世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【大半の生活財を輸入に頼る新興国に欠かせないのが、ドル】北朝鮮の猛反発に見る「決め手は通貨」③

2020-06-29 00:02:40 | 世界共通

前回からの続き)

 前回までに綴った、このたびの北朝鮮の韓国等に対する外交姿勢の硬化は、同国の外貨準備・・・というか手持ちの米ドルの減少が止まらないことの焦りの表れといえるでしょう。そのあたり、韓国に厳しく当たることでアメリカを引っ張り出し、経済制裁の緩和―――ドルへのアクセスの回復―――を要求しようという、相変わらずの瀬戸際作戦ということなのでしょうか?

 ということで、そんな北朝鮮を見るにつけても、この手の国においては、やはり決め手は国際決済通貨としてのドルなのだな、ということをあらためて感じさせられます。つまり、国家国民が必要とする物資の大半を外国に依存している北朝鮮のような国≒新興国は、これらを買うためのドルが絶対に欠かせない、といったようなことです。まあ同国の最大の貿易相手は中国だから、人民元があればメイド・イン・チャイナは購入できるのでしょうが、以前から論じているとおり、人民元は「疑似ドル」すなわちドルにその信認を裏付けてもらっているわけで、その意味では人民元よりもドルのほうが明らかに価値が上です。よって北の人々にとって脱北者に風船で飛ばしてもらうのは、何といってもドルがありがたいでしょう。いっぽうの人民元はないよりはマシ、といったあたりでしょうか・・・(?)

 同じことは、これまたアメリカ(ドナルド・トランプ政権)の一方的な?経済制裁に苦しめられているイランについてもいえそうです。先日の韓国メディアの報道によれば、イラン政府は現在、韓国に対して、韓国内の銀行に開設されたイラン中央銀行の口座の凍結解除を求めているとのこと。この口座には韓国がイラン産原油の輸入料金として支払った数十億ドルが預けられているとのことですが、アメリカの対イラン制裁の一環として韓国がこれを凍結する措置をとっているため、イランはこのドルを手にすることができず、ゆえに当該凍結された金額に等しい外国財を購入できなくなっているようです。

 (石油・天然ガスを売れるだけ北朝鮮よりはマシとはいえ)イランもまた北朝鮮などと同じく、生活必需品などの大半を外国からの輸入に頼っていて、それらの購入にはドルが必要です。それに同国はいま(一時ほどではないようではあるのもの、)新型コロナウイルス感染拡大にともなう外国産医薬品等の調達ニーズが高まっているとみられ、その意味でもドルが引き出せないのは苦しいところでしょう。イラン国民は当然、この口座凍結を韓国等にやらせたアメリカを恨むのでしょうが、だからといって、こちらの記事に書いた事情などから中国やロシアなどはイランの味方には必ずしもなってはくれないこともあり、結局、自分たちはそのアメリカの通貨にこうしてすがるしかないというトホホさもまた痛感するところでしょう(?)。このへんはアメリカと戦争状態にある(現在休戦中)にもかかわらず、ドル札がぶら下げられた風船が自分のところに飛んでくるのを待ちわびる北朝鮮の人々の心情と同じです(?)。

 なお韓国は、本心ではイランに対して上記措置をしたくはなかったものと思われます。イランは韓国にとって重要な石油輸入先のひとつだからです。ですが・・・韓国としてはアメリカの、イラン制裁に協力・同調せよ、みたいな指示に逆らうことは、(とくにいまのタイミングでは)できないのでしょう。北朝鮮が上記のような感じですからね・・・

(続く)

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【風船によるドル札散布にプライドがずたずた?の北朝鮮支配層…】北朝鮮の猛反発に見る「決め手は通貨」②

2020-06-27 00:03:55 | アジア

前回からの続き)

 先述したように、北朝鮮を激怒させた韓国発の風船には、北の現体制を非難するビラ等に加えて米ドル札や中国の人民元札がぶら下げられているとのこと。実際、これを行っている在韓脱北者団体は23日、北向けに飛ばした風船に1ドル札2千枚をつけたと語ったうえ、今後もこれを実行すると明言しているみたいです・・・

 まあ(ビラもそうでしょうが)、これ、北の支配層はイラつくところでしょう。というのもこのドル等の外貨、いまの北朝鮮にとって一番、必要なものだからです。よってそれを「くれてやるよ」とばかりに散布されたら、特権階級も軍人も、そして庶民も、我先にこれを拾い集めようとするでしょう。そしてこのあたりを韓国・・・の脱北者に見透かされているわけです。そんなトホホな状況にほぼ100%の国民を追い込んだのは現体制、ということで、金正恩朝鮮労働党委員長ら支配層はプライドを大いに傷つけられるところ・・・だし、自分たちもそのドルが欲しくてたまらないから、そんな自身に対するナサケナサも加わって(?)余計に腹が立つ、というものです・・・(?)

 このような北朝鮮の外貨事情ですが、上記から容易に想像がつくように、現在、非常に厳しい局面にあるもよう。16日の読売新聞の報道によると、2017年以降の国連やアメリカ等の経済制裁等の影響で同国の外貨は減り続け、2023年には枯渇する可能性があるとのこと(って、けっこう先とも言える?)。北朝鮮は地下資源や水産物などの輸出ルートの大半を閉ざされているほか、重要な外貨獲得源だった労働者の外国派遣も昨年末からは進められていないそうです。こうして外貨を稼げなくなったいっぽうで、石油などの原材料とか生活物資の大半、それに特権層を手なずけるためのぜいたく品などの購入には引き続き一定額の外貨を使っているでしょうから、差し引きの外貨収支は上記のとおり、じり貧に、ということなのでしょう。

 上記に加え、このたびの新型コロナウイルス感染拡大に関連し、北朝鮮は今年1月末以降、最大の貿易相手国である中国との国境を封鎖しています。感染者数や死者数などを含めた同国のコロナ禍が実際にどのような状況なのか、はっきりしない感じですが、いずれにせよ、これによって上記外貨事情や国家国民の経済状況はますます厳しいことになっているのでしょう。日本や韓国などの感覚では、たかがビラくらいで、そして2千ドル程度で、そこまで―――貴重な外貨獲得源の一つだったはずの開城工業団地プロジェクトを自分から破壊寸前にするほどの過激なアクション(南北共同連絡事務所の爆破)に出るくらいに―――怒るか?フツ~、といったあたりでしょうが、これ北の支配層が風船・・・とかコロナ禍が象徴する上記事態≒外貨不足に、いかに怯えているか、そしていま、それがいかに深刻になっているか、を示すことといえるでしょう(?)。

(続く)

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【北朝鮮、韓国発の風船ビラ&外貨散布に猛反発】北朝鮮の猛反発に見る「決め手は通貨」①

2020-06-25 10:36:13 | 世界共通

 お隣どうし、いろいろとやっていますが、ここは微妙に距離を置いて冷静に見守りつつ、学ぶべきことを学ぶのが得策かと・・・

 ご存じのように、韓国北朝鮮との対立が激しくなっています・・・というより、北朝鮮が勝手に?韓国に対して激怒し、これに韓国が(しかたなく?)反発している、といった感じでしょうか。これ、在韓脱北者の一部が、北朝鮮の体制を批判等するビラ等をつけた風船を北朝鮮に向けて飛ばしているのを韓国が阻止等しなかったことが大きな原因となっているようですが、つい先日は開城工業団地内の南北共同連絡事務所を爆破するという過激なリアクションをしたことから分かるように、それだけこの風船が運ぶものが北朝鮮にとって脅威なのでしょう。まあそのあたりで思うことは後に綴るとして、まずはこの両国の基本的な関係について・・・

 韓国と北朝鮮は、一定の線を越えて関係が改善に向かうことはけっしてないと認識しておくべきでしょう。その理由はひとえに北朝鮮の都合にあって、北朝鮮には、現体制の存在意義が薄らぐことのないよう、韓国との融和はほどほどにとどめようという考えがあるだろうからです。金正恩朝鮮労働党委員長を筆頭とする独裁政治は、(現在休戦中の)朝鮮戦争交戦国である南朝鮮(韓国)・・・とその背後のアメリカに対抗しているからこそ正当化される(?)わけです。そこで南と仲良くし始めたら、何のための独裁や軍隊なのか?となって、国民の多くが民主化や現体制が独占する権限とか財産の分与を求めて立ち上がり、場合によっては過激な行動に出るかも・・・ってあたりを北の支配層は恐れます。したがって北朝鮮には、そんな危機や混乱がもたらされることのないよう、南とは対立し続けることが絶対に必要であり、いっぽうで韓国の政治勢力の一部が選挙民向けアピールとして(?)北支援に前のめりになりがちという事情を見透かし、少しだけ融和を演出することで南、そしてこれに連なるアメリカ等から援助等をゲットする・・・けどそれ以上の関係深化には進まない、というねらいがあるものと思われます。

 で、日本の対北外交スタンスについてですが、上記をふまえれば、わが国に対して何らかの要求を強力にできるほど韓国と北朝鮮が一致団結することはない、という前提で考えてよろしいかと思います。このあたり、南北の友好促進や統一を素直に願う人々に対しては申し訳ありませんが、両国の対日感情等がけっしてよろしいとはいえないなか、日本の安全保障にとってはプラスの面があるといえるでしょう。よって日本は、韓国にそれほど気兼ねすることなく(?)独自の対北外交を進めることができるものと思っています。具体的にはこちらの記事等でも書いているので省きますが、たとえば今般の陸上イージス・アショア配備撤回の報道でクローズアップされた北のミサイルは本来、日本をメインのターゲットにするものではないはず。よってわが国としては、上手な北外交でその脅威を大幅に軽減させることが可能だし、これを打ち落とすのはまず無理とされる(?)この種の兵器に多額の血税をつぎ込む必要もなくなるわけで・・・

 とまあ、上記はともかく(?)、このたび北朝鮮を猛反発させた上記の風船ですが、これには上記ビラのほかに米ドル札や人民元札がつけられているところに実行者たちの戦略的な意図を感じます。これ以前から行われていることではありますが、厳しい経済制裁を受けている北朝鮮・・・の人々にとってのこうした外貨は、これまで以上にありがたいものであろうからです。

(続く)

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【人工国家・米中両国を歴史の記憶にするのは…】米中両国、互いに戦略的パートナーである事実は揺るがない⑫

2020-06-23 00:30:40 | 世界共通

前回からの続き)

 ということで、あれこれ綴っているうちに何だか表題からだんだんズレてきてしまったようです。もっとも、先述したように、アメリカ中国は国是(?)が「Money is power.」―――一握りのマネーリッチが資産と権力の大半を握り、大多数の非リッチの上に君臨する―――という点で同じといえます。よってそのパワー層が恐れるものも同じ、つまり、自身らの資産や権力(の一部)が大多数派の一般国民に奪われてしまう(再配分されてしまう)ことだといえるでしょう。その意味で米中両国には「アメリカ対中国」ではなく「リッチ対非リッチ」という対立の構図のほうがはるかに明瞭に存在するように思えます。であれば、リッチ層が恐れるのは自国の非リッチ層の決起、ということで、アメリカも中国も(より正確には既得権益層は)「law and order」「国家安全法」等で、その抑え込みに必死になっているといった感じでしょうか。

 そして、米中のリッチ層はじつは意外に(?)仲がいいように見受けられますね。何度も書いているように、アメリカは中国のマネー層にファイナンスしてもらっているし、中国もアメリカのドル・米国債にチャイナマネーの力を与えてもらっているわけですから、まあ当然でしょう。また、中国特権階級は米不動産を買いあさったり子息等を米大学に留学させたりすることで、アメリカの不動産業や大学ビジネスを大いに活気づかせるいっぽう、その代償として、イザとなれば、アメリカに移住させてもらうよ、という要求を暗にしているような気が。もちろんアメリカはそれWelcome、中国コミュニスト幹部の皆さん!でしょう、彼ら彼女らは巨額の私財とともにやってくるのだから。

 以上、上記のような米中・・・マネートップ層の持ちつ持たれつの関係が、他方で両国に共通する持つ者持たざる者との階層間の分断と対立をいっそう喚起し、やがて両国内では暴動やら内乱のような国家の存立を揺るがす深刻な事態が頻発することでしょう(って、すでにその兆候が続々出てきている?)。繰り返しになりますが両国は「Money is everything.」の人工国家。よって、この手の危機には非常に脆弱といえるでしょう。国民全体で団結しよう、とか助け合おう、なんて方向ではなく、われ先に&自分だけでも(そして武力行使してでも?)命とマネーを守ろう、となるからです。そんなこんなで米中両国は近い将来(勝手に・・・して)同種の人工国家だったソ連とかみたいに「そんな国があったね」と歴史の記憶になっていくのかもしれません(?)。

 本稿の最後に一言。こちらの記事等を含めて何度か書いているとおり、少なくともアメリカを今後、上記方向に不可逆的に(?)進ませる最大の原動力となっているのは、じつは「アベノミクス日本だったりする(?)ことを知っていてもよろしいかと。もちろん、そんな真の狙い(?)は口にするべきではなく、表向き(?)、アメリカ様を支えたい!という一心でアベノミクスやりました~!くらいでいいと思いますけどね・・・

(「米中両国、互いに戦略的パートナーである事実は揺るがない」おわり)

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【中「国家安全法」、米「law & order」ともに富裕層を守るのが目的】米中両国、互いに戦略的パートナーである事実は揺るがない⑪

2020-06-21 00:03:00 | 世界共通

前回からの続き)

 ご存じのように米中両国はいま、それぞれ以下の人権にかかわる問題に揺れているところです

 中国では先般、「国家安全法」が成立し、これによって香港が享受する「一国二制度」が北京政府によって大きく制限されていくのでは、といった懸念が高まっています。これ、本稿の文脈に沿っていえば、このまま香港の民主化進展を放置したら、やがてそのうねりが中国本土にも波及して民主化、すなわち共産党幹部らにとっては自分たちのマネーの独占体制が動揺する事態になりかねないことを意味します。そこで特権階級としては、こうした自身らの権益を危険にさらす事態を招き得る香港の民主化を何としても封じる必要が出てくるわけで、その策が今回の法制定ということになるのでしょう。彼ら彼女らにとっては中華人民共和国なる「国家」が「安全」ということはそういうこと、つまり自分たちの資産や地位が安泰であってはじめて「安全」だという意味なわけで・・・

 アメリカはご存じ反人種差別ムーブメントです。これについて現在、米ドナルド・トランプ大統領はしきりに「law and order」(法と秩序)を口にしたり、ツィートしたりしています。すでに伝えられているとおり、これ、20世紀後半、トランプ氏と同じ共和党のリチャード・ニクソン氏が大統領選で多用した言葉です。このたびの反人種差別運動の高まりのなか、トランプ氏が人種間の融和を訴える代わりに(?)、このワードを繰り出しているということは、ニクソン氏と同じように、当時の反戦運動にウンザリしていた人々≒今日の上記運動に嫌気する人々、つまり白人層の支持を得たいため、という面もあろうかと思われます(?)。

 でその白人層とは・・・上述のリッチ階級、ということで、反差別が反格差に転化し、資産課税強化など、自分たちの資産が減額等させられるような展開になることを恐れているはず。よって、ここは、上記運動がそうした過激(?)な方向に行かないよう、いまの秩序(order)が守られてほしいわけで、よって今秋の大統領選はそのあたりを訴えるトランプ氏に!となることを期待したうえでの同氏の「law and order」なのだろうと推測されるところです(?)。

 以上のように、米中両国がいま直面している上記の人権に関する問題は、本質的には前述のマネー格差に根差したもの。よって、この問題解決に向けた民主化推進とか格差是正策は、両国リッチ層にとってはその資産や地位のかなりを非リッチ層に持っていかれてしまうことになるわけですから、何としてもこれらを阻止したいところ。そのあたりの一例が、中国の場合は「国家安全法」、アメリカの場合は「law and order」なのだと理解しています。いずれも真のねらいは・・・富裕層の資産と権力を守る、というものなのでしょう(?)。

(続く)

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【差別緩和にはマネー格差の平準化に向けた政策が必須だが…】米中両国、互いに戦略的パートナーである事実は揺るがない⑩

2020-06-19 00:30:30 | 世界共通

前回からの続き)

 前述したように、アメリカの人種差別、そして中国の少数民族抑圧や農民工に対する戸籍差別等の根幹にあるものは、これら人工国家で唯一共有できる(?)価値観である「Money is power.(マネーこそ力)」≒「拝金主義」といえるでしょう。よってこれら差別の緩和に不可欠の条件は、このマネー格差―――資産や収入の巨大な差異―――の抜本的な是正になってきます。逆にいえば、「Black Lives Matter」とか人類平等みたいなスローガンなんぞでは、差別のない世の中なんて築けるはずがありません。それは遅くともキング牧師の暗殺以降、現在まで、差別をめぐる状況がまったく変わっていない・・・どころかますますヒドくなっている(つまり、マネー格差が拡大している)ことからも明らかです。それくらいマネーには、みんな仲良く!程度のメッセージくらいならば軽~く吹き飛ばすくらいのキョーレツな力があるわけです・・・

 では、マネー格差を和らげていくにはどうすればよいか?ですが・・・もうこれ、人々が持つマネーの量をある程度、平準化させるため、公権力(≒政府)が割って入って資産や所得の再配分を進める以外にないだろうと思います。具体的には、所得税相続税における累進課税(収入や相続財産が多いほど、より高い税率を課すしくみ)を強化するとか、金融取引に関する税率を引き上げるなどが考えられるでしょう。逆に、消費税などのような逆進性の高い税金は減税や廃止等が求められるところです。また、労働者の最低賃金の引き上げなども必要になってくるでしょう。その他、現在大流行の(?)超緩和的な金融政策も見直されるべき。以前から何度も指摘しているように、これ、実質マイナス金利状態を誘導し、超低金利借金を原資とする株や社債や不動産等の投機を煽るものですが、いっぽうでガソリンや小麦などの商品投機も喚起されてこれらの価格も上がるほか、実態としてヘッジファンド業にいそしむ(?)大学の学費などの高騰を引き起こすなどして、中低所得層の経済環境を悪化させる面があるためです。

 政府が上記施策等を進めることができれば、人々のあいだのマネー格差が緩和され、それによっておのずと人種や階級間の差別も少なくなっていくでしょう。繰り返しになりますが、差別の大元にはこのマネー格差があるわけで、よって差別を消滅させようとするのなら、上記のように人々の間の資産や所得等の現状の大きすぎる差を小さくしていくしかないためです・・・

・・・ってこれらが「アメリカン・ドリーム」―――夢物語、つまり現実には起こり得ない、とりわけアメリカや中国では・・・というのはいうまでもありません。理由はこれまた書いたとおり、現在の既得権益層が、上記のような、自身らの資産や所得の減少につながるような上記政策等を認めるはずがないからです。そのために彼ら彼女らは為政者を買収等してこれらを阻止する・・・のはもちろん、おそらく、さらに累進性を弱める(逆進性を強化する)とか、金融緩和を強化するとか、そういった方向に公権力が市場や社会に介入するよう、仕向けることでしょう。(カネにモノを言わせた?ロビー活動が公然と認められている)アメリカも(共産党幹部へのコネが効く?)中国も、カネさえあれば政治は動かせる―――「I have a dream.・・・」等とどれほど熱く訴えてもカネがなければ政治は一切?動かない―――わけですからね、歴史が証明するように・・・

(続く)

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【中国のマネー格差は米人種差別の根幹にあるものと同じ】米中両国、互いに戦略的パートナーである事実は揺るがない⑨

2020-06-17 00:02:47 | アジア

前回からの続き)

 前述のように、アメリカ人種差別がなくならない根源的な理由は、同国の「クレド」(Credo:信条)ともいえる「Money is power.(マネーこそ力)」のもと、マネーを持つ者(多くは白人)と持たざる者(黒人の大半)との間に変え難いほどの格差があるため、といえるでしょう。となると、いくら「Black Lives Matter」運動が盛り上がっても、この人種間のマネー格差が緩和されることがなければ、肌の色での差別の緩和もまた、進むことはない、ということになりそうです・・・って前述のように、最近では資産トップ層がいっそう少数化し、よって白人の大半がここから脱落し、そのマネー環境がマイノリティ側にむしろ近づくとともに、同トップ層に白人でも黒人でもないアジア系が多く食い込んでくるなど、上記格差とか差別をめぐる事情がアメリカではますます複雑化しているわけですが・・・

 上記の巨大なマネー格差は、中国でも同様にみられることです。こちらの記事等でも綴っているとおり、かの国のマネー長者は共産党特権階級や同政府に近い企業家などのほんの一部に限定され、税制面などでも優遇されています。それ以外の大半の国民は、これら階級の被雇用者などとして、年金制度や保険などのソーシャルセイフティーネットも脆弱なまま、安い賃金で働かされたりしています。それでも改革開放が先行した沿岸部等の住民はよいほうで、内陸部の農民などは「農民工」として実質的な戸籍差別を被っているほか、チベット族やウイグル族などの多くの少数民族も、風土や文化等のまったく異なる遠い地から乗り込んできた漢族リッチ層にマネーパワーで押し込まれつつあるわけです。こうした中国における特権層とそれ以外の国民(とりわけ農民や少数民族)とのマネー格差は、先述した米人種差別の根源にあるものと同質といえるでしょう。

 現「王朝」の中華人民共和国が建国からしばらくの間(改革開放前夜くらいまで?)、モットーとした共産主義とは、モノに価値を置く唯物主義のことでもあります。よって、これが改革開放後、場合によってはアメリカも驚くくらいの?むき出しの拝金主義に転じるのは、まあ無理からぬところでしょう。そしてこれが、チベット人やウイグル人らの人間の精神性に重きを置く価値観を排除していく様は、アメリカの「Money is power.」が先住民族の「Great Law of Peace」を消滅させていった過程とよく似ているように感じられます。

 この中国におけるマネー格差もまた、アメリカのそれと同様、いやそれ以上に?平準化は難しいでしょう。なぜならこれ、格差是正(資本家排除、労働者階級独裁の確立)を目指した共産主義革命の結果、生じた格差だからです・・・

(続く)

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【米人種差別がなくならないのはマネー格差が大きすぎるから】米中両国、互いに戦略的パートナーである事実は揺るがない⑧

2020-06-15 00:08:13 | アメリカ

前回からの続き)

 前述のように、すべてのアメリカ国民が共有できる価値観は合衆国憲法・・・なんぞではなく、「Money is everything.(マネーこそすべて)」「Money is power.(マネーこそ力)」。そしてそのマネーは、いまや極端に偏在してしまったといえます・・・

 「Forbes Japan」の記事で紹介されたFRBの調査によると、アメリカでは2018年時点で、もっとも裕福な10%が家計資産全体の70%を保有していますが、この値、1989年には60%だったとのこと。そしてトップ1%の割合は、1989年の23%から2018年には32%へと4割も増えています。このようにアメリカではリッチ層はますます豊かに、他方で貧困層はもちろん、かつては中間階級などと呼ばれた人々の大半もこの間、逆に資産を失い、経済環境が厳しくなりつつある様子が窺えます

 このあたり、さらに厳しいのは、マネー格差がここまで大きくなると、アメリカでは一人ひとりの一生が生まれ落ちた環境でほぼ決定されてしまいそうだということ。そこがリッチならば大卒の学位が得られ、高い収入が得られる職業に就けるが、プアな家庭だとバカ高な教育費が賄えないので、いくら意欲やポテンシャルがあっても大学等に進学できず、専門的な知識とかスキルを身に着けられないまま、低賃金の仕事を選択せざるを得ない、といった感じです。こうしてアメリカでは、富裕層とそれ以外の階層が、ずいぶん前から世代を超えて固定化されてしまったわけです・・・

 で、いうまでもなく、上記で下位の階層に多く属するのが黒人などのマイノリティであり、上述のように、自分たちはもちろん、その子息が上の階層にランクアップすることも(スポーツや芸能等の特定ジャンルを除けば)非常に難しいでしょう。そして・・・これまではアッパークラスだった白人層のかなりが、上記のように富の集中がますます進む中、そこからあぶれ、だんだんとマイノリティ側に近づいているといえます・・・

 以上をふまえれば、いくらキング牧師が熱く訴えても、オバマ氏が大統領になっても、アメリカ社会は変わらなかったし、現在の「Black Lives Matter」運動がさらに盛り上がっても、変わることはない―――どころか、社会の分断がいっそう進む恐れが大きい―――だろうことが分かるというものです(?)。なぜなら、米人種差別問題の根源には上記のような変え難いマネー格差があるためです(逆にいえば、この格差が緩やかなら、人種差別は自然と少なくなっていくでしょう)。そしてこれほどの格差を生んだのが前述、人工国家ならではの極端なマネー信奉のせいであるともいえるのではないでしょうか。

 なお、このへんを現在、さらに複雑にしているのが、上記のように、かつては受益層であったはずの白人たちの多くがそこからドロップアウトしつつある状況です。これにより彼ら彼女らはどう動くのか?マイノリティらとも手を取り合ってこの格差是正を政治的に求めていくのか、それともそんなこと(これに反対するスーパーリッチ層が、そうさせないように政治家らに献金攻勢をかけるから?)できっこないので白人至上主義に傾倒していくのか・・・(?)

(続く)

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【米中の唯一の国民的価値観「マネーこそすべて」】米中両国、互いに戦略的パートナーである事実は揺るがない⑦

2020-06-13 10:02:58 | 世界共通

前回からの続き)

 先述のとおり、アメリカ中国の2か国は、モノとカネを軸に、あらゆる分野で密接に結びついているほか、権力と資産の大半がほんの一握りの人々に集中しているという政治・社会的な構造もお互いよく似ているし、大多数の国民がそれらを変えたくても、事実上、変える仕組みがない(中国では共産党特権階級、そしてアメリカでは大口献金者[大企業等]の利益になる法律や政策ばかりがまかり通る?)という点でも同じです(?)。

 このように、まったく正反対に思える米中両国が実際には同質的な国になった理由のひとつとして、両国とも歴史の浅い「人工国家」だという点が指摘できるかと思います。

 その歴史ですが、ご存じのようにアメリカはイギリスの植民地から独立した18世紀後半から現在まで2百数十年しか、そして中国・・・というより中華人民共和国は1949年建国ですから、それからまだ70年しか経っていません。4千年の歴史?とんでもない(?)。中国はこれまでの各王朝で、その直前まで受け継かれてきた人々の貴重な英知や価値観などの多くを滅却してきています、古くは秦王朝の「焚書坑儒」、そして現王朝(中華人民共和国)の「文化大革命」などで。であれば、温故知新なんて困難であり、よって、かの国の歴史は現王朝分の70年そこそこ、とみるのが妥当でしょう(?)。ということで米中ともに、このように近代史的な事情で作られた国であり、アメリカ先住民族が長い時間をかけて代々口伝してきた「Great Law of Peace」のような揺るぎない概念でまとまっているわけでも、同じ民族とか言語等で自然にまとまってできたものでもない、ということが分かるわけです(?)。

 よって両国の為政者らは、国の一体感を維持するために、自分たちが国であることを、何らかのアイデンティティーを打ち出すことで国民に訴求し続ける必要が出てきます(って、逆にそうしないと、民族とか宗教等ごとにバラバラになりかねない)。それがたとえば・・・憲法、自由とか正義といったコンセプト、共産主義みたいなイデオロギー・・・等なのでしょうが、両国の現状を見れば分かるように、これらは国民を結束させることに成功しているとはいえないでしょう。まあ上記のように、もともと人種、言葉、宗教等の異なる人々を人為的に「一つの国です!」なんてやろうとしているので、無理もないな、という気もします。

 そんな人工国家である米中両国において唯一、すべての人々が共有できる価値観こそ・・・マネーということになりそうです。国内のA民族とB民族とで信じる神様が違っていても、マネーならばA、Bともに神様以上に(?)熱く信奉できる、といった感じでしょうか(って、そのあたりは両国で大発展した兵器武器産業に見て取れる)。かくして両国では、他の国々以上に「Money is everything.(マネーこそすべて)」となり、「Money is power.(マネーこそ力)」となって、その結果、マネーを持つ者と持たざる者とに極端に二分化された、ということと理解しています。

 で、そのマネーですが・・・いうまでもなくドルの姿をしています。そして、最近ではこちらの記事等でも書いたように、中国のマネーもまた、実質的にドルにリンクしています。と考えると、やはり米中両国は同類だよな~という思いが強くするわけです・・・

(続く)

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【デモ隊に軍隊投入示唆、中かと思えば米、米かと思えば中…】米中両国、互いに戦略的パートナーである事実は揺るがない⑥

2020-06-11 00:04:56 | 世界共通

前回からの続き)

 アメリカ中国は、激しく対立し合っているように見えても、前述のとおり、自らの存続に相手がもはや不可欠の存在になっているわけです。そのせいかどうか(?)、政治情勢や社会の在り方などについても米中両国は似てきているといえるでしょう。

 つい先日の6月4日は中国で「天安門事件」が起こった日。1989年のこの日、いっそうの民主化を求めて北京の天安門広場に集まっていたデモ隊に対し、共産党政府が軍隊を突撃させてこれを壊滅させ、結果として多くの死傷者が出たわけですが、それから31年も経過した今日でも、この事件は中国では超~タブー扱いになっています。よってこれをメディアで伝えたり、ネット等で流したりすることはご法度で、これを連想させる語句すらも使えなかったりするようです。

 で当日、わが国を含む世界中で天安門事件のことが報じられたにもかかわらず、中国国内では一切これに関連する報道は見られなかったもよう。その代わりに(?)多く伝えられたのが、アメリカでの暴動の様子。これまたご存じのように、これ、先般の、黒人男性が白人警官に絞殺されたことを発端に同国で起こった白人の黒人に対する人種差別に抗議する運動から派生して起こったもの。これを、ことさら、あえて「六四」に放送等することに、中国政府筋の意図が窺える(?)ところですが・・・

 で、そのアメリカでいま、勢いづいている反人種差別の動きに対して、ドナルド・トランプ大統領は国の行政トップらしく人種間の融和を強く訴える・・・のではなく、上記、これに乗じた一部の略奪行為等にばかり(?)フォーカスを当て、これに対する軍隊の投入等を示唆しました。幸いなことに、ここまでのところ、実際に米軍とか州兵等が市民に対して発砲等をするような決定的な事態には至っていないようですが、一部、警察車両が平和的なデモ隊に突っ込むなどの危険な状況もみられるようです・・・

 このように、国家権力が非武装の国民に対し、軍隊等による武力行使に及んだ(及ぼうとしている?)という点で、中国もアメリカも同じであり、よって両国は相手のことをあれこれ批判等できる立場にはなさそうです。

 そして、これほど多くの抗議の声が人々から上がることの背景にあるのも米中ともに同じでしょう。それは・・・権力と資産に関する、大きすぎる格差。もし格差の小さな、公平で平等な社会を両国が築けていたら、この手の大掛かりな反権力的な運動なんてそうは起きないでしょうから。ちなみに、じゃあ選挙で政治・社会を変えよう!みたいなことができないという点もまた、米中は一緒といえます。まあ共産党一党独裁の中国はいうまでもありませんが、一見、変えられる―――国民の声を政治に反映させることができる選挙制度がある・・・ようにみえるアメリカでも、公的なロビー活動が認められているせいもあり、政治家の多くは大企業等の大口献金者の意のままに動くわけです。であれば、上記デモに参加するような大多数の一般市民(≒権力も金力も小さな人々)が望む(公平公正な)社会が、かの国で実現されるわけがない・・・(?)

(続く)

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