世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【アベノミクス、金融経済優先&対米投資抑制モード…】真の「野党」アメリカの圧力を上手に利用したい③

2018-09-29 00:02:17 | 日本

前回からの続き)

 カブノミクス」―――取り柄は「株のみ」―――以前から「アベノミクス」をこのように表現しているとおり、これを推進する日本の安倍政権・黒田日銀は、先述した「金融経済優先」路線を取っているといえます。こちらの記事等でも書いたとおり、両者はインフレを起こす(実質金利をマイナスに誘導する)!と宣言して円キャリートレードの魅力を高め、おもに「外国人投資家」たちに日本株を買わせることで株価をつり上げ、その資産効果で景気を浮揚させようとしてきた、みたいな感じ?

 他方、これはいっぽうで、肝心のジャパンマネーを手繰る「日本人投資家」の対米投資意欲を減退させることになります(その結果、日本企業が空前のキャッシュリッチになったのはこちらの記事に書いたとおり)。キャリトレにともなってドルが円に対してアベノミクス前より20%以上も高くなったため、購買力平価や実質実効レート、すなわち実体経済の観点からはこれが割に合わなくなってしまったことが大きいでしょう。アメリカにとってそれが意味することは、金融面では金利上昇圧力であり、実体経済面では日本企業による直接投資の停滞です。その代わり―――「アメリカへの工場進出をやめる代わり、日本の自動車メーカーは、日本で余計に車を作って、通貨安をテコに大量にアメリカに売り込む気だ!」といった警戒と懸念の気持ちを多くの人々に抱かせ、結果としてアメリカの対日感情も悪化していくことに・・・。そのあたり、いくら日本にその気がない(実際に、ドル建ての対米貿易黒字額はアベノミクス後でも増えてはいない)、といったところで、米ドナルド・トランプ大統領は聞く耳を持たないでしょう・・・(?)

 こちらの記事などで指摘しましたが、アベノミクス・・・というより日銀の現金融政策には、ひょっとしたら、上記のようにジャパンマネーに対米投資を手控えさせることなどによってアメリカの金利を上昇させ、借金バブルの崩壊および激しい資産デフレを誘発して同国経済を壊滅させようという秘めた狙いがある(???)んじゃなかろうかと勘繰っています。一応、表向きは、円がドルに対して高くなるから本邦投資家のドル買いが促されると見込んでいた・・・けれど思ったほどは進まなくて誤算、みたいに一般的にはみられている感じ(?)ですが、上記の真意を見抜かれていないという意味では、それも想定の内なのでしょう、きっと・・・(?)

 ・・・って、さすがにそこまで極端な深読みはしないでしょうが、ともかく米トランプ政権が、いまの日本にはアメリカにとっては脅威な面があり、ゆえに通商交渉等を通じてその修正を図っていこう、というのは分かる気がします。その過程で、人為的な為替レートを誘導している日銀の金融政策の転換が促され、これが本来のあるべき水準にシフトすれば、アメリカの実体経済にとってはプラスに働くと思います。つまり、購買力を回復したジャパンマネーが金融面でアメリカを支え、実体面では日本企業の対米再進出を通じて同国に雇用創出等の恩恵をもたらす、ということです。

(続く)

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【米、金融優先派と実体経済優先派が対立か】真の「野党」アメリカの圧力を上手に利用したい②

2018-09-27 00:03:52 | 日本

前回からの続き)

 米ドナルド・トランプ政権の発足以降、アメリカでは2つの大きな経済方針―――金融経済優先か、それとも実体経済優先か―――の間で微妙な対立(?)が生じているように感じています。前者はおもにバラク・オバマ前政権までの考え方で、アメリカは自身の「双子の赤字」(貿易&経常)は容認しつつも、いっぽうで貿易相手国に対し、稼いだドル米国債購入などの対米投資をさせることで、当該赤字をファイナンスするというもの。これに対して後者は、その赤字つまり貿易不均衡等を問題視し、これを減らすべく同黒字国に圧力をかけてその是正を働きかけるというもので、まさにいまのトランプ大統領が中国や日本に対して行っていることです。

 この両者の方針はこうして異なるから、利益を得るグループ・損害を被るグループも違ってきます。前者の場合、最大の受益者はマネーの仲立ちをする金融業界であり、エネルギー業界などもそうでしょう、アメリカがドルをばらまけば原油等の価格は上昇して儲けが増えるし、増加したオイルダラーがアメリカに還流し、これが株価等にも好影響を与えるわけですから。その代わり、大半の米国民にはツライ環境でしょう、これ。モノの対外依存度が高まるから自国製造業は衰退し、雇用の多くは失われるうえ、住宅価格ガソリン代などがどんどん上がってしまう、などのためです。

 他方で後者―――実体経済優先―――の場合、上記とは逆に、一般庶民には恩恵がありそうです。つまり、関税障壁の強化等で輸入品の流入が抑制される分、これを代替するメイド・イン・USAの産業復興が促され、それだけ雇用機会とか労働者の賃金も増えていきそうだし、目論見どおりに双子の赤字が減れば、ドル高になってインフレが抑制されることになります。でも、これは・・・上記金融経済のメリットを享受する勢力には望ましい環境とはいえないでしょう・・・(?)

 トランプ大統領は、どちらかといえば、上記の実体経済優先の側に立っているように思えます。同氏がOPECに対して石油の価格を「いますぐ引き下げろ!」(REDUCE PRICING NOW!―――って、ここだけ大文字で強調しているし・・・)などとツイッターにしばしば投稿するのは、そんなスタンスの反映のひとつでしょう。いっぽうで金融ファーストな人々にとっては、原油価格には逆に上がってもらった方がありがたいはず。よってトランプ大統領のこうした姿勢にはネガティブで、このあたりに上記対立の本質が表れているような気がします(?)。

 で、ここでややこしい(?)のは、今般の交渉相手である日本・・・の安倍政権・黒田日銀が、トランプ氏からは上記の金融経済優先派に見えることでしょう(?)。

(続く)

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【日本では「与党」は役人、「野党」はアメリカ】真の「野党」アメリカの圧力を上手に利用したい①

2018-09-25 00:01:09 | 日本

 この国を変えられるのはアメリカ様だけ(?)。であれば、その対日プレッシャーを上手に利用して・・・

 こちらの記事等で以前から書いているように、日本では主要な政策や法律を作っているのは「立法府」のセンセイ各位ではなく、「行政府」・・・の官僚機構です。よって何らかの政策変更を実現させたいときは、与党政治家ではなく、彼ら役人たちに既存のものとは違った政策やら法律を作らせるよう突き動かす必要があります。で、そのパワーを持つのは、残念ながら(政策等立案能力の無い?)わが国の、どの政治勢力ではなく・・・アメリカ様以外にあり得ません・・・(?)

 ということで(?)、このたびの日米首脳会談(26日)は、結果によっては、ひょっとしたら役人たちに政策方針の修正等を余儀なくさせるきっかけになるかもしれない、なんてヘンな期待(?)があるわけです。というのも、これまた以前からシツコク書いているとおり、現行の経済面の政策「アベノミクス」もっと具体的には日銀金融政策のネガティブ面のことを、すべての野党を含めたこの国の誰もがまったく問題視しないなか、アメリカが、対日貿易赤字の大きな原因として、同政策がもたらした過度の円安ドル高を指摘し、その結果としてその是正を政府・日銀に強く迫る・・・なんて可能性がちょっとはあるから(?)。これを受け、日本が同政策を少しでも変更すれば、為替レートはいまよりは妥当な水準となり(円高になり)、アベノミクス開始以降20%以上も激減したGDPや国民資産価額の回復が望めるわけで・・・

 もっとも、こちらの記事に書いたように、アベノミクス前後で実は日本のドルベースの対米黒字額は増えたとはいえず(つまりアベノミクス円安は対米貿易黒字の増額に貢献してはおらず)、したがって、かりにアメリカが今次交渉でそのあたりを突いてきても、その対日批判は的を射たものではありません。でもここは米ドナルド・トランプ大統領が、日本の対米黒字が大きいのはアベノミクスの円安誘導のせいだ!などと前世紀の貿易観で(?)実質実効ベースで20%以上も円安となっている現行レートの人為性を非難し、その修正を強く要求してくれることが超~大事なので、あえてそのあたりには目をつぶるとしましょう。ということで、あくまでもソコに限れば、野党に肩入れする気分でトランプ政権を応援したいところです。ぜひオール与党の政策(≒アベノミクス)の方向転換を促してくださいね、米国民そして日本国民のためにも・・・(?)

(続く)

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【共産党政権、体制維持のために国民を豊かにできず…】中国:成長の足を引っ張る稚拙な投資⑧

2018-09-23 00:00:42 | アジア

前回からの続き)

 中国が本当にするべきことは、共産党政府が大半を所有している国富を、新興国への投融資や日本国債とかゴールド)の購入・・・に振り向けるのではなく、国民各層と分かち合うことでしょう。同国は世界一の人口を抱える国なのだから、その経済の主柱は個人消費であるべき。これを高めるには、いま以上に人々の賃金水準を向上させ、年金や保険等といったソーシャルセイフティネットを充実させる必要があります。そのための原資に巨額の外貨準備等を充当せよ、ということ。それによって中国の経済構造は、現在の輸出主導型から、人口大国には望ましい内需主導型に転換していくはずです(?)。

 ですが・・・かの国には現実にこれを推進することはできないでしょう。その理由は2つ。1つ目は、既得権益者が権力とマネー(およびそれに関連する権限等)をなかなか手放そうとはしないため。そして2つ目は、自分たち上層階級の特権的な地位が危うくなるため。現在よりずっと多くの国民が豊かになっていけば、彼ら彼女らは権利意識にいっそう目覚め、経済社会の改革改善を訴えて、現体制の退陣・・・どころか解体等すら要求しかねませんからね・・・

 以上により、中国・・・の共産党体制は、せっかくの国富を、国民一人ひとりを豊かにする方向には使おうとはせず(というよりは使えず)、引き続き上述した稚拙な(?)投資や自分たちの蓄財に回したりする(?)ので、大半の人々の生活水準や生活環境は改善されないまま低レベルで捨て置かれることに・・・。こうして同国はますます貧富差の大きな国になり、身分間の対立が激しくなって、結局は「歴史は繰り返す」的な展開に・・・という、いつもの結論に至るわけです(?)。

 中国は隣国であるせいか、一帯一路構想に基づく関連国支援とかアフリカ等への軍隊派遣などをとらえ、わが国では同国を脅威視する見方が多い印象を受けます。ですが、きっと大丈夫(?)、これらはいずれも過度に心配するほどのことはないでしょう。上記状況等から判断すれば、これらは日本の国益を脅かすほど深刻なものではないし、むしろ中国自身にマイナスの結果をもたらしかねないうえ、本当に国を強くする(国民を富ませる)投資等とはいえない、などのためです。したがってわたしたちは、かの国がやっていることを冷静に見極め、ときには協力し、ときには距離を置きながら、という、付かず離れずのスタンスでこの隣人と付き合っていくのが適当かと・・・

(「中国:成長の足を引っ張る稚拙な投資」おわり)

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【チャイナマネーのもっとも有効な投資先は、日本】中国:成長の足を引っ張る稚拙な投資⑦

2018-09-21 00:04:26 | アジア

前回からの続き)

 中国が思案しているであろう、手持ちの米ドルの効果的な運用方法ですが・・・本稿で綴ってきたことからすれば答えは明白です。そのドルで日本の資産を買えばよい、になります(?)。

 中国の新興国向けドル建てローンの多くがトホホな理由は、それが「ドル>新興国通貨」(実質金利がドルの方が大きい)であるために、よほどの優良案件でもない限りドル(≒米国債)以上の利回りを得られないうえ、新興国側にとっても自国通貨より強いドルを稼ぐことがたいへんで、結局は中国へのドル返済に窮してしまう・・・といったためでした。これを逆からみれば、ドルよりも強い通貨国への投資であれば米国債以上のリターンをゲットできそう・・・って、それはどこの何?

 ・・・それこそが日本・・・の「」。何度も書いているとおり円>ドル>ユーロ>新興国通貨」だから、ドルで測定して、投資以上のドルをもたらす可能性がもっとも高い資産は・・・建ての資産になるわけです。このとき望ましい投資対象は、日本国債以上の利回りが得られそうなプロジェクトとか日本企業の株式などでしょうが、リスクを取らずにドルを増やしたいのならば日本国債で十分だし、最低でも円のキャッシュを持っているだけでOKのはずです。いまはアベノミクス円安で円はドルに対して実質実効ベース20%以上も安くなっているので、近い将来(?)、これが自然の原理(≒上記不等式)に導かれてもとに戻るだけでその価値がドルベースで逆に20%以上も膨らむことになります。これに対して米国債10年物を購入しても利息は年3%ほど。であれば米国債よりは円の現ナマを持とう!が合理的な選択でしょう?

 現在、中国は日本の国債や株式や土地や水源等をせっせと買っていると思われます。それは上記に照らすと、とても理に適っているほか、アベノミクスがチャイナマネーによる対日投資を積極的に促していることの成果(?)でもあります。そうしてほしいからこそ安倍政権・黒田日銀は円の価値を対人民元(≒ドル)で力づくで引き下ろしているわけだから。したがって、アベノミクスを絶賛する方々は、中国によるこの手の日本爆買いを熱烈歓迎しなければなりませんよ・・・って、わたしたちの貴重な資産を中国人(を含む外国人)たちにこんな安値で叩き売りしちゃって本当にそれでイイわけ?日本人のみなさん・・・

 ちなみにもうひとつありますね、「」(ゴールド)という最強の資産が。これはこちらの記事等で書いているとおりで、中国はこれまたせっせと仕込んでいることでしょう。といった具合で中国は、それなりに戦略的で(ドル目線で見て)プラス志向の投資をしてきてはいます。でも・・・かの国が本当にするべきことは、これらではないでしょう・・・

(続く)

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【中国がコスパ悪い案件を掴むのは日本への過剰意識のため】中国:成長の足を引っ張る稚拙な投資⑥

2018-09-19 00:02:54 | アジア

前回からの続き)

 中国の新興国支援ローン等の拙さ(失礼!)などに関連して思うところを綴ってきましたが、では中国はどうすればこの手の戦略をスマートにできるのか、について以下、考えることを書いてみましょう。

 アフリカや太平洋島嶼国のような、支払い能力が高いとは言えない国々に対しては、いっそ割り切って返済義務を負わせない無償資金協力を増やす(グラント・エレメント[grant element]を高める)のがよろしいのではないか。これらで必要最小限のインフラ建設や、教育や医療などの制度改善を進めてもらうというものです。これグラント(贈与)だから受け入れ国側には大いに感謝され、そのお礼に国際政治の様々な舞台において自国を支持してもらえる可能性が高まるし、実際に事業を行うコンサルタントとか建設業者は自国企業のなかから選べるので、これらの育成や発展にもつながります。

 他方、大型のプロジェクトは・・・民間企業主導で進めるべきでしょう。各社は株主の目があるため、費用便益分析の結果、採算が見込めるものだけを進め、そうでないものにはおカネを出しません。そうした当然の企業行動原理が結局は意義のあるプロジェクトだけを推進させるとともに、貸し手側における不良債権の増加とか、借り手側における返済不能の債務膨張を食い止めることになるわけです。もっとも中国は共産主義国であり、このあたりの市場メカニズムが理解できないため(?)、政府セクターが無茶をやらかす破目になり、結果的に上述のようなトホホ状態になっているわけですが・・・

 さらに、前述した外貨準備としての米ドルの有効活用も中国にとっては重要な課題。でも、これを新興国向けに使うというのは、「ドル>新興国通貨」である以上、よほどの優良案件でもない限り、貸し付けた以上の利回りを得るのは難しいはずです。そんなおいしいプロジェクト、そうはないでしょうし、あったらあったで他国の企業等との激しい受注競争を勝ち抜かなくてはならない。で中国政府はヨソに取られてなるものか!などと意気込んで採算度外視の受注を重ね、結局はそれらの多くが不良債権化してトホホ・・・ってなオチになっているような(って、高速鉄道案件あたりがその典型例では?)。

 そう考えると、中国のこの類のローン等のコスパが悪いのは、ある意味で日本のせい・・・というより、かの国が一方的に日本を意識し過ぎているせい、といえそう(?)。上記の「ヨソ」とは多くの場合「日本」ですからね。中国は少し前まで、ODA(政府開発援助)をはじめとする日本の各種支援を得て、そしてときには日本をパクりながら(?)インフラや産業基盤を整えてきました。その過程でこの分野における日本の強さを誰よりも知っていますから、意識せずにはいられないでしょう。いっぽう、わたしたちがプロジェクトの受注をめざすのは、科学的かつ合理的な計測に基づき、それに採算と相手国の利益向上が見込まれる場合であって、何でもかんでも中国に奪われまい!とか、落札金額をつり上げて中国にトホホなプロジェクトを高値掴みさせてやれ!なんて意地悪な感情からではけっしてないけれどね・・・

 ・・・って話がすっかりそれました。といった感じで、中国にとって潤沢な外貨準備を投入するに値する投資対象は現実にはなかなか見つかりません。であれば、ドルが少しは増えるから、という理由で、とりあえずは米国債を買うという選択になるのでしょうが、これだってリターンは微々たるものでしょう。う~ん、どうしたものか・・・

(続く)

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【中国、米ドルを融資してリターン得て喜ぶあたりもトホホ…?】中国:成長の足を引っ張る稚拙な投資⑤

2018-09-17 00:03:45 | アジア

前回からの続き)

 本稿で綴っている、中国の新興国向け開発支援ローンにおいて、ある意味、いちばんトホホだな~と感じさせられる点が、当該投融資が同国の通貨「人民元」ではなく、米「ドル」建てで実行されていること。つまりこの枠組みにのなかで、中国は他国の通貨すなわちドルを貸し付け、支援受け入れ国はドルを市場から調達して中国に返す、といったことをしているわけです。その意味は、ドル基軸通貨としての地位を補強することに他なりません。ドルがそれだけ国際決済の場で使用されるようになるわけですからね・・・

 以前から指摘しているとおり、中国には人民元の国際化を進めたいという願望があるはずです。それは同国ほどの経済力を持つ国であれば自然なことでしょう。人民元がドルなどと並ぶ国際通貨として認められるようになれば、何もドルを持たずとも原油などの戦略物資等を確保できるし、外国の金融政策等に自国経済が左右されるリスクとかも減らすことができるわけですからね。この観点で、こちらの記事等でご紹介した人民元の「SDR入り」などは中国にとっては大きな成果だったといえるでしょう。人民元がドル、ユーロ、英ポンドとならぶ国際通貨に列せられたわけだから。といったことで中国は、今後もあらゆる機会を通じて人民元を世界に流通させ、あわよくばそれをドルに替わる基軸通貨に・・・なんて野望を実現させたいところですが・・・(?)

 ・・・にもかかわらず上記のようなことをしているわけです。その理由ですが・・・双方にとって人民元はドルなどと比べると制約等が多過ぎて国際通貨としての扱い勝手がまだまだよろしくない、といったことがあると思われます。そのへんを改善するには人民元の取引等をいっそう自由化する必要がありますが、そうすると中国内に押し留められていたマネーの「エクソダス」が起こって人民元が暴落する恐れなどが出てきます。よってコトを性急に進めるわけにいかない、となり、とりあえずは手元の外準つまりドルで貸し付けでもするか、となった次第・・・ってあたりが実相なのではないでしょうか。

 こちらの記事等にも書いたように、中国は人民元の価値の裏付けにドルを使っています。これを言い換えると、自国の通貨の価値をアメリカというヨソの国に保ってもらっているわけです。その意味で人民元は「疑似ドル」であって、「」のような真の国民通貨つまりその信認を自身の経済力で支えるおカネとはいえません。このドルの呪縛から脱するために中国は金準備を大量に積み上げ、いつの日かこれをドルに替わる通貨価値の裏付け資産にする気なのでしょう・・・が、はたしてかの国に「金本位制」みたいな難しいスキームを無難に運用できるのか、非常に疑しいところだし、当の指導者自身も自分たちにそれができるとは思っていないような気がしますが・・・

 といったこともあって中国は当面、アメリカの通貨をかき集め、他国に融資し、その利息をもらって喜ぶしかない。それは結果としてドルの価値保存機能としての強化や流通拡大等に寄与することになるから、アメリカを喜ばせることにもなる。そんなこんなで中国はドル覇権の維持発展に貢献する役回りを率先して演じることに・・・

 かくして「ドル>人民元」の構図が固定され、中国がアメリカに替わる覇権国に成り上がることは不可能・・・ということになろうかと考える次第です。

(続く)

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【誰も政策批判できないところが致命的欠陥】中国:成長の足を引っ張る稚拙な投資④

2018-09-15 00:00:46 | アジア

前回からの続き)

 これまでにご紹介したように、中国の投融資で進められている南太平洋の島国やアフリカ諸国などのインフラ開発プロジェクトは、多くの場合、費やしたコスト以上の利益をもたらすものではなく、よって借入国の債務を膨らませるだけであり、いっぽうで債権者の中国には金利収入どころか元本返済すら見通せない不良債権が積み上がるばかり、といったトホホな結果に終わりそうです(?)。であれば、被支援各国はもちろん、中国国内からもこれに疑問の声が上がってもおかしくはないでしょう。こんな風に多額の国費を無駄にするくらいなら、同じおカネを外国ではなく自国の事業に振り向けろ!みたいな・・・

 実際にそうするべきでしょう。中国は世界第2位の経済大国になったとはいえ、それにふさわしい生活水準を享受できているのは北京や上海などの大都市圏に住む人々くらい。広大な(というより広すぎる?)国家のあちらこちらには、中国の支援を得ている国々と同様、水道や道路や病院と言った各種インフラ設備を待ち望んでいる国民が多数いるわけです。それに都会のセレブだって、この汚い水と空気を何とかしてほしい!と願っているに違いありません。労働分配率の大幅な引き上げや、差別的な戸籍制度の撤廃や、年金とか保険そして生活保護などの社会的安全網の構築も待ったなしの状況でしょう。これらすべてを成し遂げるには、おカネがいくらあっても足りないくらいのはずですが・・・

 にもかかわらず中国がそんな「内」ではなく「外」にマネーを出したがるのは・・・おそらく、自分たちのパワーを「外」すなわち世界に見せつけたいという自己顕示欲からなのでしょう(?)。こんなことができるくらい我々は偉大な国になったのだぞ!といった感じ。たしかにこれら、注目されるし、支援してもらった国からは感謝されるし(って、後になって猛反発される場合も多々ありそう?)、したがって中国の国際的な存在感とかステータスが上がりますからね。このあたり、ついでに言えば、こちらの記事に書いた空母・・・に象徴される軍事力も(見た目は派手だが、費用ばかりかかって、それに見合う利益をもたらさないという意味で)同類でしょう。このように、おごり高ぶるトップ層に誰も意見できないところが一党独裁体制の致命的な欠陥なのでしょうね、無駄で稚拙な投資が国を傾けているというのに・・・(って、これと似たような構図が、どこか別の国にもあるような?)

 ということで中国では、権力者の見栄や面子のためにおカネが浪費され続け、本当に必要な自国民向けの事業とか改革が実行されないまま・・・ってことに。これ、かの国が4千年間(?)繰り返してきたことと同じように思えます。ということは、かつて世界史の授業で習った殷、周、秦、漢・・・のように、いまの中華人民共和国も予想以上に早く、ひとつの王朝にカウントされるときが来るような気が・・・?

(続く)

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【中国のアフリカ融資も大半が貸し倒れか!?】中国:成長の足を引っ張る稚拙な投資③

2018-09-13 00:00:55 | アジア

前回からの続き)

 今月3日、北京で開催された中国アフリカ協力フォーラムの席で、中国習近平国家主席は、アフリカ諸国に対して今後3年間で無利子ローンを含む総額600億ドルの支援を行う旨を表明しました。ロイターによると、今世紀の中国のアフリカ向け融資は合計で1300億ドルを大きく上回る規模に達しているとのこと。このおカネで各国は港湾とか鉄道などの整備を進め、代わりに中国は相当程度、天然資源等の確保ができたもようです。

 中国の当該援助は一見すると戦略的で、ゆえにこれを「債務の罠」(debt trap)などと警戒する見方が日米欧には多いように思えます。しかし個人的には、先述の理由などから、これらが大きな脅威になるとは思ってはいません。先記のトンガのように、遅かれ早かれそれら融資の大半(?)が不良化し、中国は多額の債権放棄を迫られることになるでしょうから(?)。その過程で同国は、まあ現地のインフラや鉱山利権等の一部を差し押さえる程度のことはできるかもしれませんが、それらから得られる収益が最低でも投資元本を回収できるほどのレベルなのか、はなはだ疑わしいのではないでしょうか。それに住民らの激しい反発や対中感情の悪化も懸念されますし・・・

 すでにこのあたりの兆しが出てきています。IMFが今年4月に発表した調査報告書によると、アフリカの多くの国で債務が危機的状況になっていて、昨年末の時点でチャド、エリトリア、モザンビーク、コンゴ、ジンバブエなどは債務返済に苦慮しており、ザンビアとエチオピアは負債増加の高リスクにさらされているとしています。そのためか、この両国は先般、対中債務の再編希望を表明したほか、コンゴとアンゴラもすでに同再編に着手したとのことです。こんな感じだから、中国が南太平洋諸国に続いてアフリカ諸国からも何らかの債務帳消しを要請されるのは時間の問題といえましょう(?)。それでも中国は、上記の新規融資を強行・・・って、追い貸し?する気なのでしょうかね・・・?

 といった具合で、中国のこの手のローンは、マネートラップ―――甘~い条件で相手を借金漬けにしてデフォルト等に追い込み、その資産等を接収する、とか―――といえるほど戦略性のある(?)代物ではなく、やはり上述のとおり、単純に投融資のコスパ分析が稚拙なだけって印象を受けるものです。よって、その帳尻は・・・「こんなことなら、同じ額のドル米国債投資をしておけばよかった」・・・などと嘆きたくなうようなトホホな結果に終わるような気が・・・(?)

(続く)

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【中国の爆「貸し」、単にリスク判断が甘いため?】中国:成長の足を引っ張る稚拙な投資②

2018-09-11 00:01:00 | アジア

前回からの続き)

 中国がトンガを含む太平洋島嶼国のインフラ建設向けに提供したローンが焦げ付きそうになっている、つまり同エリア各国が巨額の対中債務(およそ13億ドル)の支払いに窮してその帳消しを中国に訴えようとしている、という前述の、両者ともに何ともトホホな話ですが、これ、本ブログで何度もご紹介している「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」(実質金利の高い順)に沿って考えてみると、あらためてその無茶ぶりが分かるというものです。

 ここで中国は上記の各島国に合計で約13億「ドル」を貸し付けているとのこと。この不等式では「ドル>トンガ等の通貨(新興国通貨)」になりますから、中国からしてみるとこの13億ドルはプラスリターンの確保・・・どころか元金が返還されることすらも危ぶまれるローン債権であるわけです。いっぽうのトンガ等にとっては、自国通貨よりもはるかに強いドルを稼いで返さなければならないので、非常に負担が大きな借金でした。これ、融資契約を締結した時点で両国とも分かっていたはず。したがって、今回の事態(トンガ等が債務返済に窮して中国にその帳消しを要請すること)はお互いに十分に想定できたことでしょう・・・

 そもそも、この手のプロジェクト(新興国のインフラ整備等)は、世界銀行等の融資とか日本等の先進各国の政府開発援助(ODA)によって進められるのが通常です。支払い能力等の面でカントリーリスクの大きな新興各国に対しては、民間企業等はなかなかおカネを出せません。よって、これら公的機関が各国の開発プロジェクトを低利の有償資金で支援することになるわけです・・・が、その融資金は、もとはといえば加盟各国の納税者の大事な資産です。ゆえに、いくらODAとはいえ、債権者利益を守る観点から、受け入れ国には一定の金利は払ってもらうし、事業ごとに採算性などが厳しく審査され、これにパスしないものにはローンを供与しない、といった条件があるわけです。もっともこのあたり、新興国にとって世銀等のローンはハードルが高くて借りづらいと感じられるところですが・・・

 そこに割り込んできたのが中国です。同国は融資提供の基準をユルくすることなどで、上記諸国やアフリカ各国等へのインフラ等融資を増やしてきました。どうして中国は焦げ付きリスクが高い国々に貸し込んだのか?ですが・・・よく言われるのは、各地域における自国プレゼンスの拡大、天然資源等の優先確保、各国の台湾との断交を後押しのため、などといったことのようですが、一番の理由は、単に投資案件の事業リスクの見極めが甘~い、ということなのかな、と思っています。日米欧の民間資本と違って共産党政権はプロジェクトのコスパ分析が不得手でしょうからね・・・

(続く)

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