世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【合意無きBrexitに現実味?】「Jaxit」日本は英国そしてポンドからの脱出を急げ②

2019-07-29 00:00:05 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 以前から、EU欧州連合)との合意無き「Brexit」(英国のEU離脱)も辞さないと強気に訴えてきたボリス・ジョンソン英保守党党首が先日、正式に首相に就任したわけですが、Brexit期日が3か月後に迫り、交渉相手のEUが現離脱協定の見直しはしないと断言する中、新首相にできること、というより受け入れざるを得ない展開はひとつしか考えられません、あくまでもこれまでの主張を曲げないのならば。すなわち時間切れで「ハード・ブレグジット」(EUと何らの合意をしないまま、期日経過後に英国が自動的にEUを離脱すること)となる、という流れです・・・

 個人的には、いまだに「まさか」とは思いますが、ホントにそうなる可能性を相当の確率で見込む必要が出てきたように感じます。前回綴ったように、あれだけ現協定案を批判し、だからこそ多くの支持を得て首相の座に就いたジョンソン氏が君子豹変して、その4回目(!?)の議会承認を図るとはまず考えられないし、だからといって対案を作るには時間がなさ過ぎるし、そもそもEUは、他はない!とクギを刺しまくっているわけで、であれば残るは・・・となるのが自然な成り行きに思えてしまいますが・・・

 ・・・っても実際には、これまでの経緯からみて、この先は紆余曲折でしょう。まず英議会は合意の無いBrexitに猛反対するはずです。そこで野党議員らは首相に対する不信任を動議し、これが成立してしまうかもしれません・・・し、ひょっとしたら保守層の一部もこれに乗っかるかも? これに対してジョンソン氏らは・・・一か八かの(?)総選挙に打って出る可能性もありますね。で勝算は?ですが・・・英高級紙「オブザーバー」の5月の世論調査によれば、ジョンソン氏が属する保守党の支持率は11%で、EU離脱是非を問う2回目の国民投票等に前向きな最大野党の労働党(21%)を大きく下回って全体の4位・・・と一見、厳しそうです。でもこれ、あくまでもメイ前党首の頃の支持率であり、いまはジョンソン新党首に代わっているし、そして微妙なのが・・・同調査結果でトップ、34%もの支持を得たのが・・・何と「ブレグジット党」つまり早期Brexit達成を掲げる政党となっている点。つまり現時点でも英国民の1/3以上は上記協定のあるなしとは無関係にBrexitを願っていると読めます。であれば、ジョンソン氏や保守党は、Brexitに限れば、支持率1位のブレグジット党と共同歩調をとることも不可能ではないだろうから、このまま突っ走ることができてしまいそうです、たとえEUとの合意がなくても・・・(?)

 といった具合で、Brexitを巡って何ともスリリングな展開が予想される今後の英国ですが、わたしたちはこれをクールな目線でとらえるべきでしょう。つまり・・・Brexitにともなう損失を回避するため、少なくとも経済面では「Jaxit」―――日本の英国からの脱出―――をできるだけ早く進めるのが得策だということです(?)。

(続く)

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【Brexit強硬派ジョンソン氏が英首相に】「Jaxit」日本は英国そしてポンドからの脱出を急げ①

2019-07-27 17:35:06 | ヨーロッパ

 「まさか」とは思っていますが、その「まさか」が現実となるのでしょうかね。であれば、わたしたちは当面、経済面限定で「Jaxit」―――日本の「英国」・・・そしてその通貨「ポンド」からの脱出―――を急ぐのが得策かと・・・(?)

 ご存知のように、英国の与党・保守党党首選に勝利したボリス・ジョンソン氏が24日、同国首相に正式に就任しました。最大の懸案で、10月末の期限が迫る「Brexit」(英国のEU[欧州連合]からの離脱)について新首相は「疑う人、悲しみに暮れている人」は「間違っている」と述べ、「決定権はわたしにある」と、強い姿勢でこれに臨む意思を表明しました。ということは・・・ションソン首相は、従前からの主張のとおり、いわゆる「ハード・ブレグジット」(EUと何らの合意をしないまま、期日経過後に英国が自動的にEUを離脱すること)でも構わない、ということなのでしょうか・・・

 このあたり、ジョンソン氏にすれば、そうした強気の姿勢を示さなければ保守党選に勝てなかった、という事情が大きかったはずです。実際、同氏はテレーザ・メイ前首相らとEUが合意に至っていた離脱協定を批判するなか、EUと新協定を締結等できないのなら合意無き離脱も辞さない、と訴えることで、多くの保守党員やBrexitに賛同する英国民の支持を得てきたわけですから。

 けれど首相になったいま、ジョンソン氏は否応なく現実の厳しさに直面することになります。まずは新協定が締結できる可能性。これ、限りなくゼロに近いはずです。EUは以前から、協定案の見直し検討等はしない、と言明しているからです。先日もミシェル・バルニエ欧州委員会主席交渉官が、当該案の英国議会の「承認を進め、秩序あるBrexitを実現する建設的な協議に期待している」とツイッターに投稿し、現行の枠組みで合意するよう、英国首相に迫っています。まあハード・ブレグジット派の(?)ジョンソン氏が首相となることを見越していたでしょうから、EUトップ層のこのあたりの対英スタンス=現協定案維持にはブレがないところでしょう。

 次に時間のなさ。上記のように現時点でのBrexit期日は1031日で、あと3か月しかありません。そんな短期間でできるのは、バルニエ交渉官が要求するように、現行協定案を議会で通すことくらいしかないはず。逆に、この代替案を用意し、これを議会・・・ばかりかEUにも認めさせ、同日に秩序だった離脱を達成・・・なんて、3か月ではまず無理。となると考えられるのは・・・再々延期、つまりBrexit期日の3度目の延伸ですが、これは少なくとも英国首相が申請しない限り起こり得ません。ではジョンソン氏は?・・・って、言い出せるはずはないでしょう。そんなことをしたら何のためのハード・ブレグジットOK!だったのか、とBrexit支持者から非難ごうごうで、同氏は裏切り者扱いされかねませんからね・・・

(続く)

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【ユーロは解体され、別の通貨に切り替わる?】次期ECB総裁内定で想像がつく「ユーロ」の今後⑦

2019-07-25 00:01:35 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 欧州中央銀行(ECB)の次期総裁にクリスティーヌ・ラガルド現IMF専務理事が内定したことに関連し、EUそして・・・一番大事な共通通貨「ユーロ」の行く末について思うところを綴ってきました。その結論は簡単な話で、ユーロもまた、これまでの長い歴史の中で数え切れないほど誕生しては消えていった通貨と同じ運命をたどりそう―――借金穴埋め等のために苦し紛れに大量増刷されて、単位当たりの価値がどんどん下がって、信頼されなくなって、やがて消えていく・・・って実際には、ユーロは現行の枠組みが維持できなくなり、解体され、別の通貨に切り替わる、とかになるような気がしますが・・・

 このあたり前述、そしてこちらの記事等を含めて何度も書いているように、ドル人民元ポンドといった世界の主要通貨はすべてユーロと同じ状況といえます。であれば、」だけ・・・が真にまともな通貨として残るということになりますね。これこそ---強い円こそ「日本」の国家としての強さであり国民の豊かさの源泉です。これほど単純明快なことに本邦経済学者は誰も気が付かないし、せっかくの国政選挙の機会にセンセイ方の誰一人として議論しない・・・って、だからこその「アベノミクス日本」なんでしょうけどね・・・

(「次期ECB総裁内定で想像がつく『ユーロ』の今後」おわり)

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【SDR採用通貨ユーロ・ドル・人民元・ポンド総崩れで…】次期ECB総裁内定で想像がつく「ユーロ」の今後⑥

2019-07-23 00:00:25 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 上述のとおり、欧州中央銀行(ECB)の次期総裁にIMFクリスティーヌ・ラガルド専務理事が内定したことは、欧州連合(EU)、ECB、IMFの3者(トロイカ)が結託し、今後不可避の(?)EU債務国の財政・金融危機に、量的緩和策・・・という名の事実上の「財政ファイナンス」(中銀が国債を直接引き受けること)とIMFの融資継続等での対応を早くも決めたことを意味すると考えています。なおECBは規定上、危機に陥った国だけの国債を買い支えることはできないので、「迂回融資」みたいなこと、すなわちESM債を購入してこれに資金を提供し、ESMはこれで得たマネーを当該国に貸し付ける、てなことをやるだろう・・・というのが前記した個人予想です。

 これらトロイカの融資金はマトモに返済されることはまずない・・・どころか、借り入れ国は追い貸しを要求することは必至だし、トロイカも金融恐慌を引き起こしたくないから、延々と上記の枠組みに基づいてマネーを吐き出し続ける以外にないでしょう(?)。その結果、EUの共通通貨「ユーロ」がどうなるかは自明、すなわち価値を落としてインフレな通貨に堕ちていくというわけです・・・

 このあたりの見通しは、こちらの記事等で何度も書いているとおりで、個人的にはいろいろ考えてもEUにはこのコース以外にないだろう、と悲観するものです。これを防ぐ唯一の解決策は・・・やはり金融だけでなく財政をも統合し、EUを「ユーロ共和国」などといった単一国家にすることに思えます。こうすれば、日本の地方交付税みたいに、豊かなドイツ「地方」の利益とか税収等をギリシャ「地方」等に回して単一国家の均等な発展を図る、みたいなことができそうですから。けれどこれ・・・理念としては美しいですが現実は夢物語でしょう、一つにまとめるにはEU各国は気候風土、人種、言語、宗教、信条、文化・・・などなど、何もかも違い過ぎるからです・・・

 ということで、世界で第2位の準備通貨ユーロの未来はこんな感じと、まあいつもの結論に至るわけですが、最近ではこちらの記事等でも書いた基軸通貨ドルも同様の状況―――価値低下に歯止めがかからなくなる寸前―――です。つまり現在、主要通貨で構成されるIMFのSDRの同割合で1,2番目のドル、ユーロの信認が大いに揺らぎつつあるわけです。では3番目の人民元は?・・・ってこれ、そのドルに裏付けられた「疑似ドル」だからこれまたドルの伴連れで価値劣化は免れず、5番目の英ポンドも似たようなもの、というか一番悲惨かな・・・

・・・とくれば、マトモな通貨として残るは、4番目で現在の構成比率が8.33%に過ぎない(?)われらが「」だけ、ということに・・・

(続く)

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【EU&ECBの債務国支援継続、自国銀を守るため】次期ECB総裁内定で想像がつく「ユーロ」の今後⑤

2019-07-21 00:03:00 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 ECB(欧州中央銀行)は、クリスティーヌ・ラガルド新総裁のもと、いずれはESM欧州安定メカニズムEU加盟国のための金融支援機関、融資可能額5000億ユーロ)が発行する債券を購入するようになるのではないか―――前回、そして以前のこちらの記事等でそうした個人的な予想を綴りました。ECBには、EU特定国のみの財政ファイナンスにのめり込んで、結果的に通貨ユーロの価値を毀損させてしまうことのないよう、量的緩和策(中銀が国債等を購入する政策)の実行に当たってはキャピタル・キーと呼ばれる「縛り」があるわけですが、ESM債の買い入れならば「あくまでもESM債ってことで、重債務国の国債だけを買い支えるわけではありませんよ」と弁明ができそうです(?)。

 しかし、これだって実質的な特定国用の財政ファイナンスになるのは明らか。なぜなら、ESMの融資金を欲しがるのは、上記の重債務国に限定されるだろうからです。ということは、ECBに債券を買い取らせてESMが得たマネーは、返済の当てもなく(?)ギリシャ・・・はもちろん(?)、キプロス、アイルランド、そしてEU3位の大国であり債務のスケールもスゴい(?)イタリアといった国々に、どんどん貸し込まれていき、そしてこれら諸国の公務員給与の支払いに充てられるなどして(?)どんどん市中に消えていき、やがていつものように(?)「借りたけど返せないので返済用資金を追い貸しして下さいな」てなことになる・・・(?)

 上記のEU&ECBに加え、現在ラガルド氏がトップを務めるIMFもまた、このスキームに同調して上記諸国にカネを出すものと思われます(?)。おそらくその時はECB総裁のラガルド氏が「古巣」を強烈にプッシュすることでしょう、IMFが支援スキームに参加しなければ被支援国はデフォルトを免れず、世界的な金融恐慌を招きかねない、などとささやきながら。そう言われればIMFは「どう楽観的な見通しを立てても、〇〇国が〇〇%以上の経済成長を〇〇年も継続して達成することはできず、早晩のデフォルトは必至だから、IMFは融資できないので、せめてEUは大規模なヘアカット(借金棒引き)を受け入れるべきだ」との正論を返す・・・ことはせず、これとは真逆の屁理屈「〇〇国の改革プランに基づけば〇〇年間にわたる〇〇%以上の成長が可能であり、債務の持続性が認められる」とかなんとか言いながら、関与を続けて・・・

 ラガルド氏の今般のECB次期総裁内定には、EU、ECB、IMFが3者そろい踏みで上記のようなことをやりますよ!というメッセージが込められているとみるべきでしょう。その結果、通貨「ユーロ」はどうなるか、は自明ですね。これもすべて、自分たちの国の銀行や金融システムを破局から守りたいからこそ、の策にほかなりません・・・

(続く)

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【ESM資金は足りず、ECBは国債を十分に買えず】次期ECB総裁内定で想像がつく「ユーロ」の今後④

2019-07-19 20:03:18 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 というわけで、誰がどう見てもその債務持続性が認められないはずのギリシャに多額の資金を貸し込んできたIMF・・・のクリスティーヌ・ラガルド専務理事(IMFのトップ)が次期の欧州中央銀行(ECB)総裁に内定したということは、EU(欧州連合)、IMF、ECBの3者(トロイカ)は今後も同国に資金を供与し続けます!というメッセージになったと考えています。逆にいえばトロイカは、ギリシャを見捨てることによってもたらされる同国のデフォルト(債務不履行)そしてこれに伴う対ギリシャ債権の不良化やデリバティブズの決済等にともなう欧州各国銀行の経営破綻等に耐えられないことを、あらためて示してしまいました・・・

 ギリシャのような、経済規模が比較的小さな国に対してすらトロイカはこんな感じですから、EU内の他の重債務国、ポルトガルやアイルランド、そして域内の大国イタリアなどの財政金融危機に対してはなおさらでしょう。つまりいずれのリスク顕在化の局面でもトロイカは・・・返済される当てのないカネを融資し続け、そしてこれら諸国は資金繰りに窮するたびにデフォルトをちらつかせてさらなるニューマネーを無心する、といったことを延々と繰り返すでしょう、おそらく(?)。

 ・・・って、あれ、とはいっても貸す方にだって限界があるような。そのとおりで、EUの金融支援の枠組みである欧州安定メカニズムESM)の貸し出し可能な金額は5000億ユーロと、上記諸国が一斉に金融危機に陥ったら「これっぽっち(!?)」では足りるはずがありません(?)。ではIMFは?・・・って、たしかにこちらもカネは出すでしょうが、あくまでも支援の主体はESMで、IMFはサポート的な位置付けに留まるでしょうから、その支援のスケールは、これまた危機収束の助けにはならないでしょう。そして最後の砦がECBとなります・・・が、たしかにECBは米FRBや日銀みたいに国債を買い上げてEU各国の金利を下げることはできるでしょうが、こちらの記事に書いたような、いわゆる「財政ファイナンス」(中銀による国債の直接引き受け)にならないような縛り(キャピタル・キー)等があるために、いちばんそうして欲しい国々の国債を十分に買えない、つまりこれら諸国の金利上昇そして財政破たんを抑制することはできそうもありません・・・

 ということでこのままだとEUでは・・・おそらく本稿一回目でご紹介したEU内の序列を示す不等式(国債価格の高い順=長期金利の低い順)「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」の、「フランス未満」(あるいは以下?)の国々のデフォルト、そしてこれがもたらす欧米金融システムの瓦解を防ぐことができなくなってしまいそう・・・

 で、そこでラガルドECBが次のような奇手?を打つのではないか、と個人的に予想するものです・・・っても前々からですが。それは・・・ESMが債券を発行し、これをECBが購入する、というもの。これであればECBは、国債ではなくESM債を買っているのだから財政ファイナンスではありませんよ、と言えるかも・・・?

(続く)

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【IMFラガルド氏のECB転身はギリシャ支援を見込んだもの】次期ECB総裁内定で想像がつく「ユーロ」の今後③

2019-07-17 00:03:10 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 欧州中央銀行(ECB)の次期総裁に、当初は最有力視されていたドイツのイェンス・ワイトマン独連銀総裁ではなく、フランス人で現IMF専務理事のクリスティーヌ・ラガルド氏が内定しましたが、前述のとおり、これには市場に対する2つのメッセージが込められていると考えています。1つ目が、同氏の母国フランス(及び、さらに経済力が弱いEU諸国)の国情を踏まえ(?)ECBはこれまで以上に緩和的な政策スタンスをとります、ということ。そして2つ目が、同氏の任期中(おそらくは2027年まで)に間違いなく顕在化するEU内の債務危機に量的緩和策(国債等の買い支え等)で対処します、といったこと。で、後者で真っ先に想定されるのは・・・ギリシャでしょう、やはり・・・

 こちらの記事でご紹介したように、2010年の経済危機時から続けられてきたEUECB及びIMF(3者で「トロイカ」)に対するギリシャの金融支援は1年前(昨年8月)にめでたく(?)終了した・・・ことになっています。しかし、同記事のなかでも述べたとおり、その国力そして対外債務のスケールを踏まえれば、ギリシャが早晩、借金の返済に窮するのはもちろん、ニューマネーを無心してくるのは目に見えています(?)。それがいつになるのかは現時点でははっきりしませんが、2010年以降、昨年までに3回の支援を得てきたことから、おそらく2~3年後、遅くとも2027年(ECB新総裁の任期末年)までにはほぼ確実にこのように開き直るでしょう(?)―――「またおカネがなくなりました、このままだとデフォルト(債務不履行)するしかありません、そうなったら皆さんも困るでしょ? なので支援してください、EUさんIMFさん、そしてECB・・・のラガルド総裁!」。こうしてトロイカは、ヘアカット」(対ギリシャ債権放棄)か、ギリシャへの追い貸しか、の究極の二者択一を迫られます・・・が、下記から実際には後者以外の選択はありません(?)。

 上記のとおりラガルド氏はIMFトップとして、これまでEU&ECBと連携してギリシャに多額の融資を実行してきました。IMFの資金は世界各国から拠出されたもので、貸し倒れ等は極力回避されなくてはならないから、その貸し付けに当たっては、たとえば緊急融資は5年以内に全額返済が見込めないものには実行してはならないなどの厳しいルールがあります。これに照らすと、ギリシャには、財政の放漫ぶり&改革プランのお粗末ぶり、そしてEU&ECBの十分な(?)サポートがあることなどからすれば、本来IMFは同国を支援することはできなかったし、関わる必要もなかったはず(と個人的には考えています)。にもかかわらずIMFはギリシャに深入りしてきたわけです。これには、IMFにも当該支援に参加させて自分たちの出資を少しでも減らしたいというEU&ECB、そして、ギリシャのデフォルトで欧米金融界全体・・・というより自国の金融システムに大ダメージが及ぶことを懸念したIMF・・・のラガルド氏個人(?)の思惑が合致したからこそでしょう(?)。そんなことで増えてしまったIMFの対ギリシャ融資金は約93億ユーロ(2024年までに返済期限が到来するもの)になっています・・・(と綴っていたら、ギリシャは今年4月、このうち今年から来年に同期限を迎える約37億ユーロについて早期に返済したいとESM[欧州安定メカニズム]に申し出たそうな。それは殊勝なことですね。これを機にIMFには、上記の危機再燃を見据え、対ギリシャの債権回収を急いでほしいものです・・・)

 上記をふまえると、次期ECB総裁はやはりラガルド氏が最適といえるでしょう。なぜなら、EU&ECBが次のギリシャ支援にも絶対に参加させたいIMFは、ラガルド新ECB総裁の「古巣」に当たることになるわけですからね。したがって今回の上記人事は・・・トロイカが次のギリシャ支援を早くも決めた---IMFとESMは4回目の融資を、ECBはギリシャ国債買い支え等を、それぞれ決定した---とのメッセージと解されるのでしょうね、マーケットでは・・・?

(続く)

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【「仏ラガルドECB」が市場に伝える2つのメッセージは…】次期ECB総裁内定で想像がつく「ユーロ」の今後②

2019-07-15 00:01:01 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 お伝えのとおり、次の欧州中央銀行(ECB)の総裁にフランスのクリスティーヌ・ラガルド現IMF専務理事が内定しました。このあたりは前述、EU(欧州連合)の国債価格の序列(長期金利が低い順≒経済力・支払い能力の大きい順)を示す不等式「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」においておおむね中位にあたるフランス・・・の方をECBトップに据えることで、その金融政策がEU全体の平均的なところを目指すように、との意図が込められていると思っています。その点に照らせば、当該ポストの有力候補であったイェンス・ワイトマン独連銀総裁が選に漏れたのはもっともなことなのでしょう(?)。つまり同氏は上記序列で最上位にあるドイツ人だから、もしワイトマン氏がECB総裁になったら・・・ECBの政策スタンスは同国の景況(バブル気味)を強く反映して引き締め指向となり、上記でドイツ「未満」の国々では金利が上がり過ぎてしまい、景気後退や財政危機が引き起こされかねないでしょうからね・・・

 で、この新ECB総裁「フランスのラガルド氏」に内定、ですが、市場に対して以下2つのメッセージを発したものと考えています。

 まず1点目は上記のとおりです。つまりECBは今後「ハト派的」要するに緩和的な金融政策を展開しますからね~ということ。ご存知のように、そして先日のこちらの記事で綴ったとおり、どうやら米FRBは、金利上昇バブル崩壊の気配に早くも耐え切れなくなったようで(?)、今月末のFOMCで利下げ再開を含む金融緩和に着手しそうな印象です(?)。であればECBとしては安心してこれに追従し、現行(現行政策金利維持を年末まで、銀行向け長期資金供給を実行中、同・短期資金供給も20123月まで実施、等)以上の緩和策を実行したいところですが、フランス人トップなら母国民の支持も得られそうだからやってくれそうです(?)。というのも、それには上記不等式でフランスあたりから「下」の国々をサポートしたいという狙いがあるためです。イタリアを筆頭に(?)ただでさえこれら諸国には財政支出を拡大したいとの希望があるなか、金利はもっと下がってほしいところでしょうから・・・

 ECBとしては、もしFRBが金融引き締めを継続するなら、単独での緩和はしたくはなかったはず。それによってマネーがアメリカに向かい、上記「下」の国々では金利が上昇するとともに、ドル高ユーロ安でインフレ圧力が高まって各国の景気が下押しされるなどと考えられただろうからです。ですがFRBの緩和再開でその懸念が遠のけば、まあそれなら大丈夫だろう、ということで・・・

 2つ目のメッセージは、今後の中長期的な観点で間違いなく顕在化する(?)リスクにもECBは・・・超緩和的なスタンスで対応するつもりですよ~といったあたり。まあラガルド氏も前々任のトリシェ氏や現在のドラギ氏と同じくECBトップを今後8年くらい、つまり2027年くらいまで務めることでしょう。で、その間に余裕で(?)勃発する危機とは・・・毎度おなじみギリシャのデフォルト懸念です・・・

(続く)

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【ラガルドIMF専務理事、次期ECB総裁に内定】次期ECB総裁内定で想像がつく「ユーロ」の今後①

2019-07-13 00:01:07 | ヨーロッパ

 欧州連合(EU)もまたアメリカと同じく、いやもしかしたらアメリカ以上に・・・インフレに頼り、そしてインフレに沈んでいくのかもしれないですね・・・?

 今月2日の臨時首脳会議でEUは、次期の欧州中央銀行(ECB)の総裁にフランスのクリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事(IMFのトップ)、欧州委員長(EUのトップ)にドイツのウルズラ・フォンデアライエン国防相を指名しました(いずれも女性)。2人とも今後は議会の承認等を経て今年の秋にそれぞれの役職に就くことになります。これにより、現在のECB総裁であるイタリアのマリオ・ドラギ氏、欧州委員長であるルクセンブルクのジャンクロード・ユンケル氏はそれぞれ今年の10月末に退任することになりました。

 こちらの記事等でも書いたように、このあたりの個人的な関心事は次のECB総裁が誰になるのか・・・もそうですが、どこの国の人になるのか?でした。同記事を書いた2017年秋の時点では、同候補の最右翼はドイツのイェンス・ワイトマン独連銀総裁だったように思われます。まあECB総裁ポストは初代(19992003)がオランダ人(ドイセンベルク氏)、次(20032011)がフランス人(トリシェ氏)、そしていま(20112019)がイタリア人、とくれば、EU内のパワーバランスからすれば、次はドイツの順番、と考えられたのでしょうし、それはもっともなことだったと思います。ですが・・・同記事のなかでも予想したとおり、やはりワイトマン氏のドイツはECBトップのポストを取ることはできなかった、ということですね・・・

 そのように考えた理由について、あらためて簡単に記しておけば、EU内の各国にとって望ましい政策金利の水準等はまちまちであり、したがってどうしてもそれらの中間くらいのレベルにせざるを得ず、それに照らすとドイツとかワイトマン氏らの政策スタンスは極端に偏り過ぎてしまうので、ドイツ以外のEU加盟国にとってはドイツに金融政策の主導権を握らせたくないという意図が強く働き、結局それが反映されて上記の人事になったということです。だから、エラいけれど象徴的なポストに過ぎない(?)欧州委員長にドイツ人が就くということは、そういうこと---ドイツ人をECBトップに据えることはできないから、その代わりにコチラをあげるよ、だから我慢してね、といった具合でしょう(?)。

 もう少し具体的には、すでに過去記事でご紹介済みの、EU諸国を国債価格の高い順(長期金利の低い順)に並べた不等式「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」で説明すれば分かりやすくなります。これを見れば、たとえばイタリアギリシャのような高金利の国にとっては金融政策は緩和的なものがありがたいだろうと容易に推測できるわけです。他方でドイツ等にとってはそれだと金利が低くなり過ぎ、よけいなバブルを招いて金融システム等が不安定になりかねないからNGでしょう。そんなバラバラな印象のEUでECBがひとつの政策ラインを決定するとしたら、やはり全体の平均くらいで線を引くしかなく、それが上記の式における「フランス」くらいのポジション、といった感じで、実際に次期総裁が現IMFトップのラガルド氏すなわち「フランス」の方になった、というわけです・・・

 だからその意味するところは、いまも(?)そして今秋以降もECBの政策スタンスは「ハト」だということでしょうね・・・

(続く)

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【「アベノミクス日本」だから円建て金価格も上がってしまう?】金価格の上昇に追い詰められるFRB⑥

2019-07-11 01:14:55 | 金(ゴールド)

前回からの続き)

 本稿で述べてきたとおり、もはやドルの減価そしてその当然の反作用としての価格の上昇は抑えようがないでしょう(?)。本来なら「ドルの守護者」であるべき米FRBにその力はすでにありませんからね。唯一、日銀だけがFRBに代わってドル価値の維持ができるわけですが、それにはこちらの記事に書いたようなことをせざるを得ないでしょう。

 ですが、そのためには法改正等のハードルがあって、実現にはけっこう時間がかかりそう。だからといって、日米貿易不均衡問題にスポットが当たっている現在、ダイレクトにドルを買って円を売る為替介入はやりづらいはず。で、そうこうしているうちに日本以外の世界のどこかで―――おそらくは社債市場欧米金融機関の資産内容において?―――リスクオフ・イベントが発生し、あっという間に危機が伝播して・・・といった超スピードの恐慌深化に日銀や本邦政府の対応が追い付かず、結果オーライ(?)、つまり円が外貨崩落=インフレの伴連れになる事態はかろうじて回避される・・・ってことになるような予感もします(・・・が、このときアベノミクス日本は「円高リスクだ大変だ!」と大騒ぎになるでしょうが・・・)。

 とはいえ、いくら最強通貨・円でも、上記にともなう「金(ゴールド)」価格の上昇にはかなわないでしょう。円もドルに対して値上がりするでしょうが、金のドル建て価格の上昇率はそれを上回る勢いだろうということです。このあたり日銀が引き続き円安誘導に努めるだろうからなおさらでしょうね。

 ということで、毎度毎度の結論ですが、本来の「日本」ならばわたしたちには円さえあれば上記破局を何とか乗り越えることができる(し、それがいちばん望ましい)ところですが(?)、いまは「アベノミクス日本」ということで持つべきは・・・先物とかETFではけっしてなく、現物の金、ということかと・・・(っても自己責任でお願いいたします)。

(「金価格の上昇に追い詰められるFRB」おわり)

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