマネーを巻き添えにしようとしている(?)点です。そのあたりは、恒大の資金繰り懸念にフォーカスが当たったきっかけが、先月、同社が「ドル建て社債」の合計1.3億ドル余りの利払いをしなかったことであることからも分かるというもの。ドル建て・・・ってことで、アメリカをはじめとする欧米の投資家が恒大に貸し込んだドルが、利息をもたらさないばかりか、その元本の返済すら危ぶまれる事態になっている、というわけです。実際、恒大のドル建て社債の価格は、今月第1週の時点で額面の16~25%と、債務カットを前提としたレベルにまで落ち込んでいるとのこと。これ、超~不良債権もいいところでしょう・・・

 で、そんなジャンキーな恒大のドル建て債は合計で195億ドルとのこと。まあ同社のトータルの債務額(約2兆元≒日本円で33兆円ほど!)に占める割合は大きくはないものの、日本円で2兆円以上ですから、けっこうな額であることには違いありません。では、その海外の保有者(債権者)は誰なのか?というと・・・先月終わりにトムソンロイターが報じたところによれば、その時点でスイスのUBSが2.83億ドル、アシュモア・グループ(英)が1.46億ドルの同社債を保有していたほか、ブラックロックやフィディリティ(米資産運用会社)などなどの名だたる欧米勢が恒大の大口債権者になっているもよう・・・って、そりゃそうでしょうねドル建て社債ですから・・・

 ・・・などと綴っていたら、前回懸念したとおり、恒大は12日に期日を迎えた社債利払い(1.48億ドル!)も見送った、との知らせが入ってきました。これも、上記の利息未払い分1.3億ドルと同様、猶予期間30日が過ぎれば債務不履行が決まり、上記の投資家は多額の損害を食らうことになります。そして実際にそのとおり、彼ら彼女らは利払いが得られない・・・のはもちろん、投資元本の多くを失うことになるでしょう。というのも、(流動的な要素はあるものの)おそらく中国当局は国内の債権者(≒身内?)に対するケアを優先し、国外投資家のフォローは二の次にすると考えられるからです。そのあたりは19日、今度は元建て社債の1.2億元の社債利払い期日が到来するので、これが履行されるのか否かで見極めがつきそうですが・・・

 もっとも、恒大が火の車であることには変わりはなく、どのみち破綻は免れないでしょう。問題は・・・そのダメージが、中国・・・ではなく海外(≒欧米金融システム)のどこにまで波及するか、ですが・・・

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【中国恒大集団、デフォルト不可避か?】中国と欧米との癒着ぶりを示す恒大集団のデフォルト騒ぎ①

2021-10-11 00:01:12 | アジア
 結局は皆さん「同じ穴のむじな」なのでしょうね・・・

 ご存じのように、中国の不動産大手「中国恒大集団」(英語名:China Evergrande Group)の債務危機がマーケットを動揺させています。これ、遅くとも先月の期日に恒大が一部の社債の利払いを行えなかったこと等で表面化した事態ですが、現在、同期日から30日間の履行猶予期間に入っています。この間に支払が行われないとデフォルト(債務不履行)となってしまいます。そんな中でも別の社債の利払い期日が次々と到来しつつあり(って、直近は明日12日の約1.5億ドルです!)、同社がこれらを約束通り支払えるのか、についての投資家の不安は高まる一方です・・・

 ところで、恒大集団とはどんな企業なのか、ですが、ネット情報によると、1996年に設立された不動産会社で、おもに都市部のマンション事業の開発やその販売等を手掛けています。この間、中国では、政府の住宅制度改革等によって、とくに都市部の不動産価格が急騰しましたが、恒大はこの流れに乗り、自社株や不動産を担保にした借入金と投資家の資金で得た土地の値上がりや不動産の売り上げで急成長を遂げました。他方、これにつれて負債も膨れ上がり、その額は先月末時点で1兆9665億元(33兆円超!?)にもなっています・・・

 そんな恒大の事業や経営状態に大きな影響を与えたのが、昨年、中国政府が打ち出した「三道紅線」(3つのレッドライン)と呼ばれる不動産融資規制といわれています。これ、恒大などの不動産会社に対して、自己資本に対する負債比率を100%以下に抑えることなどを求めるもの。そのあたり、北京や上海といった中国都市部では現在、マンション価格が年収の40~50倍以上(!?)にまで跳ね上がる中、当局は、これ以上、同価格が上がってしまうと、(体制側の?)都市住民の共産党政権に対する反感をいっそう喚起してしまう!との危機感を募らせ、この抑え込みに動かざるを得なかったものと思われます。ともかく、これで同国の不動産バブルの膨張にブレーキがかかり、不動産各社の資産価額は下がるいっぽう、債務額は減らないため、その自己資本比率は下がり、各社の資金繰りに対する懸念が高まって・・・といったところが、恒大をめぐる現在の情勢でしょう。

 上記については、1990年台前半における本邦不動産バブルの崩壊過程の初期状況と似ています。が、明らかに違うところが指摘できます。それは・・・わが国のバブルが国内で完結していた―――おカネの借り手も貸し手も自分たちだった―――のに対し、中国のバブルは・・・国内だけではなく国外の投資家のマネーを巻き込んでいること。恒大の債務危機の本質はそのあたりにあるといえるでしょう。つまり、海外投資家---欧米銀行等---が保有する恒大関連債権の不良化です・・・

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【アメリカは「金利」との戦争に敗北しつつある?】やはり「アメリカはもう戦争ができない」⑧

2021-10-07 00:03:57 | アメリカ
前回からの続き)

 ということで、本稿のタイトルのとおり、やはり「アメリカはもう戦争ができない」と考えるほかなさそうです(?)。もっともアメリカは、真の戦争、すなわち自国を存亡の危機に陥れる脅威すなわち「金利」(の上昇)との戦いには敗北しつつあるといえます(?)。何度も書いていることですが、米国民の日常生活そして治安を破壊するインフレ実質マイナス金利)の高進こそ、そのシグナルです・・・

 ところで、本稿5回目に、2020年の世界の軍事費が過去最高額の約2兆ドルに達したことをご紹介しました。この額、10年前の2011年比では76%もの増加なのだそう。他方で日本の2020年の防衛費は491億ドルでしたが、2011年は608億ドルだったので、年100億ドル程度&2割もの減少です。しかも、10年かけて少しずつ減った・・・というのではなく、2012→2013年あたりで一気に減り、その後は大きな変動なし、ということで毎年100億ドルの10年間分、トータルで1000億ドル(11兆円!?)程度も防衛費を削減?しました。これ、世界が軍備増強を進める中、わが国だけこれに背を向ける形の圧倒的な軍縮と言えます、平和主義者のわたしですらちょっと減らしすぎでは?と心配になるくらいに・・・

 ・・・っても、わたしのように心配になったり、こうした軍縮をやめよ!と声を上げる人は、この間、ほぼ皆無だったはず。それどころか、この間の総理大臣で、憲法第九条改正(≒再軍備)に熱心に見えた安倍晋三前首相などは、この軍縮を誰よりも熱心に推進し、あげく胸を張る始末?です・・・

 この点、何がいいたいのか、といえば、結局、現在社会では、軍事費なんてそんなもの、ようするに年100億ドルも小さくなろうが、それを10年も続けようが、軍拡論者すらそのことに気が付けない程度の意味合いしかない、すなわち兵器とか武器の国防とか領土保全とかへの寄与度は小さなものにすぎないということです。でないのなら安保に関心のない人々でも自衛隊が弱くなりすぎるから軍縮やめろ~!と叫んでいたでしょうからね・・・

 そのあたりからも簡単に分かりますね、真に国を守るには何が必要なのか、ということが・・・

(「やはり『アメリカはもう戦争ができない』」おわり)

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