世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【原油埋蔵量に裏付けた仮想通貨「ペトロ」発行!】興味深い?ベネズエラの石油リンク型仮想通貨①

2018-02-27 00:00:05 | その他の地域

 こちらの記事で少しだけふれたように、近い将来、石油仮想通貨を結び付けようという動きが出てくるだろうと思っていました。したがってこれ、今後の成り行きに注目しています。はたして成功するのか、それとも・・・

 南米の産油国ベネズエラ20日、政府公認の仮想通貨「ペトロ」(Petro)の前売りを開始しました。発行総額は1億単位。ペトロのウェブサイト等によれば、ペトロは国家が発行する世界初の仮想通貨で、同国の(2位サウジアラビアをしのぐ)世界一の石油埋蔵量に裏付けられます。売り出し価格は1ペトロ当たり60ドルと、現状の原油1バーレル当たり国際価格とおおむね同じ水準に設定されています(一定量にはディスカウントがあるもよう)。既存の仮想通貨と同様、ブロックチェーン技術に基づきインターネット上で流通させるようになっていて、ドル、ユーロのほか、ビットコインBitcoin)およびイーサ(Ethereum)の2種類の仮想通貨と交換可能になっているようです。

 ベネズエラ政府はこれによって約50億ドルを獲得する見込み―――といったあたりから推察するに、同国がこのタイミングでペトロ発行に踏み切った本当のねらいは、これによって外貨を得て、膨大な借金の支払いに充てよう、というものなのでしょう(?)。実際に同国は現在、1300億ドルもの対外債務を抱え、デフォルトの危機に瀕しています。苦し紛れに通貨を増刷したせいか(?)激しい物価上昇が起こっており、国会の集計によると昨年のインフレ率は2616%に達したとのこと。同国の通貨「ボリバル」は著しく減価し、公定レートが1ドル=10ボリバルなのに対して実勢レートは1月中旬時点で約20万ボリバル(!?)と、ハイパーインフレ状態が現出しています。そんななか、食料品や医薬品の値上がりや不足が深刻化し、市民生活も危機的局面を迎えているわけですが・・・

 ベネズエラが上記のような悲惨な状況になってしまった原因の一端に、アメリカとの関係悪化と、これに関連する同国による経済制裁があげられます。チャベス前政権から現マドゥロ政権にわたって同国は反米社会主義的な政策を推進、石油部門を含む主要産業を国有化して米欧資本を排除、中露その他の反米諸国との関係を強化してきました。いっぽうで石油関連設備の更新等を怠たったために原油産出・輸出量が減少するとともに、逆オイルショックにともなう石油価格の低下などにより国際収支が急激に悪化し、上記のように対外借り入れが膨張。そんな情勢のなかでアメリカは同国に経済制裁を発動しました。現在、ベネズエラはアメリカに資金調達手段としての債券発行を禁止され、さらには石油輸入制裁もほのめかされています・・・

 ・・・といった厳しい局面にあって、当面の支払資金を確保する必要に迫られてベネズエラは上記ペトロを発行したのでしょう。でも、目論見のとおり同国政府がドルを得られるのか不透明なようですし、たとえ目標の50億ドル程度を集めたとしても、債務総額にはまったく足りていないため、危機的状況は続くわけで・・・

 それでも、このたびの「ペトロ」の仕組みは興味深いものがあります。何といってもこれ、ベネズエラ産原油の交換通貨という位置付け・・・ってことは、唯一無二のはずの(?)「石油交換券米ドルとバッティングしてきますからね・・・

(続く)

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【へこんだ「双子のバブル」の丈を戻す策はドル無限増刷のみ?】株と債券「双子のバブル」がヤバい理由⑥

2018-02-25 00:02:09 | アメリカ

前回からの続き)

 先週21日の米市場ではダウ平均が前日比167ドル安、そして米国債価格も急降下し、長期金利は前日から6bpも跳ねて2.95%と、いよいよ3%に接近してきました。先に懸念した株で利食ったマネー等でも国債を消化しきれない「株↓債券↓現象」がまたも起こったわけで、アメリカの「双子のバブル」(私的造語:株と債券のバブル)が崩壊ステージに入っていることがあらためて示されたと考えています。

 これまで綴ったように、旺盛な米個人消費は、この「双子のバブル」を前提とした巨額ローンによって成り立っていました。長年にわたって築いてしまったその当然の土台「適温相場」がこうして崩れたら・・・米家計に残るのは借金の山、金融システムに残るのは不良債権の山、ということで、米経済と市民生活はすさまじい資産デフレと高金利で危機に向かうしかありません(?)。

 では、これを防ぐにはどうするか・・・って、以下のイメージ図を見れば明らかです。へこんでしまった「双子」の丈を再び伸ばしてあげる、つまりFRBによるQEマネーの投入です、4回目の・・・。おそらくFRBは今後、毎年1兆ドルを超えるスケールで振り出される米国債の大半(?)を食いあげてドルを吐き出しまくるでしょう(?)。こうしなければ「双子」はもとに戻らないし、アメリカは上記破局を免れないためです・・・

 こうして、いつもの結論になりますが、アメリカではQEが永遠に繰り返され、そのたびにドルが市中に洪水のようにあふれ出す・・・ってインフレドル価値の止めどもない低下)になる、という次第です。やはりコレしかないでしょう、同国とドルが向かう先は(?)。にもかかわらず、相変わらずFRBとか市場関係者の間には「米経済は好調だから年内に34回利上げ」という見方があるようですが、とんでもないのでは? そんなことをしたら―――さらに金融引き締めをしたら、アメリカ(の借金バブル)を支える「双子」は逝ってしまいますよ!?

 以上から、FRBが金融正常化(≒過度の介入をしなくても自動調整機能が働く金融市場に戻すこと[株や債券の価格が上記「適正価格帯」の範囲を上下するくらいにもっていくこと])を進めるのはもはや不可能だと思っています。その意味することは、FRBの中銀としての能力の喪失。まあ当たり前でしょう、同機能が利く範囲を大きく逸脱して通貨増刷に走ってしまったのだから。あとは麻薬常習者がひたすら麻薬に頼るように、不可逆的にインフレを起こし続ける以外に手がない、つまり「お手上げ」というわけです。でも世界にとって、バラまいたドルの回収がFRBにできないことが分かるって、けっこう衝撃的な出来事でしょうね(?)。

 ・・・では今後、いったい誰がFRBやドルの役割を担うのでしょう―――といった議論が近々、巻き起こる・・・よりも先に、市場の「見えざる手」がその答えをさっさと見つけ出すような気がしてなりません・・・

(「株と債券『双子のバブル』がヤバい理由」おわり)

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【妥当水準:米株価は現在の半値、長期金利は3%のはるか上?】株と債券「双子のバブル」がヤバい理由⑤

2018-02-23 00:00:31 | アメリカ

前回からの続き)

 前述のように、このままだとアメリカは「双子のバブル」(私的造語、株と債券のバブル)崩壊から不動産を含む全面的な資産デフレに陥り、これが巨額の不良債権を発生させ、最終的には破滅的な金融危機に直面するだろうと予想しています。

 で、この双子のバブル、先述のとおり株価、債券価格ともに「適正価格帯」をはるかに突き抜けた水準に達しているわけです。では本来の価格、つまり米FRB(および日銀!?)がQEをしなかったとしたときの価格はそれぞれいくらくらいだったのでしょうか。マーケットは様々な要素で変動するから、両者ともにこれが真っ当な価格だと言い切れるラインは引けないものの、まあこのあたりだろうと個人的に推測する値を書いてみましょう。

 米株価については、高めに見積もってもいまの半額くらい、つまりダウ平均123千ドル、S&P500種平均で12001300ポイントくらいで十分(?)かな、と感じています。その根拠のひとつが以前こちらの記事でご紹介したS&P500種CAPEシラーPER(過去10年間の1株当たり企業利益の平均値[インフレ調整後]に基づいて計算したPER)の値です。これによると今年2月は34.8122000年前後のITバブル期(最高値53付近:20009月)を除けば今世紀の最高値付近に達しています。過去の平均値は現在値の半分以下の16.8あたり。ゆえに適正株価もその程度だろう、という見方です。

 まあPERの16という平均ラインも、けっして低くはないな、と思います。純利益を16年分以上も積み上げてようやく当該企業の時価総額に等しくなるわけですからね。それがいまや35ですから、いやはや何とも・・・米株投資家は度胸あるよ、といった感じがします。

 そして国債価格、ようするに米長期金利ですが、これも妥当な数字を想定するのは難しいものの、どれだけ控えめにみても現時点で3%は軽く上回るレベルにあると考えられるし、今後はさらに上昇していくのは間違いないでしょう。このほど始まった大減税政策の影響で米国債が大量に振り出されるためです。実際、2018米会計年度(201710月~20189月)の発行額は前年度比で8割増の1兆ドル近くにおよぶ見込みですし、2019同年度の財政赤字額が11500億ドルにまで達するという試算(米議会内)もあります。このように、すさまじい勢いで借金が増加すれば、それだけ相当なスピードで米国債価格が下がる(借入金利が上がる)とみておいたほうがいいでしょう(?)。

 もっとも価格が下がれば米国債を買う人がそれなりに出てくるとも予想されます。けれどこのマネーは多くの場合、米株市場から流れ出るものになるでしょう。つまりこのとき株価は大きく下落することに・・・。こんな感じで米「適温相場」の実態は非常に危うい状況にあると思います。

(続く)

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【株・債券価格の低下が米住宅バブル崩壊を誘発】株と債券「双子のバブル」がヤバい理由④

2018-02-21 00:00:47 | アメリカ

前回からの続き)

S&P/ケース・シラー住宅価格指数は、アメリカの住宅価格がここ数年、同国の経済成長率(名目GDPは2016年で前年比プラス2.8%)を大きく上回る率で上がり続けていることを示しています。同指数のうち20都市圏住宅価格(20001月を100)によると、直近(201711月)の値は204.21で前年同月比6.41%もの伸びとなっています。そのうえこの上昇率も高まる傾向にあり、長いこと5%台だったものが同年9月から3か月連続で6%台に乗ってきました・・・

 この指数、最後に底を打ったのは20123月で、そのときの値は134.07です。以降6年近くにわたり、米住宅価格は基本的に一貫して上昇し、その通算率は50%あまりとなりました。いっぽうの米GDP増加率はこの間のトータルで20%ほどですから、いかに同国の住宅価格が実体経済とかけ離れて値上がりしてしまったかが分かるというものです。どう控え目に言ってもこれ「住宅バブル」としか表現のしようがないでしょう。ということでアメリカ国民はつい10年ほど前(2000年代後半のサブプライムローン・バブル破綻~リーマン・ショック)の苦い教訓をすっかり忘れてしまったかのようです・・・

 さて、足元の米住宅バブル、永遠に続くはずはなく「前回」と同様、やがてピークを打って縮小に転じるほかないと思われます。並行して膨らんできた、超低金利&金融資産高をもたらしてきた頼みの「双子のバブル」が明らかに崩壊過程に入ったからです。この両者、ある程度のタイムラグをおいて同じ下落方向をたどると思われますが、住宅ローン金利のベースとなる長期金利が急上昇し始めたのが先月ですから、おそらくこの春から後、遅くとも夏あたりまでには住宅価格も頭打ちから下降に転じるのではないでしょうか・・・(?)

 そうなると当然、当該ローン層の支払い環境は悪化します。ローン金利は上昇、手持ち金融資産額は目減りとなるうえ、肝心の自身保有の住宅価格も下がってしまうためです。なかにはこれを手放して得たおカネでも残債を完済することのできない人々も出てくるでしょう。そんな彼ら彼女らの多くは多額の借金を抱えたまま住処を失うことになりそうです・・・

 このへんに関連してコワいのはホームエクイティローン(HEL)の行方です。HELとは住宅の正味価値(=市場価格-ローン残高)を担保にしたローンのこと。多くの米国民はこの枠組みで借金し、車を買ったり株式投資をしたりしてきました。これ、住宅価格が上がり続ければ含み益が増えるので、いざとなれば自宅を売ればローンの返済が可能でしたが、逆に下がってしまったら・・・悲惨です。ただでさえ住宅購入の際に組んだローンが残っているうえ、市場価格がHEL残額を下回れば、その額だけ借金が増えてしまうためです・・・

 以上のようなヤバい局面にアメリカは向かうしかないでしょう、双子のバブル、そして住宅バブルが崩れていけば。それは真におそろしい資産デフレ(株・債券・住宅等の価格のどれもが下げ止まらないこと)と金融システムにおける不良債権の急増をもたらし、重大な金融危機をまたも引き起こすに違いありません・・・(?)

(続く)

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【米国民ローン消費生活は株&債券の永遠上昇が前提だったが…】株と債券「双子のバブル」がヤバい理由③

2018-02-19 00:04:41 | アメリカ

前回からの続き)

 前記のように、雄々しく(?)立ち上がった米「双子のバブル」(私的造語。株と債券の2つのバブル)は以下のイメージのとおり、株、債券ともに中銀の金融政策由来「QEマネー」によって大きく「かさ上げ」されてしまっています。このように双方の価額は市場原理では説明不可能な、はるかな高みへ達してしまった感じがします。

 この様子が窺われる現象が先日、確認されました。こちらの記事に書いたように130日、米市場では主要株価すべてが下がりました。ここで本来ならば―――先述「適正価格帯」で株・債券が上下しているのならば―――株が売られたら「リスクオフ」モードで債券が買われて金利が下がるはず・・・だったのにこの日は米国債まで売られ、長期金利が対前日比で上昇しました。株も債券も下落・・・ってこれ、両者ともに市場間を行き来するマネーでは支えきれない高値水準にあることの表れでもあるわけです。これでは「グレートローテーション」(Great Rotation:マネーがリスク資産[株等]から安全資産[債券等]にシフトすること)なんて起こり得ませんね(QEでかさ上げされた分の国債価値を市中マネーは消化できず、金利が上がり過ぎてしまうため)。よって今後のアメリカでは株と債券がそろって売られ、長期金利がじりっと上がる局面が頻発することでしょう・・・(?)

 で、この株&債券のバブル崩壊がヤバいのは、これが米実体経済をけん引してきた個人消費に大ダメージを与えるからです。何度か書いているように米家計の大半は住宅や自動車などの各種ローンを多く抱えています。これら債務の残高は2017年第3四半期で約13兆ドルと2003年以降で最大(とくに自動車ローン[1.21兆ドル]学資ローン[1.36兆ドル]の増加が顕著)となっています。他方で昨年11月の貯蓄率は2.9%と2007年11月以来の低さ・・・。そんなキワドイ借金消費生活を何とか支えてきたのがこの「双子のバブル」―――9年間にわたって価格上昇を続けてきた株であり債券でした。これらに返済負担を上回るリターンが期待できたからこそ、無茶な借り入れも正当化される面があったわけです(?)。

 そしてFRB(と日銀?)も、この間のQEでローン金利を(市場の自動調整機能だけでは実現されないほどの水準に)引き下げて彼ら彼女らの消費活動をサポートしてきました。そんな人為的かつ異常に不自然な低金利環境が米国民を上記ローン依存症に陥れてしまった、という次第です。まあこれも「双子のバブル」、さらにはこれを推進エンジンとした住宅バブルが膨張し続けていれば、実質は巨大債務で回っていても「米経済は好調!」としておけばよかったのでしょうが、これらが今般のように収縮モードに変わると、この債務が一転、持続困難になっていきます。上昇一途を目論んでいた(?)頼みの金融資産の価額が急落するうえ、ローン金利が急騰するためです・・・

(続く)

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【株・債券とも適正価格帯をブチ破って人工的高みへ】株と債券「双子のバブル」がヤバい理由②

2018-02-17 00:01:43 | 世界共通

前回からの続き)

 前回、一般的な経済・金融情勢のもとでは株価および債券価格はおおむね逆相関で「適正価格帯」のなかを上下する、と書きました。中央銀行も「伝統的金融政策」でこれらが極端な方向にブレないよう、市場をコントロールします。

 では、これに対して債券の「双子のバブル」とは何か?ですが、先述のように「本来なら逆相関し、並存はありえないはずの株バブル債券バブルの双方が現出している(しかもともにとてつもないスケールで)」という状態です。これをイメージで示すと以下のようになります。

 株・債券ともに適正価格帯を上回る高値水準に達しています。繰り返しますがコレ「ありえない」はずです、あくまでも平常モードでは。それなのに実際にこうして2人の巨体が仲良く立ち上がっているのは・・・これまでの「伝統的~」の枠をはるかに超えた、まさに「異次元」な「非伝統的金融政策」すなわちQE量的緩和策)のおかげ、と指摘するべきでしょう。

 これを分かりやすくお見せしたのが上記イメージです。「オレンジ」の網掛け部分つまり適正価格帯を上回る部分が、このQEによってかさ上げされた人造的な価値というわけです。

 でこのQEとは、端的には伝統的金融政策の限度を超えた金融緩和策といえます。「伝統的~」の手法ではゼロ金利(名目金利-予想インフレ率=0)が限界ラインでした。QEはそれをブチ破ってゼロからマイナス領域へと踏み込むもの。具体的には、国債等の大量購入でその価格を高値に持っていくことで実質金利をマイナス圏まで引き下げ、これによってインフレを起こすとともに、相対的に益回りが増す株式に対する投資を活発化させようといった感じでしょうか。

 この株投資の元手は多くの場合、低金利の借金になります。利払い負担が小さいから株売買で少しでも配当やら売却益やらをゲットできれば差し引きでプラスを得られる可能性が高まります。これなら借金しない手はないし、株に手を出さない理由もありません。かくして投資家の多くがこのキャリートレードにハマり、わずかでも利ザヤを求めて株やジャンク債などを買い漁ってきました・・・

 近年のアメリカでこの傾向が強まるきっかけとなったのは、やはりリーマン・ショック直後の2009年はじめに開始された米FRBのQEからでしょう。それからいままで、多少の変動はあったものの、日銀の手厚いサポート(?)もあって基本的にはこの「非伝統的~」が意図したマーケット環境が継続したため、上述の株バブルと債券バブルが凄まじいスケールで形成されてしまった、という次第です。

 この双子、存在自体が異常です。いまの地球の重力の下で全長100メートルもの恐竜2匹がいるみたいなものです。すなわち歩けないばかりか、自らの体重で押しつぶされるしかない―――自然の法則=市場の自動調整機能が働けばあっという間に崩壊は必至です。それが少なくとも9年以上にわたって生き永らえてきたのは、上述QEという人工的な支えがあったからこそ。当初はこの異様さを認識してきた(?)投資家も、長い年月の間に感覚が麻痺し、これが当たり前になってしまったようです。その様子が端的に分かる言葉が、最近頻繁に聞かれる前述「適温相場」(ゴルディロックス:Goldilocks)です。メルトダウンレベルに超~過熱しているのにいい湯加減とは・・・ってこれQEの薬効(?)、メッチャ煮え立っているのに熱さを感じなくさせられている「ゆでガエル」と同じってことですけれどね・・・?

(続く)

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【グリーンスパン前FRB議長「株・債券のバブル」に言及!】株と債券「双子のバブル」がヤバい理由①

2018-02-15 00:03:31 | 世界共通

 やっと気が付かれましたか。でもちょっと・・・いや、遅きに過ぎましたね・・・

 アメリカには「債券の2つのバブルがある」(There are two bubbles: We have a stock market bubble, and we have a bond market bubble)―――先月、アラン・グリーンスパン前FRB議長がブルームバーグTVのインタビューでこのように答えました。ようやくアメリカ・・・のなかでもマーケットに一定の影響力を持つ人物がこのことを口にしたか、という思いがします。ただし「根拠なき熱狂(irrational exuberance)」「謎(conundrum)」「あぶく(froth)」といった数々の有名なワードを発してきた方にしては「2つのバブル」ではインパクトが弱い印象です(?)。ここはズバリ「双子のバブル」と言ってほしかった・・・って余計なお世話ですが・・・

 そう、債券のバブルとは、本ブログでシツコク指摘している「双子のバブル」(twin bubbles:私的造語)のことになります。ただしこちらで言及したのはもう34か月も前(201410)のこと。つまり当時・・・ってちょうどFRBQE(量的緩和策)を停止する直前(これを引き継ぐように日銀が追加緩和を発動する直前)からすでに同バブルが誕生していたわけで、それから現在までにどれだけすくすくと(ぶくぶくと?)「成長」したかを想像するとオソロシ~限りです・・・

 さてこの米「双子のバブル」、あらためてその異様さを端的に表現すると「本来なら並存はありえないはずの株バブルと債券バブルの双方が現出している(しかもともにとてつもないスケールで)」といった感じになります。このあたりを以下、イメージで示してみましょう。

 経済・金融情勢が平常モードのとき、株と債券の価格はこのようになると考えられます。すなわち両者ともに「適正価格帯」に収まる範囲内で上下する、といった感じです。実際のところ、それぞれの適正価格がいくらなのかを正確に測るのは困難ですが、当該市場(株式市場・債券市場)が当局の過度な介入等なく自律的に機能していれば、そのときの価格はおおむね妥当な水準にあるとみるべきなのでしょう。これが本当の意味で「適温相場」(ゴルディロックス:Goldilocks)だと思います。

 次は、景気が熱を帯びたときの様子です。この際は企業利益の上振れ期待が高まって高PER(株価収益率)株が続出するなど、株価のほうはしばしば適正価格帯の上限前後にまで上がったりします。いっぽうで経済がインフレ気味になって金利は上がり、逆に債券価格のほうは下がる傾向になります。

 そしてこちらは景気が悪くなったときのイメージです。この場合はPBR(株価純資産倍率)が「1」を下回る銘柄が増えるなど、株価は適正価格帯の下層付近を推移します。これに対して債券市場には株式市場からの逃避マネーが流入し、債券価格は押し上げられて金利は低くなっていきます。

 このように一般的な景気循環のもとでは株価と債券価格はおおむね逆相関(株↑債券↓、株↓債券↑)になると思われます。上記枠内であれば、多少の好不況の波はあっても、マネーが両市場間を行き来するなかで市場の自動調整機能が働くし、中央銀行の「伝統的金融政策」つまり公定歩合の上げ下げとか公開市場オペ(短期債売買等)などのコントロールが及ぶため、大きな経済・金融危機は起こらないことになります。

(続く)

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【円、下落一辺倒のドルに付き合わされる?】リスク投資手仕舞い、「戻り地獄」ダメージを最小化せよ⑧

2018-02-13 00:00:08 | 日本

(前回からの続き)

 本稿の前段で、市場の力に引きずられる形で否応なく開始される(?)QE4(米FRBによる量的緩和策第4弾)の前後では下記のような価格等の変動があるだろう、と書きました。

 QE直前:株↓、債券↓、長期金利↑、ドル/円↓、原油↑、金↑

 QE直後:株↑、債券↑、長期金利↓、ドル/円↓、原油↑、金↑

 おそらく―――あくまでも個人的な予想ですが―――QE前後ではドルの実質価値が一貫して下落していくため、インフレが激しくなるでしょう。よってこのように原油・・・を筆頭とする原材料価格は上昇する可能性が高いと考えています。まあ原油価格は需給とか国際政治情勢にも大きく左右されるので将来の変動予測は難しいですが、ドル=「石油交換券」の価値がこうして下がれば、ドル建て価格はその反比例で自ずと上がることになる、と保守的にみておいたほうがいいでしょう(?)。

 ここで先述「自然の成り行き」(市場の自動調整機能)に委ねていれば、たとえ原油のドル建て価格が跳ね上がっても、円がドルに対して高くなるので、円建て価格の上昇幅は大きくはならない、あるいはむしろ下落し、石油・天然ガスのほぼ100%を輸入に頼る日本経済に深刻なダメージは及ばないと思われます(?)。

 しかし・・・安倍政権・黒田日銀は前回記したようなこと―――暴落するドルに付き合わせるように円の価値を意図的に落とす金融政策(=永久緩和!?)―――をやるおそれ(?)が十分にあるわけです、この危急局面で・・・。なぜなら、そうでもしないとガソリン価格電気代が下がってしまい、インフレが起きない・・・ばかりか物価が緩やかに下がってしまうかもしれないからです(・・・って、この「円高デフレ」、国民にとっては歓迎すべき状況だと思うけれど?)。

 以前から指摘しているように、アベノミクス各位は物価上昇の質の良し悪しの区分ができておらず、それがガソリン代高騰によるものであってもインフレなら何でも大歓迎!の立場です(?)。したがって物価押し上げ効果が大きい石油価格のつり上げ(≒悪性輸入インフレ)にどうしても頼りがちになります。なので米QE前後では、さらなる通貨安誘導で国民に高いエネルギーコストを強いる恐れが・・・。こうしてわたしたちは前述「進み地獄」の深みにハマっていくという次第です、(与野党の区分なく)政界・財界・マスコミ界、はては(左翼政権?が官製春闘をやってくれるせいで、すっかり影の薄くなった)労働組合(?)までがこぞって「アベノミクス万歳!」を唱えながら・・・(?)

 ・・・ホントに残念ですが、こんな有様の日本では人々は個人で備えを固めるしかないのでしょうね。どうするか?・・・って、上に書いたとおり。つまり原油等と同様に、QEの前で「↑」、後でも「↑」となると予想されるモノに資産価値を逃がしておく・・・ってことだと個人的には思います、いつもの結論になりますが・・・

(「リスク投資手仕舞い、『戻り地獄』ダメージを最小化せよ」おわり)

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【通貨安インフレ地獄に誘導する?政府・日銀】リスク投資手仕舞い、「戻り地獄」ダメージを最小化せよ⑦

2018-02-11 00:04:31 | 日本

前回からの続き)

 以上ここまで、アメリカQE4弾(米FRBの量的緩和策)発動は必然(?)との個人的な見通しに立って、わたしたちの年金原資を預かる公的年金基金(GPIF)がこれをどう運用すればその損害を少しでも減らせるか、に関する考えを綴ってきました。「くじら」と称されるようにGPIFは巨体ですから、個人投資家のように機敏には動けません。そのうえGPIFは「アベノミクス」の忠実な実行部隊として各リスク資産を大量に「高値掴み」してしまっているわけです。よってQE4にともなう凄まじいドル安や株安のダメージ=「戻り地獄」の痛みを被るのは・・・もはや避けがたいでしょう(?)。せめてその苦しみが少しでも軽減されるように、という思いでここまで綴ってきた次第。

 さて、GPIFの資産額が急減したら・・・当然ながら国民の不安感が高まり、アベノミクスや安倍政権に対する批判の声が高まっていくことでしょう。それはマズい!ということで、おそらく政府・日銀は・・・「黒魔術」―――私的造語:本当は損をしているのに、日銀の金融緩和によってトクをしたように思いこまされること―――の一段の強化で、見た目だけでもこれに運用益が出ているように見せる(最悪でも運用損が少なめに見えるようにする)のではないか。ちなみに「黒魔術」の「黒」は日銀「黒田」総裁の略です。

 どういうことかというと日銀は・・・米QE前後でも一貫して進むと予想されるドル安円高を阻止するべく、現行の金融政策をいっそう緩和的な方向にもっていくだろう(?)ということです。手法や内容はともかく、その本質は、円の価値を落ちていくドルと同じようなペースで落としていく―――円をドルと同等のインフレな通貨に持っていくことで、ドル建て資産の円換算額が下がっていないように錯覚させようというものです。これであれば1ドル100円のときの100ドルの資産は引き続き100ドル=1万円前後の価値を保つから、損はしていないように感じられる・・・。ものすごいスピードで同時に落下中のスカイダイバー二人は、互いに相手が自分と同じ高さにとどまっているように見えるのと同じです・・・

 ・・・これこそアベノミクスの「進み地獄」というものです。進み地獄とはこれまた私的造語で、戻り地獄とは逆に、人為的円安のさらなる進行で国家国民が悪性インフレで苦しめられることです。上記の例では、たしかに100ドルの円建て名目価値は変わってはいません。でもQE後の100ドルは、FRBが大量のドルを市中に吐き出す―――インフレになる―――わけだから、QE前の100ドルよりも実質価値が大きく下がっています。したがって、その前後で為替レートに変化がなければ、あるいは円安がもっと進んでしまったら・・・日本人はアメリカ人並みのインフレ、いやそれ以上に激しいインフレに苦しめられることになります・・・。これに文句をいう人には「年金基金資産が毀損してもいいのか!?」と開き直る、といった具合・・・

 わたしたちはこうして「黒魔術」に幻惑され続けるのでしょうか・・・? 立派な「大人」にもかかわらず黒田日銀に自分は「子供」と思い込まされ、目の前の「お子さまランチ」(QE「前」のドル建て資産)を「ごちそう」と喜ばされ、そして今度は「赤ちゃん」だと勘違いさせられて(インフレが進んで質・量ともさらに劣る)「ベビーフード」(QE「後」のドル建て資産)に満足させられる・・・。その結果、体力(国力)を消耗したわたしたちはどんどんやせ細っていくことになります、「景気は緩やかに回復している、っていうけれど豊かになった実感はないな~」などと同じことを延々とつぶやきながら・・・

 すでにアベノミクス日本はこの「進み地獄」に陥り、大国一国分の経済力国富とを失っています。このままでは近い将来、わが国はGDP総額でドイツに、一人当たりGDPでは韓国に抜かれていくでしょう(?)。以前、「進むも地獄、戻るも地獄のアベノミクス」と書きましたが、ともに地獄ながらどちらがまだマシか・・・って、後者つまり早く(正気に?)戻ったほうがいいでしょう? だからこそ迅速に動いて、せめて「戻り地獄」ダメージを最小化せよ!と訴えている、というわけです。

(続く)

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日本株、米株と比べると割高とはいえない感じ?】リスク投資手仕舞い、「戻り地獄」ダメージを最小化せよ⑥

2018-02-09 00:01:16 | 日本

前回からの続き)

 本稿では、米FRBのさらなる利上げが近いという大方の推測とはまったく逆の、FRBの利下げ・・・どころかQE!?4弾目の発動が近いという個人的な予想に基づき、これに対する米市場の動きと、それをふまえた本邦公的年金基金GPIF)の、最低でも損をしないための資産運用法について考えることを綴っています。で前回、ドル建て債券と米株は「売り」推奨としました。とくに前者の運用では今後、高い確率でドル安円高が進みそうなためにプラスリターンを得るのはきわめて困難と考えられるため、(エラソ~ですが)多少の損が出ても国民は許す!くらいの思い切りで売却を進めていただくようお願いしたいところです・・・

 ここで難しいのは日本株の扱いです。GPIFが新運用方針に沿ってリスク偏重投資を開始した時点(201410月末)の日経平均は約16400円、TOPIXは約1330ポイント、いまはそれぞれ21645.37円、1749ポイント(7日終値)ですから、この瞬間にこれ売ったら相当に利食うことができそうです。でも、いっぽうでGPIFには(外資によるM&Aのターゲットにされないように)日本企業を買い支えるという重要な使命もあると思われるため、外債のように全部投げ売るみたいなことはできません。よってここは銘柄ごとに高い安いを個別に判断しながら売買を繰り返していくことになるのかと・・・

 そもそも現状の日本株は、利益確定が勧められるほどの高値にあるのかどうか・・・。たしかに日本株は最近、とくに昨年の秋以降は大きく値上がりしたものの、でも高過ぎる!というほどではないのかな、と考えています。実際、日経平均の株価収益率(PER)は直近で1415倍前後と、おおむね過去5年の平均値付近ですし、株価純資産倍率(PBR)も1.3倍前後とこれまた同様で、個人的には・・・とくにPBRのほうは本邦各社のポテンシャルからみて、もう少し高くてもいいかな?と感じるくらいです(?)。

 さらにいうと日本は現在、アメリカなどとは正反対に、経済・金融危機とは世界でもっとも縁遠い国となっています。したがって日本株の価格は、米マーケット&経済の混乱のあおりを食って乱高下することはあっても、わが国の強固なファンダメンタルズがやがて認識されるなかで下げ止まり、回復に転じるのではないでしょうか(?)。

 ちなみに、米ダウ平均のPERとPBRはそれぞれ2526倍前後、3倍前後となっていることなどから、単純比較はできないまでも、こちらの記事に書いたことと合わせると米株は日本株と比較して相当に割高な水準にあるのは間違いなさそうです。だからこそいっそう現状の日本株の価格は・・・まあ妥当な範囲にあるようにみえるわけです、比較的ですが・・・

 ということで、GPIFには上記を参考に(って、するはずはないが・・・)、これから始まる米市場の大混乱前後を上手に泳ぎ切り、年金原資を可能な限り高い価額に保ってほしい―――最悪でも先記「発射台」を下回ることのない運用成績をあげてほしいと願う次第です・・・

(続く)

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする