世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【いまこそ認識したいインフレファイトの大切さ】中国人の金買いが教えてくれること⑥

2021-06-29 22:05:28 | 日本
前回からの続き)

 これまで綴ってきたように、金買い復活のニュースに象徴されるように中国では数千年もの(?)長きにわたってゴールド)に対する厚い信頼があるのは、金保有の本質がインフレヘッジであることからすれば、それだけ人々がインフレの恐ろしさを思い知り、そして語り継いできたから、といえるでしょう。そのあたりは昔もいまもまったく変わらないし、中国であってもその他の国や地域であっても同じ、ということです。となると、そんな怖いインフレをなくすには、金を貨幣として流通させるのがよい、といったことになりそうです・・・が実際には、とりわけ過去にはなかったインターネット社会を構築した現代社会においては、金の実物(コインとかバーなど)を介した商取引等を普及させるのは非常に難しいでしょう。であれば、金を用いることなくインフレを抑制することが大事、ということでやはり「インフレファイト」こそが最大の目的であり、その手段は(本来は理想的だが実際は扱いが難しい)金でも、ましてや他国の(当てにならない?)インフレな通貨やマイナス利回りの国債なんぞでもなく、真に信頼するべき自分自身の国債の売買、ということになりそうですね、中央銀行による・・・

 そこのところは、こちらの記事を含めて何度も書いているように、当然の、だからこそブレてはならない通貨・金融の基本原則・・・だと信じているのですが、実態は・・・本稿冒頭の中国人らが教えるとおり、ですかね・・・?

(「中国人の金買いが教えてくれること」おわり)

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【金は手放せないからドルの代わりにユーロを…】中国人の金買いが教えてくれること⑤

2021-06-27 10:51:01 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 前述したように、この先は価値劣化必至のドル米国債ゴールド)で置き換えようとしたところで、金が貴重過ぎるがゆえにこれを市中に放出することができない(金を売って人民元を回収することができない[金融引き締めができない])中国(≒中国人民銀行)は、結果として金融緩和しかできなくなって過剰流動性、すなわちインフレの発生を防ぐことができなくなるだろう(?)と予想しています。おそらく中国当局もそのように考えるはずです。繰り返しますが、中国では数千年の昔から金が信奉され続けていますから、いったんこれをゲットしたらけっして手放してはいけない、と一般国民のみならず権力層だってそう信じている(?)でしょうからね。けれど、それでは上記のように金融政策を適切に運営できません。ではどうするか・・・

 ・・・って、そのあたりの策のひとつが、こちらの記事でも書いた「一帯一路構想」だと思っています。これを本稿の文脈に沿って言うと、インフレリスクが高まっているドル・米国債の代わりになり得る(?)ユーロ・ユーロ圏の国債をもっと手にするべくEU圏への輸出をいま以上に増やそう!といったあたりでしょう。金と違ってユーロおよびユーロ建て国債であればドル・米国債と同様に市中への随時の売却(≒金融引き締め)が可能ですし、ドルのリスクヘッジにもなるわけで、このあたりは金を用いるよりはずっと現実的といえそうです。といったことで(?)中国は(ってロシアとかもそうですが)現在、外貨準備・・・というより中銀のB/Sに占めるユーロ資産の割合をドルに対して高めつつあると思われます。

 けれど、こちらの記事等を含めて何度も書いているように、ユーロ・EU国債にも固有のインフレリスクがあります。せいぜい、いまのドル資産よりはマシ、といった程度でしょう(って、場合によってはドル以上に危険かも?)。よって、これを中銀資産にしてしまうと、自分の金融政策がEU圏諸国の経済情勢に伴うユーロ資産価額の変動に大きく影響されてしまう、といったことになってしまいそうです(って、同じ意味で現状は米経済に振り回されているわけですが)・・・

 以前から述べているように、中央銀行の目的は、物価と金融システムの安定を図ることです・・・が、もっとはっきりいえば、中銀は「インフレファイター」であるべきです。人類の経済史を振り返れば分かるように、権力の崩壊や社会の混乱に必ず伴うのはインフレであり、逆にインフレを食い止められなくなると権力は崩壊し、社会は混乱・・・して最悪、内乱やら戦争やらが起こってしまうことになります、第二次大戦がそうであったように。したがって、インフレファイト―――インフレを抑えることこそが中銀の最大の使命といえるでしょう。

 そのあたりは金がこの間、一環として高い価値を保ってきたのと同じです。すなわち金はインフレ―――その時代や国などにおいて発行されていた(発行されている)通貨の劣化・無価値化―――から資産価値を守ってくれる、ということ。なので、本来ならば、金を通貨にするのがベストなのでしょう。そうすれば物価と金融システムの安定はおのずと確保される・・・から中央銀行なんて不要になるはず(?)。でも実際には、金の扱いの難しさ等から、それは現代社会においてはほぼ不可能。であれば・・・

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【中国、ドルに代わって売れない金を中銀B/Sに積み上げ、身動き取れずに…】中国人の金買いが教えてくれること④

2021-06-25 00:58:35 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 前述のように、米ドル米国債に基づく通貨・金融システムを構築している中国にとって、ドルのとめどもない劣化(インフレ・実質マイナス金利状態)によるダメージは、理論上は、大量にかき集めているはずの(?)(ゴールド)の価値で埋め合わせればよい、ということになります・・・が、実際にはそううまくはいかないでしょう。たしかに、それによって、見た目の上記システム、すなわち中国人民銀行の資産勘定は、ドル減額前のスケールを保ち、その負債に当たる「人民元」もまた減ったドル価値と同等かそれ以上の金の価値で裏打ちされた通貨としての信認を維持するように思えます。しかし、それはあくまでも人民元が本当に所定量の金と交換が可能になってはじめていえることです・・・が、先述のとおり中国の人々には数千年の昔から変わらぬ金への絶対的なまでの信頼があるなか、人民銀が市中の人民元を回収等するために自身が保有する金を放出するようになったら、どうなるか、は自明です。こうして結局、中国当局は金を手放せなくなってしまう・・・ために、人民元もまた金との交換が不可能な通貨(せいぜい金以外の資産・・・ってまたもやドル(?)とだけ交換可能な通貨)としての価値しか認められないでしょう・・・

 ご存じのように、現在の中央銀行は、自身の資産(おもに国債)の売買を通じて金利や通貨量を調整することで物価や金融システムの安定を図っていますから、その資産は売り買いともに随時かつ極端な値動きがなく市場との取引が成立するものである必要があります。その資産に金を充てようというのは・・・まあ理屈の上ではあり得るでしょうが、現実には、ことに厚い金信奉がある中国のような国にはほぼ不可能。なぜなら、上記取引が成り立たない・・・って具体的には、金を売って人民元を得た側は、同じ量の金を買い戻すにはまず例外なく得たときよりもずっと多くの人民元を支払わなくてはならなくなるからです。これを人民銀(中銀)からみれば、こちらの記事でも書いたように、金融緩和(金を市中から買い上げて人民元を放出)はできても金融引き締め(金を市中に売却して人民元を回収)はできないことを意味するわけで、であれば金は、少なくとも人民銀の金融政策に用いる資産にはなり得ないでしょう・・・

 もちろん、だからといって金準備を増強することが無意味とはいいません。金は「不変かつ普遍的な価値を持つ通貨」(東方新報)だから、万一の際の外国に対する支払い等に充てるべき通貨になるためです。よって金を多く持つに越したことはないでしょう。けれど、国家の根幹(通貨・金融システム)をドル資産にしてしまい、かつその急激な劣化の脅威に直面する中国は、否応なく、その劣化分を金で充当するしかないために、結果として、使えない(手放せない)金を中銀B/Sに積み上げて、自らを縛ることになって―――金融緩和ばかりで引き締めがし難くなって―――インフレを防ぐことができなくなるのではないか・・・

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【中国にとって金買いはドルでできた自身の基盤を弱体化させることにもなる】中国人の金買いが教えてくれること③

2021-06-23 00:20:19 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 中国では現在・・・ってずっと前から引き続き(?)一般国民、そして政府権力層・当局もゴールド)の保有量を増やしているものと想像されますが、前述のように、それは米ドル(および米国債)のインフレ化(価値&信認低下)に対するリスクヘッジになるわけです。そして金準備の必要性と合理性は、アメリカが恒常的な(?)実質マイナス金利状態に陥る中、ますます高まっているといえるでしょう。何度も書いているように、アメリカはこのインフレを抑制する(≒FRB[中銀]が金融引き締めを進める)ことは(借金バブル崩壊→不良債権急増→金融恐慌→・・・の国家破綻を招きかねないので)不可能、つまりドル価値の維持を保つことはできない、ってことですからね。ゆえに、そんな劣化必然のドルに代わって「不変かつ普遍的な価値を持つ通貨」(東方新報)である金をもっと多く持とう、というのは、中国ばかりか(アメリカさえも含む?)世界のどの国の人々にも勧められるわけで・・・

 ところが・・・中国にとっては、金準備を増強することは、ポジティブに思えて、いっぽうで自国が拠って立つところを揺るがし、弱体化させる行為にもなってしまいます。というのも、かの国は、こちらの記事に書いたように、肝心かなめの自国の通貨・金融システムをドル・米国債に裏付けている―――中国人民銀行(中国の中銀)の資産を実質的にドル・米国債にしている(通貨「人民元」の信認をドル・米国債で担保している)―――ためです。であれば、中国が金準備を厚くすればするほど、今度は自身が持つドル資産の価値が下がり、その結果、これに裏付けられている人民元の価値・信用もまた一緒に落ちてしまうということに・・・

 もっとも理論上は、中国は上記を防ぐことが可能です(?)。ドル価値の劣化で穴があいた人民銀の資産勘定を金準備で補填すればよい、といったことです。そうすれば同行のB/Sは引き続き所定の規模を保ち、(ドル価値下落分と同額かそれ以上の価値の金で支持されるであろう)人民元の価値もまたドルの道連れでの下落を免れるでしょう。個人的には、中国当局が金を貯えてきたのは上記に備えるためだと想像されるし、だからこそ中国は自分の手の内を正直に明かさない―――本当の金準備額(おそらくは現時点でアメリカ[8千トン余り]を上回る保有量?)を国際社会に公表しない―――のだろうと推測しています。そんなことをしたら(中国が世界一の金準備国となったことを発表したら)たちまちドル暴落・金暴騰となって上記の目論見が崩れてしまいかねませんから(本当はドル暴落前に安値で金をもっと買い増したかったのに、できなくなってしまう、など)・・・

 しかし、これはあくまでも理論・・・空論に過ぎません。実際には、中国には上記を運営することができないでしょう。なぜなら、中国にとって・・・金はあまりに貴重過ぎる・・・ために手放すことができないからです・・・

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【国民が保有する金は潜在的な国家の金準備になり得る】中国人の金買いが教えてくれること②

2021-06-21 00:01:28 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 前回ご紹介のとおり、中国では人々の買いがコロナ禍前とほぼ同じ水準にまで復活しているわけですが、これ同国にとっては先述のようなネガティブな面はあるものの、他方でこれによって中国国内の金が増えていくという面はポジティブに考えられるでしょう。何といっても金は「不変かつ普遍的な価値を持つ通貨」(東方新報)であり、それは中国の国民にとってはもちろん、中国当局(共産党権力層)にとってもそうですからね・・・

 ご存じのように、そして本ブログでも何度か書いたとおり、中国は国家として金の保有量を(いまでも)増やし続けていると推測されます。同国の金準備は現時点(4月末)で2千トンあまりと国別ランキングでは6番目で世界一のアメリカ(約8千トン)の1/4程度に過ぎません・・・が、個人的には、それはあくまでも公表値に過ぎず、中国は実際にはもっとずっと多くの金を保有しているものと考えています。というのも同国は、2007年以降は世界最大の金産出国(2020年は380トン)であり続けているし、金の消費も旺盛であり、そして上記のように中国人には有史以来の(?)金への絶対的な信頼があるわけで、そうしたところからすれば、中国当局が金をもっと確保しよう・・・って、アメリカ以上の保有を目指そう、と欲するのは、まあ当然だろう、と思えるためです。

 そんなところに国民もまたこうして金をかき集めているわけですが、きっと中国当局は、イザというときは、国家安保の観点から等の大義名分で、これを国民から召し上げてしまえ!などと考えていることでしょう(?)。そのあたり中国は共産党一党独裁の専制政治の国ですから、そんな政策(不当に安い価格で金を強制的に拠出させる等)の決定と実行なんぞ、あっという間にできるはず(って、同じようなことはアメリカ[のルーズベルト大統領ら]もやっていますけれどね)。そのような意味で、国民の金買いは、これが潜在的な国家の金準備になり得る、という見地からポジティブ、と解釈できると思われます。

 ところで、現在の国際金融・通貨システムのもとで金準備を増強することの最大の意義は、基軸通貨である米ドルそして米国債のリスクヘッジになります。そのあたりは、すでにあちこちで論じられていることだし、本ブログでも何度も指摘しているので詳細は省きますが、いま、その必要性が急速に高まってきました。それは、これまた既述になりますが、アメリカの実質マイナス金利没入のため、になります。つまり・・・すでにドルはもちろん米国債の利回りは、アメリカで売られている「紙おむつ」の利回り、すなわちインフレ率に及ばないところ、ドル&米国債ホルダーは、一刻も早くそれらの価値を他のもっと値持ちのよい資産に移転させないと(その価値はどんどん劣化してしまう)・・・ということです。そこで選択されるべき資産は、とりわけ中国では、(ドル建て「紙おむつ」もいいけれど?)上記の事情等から、やはり金、ということになるのでしょう。

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【中国の金消費量、今年第1四半期は前期比93.9%もの増!】中国人の金買いが教えてくれること①

2021-06-19 15:57:06 | 金(ゴールド)
 科学技術がこれほど進んだ現代でも、かの国の人々がやっていることは数千年前から変わっていない、というあたりから学べることの奥は深いですよ・・・

 先月、中国ではゴールド)の「爆買い」が復活したと、東方新報(日本で発行されている在日中国人向けの中国語の新聞)が報じました。中国黄金協会によると、今年第一四半期(1~3月)の金消費量は288.2トンに達し、コロナ禍のさなかにあった前年同期比で93.9ポイント増とほぼ倍増と、2019年の同期水準まで回復したそうです。そのあたり、金価格が世界的に高騰した昨年は中国でも金1グラムが600元(約1万円)と高値だったのが、最近は470元前後にまで安くなったことも要因になっているようで、金地金・金貨のみならず宝飾品とか工業用金の消費量も軒並み増加したとのこと。

 さて、上記報道ですが、まあ上記の数字を冷静にみると、コロナ禍で落ち込んだ中国の金需要がそれ以前のトレンドに戻った、といったくらいで、「爆買い」というほど極端ではないかな、とは思います・・・が、ここからは中国人の金に対する信奉が引き続き厚い様子が窺えます。そのへんは、日本人などに比べて中国人は金ぴか派手好みだからというのもあるのでしょう・・・が、もっと本質的なところは、同紙が述べるように、「歴史的に見れば、王朝が誕生しては滅ぶ歴史を繰り返してきた中国において、金は不変かつ普遍的な価値を持つ通貨」だからと理解するべきでしょう。時の王朝なり支配層が変わるたび、それまでの通貨が一瞬にして無価値になるなか、その変遷に影響されず、数千年もの長期間にわたって価値を保ってこられたのは唯一、金だけ、ですからね。ここは、以前から中国を「王朝国家」とみなしているわたしとしても、うなずけるところです。ということは・・・中国人民は本能的に感じ取っているのでしょうね(?)、近い将来、「現王朝」もまた・・・

 ともかく、中国ではいま(も昔も)こうして人々が金の確保に走っているわけですが、これ現王朝の支配層・・・に当たる中国共産党当局にとっては、ネガティブ・ポジティブの両面から捉えられることでしょう。まずネガティブ面ですが、国民が金を買うということは、上記のとおり、その通貨である「人民元」に対する不信任の表れだから、金人気をこのまま放置すると、それとは反比例に人民元の内外での信認が低下しかねない、といったこと。これは現在の中国の国際的な地位の動揺につながるので、同当局としては、人民元を守る見地から、上記の過熱化は防ぎたいところでしょう。実際、今月1日、中国人民銀行(中国の中央銀行)は反マネーロンダリング法の改正法案を公表し、違反行為の対象範囲を金融機関等のほか貴金属取引所や同ディーラー等にまで拡大する意向を示しましたが、それには上記の狙いもあるためと想像されます。

 いっぽう、国民の金買いにはポジティブな面もあるでしょう。これによって中国国内に貯まる金が増えるわけですからね・・・

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【株価維持のためにも日銀が政策を変えない結果、マネーは貯まり続けるが…】あり余るマネー、回らぬ不幸⑥

2021-06-15 00:02:23 | 日本
前回からの続き)

 邦銀の預貸ギャップが349兆円、そして日銀の当座預金口座残高が523兆円(いずれも今年3月末)といった具合にキャッシュが空前の規模に「ブタ積み」されてしまっているのは、日銀金融政策のせい、ということになります。つまり、日銀が国債を市場原理では説明がつかないくらいの異常な高値で買い上げてしまったためにこれらマネーは国債を買えなくなり、だからといって国債以外にマトモな(安全確実な)投資対象がないので、やむなく日銀当座預金に貯まり続けている、といったところです。そのおカネが何らの仕事もさせてもらえていないという意味でどれほど虚しく、結果として国民の多くが経済的に苦しい状態に追いやられているか、は先述のとおりです。

 で、日銀ですが、どうしてそんな政策を2013年春以降8年以上にもわたって続けているのか、ですが、その本当の目的(?)、そしてその本当に本当の目的(???)はともかく、こうすることでマネーに株などの国債以外のリスク投資をさせたいから、というのもあるでしょう。実際、最近ではこちらの記事にも書いたように、日銀は(これまた本来の市場原理に反して)ETF買いを通じて本邦上場株式を買い支えていますから、まあそういうことだと理解しています。そんなこともあり、このコロナ禍の不透明感のなかにあっても、株価ばかりは好調を維持しているわけです・・・

 ・・・と考えると、もしここで日銀が現行の金融政策を変更したら・・って、たとえば当座預金金利(付利)以上に国債の金利が高くなることを許容したら(国債買い入れ価格を引き下げたら)、(国債投資を再開できる)邦銀や(現金支給策等の受益者となる)国民はありがたいでしょう・・・が株価は一転、急落する可能性が高いと思われます。現行の高い株価は景気とか企業業績がよいため・・・とかではまったくなく金融政策のおかげだから、これが変更されればおのずと下がるしかありません(?)。もちろん日銀がそれに耐えられるわけもなく(って、高株価がほとんど唯一の日銀政策のプラス面だから)、結局、株価維持のためにも現行政策を続けざるを得ないでしょう(?)。となれば・・・

 う~ん、困ったものですね(?)、現状のまま・・・どころかさらに増えていく、ということになりそうですよ「ブタ積み」が。それでも・・・日本が世界をリードするためにも、この本邦最大の政治経済的な問題は解消されなければならない、と信じるものです。たとえ、その過程で相当に傷つくことは免れないとしても・・・(って大丈夫、その傷は、やがて癒えるから)

(「あり余るマネー、回らぬ不幸」おわり)

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【円のキャッシュが5百兆円を超えて貯まり続ける理由】あり余るマネー、回らぬ不幸⑤

2021-06-13 00:01:41 | 日本
前回からの続き)

 これまで綴ったように、わが国には5百兆円超もの「ブタ積み」状態のキャッシュがあること、そしてこれを国債発行で十分に調達することができること(本邦金融機関が預金で国債を喜んで買うこと)から、日本政府はこれを原資とした大規模な現金支給策とか消費税減税(どころか消費税全廃!?)といった(とくにいまのコロナ禍のもとで資金繰りに苦しむ企業や家計を強力に支援できるという意味で)有意義な政策を展開できるわけです。

 ところで・・・このおカネ、なぜこうも―――数百兆円も―――貯まり、そして増え続けるのでしょうか。そしてどうしてそれが日本国債にばかり流入するのでしょうか。その理由については本ブログではすでに何度も論じ、最近ではこちらの記事に書いたとおりです。したがってここで詳細は省略しますが、ようするに大規模な財政出動なんてしたら財政赤字がまた増えてしまう・・・って種類の心配は基本的に無用ということ。これでばらまかれたマネーは、日本中を巡り巡って・・・最後は国民の誰かに銀行に預けられ、ふたたび・・・どころか何度でも何度でも国債に買い向かう―――本邦政府をファイナンスし続ける―――というように流れる、ってことです。

 そしてこれまた繰り返しになりますが、そのへんは日本の対極にあるアメリカを例に挙げれば分かりやすいでしょう。つまり、メイド・イン・チャイナに代表される輸入品に依存するしかない、かの国では、目の前のマネーが外国への支払いでどんどん消えていくために、このマネー不足を埋めるには外国から借金するしかなく、それでもおカネが足りないので、現状、FRB(中銀)が事実上の「財政ファイナンス」(中銀による国債の直接引き受け)でマネーを刷り続けている状態(実質マイナス金利状態)に陥っています。よってそうした過剰発行のマネーすなわちドルの価値は劣化するしかなく、そのドル建て債務である米国債の価格だって下がるしかありません・・・って、日本国債に対して。

 そんなことで日本のおカネは国内にとどまり続けるしかない・・・ってドル・米国債に代表される外国の通貨や債券等は円や日本国債よりも実質の利回りが低いために、ということになります。これこそ市場原理―――マネーは実質金利の高いところから低いところには流れない―――の反映だから、当たり前のことですが・・・

 よって、あとは安心して(?)自信をもって、上記政策を実行するのみ・・・なのですが、これに立ちはだか・・・り続けているのが日銀です・・・って、それだから何の仕事もしない巨額マネーが無意味に(?)生じているわけですけどね。

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【消費減税(消費税廃止!?)も現金支給策と同様のプラス効果あり】あり余るマネー、回らぬ不幸④

2021-06-11 00:15:00 | 日本
前回からの続き)

 前述したことから、わが国では、政府が国債を新規発行して、総額で・・・たとえば(1.3億国民一人あたり100万円に相当する)130兆円もの超巨大財政出動を行っても何らの問題もありません・・・というより、これを実行しない現状よりも、コロナ禍で苦境下にある業種(飲食業、接客業、観光業など)の企業やこれに従事する人々そして運用難にあえぐ邦銀などには、はるかにプラスの恩恵が及ぶことでしょう。

 ところで、このあたりに関連するところとして、現在、立憲民主党や国民民主党などの野党の政治家らが、次期衆院選を見据え、野党共通の大型政策として消費税減税を掲げることを検討しているようです。具体的には、消費税率を5%に引き下げよう、とか、同税率を時限的に0%にしよう、といったいくつかの案が浮上しています。で、本稿の文脈から見れば、消費減税は、とくにいまのタイミングとしては適切な政策だと思っています。これ上述の現金支給策などと実質的に同じだから、つまり税率が安くなった分だけのおカネがわたしたちの手元に残る(現金が支給される)といった感じになるからです。これにより、人々の各種費用の支払い負担が軽減されるとともに、購買力がアップするので、消費や景気にプラスの効果が見込めるでしょう。

 上記に対しては、当然ながら(?)「消費減税したら、ただでさえ世界ワーストクラスの日本の財政赤字がさらに拡大してしまうだろ!?」という(耳タコの?)反論が噴出することでしょう。が、消費減税程度(!?)で本邦財政がビクともしないのは上記&こちらの記事等のとおりです。つまり・・・500兆円台半ばもの「ブタ積み」状態の巨額キャッシュが同減収分相当の国債に怒涛の買いを入れる(国債が高値で売れる)ので、政府は一瞬かつ楽勝(低コスト)でファイナンスされてしまう、ということです。ちなみに、2020年度の消費税収の合計額は約21.7兆円(消費税1%でだいたい2兆円の税収)と、とても大きな額に思えます・・・が、上記の5百数十兆円と比べると、そのわずか1/25の「たった」といえるほどの小さな額に過ぎません。であれば、消費税率引き下げ・・・どころか消費税全廃(!?)でも全然OK!であることが分かるわけです。消費税収相当額の新規国債は上記のようにあっという間に高値で消化されるでしょうし、後には引き続き500兆円以上もの現金が、つぎの国債が市場に出てくるのを待ちわびまくっているのですからね・・・

 ということで、野党・・・そして与党の違いによらず、政治家各位には(廃止を含む)消費減税をぜひ実現していただきたいものです。もっとも、センセイ方は、同減税等にともなう歳入減を国債増発で賄うことがどうして大丈夫なのか、をちゃんと説明できていないように思えます(?)。そのあたりは上記等を引用していただいてけっこうですよ、簡単な話ですからね・・・

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【500兆円超ものマネーに仕事をさせるには大規模な財政出動が必要】あり余るマネー、回らぬ不幸③

2021-06-09 00:20:02 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、わが国では預貸ギャップが約350兆円、日銀当座預金残高が約520兆円(いずれも今年3月末時点)というように、過去最高、文字通り「兆」スゴい額のおカネが積み上がっているわけです。個人的には、これこそ、現在のわが国における最大の政治経済的な問題だと考えています。なぜって・・・このおカネ、何の仕事(≒投資・消費等)もしていないからにほかなりません。そのあたり、社会保障費、公共事業、国防費などなどとしての使途がわたしたちの日々の生活に大きな影響を及ぼす国家予算の今年度額が「たった」約107兆円であることを考えれば、その数倍もの大金がこうして眠ったままの状態がどれほど虚しく、したがって私が思うように大問題だということか容易に想像いただけるかと思います。

 で、上記事態を解消して、このおカネが「流動性」「天下の回りもの」としての本来の役割を果たすことができるようにするには、先述したように企業等を中心とした民間の資金需要の伸びがそれほど期待できない中、現状、国が国債を発行してこのマネーから一部を調達し、財政出動として日本社会に流していく、ということ以外にないでしょう。そして、以前からの繰り返しですが、その内容は、まず額としては上記予算規模を上回る130兆円・・・って、象徴的に1.3億国民一人当たり100万円の規模、そして中身としては、第一にコロナ禍で苦境にある業種(観光業、飲食業、接客業など)に従事する方を対象とした現金給付策・・・って、一人当たり100万円を優に上回る額を支給するものとし、次はこちらの記事に書いたようなインフラ整備策、などがよろしいと思います。これらにはいずれも即効性が期待できる―――凍り付いたように動かなかったおカネを人から人へ巡るようにすることができ、これによって経済を活性化することができる―――からです。

 上記の国債発行は邦銀にとっても大いなる救いになるでしょう。これら国債は、運用先が見当たらずに途方に暮れる預金の最適な(安全安心な)受け皿になるからです。具体的には、日銀当座預金に積まれたマネーがこの国債を買うことになります。マイナス金利政策下の現状では、同預金の付利は平均で年0.1%にも満たないと推測されるわけですが、それでも同口座に500兆円超も留まらざるを得ないくらいの運用難ですから、新規国債への需要は非常に大きく、よってその価格は高い水準を維持するでしょう(利回りは付利を少し上回るくらいの水準にとどまるでしょう)。そのため政府の資金調達コスト(国債利息)も低レベルに抑制されることでしょう。

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