世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【EU、米ドルを使わない国際決済システム構築へ】ドル「石油交換券」から「アメ車交換券」へ?①

2018-11-29 00:02:15 | 世界共通

 ドルが基軸通貨・・・というよりは「石油交換券」(私的定義)であることがあらためて実感される出来事だと思います。ですが、これをひとつのきっかけに、石油売買においてドル以外の通貨がますます使われるようになっていくかも。そうなったら、ドルは・・・

 米ドナルド・トランプ政権は今月5日、イラン核合意20157月に同国と米英独仏中ロが合意したもの)からの離脱にともなうイランに対する経済制裁の第2弾を発動しました。これはイランの生命線である石油輸出を妨害することでダメージを与え、(アメリカによれば)同国が進めているとされる核開発を断念させようというもの。アメリカは、イランが外国との石油売買に関連する金融取引ができないよう、国際銀行間通信協会(SWIFT:Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)に対して、アメリカが制裁の対象にしたイランの金融機関向けのサービスを止めるよう求め、実際にSWIFT5日、これに従って同国の銀行の一部に対してアクセスを停止すると発表しています

 Wikipedia等によれば、SWIFTとは、世界各地の金融機関同士のあらゆる通信にクラウドサービスを提供する非上場の株式会社で、現在、200以上の国や地域で1万社以上の金融機関が参加し、国家間の決済に不可欠な通信ネットワークを提供するものです。イランとの各種取引を行う企業はこのSWIFTを利用しているわけですが、アメリカがこれをストップせよ!といってきたことになります。これに反して同取引を続けることもできそうですが、そうするとその企業はアメリカでの商売が許されなくなったり、制裁金を課せられたりするリスクが生じるもよう。となるのはイヤだから、企業の多くはイランとの取引は手控えよう、となってイランは石油輸出や外貨獲得等ができなくなり、窮地に、というのがトランプ政権の目論見みたい・・・

 とまあ、イランが核開発を継続しているという確たる証拠が乏しい(?)なか、イランはもちろん欧州各国や日本などといった同国の貿易相手国にとっても、このアメリカの措置は何とも理不尽に感じられるところ。これでは何のための上記核合意だったのか、となってしまいます。けれど、これに逆らってイランとの付き合いをやめないと今度はアメリカ市場から追い出されかねないわけで、結局は大半の企業等がSWIFTの利用を断念することになるのでしょう・・・(?)

 他方、これを契機に欧州ではアメリカから独立した国際決済システムを構築する構想が浮上しています。これはEUが特別目的事業体(SPV)を設立し、イランが石油と外国の輸入品とを交換できるバーター取引ができるようにしようとするものです。具体的には、イランの石油を輸入したA国の企業が、イランに車を輸出したB国の企業との間で資金の精算を行うことでイランとの間でおカネのやり取りは発生させないようにする、つまり米ドルを石油取引の決済通貨に使わないという仕組みになります・・・

(続く)

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【「円」の価値は「金」を超えるべきだ!?】強い円はやはり最大の国益だ⑩

2018-11-27 00:03:40 | 日本

前回からの続き)

 上のグラフを見れば一目瞭然、わたしたち日本人が安全確実にドル価値=石油購買力を増やすのに有効な手段は、円預金(=日本国債投資)あるいは円のキャッシュをホールドすることになります。そしてその円のリスクヘッジには、前回書いたように(ドル等外貨ではなく)「」(ゴールド)の所有が推奨されるべきでしょう。このあたり、本ブログのあちこちで書いているように、長期的には実質金利(≒成長の配当)は「金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」の順になるところ、円以上にこれをもたらすのは・・・金しかない、というわけです。

 というように、理詰めで考えていくと、こうなる、といういつもの結論に至ります。しかし・・・しかし、です。以下に綴る点を考えると、円はその金よりも強くあるべき、なのではないか・・・?

 「円が金以上に価値があるべきって?さんざん金の価値を認めておいて、それはないのでは?」たしかにそうなのですが、金は他方で・・・これを持つ者には強奪されるリスクをもたらし、持たざる者には強奪したいというインセンティブを与えるような気がするわけです・・・

 大航海時代、中米のアステカ帝国や南米のインカ帝国を滅ぼしたスペインはこれらから大量の金を奪いました。最近ではアメリカが終戦直後のどさくさに紛れて日本やイラクから金を持ち去ったといわれます。「それは昔の話、いまはそんなことにはならないよ」本当にそうでしょうか? かりに近い将来、金本位制が復活して、国家間の決済に金が用いられるようになるとしましょう。おそらく、そのときは日本に多くの金が集まり、いっぽうで現在は国際収支赤字を垂れ流しているアメリカやイギリスなどの国々は金を失います。それは日本が実質的な世界経済の覇権国になることを意味し、いっぽうでアメリカ等はこれまでの特権的地位から転落し、激しいインフレに襲われて、国家国民ともに窮乏化していくことになりかねない・・・。となれば、同じ境遇の仲間と連携して・・・

 ということで、米欧(&中?)諸国は一致団結して、力づくで(?)日本には金を持たせまい!とするかも!? 具体的には、上記決済に金の支払いを履行しないとか、「たくさん持っているとアブナイだろ?だから預かってやるよ」などといって事実上、盗っちゃうとか・・・。残念ですが、いまの(って、じつは昔から?)日本政府・日銀は、この手の外国の理不尽な要求等に簡単に屈してしまうように思えてなりません・・・?

 「猫に小判」のたとえのとおり、わたしたちの生命維持に必要なのは衣食住を満たすモノやサービスであって、金塊ではありません。原材料を除けば、メイド・イン・ジャパンはこれらのほぼすべてを網羅しているわけです、しかも世界一の品質付きで。であれば、その交換券としてのの価値を維持向上させれば、たとえ金が国際通貨に復帰しても、そしてこれを水面下で(ときに暴力や恐喝等、キタナイ方法で?)奪い合うような世界になっても、やっていける―――円で原油などの原材料を確保できる―――と信じるものです。だからこその「強い円はやはり最大の国益だ」―――本稿のタイトルには、そのような思いが込められています。

(「強い円はやはり最大の国益だ」おわり)

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【「金」のみが「円」を上回るドル価値=石油購買力をもたらす資産】強い円はやはり最大の国益だ⑨

2018-11-25 00:00:45 | 日本

前回からの続き)

 ということで、アベノミクスが「カブノミクス」(アベノミクスの私的造語:取り柄は「株のみ」)を追求するあまり、通貨安誘導政策を展開した結果、わが国のGDP国富は激減、自衛隊の戦力は大きく低下、そして、わが国のアキレス腱(エネルギー)はいっそう脆弱になり、あげく、北方領土返還交渉の相手国ロシアには「敵に塩を送る」始末・・・

 本ブログで何度も書いているように、そして本稿のタイトルのとおり、一刻も早く上記の異次元さに気づき、本来の次元すなわちアベノミクスとは正反対の、「」の強さを活かす方向に舵を切るべきだと考えるものです。その過程で、残念ながらその「戻り地獄」(アベノミクスが高値掴みしたリスク資産が暴落すること)は避けられないとみていますが、外国人はともかく日本人投資家(年金基金、本邦企業および個人等)だけでもその被害を最小化するべく、対処を急いだほうがよろしいかと・・・(?)

 上記を意識しながら、あらためて本稿でご紹介した本グラフ(1970年から現在までの米ドルに対する円の価値の推移)をみると、何となくその方向は見えてきます。すなわちまずは単純に円預金(≒日本国債投資)、あるいは円のキャッシュをホールドすることでしょう。逆にドル等外貨への投資はNGです(直接投資も同様)。ただでさえアベノミクスのいまはこれらが円に対して極端に高くなっているうえ、2012年までのトレンドをたどれば分かるように、わたしたちにとっては、利息が付く米国債への投資だって、割に合うものではありません。これらの価値の保存力は円の現金(当然、無利息)にすら負けるためです。したがって、かりに外貨建て資産に投資するとしたら・・・元本割れリスク承知でハイリターン狙いの株とかジャンク債がその対象になりますが、これらは巨大な「双子のバブル」を形成していて、いまは手出しが危険でしょう。なので結論は、円で巣ごもり・・・って、こちらの記事に書いたように、多くの日本人がすでにそうしているので、上記のダメージは多少は緩和されそうです・・・

 次は・・・やはり「」(ゴールド)なのでしょうね。本稿では、円が強いほうが好ましいことの理由は、その意味するところがドル価値すなわち石油購買力の上昇だから、としてきました。したがって、円のほかに安全確実にこれをもたらしてくれる資産、そして「通貨」・・・としての性格を合わせ持つ投資対象は、となれば・・・金以外にないのではないでしょうか。

 実際、は、本稿前段で論じた石油価格の上昇に対して、円をも上回る価値保存力を示しています。1970年つまりニクソン・ショック(米ドルと金の兌換停止)前年まで金は1トロイオンス35ドルでした。これが2012年(アベノミクス前年、原油価格が110ドル/バレル前後に上昇)には同1800ドル付近(10月、年最高値同1792ドル)となりました。すなわち1970年→2012年の上昇倍率は、原油が約60倍(1.8ドル/バレル→110ドル)のところ、金が約50倍ということで、円の約13倍をはるかに上回り、原油に迫る値となっています。よって、不換通貨では世界最強の円のリスクヘッジを図るとすれば、こうした観点から自ずと「」になる、と考える次第です。

 が・・・

(続く)

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【アベノミクス、石油価格つり上げておいて露と領土交渉の異次元ぶり】強い円はやはり最大の国益だ⑧

2018-11-23 00:02:44 | 日本

前回からの続き)

 こちらの記事等、および本稿の前段でも述べたとおり、わが国のアキレス腱はエネルギーとりわけ石油であり、アベノミクス円安誘導のような、原油の円建て価格を意図的につり上げて、この供給を自分から難しくさせるような政策は、実体経済はもちろん国家安保の観点からも採用されるべき政策ではないと考えています。

 で、若干、本稿の文脈から外れますが、そのあたりが感じられる動きがありましたので、指摘しておきましょう。それは・・・ロシアとの北方領土の返還交渉です。

 こちらの記事に書いたように、経済面でのロシアは「石油・天然ガス」だけの国といっても過言ではないでしょう。よって同国の強弱は、単純にこれらの価格の高い低いで判定できると思っています。当然ながら原油価格が高ければロシア(やプーチン大統領)は強く見え、反対に安いときは弱くなってしまうわけです。それと真逆なのが日本のような非産油国で、石油の値段が上がれば経済や国民生活にダメージが及び、下がればこれらが息を吹き返し、景気等が上向くことになります。

 で、北方領土4島(歯舞、色丹、国後、択捉)の返還を求めたい日本としては、上記のことから、ロシアのほうから交渉のテーブルにつかせるべく、戦略的に石油価格の下落を促す方向にもっていきたいところ・・・っても、そのへんは短期的にはなかなか難しいので、少なくとも同価格の上昇に加担するようなことを自分からはしないようにするべき。これで原油の価格が下がれば、ロシアは資金繰りに苦しむようになり、諸外国に対して何かと下手に出るようになるわけです。そこが「狙い目」―――日本にとって同交渉を有利に進めるチャンス―――です。最近では2014年後半からしばらくの間の逆オイルショック期がそうでしたね・・・

 この観点からアベノミクスは・・・手ごわい交渉相手を大いに(?)アシストしてしまっているといえるでしょう。すなわちアベノミクスは、前述のように、超低金利誘導で円キャリートレードによる原油投機を活性化させ、石油の値段を押し上げて、結局はそのロシアを潤し、強くしているということです。そんな局面―――少し前の逆オイルショックでせっかく下がった石油の値段がふたたび上昇トレンドに入っているタイミング―――という、ロシアのほうが強気になれるときにノコノコ出ていくわけだから、そりゃ~本来の4島ではなく「2島返還論」になりますよ(個人的には最低でも「歯舞・色丹+国後島」は絶対に譲れない線だと考えていたのですが)・・・

 ということでアベノミクスは、日本の実体経済を弱体化させるばかりか、大事な領土交渉でも日本を不利な立場に追い込んでいると考えています。そんな異次元緩和・・・ではなく異次元外交を展開してまでも(?)守りたいものは・・・やはり唯一「株のみ」なのでしょうね・・・(?)

(続く)

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【アベノミクス、円安誘導&原油投機扇動のWエンジンで石油価格つり上げへ】強い円はやはり最大の国益だ⑦

2018-11-21 00:03:14 | 日本

前回からの続き)

 さて、前述したIEA(国際エネルギー機関)の、中長期的には原油価格は上昇し、2025年ころには88ドル/バレルと2017年(同52ドル)の1.7倍になるだろうという見通しですが、これを聞いた投資家のなかには、そうか、では原油先物を買っておくか、と考える方もいることでしょう。で、その購入のための調達資金の通貨に選択されそうなのが・・・主要通貨でもっとも金利が低い「」・・・

 ということで、アベノミクス」は、じつは二つのエンジンでわたしたちの生命線である石油の円建て価格のつり上げを喚起しているといえます。一つ目は、これまで綴ってきた実質的な円安誘導、そして二つ目がこの円キャリートレードによる原油等の投機扇動です・・・

 こちらの記事を含めて何度か書いているように、株はもちろん、債券や、原油等の商品等の取引に至る、あらゆる資産投資には現在、この「キャリートレード」―――低金利の通貨を借りて当該通貨よりは利回りの得られる可能性がある資産に投資すること―――が活用されています、しかもかなりのレバレッジをかけられて(?)。以前は米ドル等もこのキャリトレにおける調達通貨でしたが、アメリカ金利が上がるなか、借り入れコストが超低い円の当該通貨としての役割は一段と重要になっています。実際、そのドル建て債券投資でも円キャリが行われているわけですし・・・

 で、この円キャリが原油価格の押上げに機能したと考えられるのが前回は2011年~2012年あたり。本稿前段でも書いたように、このころの原油価格は110ドル/バレルあたりまで上がりました。その原因ですが・・・当時の中東情勢とか需要動向等などもあるでしょうが、円キャリがこの爆騰ぶりに少なからぬ影響を与えたのは間違いないでしょう。まああの頃は円高ドル安で救われた面がありましたが、いまのアベノミクス下ではそうはいきません。ただでさえ「カブノミクス」(私的造語:アベノミクスの取り柄は「株のみ」)優先で株高円安が煽られている中での円建て原油価格の値上がりにつながるためです。何度も書いたように、石油は日本経済の最大の「弱み」であり、生命線です。その国家としての命綱を、「株かわいさ」のあまり(?)、こうして意図的に2方向から―――一つは円安誘導から、もう一つは原油投機扇動から―――いっそう脆弱なものにしようというのがアベノミクス・・・といえるのではないでしょうか・・・

 逆にいえば、もし日本がアベノミクスを手仕舞えば(日銀が金融政策を引き締め方向に転換すれば)、この円キャリの巻き戻しが起こって、今度は2方向から―――1つは円高ドル安から、もう一つは原油取引のポジション解消から―――石油価格は円建てでも、そしておそらくドル建てでも(!?)一気に下がるでしょう(?)。ですがこれ、同時に株売り(株価↓円↑)をもたらすので、カブノミクスの観点からは絶対にNG。よってアベノミクス各位が自分たちからそんな自殺行為に走るはずがありませんね・・・。よってここは、わが国にとっての真の「野党」アメリカ様に、こう告げ口しちゃいましょうか―――「ガソリン代の上昇を煽っているのはアベノミクス日本ですよ、トランプ大統領~!」

(続く)

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【原油価格上昇見通しも、本来の「円」なら「恐るるに足らず」だが…】強い円はやはり最大の国益だ⑥

2018-11-19 00:00:45 | 日本

前回からの続き)

 1971年以降、原油に対する価値を落とし続けてきた米ドルに対して、上記グラフが示す通りの上昇トレンドを描いてきた「」は、日本にとっての生命線である石油の円建て価格の上昇を抑制することで、この間の(って、正確にはアベノミクス前までの)わが国の経済発展と国民生活の向上を下支えしてくれました。そしてその円に例外なくプラスのリターンをもたらす円預金は、もっとも安全確実な投資先として、これまたわたしたちの拠るところとなってきたわけです。まあたしかに、円預金の名目金利はドル等の外貨預金よりも低い場合が多いでしょう。でも、円がドル等に対して高くなっていくことを含めた実質の利回り(本稿の文脈ではドル価値の増分=石油購買力の増分)は、世界のどの銀行預金よりも高いはずです。本ブログでしばしば登場させている「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」はこのこと―――円の実質金利がもっとも高いこと―――を意味しています。

 したがって、日本国民が相変わらず「貯蓄」偏重で、アベノミクス円安の現在、企業等がキャッシュリッチ(海外投資等を手控えて円貨を内部留保として抱えてじっとしていること)になるのは、べつに「投資」に慎重とか臆病とかというわけではなく、それがもっとも合理的だからにほかなりません。逆にいえば、「カブノミクス」(アベノミクスの私的造語:取り柄は「株のみ」)が、いかに合理からほど遠く、パフォーマンスの良くないものか、ということです。その結果は、こちらの記事等を含めてさんざん本ブログに書いているし、目の前のガソリン価格等に如実に表れているわけですが・・・

 そのあたりに関連して先日、IEA(国際エネルギー機関)が、現状の原油価格が危険区域(Red Zone)に入っており、世界経済に打撃を与えつつあると警告し、産油国に増産を呼びかけました(今年10月の時点で原油価格は一時80ドル/バレル半ば[北海ブレント]4年ぶりの高値付近に達しています)。加えてIEAは世界エネルギー見通しを発表し、各国政府が計画中の政策を実行すると想定した場合、原油価格は2017年の52ドル/バレルから25年には88バレル(同)と1.7倍になるとの見方を示しました。ベネズエラやイラクなどの主要産油国で生産関連の設備投資が減少したことなどの影響で、20年代初めにも深刻な石油の供給不足が生じるおそれがあり、そのために価格が急上昇するリスクがあるとのことです・・・

 ・・・上記を文字どおりに捉えれば、石油のほぼ100%を海外からの輸入に頼る日本にとって、たしかにこれは脅威です・・・が、それはあくまでもアベノミクス下では、つまりカブノミクス円安を選択し続けた場合は―――ということが本稿で論じたことからもお分かりいただけるでしょう。すなわち、原油のドル建て価格が上がっても(ドルが原油に対して価値を落としても)、アベノミクス以前のように円がドルに対して強くなっていく本来のトレンドに立ち返れば、将来のこの程度の値上がりなど、日本にとっては「恐るるに足らず」ということです。それに加え・・・おそらくわたしたちはこの先、再生可能エネルギーや蓄電池等の開発・展開等を進めて、いっそうエネルギー効率の高い社会を建設し、石油への依存度をさらに減らしていくでしょうからね・・・

 逆に、このままアベノミクスを続けていけば、どうなるか・・・って、自明ですよね・・・(?)

(続く)

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【円が強くなることは日本の「石油購買力」が増すことと同義】強い円はやはり最大の国益だ⑤

2018-11-17 00:01:04 | 日本

前回からの続き)

 これまで論じたこと、そしてあらためて上記グラフからいえることは、米ドルに対して上昇を続ける「」は大切な国益だということです。は自らがドルすなわち基軸通貨(=「石油交換券」)に対して価値を増すことで、国民に石油という、絶対に欠かすことのできない「エネルギー」を円建てで安価に確保させてくれます。極端な話、日本はエネルギーさえ海外から調達できれば、あとは何とかなる―――わたしたちは必要なものは何でも自分たちで作って経済社会を保っていくことができるわけです。逆にいえば、石油が高くて買えなくなったら、残念ながら日本はオシマイです、いまも昔も・・・。だからこそ、強い円=強い石油購買力こそは守るべき国家国民に共通の利益であり、これをリスクと捉えるのは、実体経済の観点からは、あり得ないはずです・・・(って、「株セールスマン」には円↑株価↓になるので超リスクだけれど・・・)

 ちなみに上記「石油が高くて・・・」となって日本経済が揺らいだのが、ここ数年ではアベノミクスさなかの「2014年」です(って、いまも「さなか」ですが・・・)。こちらの記事等で書いたように、この年は貿易赤字が過去最悪の12.82兆円に膨らんだほか、経常黒字額が2.7兆円と、近年では最低レベルにまで減ってしまいました。それは、円安誘導したにもかかわらず輸出が振るわなかったせい・・・などではけっしてなく、円安誘導したために原油・天然ガスの円建て輸入額が膨らんだせい(昨今の日本の貿易収支の良し悪しを一番大きく左右するのは、輸出動向ではなく、この原油・天然ガスの円建て輸入額の多寡になっている)。つまり、この年の原油価格が2012年と同様に110ドル/バレル(6月前後)にまで上がったことに加え、アベノミクス円安1ドル約103円(6月前後)にまで円が下がったことでダメージが拡大したわけです。もちろんこれで電気代とかガソリン代等が値上がりし、わたしたちの日常経済生活は大いに圧迫されました。そのあたりはこちらの記事等で十分にお分かりいただけるでしょう。そんな「年」を振り返って、アベノミクス(の実質的な推進者である日銀の黒田東彦総裁)は、2014年頃までは「順調だった」と述懐していますが、わたしは逆にあの頃は本当にハラハラした(し、いまもそのハラハラ感は消えない)よ・・・と回想して身震いする次第です・・・

 話を戻します。上記、国益たる円をプラス運用するための最良の投資が円預金(=日本国債投資)になります。「でも、利息なんてほとんど付かないじゃん」たしかに。いま(日銀の超低金利政策下)はもちろん、アベノミクスの前ですでに超低金利でしたから、そのとおり、預金者が受け取る利息は微々たるもの。でも上記グラフを見れば分かるように、円預金は、ドルに対して価値を高め続ける(2008年→2012年で30%も価値を高めた)円を、わずかながらもさらに増やします。しかも株と違って100%の投資家=預金者にリターンをもたらしてくれます。つまり円預金者は、円キャッシュよりも多くのドル価値(石油購買力)をリスクフリーで得ることになるわけです。それほど安全確実な資産は、他にないのではないでしょうか・・・

(続く)

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【ドル&株投資で2012年以前の円の利回り以上のリターンを得るのはまず不可能】強い円はやはり最大の国益だ④

2018-11-15 00:00:13 | 日本

前回からの続き)

 カブノミクス」(「アベノミクス」の私的造語:取り柄は「株のみ」)は、日銀の金融政策による円安誘導によって石油の円建て価格をそれまでより20%以上跳ね上げることで、国民に対して円(及び円預金)以外のリスク資産投資を促したわけです。それは「ほら、こんなにエネルギーコストを引き上げたよ、そして円の価値と円預金の利回りを引き下げたよ、このままだと値上がり続けるエネルギー代の支払いが増して円資産の目減りは避けられないよ、なので国民の皆さん、『貯蓄から投資へ』!」といった感じになるでしょうか。

 ですが・・・これ、けっして理に適っているとはいえません。それは先述したこと、そして上記グラフをみれば明白でしょう。円預金・・・はもちろん、キャッシュでさえ、米ドル(およびドル預金)に対してはるかに「高利回りだからです。この前提をアベノミクスで意図的に崩してドル投資(ドル預金・米国債投資等)でアベノミクス以前の円以上のリターンを得ようなんて、はっきりいって不可能。グラフが雄弁に物語るように、ドルには本質的に本稿2回目で書いたような性質があるためです。だからといって新興国通貨とか債券は・・・って、もっとダメでしょう。それらは、そんなドルの信認に裏付けられているので、ドル以上の信認を得続けるのは不可能に近いからです・・・

 ドル等がダメなら、じゃあ株だ!となるのでしょうが、これだって無茶です。たしかに株は上記グラフの「円預金」を大きく超える利益をもたらしてくれる場合があります。でもそれは株投資がうまくいった場合です。これに失敗し、「ドルのキャッシュ」すら下回る水準にまで資産額を減らしてしまうかもしれません。要するにハイリスク・ハイリターン、投資成否の可能性は単純に50:50なわけです。そうした投資は投資家が自己責任で行うべき範疇のもので、貯蓄に励む堅実な国民に石油インフレを煽って無理矢理やらせるものではありません。そもそも「株のみ」で国富を増やし、日本経済を成長させようなんて、あまりに非現実的なのはいまさらいうまでもないでしょう。実際、「アベノミクス」以降の国民の金融資産額GDPもこうして激減しているのだから・・・

 といったように、やはり「カブノミクス」はうまくいかない、本稿の文脈に沿ってもう少し具体的にいえば、上記グラフの2012年以前(アベノミクス開始以前)の円&円預金を上回るリターンをリスク投資(ドル等の外貨投資・株投資)でゲットし続けるのは、まず無理、ということです。もちろんこれに成功する人もいるでしょう、が、それはほんの一握りの投資家に限定され、大半の国民はリターンよりも円安エネルギーインフレの損害のほうが大きくなるのではないでしょうか・・・

(続く)

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【アベノミクス、石油代をつり上げて国民をリスク投資に誘導】強い円はやはり最大の国益だ③

2018-11-13 00:00:37 | 日本

前回からの続き)

 ここまで論じたように、1970年(「ニクソン・ショック」の前年、1ドル=360円の固定レート)から2012年(「アベノミクスの前年、1ドル=79.8[年間平均レート])までの、米ドルに対する4.5倍(=360/79.8)もの価値の上昇は、この間ドル価格で60倍(19701.8ドル/バレル→2012110ドル/[アラビアンライト])に跳ね上がった原油の円建て価格の上昇率を13倍あまりに抑制し、同期間の日本経済が被るエネルギーコスト上昇の悪影響を和らげてくれました。対ドル上昇率の高さから見て、円のその緩和貢献度の大きさは、西独マルクなどを越えて、おそらく世界一。この間の日本にとって、これほど助かったことはなかったと思います、現代文明における最重要の資源を相対的にこうして「安く」買うことができたわけだから。これこそ、強い円が国家国民にもたらした一番の恩寵と考えるところです・・・

 ・・・で、2013年、「アベノミクス」が始まるわけです。その結果、ご存知のとおり円安ドル高が急速に進み、上記グラフでも分かるように、円の対ドル倍率は短期間で約30%も激減しました2015年における同倍率の値は、円預金(1%複利想定)が4.65倍、円キャッシュは2.97倍(=360/121)にまで下がり、とくに後者はドル預金(3%複利想定)の値(3.78)を大きく下回る転落ぶり・・・っても、毎年3%の利子の付く「預金」が、自分のほうから勝手に価値を落とした相手の「現金」をようやく上回った、って感じですが・・・

 それらが意味することは、本稿の文脈に沿っていえば、わが国が負担するエネルギーコストがそれだけ上がったということです。そのあたりはこちらの記事にも書いたとおりで、アベノミクス前後でわたしたちが払うべき石油代は20%ほども増えているわけです。当然、アベノミクス推進者はそうなることを見込んでいます。で、アベノミクスはここで、苦しむ国民にどうせよ、というのかというと・・・「カブノミクス」(私的造語:アベノミクスの取り柄は「株のみ」)になるわけです・・・

 カブノミクス―――言葉の上では「株のみ」ですが、もう少し具体的に述べると、これ、本稿冒頭に書いたとおり貯蓄から投資へ」すなわち、円と円預金の価値をこうして落とすから、国民はマネーを株に代表されるリスク資産にシフトせよ、といったあたり。ということは株のほかに外貨投資なども含まれることになります。

 で、あらためて上記グラフから分かるように、アベノミクス開始以降の急落する円&円預金の視点からすると、ドル&ドル預金の価値がスゴイ勢いで上がっている・・・ように見えるわけです。それは崖から転落していく人の目に、あたかも崖が盛り上がっていくかのように見えるのと同じ。こうしてカブノミクスは、円の価値を下げることで本邦投資家にドルへの投資妙味を感じさせ、これらの買い、すなわち円売りを促して円安ドル高を演出し、そして株価をつり上げたいと考えた・・・。このあたりのメカニズムはこちらの記事他で書いたとおりです・・・が・・・

(続く)

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【この40年間で石油価格上昇率が世界一緩やかだったのは「円」のおかげ】強い円はやはり最大の国益だ②

2018-11-11 00:02:10 | 日本

前回からの続き)

 上のグラフで分かるように、1970年(「ニクソン・ショック」の前年)以降、はドルに対して一貫して値上がりを続け、2012年(「アベノミクス」の前年)には1970年の4.5倍以上(=360/79.8)の価値を持つ通貨になりました。その意味するところは様々ですが、そのおかげで日本がこの期間の石油価格上昇の悪影響をアメリカ等ほどは被らなかった点をここでは指摘しておきます。

 戦後しばらく経ってから1970年まで、原油価格はたいへん安定していました。たとえば、代表的な油種アラビアンライトの価格は1960年代、ほぼ1バレル1.81.9ドルで推移し、1970年も年間を通じて同1.8ドルでした。それが翌年つまり「ニクソン・ショック」が起こった年には同2.3ドルになり、その後は第一次・第二次オイルショックなどの様々な経緯をたどって2012年には同110ドルと、1970年の60倍にもなりました・・・が、これはあくまでもドルベースの場合です。この価格を円換算すると、この倍率は約13.5に抑制されます。つまり、それだけこの間に日本が受けた石油価格上昇のダメージはアメリカを含む諸外国と比べれば小さかったといえます(加えて、わが国がこの間、世界一、エネルギー効率の高い社会を築き上げたのも大きかった)。

 ところで・・・安定していた原油価格が1971年以降はどうしてこれほど激しく上昇&乱高下するようになってしまったのでしょうか。当時のOPEC諸国がカルテルを強化して石油価格を引き上げたから? 新興国の経済発展等にともなって石油の需要が増大したから? たしかにそれらもあるでしょう・・・が、本質的な理由は、ニクソン・ショックすなわち米ドルゴールド)の兌換停止にともなうドルのインフレ通貨化にあると考えています。

 ・・・同ショック前までドルは35トロイオンスの金と同等の価値を保っていたから、産油国はドル建てで一定の石油価格でも十分な収益を得ていました。ところが同ショック後、ドルは金の裏付けを失って無制限に発行されるようになりました。つまりドルの価値は時間が経つにつれて低下していくことになったわけです。であれば、これを受け取る産油国&オイルメジャーは、その目減り分以上にドルを稼ぐ必要に常時迫られます。そこで利害が一致した彼らは結束して原油価格の値上げに動いた、という次第・・・。そのへんが石油価格が上がり続けたことの真因であり、現在も機能しているメカニズムだと思っています。このように見れば、1971年からいまに至る石油価格の大幅な値上がりは、ニクソン・ショックに端を発した、石油に対するドルの著しい減価でもあったことが分かるわけです・・・

 話を戻しましょう。この期間の日本をそうした石油インフレから守ってくれたのが、上記の「」。このあたりこそ、円がドルに対して価値を増していったことの最大の恩恵だと認識しています。こちらの記事に書いたように、石油をはじめとする「エネルギー」が日本経済の最大の「アキレス腱」(外国に依存せざるを得ない「弱み」)。円は対ドルで高くなり続けたことで、この国家としての弱点をカバーしてくれた―――原油輸入代金の円建て価格の上昇を(主要国ではおそらく世界一)緩和してくれた―――わけです。こちらの記事「円」こそが、わが国最大の「強み」としたのは、そのような根拠からです。

 余談ですが、Wikipedia等を見ると、ニクソン・ショック→スミソニアン体制(1971/121ドル360円から同308円へ約17%切り上げ等)→同体制崩壊、変動相場制への移行(1973/2頃)への過程で、当時の日本の閣僚や役人らが、円の価値切り上げにどれほど懸念を抱いていたのかが伝わってきます。それは各位が、直後に日本を襲うことになる激烈な石油価格の上昇をまったく予見できていなかったことを物語るものでもあります。もし彼らの希望のとおり、ドルに対する円の切り上げ率が低いレートで固定されていたとしたら・・・2度のオイルショック等で日本は高騰する石油輸入代金の支払いに窮して・・・IMFの軍門に降っていたかもしれませんよ・・・!?

(続く)

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