世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【ゆうちょ銀、「出口戦略」入りで債務超過転落?】日銀新体制のもとで進む?「総仕上げ」④

2023-02-27 21:53:33 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、日銀の現行金融政策「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融課緩和)の所期の「本当に本当の目的」は、保守的に見て遅くとも2年前の夏以降はアメリカ真性インフレ没入が確実視されることから、ほぼ達成された、というべきでしょう。であれば、それが日本に及ぼすダメージを食らう理由はないわけで、さっさと出口・・・戦略へと移行するべきでしょう。でないと・・・って、その開始が遅れれば遅れるほど以下のような損害が増えてしまいますよ・・・

 で、金融用語的な出口戦略は前回書いたとおりです。ちなみに・・・その際にしばしば指摘される、日銀の(保有国債の価額低下等にともなう)バランスシート劣化については、以前のこちらの記事に書いた、いわば机上会計的な対応ができる(日銀に永久国債を持たせる等の対応ができる)ため、それほど大きな問題にはならないだろうと考えています。むしろ、この瞬間の経常収支の悪化トレンドのほうがずっと危険といえるでしょう。というのもそれは「日本国」連結B/Sの毀損(本邦純資産の減少)を意味するからです。でそれはどうして生じているか・・・って、いうまでもなく円建て輸入額の膨張をもたらした超~過度の円安のせいであり、それは上記政策が引き起こしているのだから、その意味でもココに長居は無用というもの・・・って、かの国が水面下(実質マイナス金利状態)に没したからには・・・

 そしてもうひとつ、重大な出口戦略が、この10年間(2013年~今年4月まで?の異次元緩和期間)つまり極端な円安外貨高局面で「高値掴み」してしまったリスク資産とりわけ外国債券をいかに損失少なく売り逃げるか、ということ。以前から書いていることですが、ここは何といっても「政府」・・・系金融機関である、ゆうちょ銀行農林中金、そして公的年金基金(GPIF)に集中していると推測されるところです。なので、その政府が「出口」に向かおうというのなら、これらも一緒に向かわせなければなりません・・・が、これも以前からの懸念のとおり正直、相当なダメージ(売却損&含み損の大量発生)はもはや避けられないでしょう。どこも、外債等の保有額が多すぎて機敏に動けない・・・うちに買ったときよりも円高外貨安が進んで、結果として巨額の為替差損を食らう可能性が高い、といったこと・・・

 そのあたり、ゆうちょ銀を例にあげて、そのコワ~い様子を眺めてみましょう。決算資料によると同行の昨年12月末時点の総資産額226.7兆円。そのうち「外国証券等」は77.9兆円となっています。これに対して純資産額は9.1兆円しかありません(というべきでしょう、自己資本比率4%程度という薄さなので?)。で同時点の為替レートは1ドル約131円でした。ということは・・・単純計算では同115円程度の(本来なら、それでも「超」がつくくらいの円安ドル高水準といえる)レートで自己資本が失われて債務超過に陥りかねない―――貯金の払い戻し等に支障が生じかねない―――ことに・・・

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【米インフレ堕ちが達成された以上「出口戦略」に移るのは自然な流れ】日銀新体制のもとで進む?「総仕上げ」③

2023-02-25 15:28:02 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、このたびの日銀総裁人事をめぐる動きからは、本邦政府のスタンスが現行金融政策の相当な転換・・・で結果として対ドル為替レートが円安から円高になっていくことを受容する方向に変わりつつある様子も窺えます(?)。で、それが何を意識したものか、といえば日本・・・ではけっしてなくアメリカでしょう、やはり・・・

 本ブログでは以前から、日銀の現行政策「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)の目的は「表向きの目的」「本当の目的」「本当に本当の目的」の三段構えになっていると指摘し続けてきました。となると、ここで最重要なのは当然「本当に本当の目的」になります。これは、毎度の繰り返しになりますが、「本当の目的」に基づいて支えてあげている・・・かのように思わせてインフレを喚起させて自壊に追い込むこと・・・ってアメリカ、でしたね・・・

 で、アメリカがそんな目論見のとおりになってきた、すなわち、かの国はついに真性インフレ状態(実質マイナス金利[長期金利-インフレ率<0]から脱却できず、その状態が永続すること)に(遅くとも2020年の夏あたりには)陥ったわけです。ここは現在進行中(で間もなく終了[せざるを得ない]見込み?)の米FRBの利上げによっても実質マイナス金利状態がちっとも解消されないところにも現れています。さすがにそこまで念入りに見極めれば、やはりアメリカは「仕上がった」(もう二度とインフレの鎮圧はできない)と見切っていい頃合いでしょう・・・

 となってくると、上記政策の(本当に本当の)所期の目的はみごと(?)達せられた、ということで、同政策はさっさと手仕舞って「出口戦略」へ、となるのが自然な流れというもの。ちなみに・・・金融用語的に出口戦略とは金融緩和を終えて利上げ等を進めることをいいますが、ここでいう出口戦略とは・・・アメリカのインフレ堕ちの巻き添えをわたしたちが食らうことのないように戦略的に動くこと・・・といった感じになります。

 そのために、まずは、かの国と同様のインフレ、もっと具体的にいえば原油・・・をはじめとするドル建てのエネルギー価格急騰のダメージ緩和に向け、それらの円建て価格が上がらないようにする(むしろ下がるくらいにする)ような金融政策誘導が必須・・・って、端的には金融引き締め―――現在0.5%(/年)の長期金利の許容上限の引き上げ等―――で(日米金利差を小さくして)円高に導くことが求められるはず。

 本ブログで何度も述べているとおり、アメリカのインフレとはドルすなわち基軸通貨・・・というより「石油交換券」の価値劣化だから、それに反比例して石油のドル換算価格は上がっていく(しかない)わけです。もっとも、その害悪はドル価格の上昇の度合い以上に円がドルに対して価値を高めていけば食い止められるため、そうしましょう、ということ。こうしてアメリカはエネルギーインフレに沈み、いっぽうの日本は沈まずに済む、という次第。おそらく政府が日銀に暗に求めたのはそのあたりの政策運営方針ではないかと・・・(?)

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【日銀現政策下の10年間は戦後「最低最『黒』」】日銀新体制のもとで進む?「総仕上げ」②

2023-02-23 11:12:46 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、4月に交代する日銀の次期総裁に経済学者の植田和男氏(71)が内定したのは、黒田東彦現総裁(78)の後任として想定されていたであろう現副総裁の雨宮正佳氏(67)が、そのオファーを固辞したから、との由。でその理由は、日銀の新体制が現行金融政策の点検と評価をするにあたってその当事者である自身が最高責任者として関与するのは適当ではない、と考えた・・・くなるくらい、政府が示した今後の経済運営の方向性が氏らのその成果?を否定しかねないものだった、と推測できるような・・・

 で、その政策すなわち俗にいう「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)はどう評価されるべきか・・・って、そんなの公費を使って次官をかけてやるものではありません。誰でも一瞬で分かること。ズバリ「最低最『』だ(田?)!」以上検証終わり。それ以外に何もありはしませんって、日本に関するところで・・・

 で、最低最「黒」というのは、べつに感情的になってそう表現しているわけではありません。「最低」というのは文字どおり、異次元緩和は日本のGDPやNI(国民所得)をその開始前(2012年)の水準から現時点(2023年)までの10年間で、世界で「最」も「低」下させる方向に十二分に機能した、ということ。ここでこれを証明するデータは・・・すみません正直、日本を愛する者として直視に耐えない(とりわけ直近の2022年の値が息苦しくなるくらいにヒドい)ので出し(せ)ません。

 そして最「黒」というのも文字どおり、上記を色で例えたら「黒」以外にないでしょう、ということ。だって「最低」ですから。さらにその「最低」を、だ~れも指摘しない・・・というか指摘できない(?)、まるで戦前のような空気感も色でいえば「黒」、ということ。このように客観的にみてくれば、日銀の現行金融政策が上記評価結果のとおり、そして奇しくも?これを先導してきた現総裁のお名前のとおり「黒田」といえることは明白・・・じゃなくて明「黒」でしょう・・・(?)

 ・・・といったわけで、この国の10年間をまさに「黒一色」に染め上げた感のある日銀現行政策ですが、ではそれがどうして、この間、わたしたちを世界ボトムに舞い下げたのか、といえば・・・何度も繰り返すように、その本来の作用である「円安」誘導でしたね。これ「YCC」(イールドカーブコントロール)などと、あたかも金利に働きかけるように装っていますが、実態としては為替レートにもっともフォーカスしている、より正確には円安(ドル高)になるように金利(とくに長期金利)を操作する政策といえます。これが(とりわけ昨年)みごとにハマって・・・というのが、この瞬間、わたしたちがハマっている経済環境、といった次第です。

 で、その環境をいっそう深化させる、つまり日銀現行政策を継承そしてさらなる円安を志向するべき後継者と目され、そして自身もそのつもりでいた(であろう)雨宮氏に次期総裁就任を断らせた・・・ということは、やはり政府の意向が、そんな氏の思いとは180度違った、すなわち円安から円高への転換・・・が結果としてもたらされるような金融政策をリードしてもらえないか、ということだったと考えるのが自然でしょう(?)。

 では、かりにそうだとして、本邦政府はどうしてこのタイミングで?ですが・・・それはおそらく、日銀トップ交代を契機に、きわめて慎重に(?)動き出すことにした・・・のではないか(と思いたい)。それはやはり・・・アメリカに関するところで・・・

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【政府、次期日銀総裁に同行出身者でも財務省OBでもない植田和男氏を提案】日銀新体制のもとで進む?「総仕上げ」①

2023-02-19 00:03:08 | 日本
 どうやらそろそろ・・・が進む体制が整ってきた・・・というべきか・・・

 政府は、先日の議院運営委員会理事会で、日銀の総裁人事について、現職の黒田東彦氏(78)の後任に、経済学者で元日銀審議委員植田和男氏(71)を充てる案を提示しました。今後、国会の採決等を経て、この4月より日銀の「植田」新体制がスタートすることとなっています。

 すでに各メディアが報じるように、そして個人的にもこれ、けっこうなサプライズ人事でした。というのも、次期総裁には、現副総裁で日銀生え抜きの雨宮正佳氏(67)が就くものとばかり思っていたため。実際、今月6日の日経新聞が、政府がその打診を雨宮氏に対して行った旨を報じていたので、まあ「既定路線」だからな、と半ばあきらめていた(?)矢先でしたから。

 ここで、既定路線とは何か、ですが・・・日銀の総裁はこれまで財務官僚ОBと日銀幹部が「たすき掛け」で務めてきた経緯から、前者にあたる黒田氏の次は当然後者すなわち日銀の内部から、となるのが順当ということ。そこは、雨宮氏が5年前から副総裁として黒田総裁の近く(で現行金融政策を推進する立場)にいたこと、そして同氏が黒田氏よりも10歳ほど(≒総裁2任期分)若いことなどから、政府関係筋にも当初、5年の「準備期間」を経た後は雨宮氏を、という思惑があった・・・のだろうし、同氏自身も(日銀総裁ポストを内部昇格者枠として守りたいという思いからも)そのつもりだったのだろう、と想像されるわけです。

 ところが、上記のとおり雨宮氏ではない・・・どころか他の日銀幹部でもなく、だからといって「親会社」(日銀出資金の過半を有する政府≒財務省)の「天下り」でもない植田氏に白羽の矢が立った、ということで、やはり、なかなかに異例な(というか不自然な?)人事ですよ、これ・・・

 では、どうして急転直下のサプライズになったのでしょう。そのあたり日経によれば、当の雨宮氏自身が総裁オファーを固辞したから、とのこと。その理由は、日銀の次期体制は現行政策の点検と修正が求められるところ、同政策推進の当事者の自分が(総裁として)関与することは公正ではないと考えるため、といったことのよう。たしかにそうかもしれません・・・が、それでも雨宮氏は総裁職に就くべきでしょう、周囲が自身のために上記レールを用意周到に?敷いてきてくれたことに報いるためにも・・・

 このように考えてくると、雨宮氏辞退の本当の理由は別にあるとみるのが自然に思えます。で、そこは以下のように推測できるのではないでしょうか。すなわち・・・政府の今後のマクロ経済運営方針が自身の政策スタンスと相容れないため、これに沿うような金融政策を自分が日銀トップとしてリードするのは嫌だ・無理だ・不可能だ、ということ。であれば上記の展開はつじつまが合うことになります。

 ではでは、その政府の方針とはどのようなものか・・・って、そこは上記から容易に窺い知ることができます。つまり・・・「当事者」の雨宮氏がイヤがるくらいの―――自身のこれまでの業績?が否定されるほどの―――日銀の現行金融政策「異次元緩和長短金利操作付き量的質的金融緩和)」の相当な方向転換が必須となるような内容を含んでいる・・・のではないか・・・

 そして、その転換の結果、何が起こるか、といえば・・・やはり、為替レートの円高ドル安の進行でしょう・・・

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【アメリカを「仕上げた」方々もお役御免の頃合い?】米「逆イールド」が示唆するインフレの再加速④

2023-02-17 00:02:14 | アメリカ
前回からの続き)

 前記のように、アメリカはすっかり「仕上がって」しまった感が窺えるわけです。つまり、実質金利(≒[長期]金利-インフレ率)が大幅なマイナス圏(本来ならば景気超~過熱局面のはず)にあるにもかかわらず、景気後退シグナルである「逆イールド」(短期金利が長期金利よりも高くなる状態)が点灯しているよ、ということ。であれば、何度も指摘のとおり、かの国(≒米FRB)は、インフレ再加速(しかできません!)・・・と、あからさまには言えないので、ヨソのせいにして・・・ってロシアのウクライナ軍事侵攻の長期化がもたらす不確実性への対処・・・とかを口実に(?)、より「下」(実質マイナス金利を深堀りしていく方向)に降りていくしかありません。

 かくしてアメリカは、蟻地獄に堕ちたアリのように、もう二度と「地上」(実質金利プラス圏)に這い上がることはないでしょう(?)。それが何を意味するのか・・・って、いうまでもないことですね、いまさら・・・

 ところで、そのようにアメリカを「仕上げて」しまったのは・・・まあ、まずは自身ら・・・ではありますが、彼ら彼女らを政策巧みに?そんな蟻地獄に(10年間もの長い時間をかけてじっくりと)陥るように誘導し続けた方々がどこかにいたような気が・・・って、もう「仕上がって」しまった―――所期の目的を達成した―――以上、さすがにお役御免の頃合いなのでしょうね、やはり・・・(?)

(「米『逆イールド』が示唆するインフレの再加速」おわり)

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【米不動産価格、その少し後には油価も再上昇に転じる?】米「逆イールド」が示唆するインフレの再加速③

2023-02-15 00:01:46 | アメリカ
前回からの続き)

 前述のように、不動産市場では、FRBの近々の利上げ終了そして利下げ(さらには量的緩和)再開を見据えた動きとして(?)現在、住宅ローン金利がじりじりと下がっているところです。もちろん、その読みのとおりになる(しかない)だろうから、政策金利も短期金利も、ほどなく低下に向かい、その過程で長期金利を下回っていき、逆イールド(短期金利のほうが長期金利よりも高くなる現象)も解消されて米経済はリセッション墜ちを免れて、めでたし、めでたし・・・

 ・・・って、アメリカ人の大半にとってはこれ、ちっともめでたくないでしょうね。前述、そして本ブログで何度も書いているように、これではインフレの鎮圧ができませんから。しかも・・・政策金利が5%近くにまで上がっているこの瞬間でさえ、実質金利には依然としてマイナス圏(つまり、モノ>カネ)なので、ここで金融引き締めが断念されて同緩和に向かえば、そのマイナス幅がさらに拡大して、せっかく収まる気配が少しは見えていた物価の再上昇にモーレツな勢いがつく(つまり、モノ>>>カネ、となる)のは必至でしょう・・・

 そこで、あらためて注視するべきは・・・やはり原油価格(エネルギー価格)になってきます。同(先物)価格はロシアのウクライナ軍事侵攻・・・ではなく、金利が付かないという、そのコモディティー(商品)としての性質上、米金利とりわけ短期金利の動向に影響されるわけです。で、そのとおり、この瞬間―――逆イールドが発生するほどに政策~短期金利が高くなっている局面―――のその価格は1バレル80ドル前後と、昨年の夏ころの1バレル120ドルに近いレベルからわずか半年あまりで1/3も下がりました(・・・ってこの間、ご存じのようにウクライナの戦いはますます激しくなっていった[からエネルギーの供給不安が高まってその価格が上昇した?]はずですが)。直近では、米燃料費は11月から12月までのわずか1か月で16.6%もダウンし、これが同月の消費者物価指数(対前年同月比プラス6.5%)の前月比からの(たった!?)0.1%の低下に寄与することになりました。

 とはいえー――原油価格がこうして大きく下がっているとはいえ―――上述のようにインフレ率はFRBが目標とする年プラス2%を大きく上回り、しかも実質の利回りはマイナス3%を優に超えるという、戦後最悪レベルのインフレ局面にアメリカがある事実に変わりありません。そうしたなかFRBは間もなく、その政策スタンスの180度転換を余儀なくされそうです。それは、政策金利の低下と同時に上記マイナス幅のいっそうの拡大、つまり・・・モノ投資への妙味を大いに喚起して、油価を150ドル超に向けて(?)跳ね上げることでしょう・・・

 とまあ、こうしてアメリカは、ちょっと(金利が)上ったと思ったらそれよりずっと下に(金利が)落ちていくという、まるで蟻地獄・・・のような「真性インフレ」(実質マイナス金利が永続する事態)の深みから抜け出せなくなっていくのですね・・・って、何度も書いていますが。

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【米住宅ローン金利低下はFRB金融緩和再開を読んだ動きか】米「逆イールド」が示唆するインフレの再加速②

2023-02-11 20:21:38 | アメリカ
前回からの続き)

 前述のように、アメリカでは、FRBが利上げを進めるなか、景気後退入りのサインとされる「逆イールド」(長期金利よりも短期金利の方が金利が高くなる現象)が発生しています。実際、今週末時点の利回りを比較しても、長期金利(米国債10年物)3.73%<短期金利(同2年物)4.52%<FF金利(政策金利)(4.5%~)4.75%、となっており、上記状況が確認できるわけです。となると・・・金融マーケットは米経済が本当に「リセッション」前夜を迎えつつある、と予測しているのか・・・?

 ・・・って、そんなハズはないでしょう。それは遅くとも(?)20世紀の逆イールド局面でいえた話。いま(そしてこれから)は、それが示唆するのは・・・その真逆で「インフレ加速」前夜だ、ということ。つまり、この瞬間の逆イールドは、リセッション入り・・・したら何かとマズいでしょ、だからそろそろ金利を下げてよ、と市場がFRBにプレッシャーをかけていることの反映で、もちろんFRBはこの圧に耐え切れずに利下げそして量的緩和に追い込まれて物価コントロールに失敗、結局はお約束のとおり(?)少し前(昨年夏~冬頃)よりもずっと激しいインフレを喚起してしまって・・・って、そうした不可避の(?)コース入りが目前に迫ってきた、ということです・・・

 ここで、今回とくにヤバいのは、「実質マイナス金利」が解消されていないにもかかわらず、逆イールド発生としてそのシグナルが点灯してしまったことでしょう。これ、こちらの記事に書いたことから当然、戦後初の異常な状況でしょう・・・

 アメリカの直近(昨年12月時点)の消費者物価指数は対前年同月比で6.5%のプラスでした。これを上記の不等式に組み込むと、長期金利<短期金利<政策金利<インフレ率、となるため、いまは逆イールドが示すところでは景気後退局面・・・のはずなのに、長短いずれの金利も実質でマイナス圏という景気過熱局面、つまり金融政策的には、まだまだ引き締めを継続して物価上昇を抑えるべき局面にある様子も窺えます。このように、金融緩和・同引き締めの双方に、そうするべき根拠?があるところ、ではFRBはどっちを選ぶの?・・・って、決まり切っています。何度も指摘しているように前者つまり金融緩和の選択以外にありません。それしかないのなら、じゃあどうしてFRBはここまで引き締めを続けてきたの?・・・って、これまた既述、FRBには中央銀行としての役目(≒インフレファイト)を果たす能力がある・・・かのように装うため、です・・・って、それがすでに亡くなってしまったことは実質マイナス金利の現出で明らかですが・・・(?)

 とみてくれば、このたびの逆イールドはリセッション入り・・・なんぞではなく、インフレのリスタート入り―――FRBの利下げそして量的緩和への回帰間近―――の兆しであることが推察されるわけです。当然、市場もその気配を嗅ぎ取っているのでしょう。そのあたりはたとえば・・・昨秋は7%を上回っていた30年住宅ローン固定金利が、政策金利はその後も上がったにもかかわらず、現時点(8日前後)で6.2%程度まで下がってきたことからも窺えます。つまり不動産市場は、ローン金利をこうして下げても利ザヤが稼げる・・・くらいに(長期)金利は今後さらに下がる・・・ようにFRBが間もなく金融緩和する・・・ほかない、と先読みをしている、ということなのでしょうね・・・

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【FRB利上げで政策金利は4.5-4.75%に】米「逆イールド」が示唆するインフレの再加速①

2023-02-09 21:22:25 | アメリカ
 景気後退の兆し?いいえその逆、インフレ再加速の兆しですよ・・・

 ご存じのように、FRB(アメリカの中央銀行)は、今月1日のFOMC(金融政策決定会合)で、政策金利(フェデラルファンド[FF]レート)の0.25%の引き上げを決定しました。昨年3月に利上げを開始して以降FRBは、5月に0.5%、6月~11月までの4回で各0.75%、12月には0.5%と利上げを続けてきたわけですが、今回はそのペースを減速させるだろうとの市場関係者の大方の予想のとおりの上記利上げ幅、ということで、この結果、同金利の誘導レンジは現在4.5~4.75%となっています。

 ここでFFレートとは、FRBの準備預金をアメリカの銀行同士が無担保で貸し借りする際の金利のこと。その返済期限はオーバーナイトつまり翌日(1営業日)です。となると、これよりも同期限が先の国債等の利回りは、それまでの間の不確実性が見込まれる分、同レートよりも大きくなるのが自然でしょう。よって「通常」、償還期間の長い国債ほど金利は高くなるものです(縦軸を利回り、横軸を償還期間としたとき、これが描く右肩上がりの曲線を「イールドカーブ」という)。

 ところが、いまのアメリカでは、これとは逆に、上記期間が短い国債のほうが長い国債よりも利回りが大きくなるという現象が生じています。これ昨年、上記利上げが進むにつれて顕著となり、現時点(日本時間9日21:00)の国債2年物の利回りは4.41%なのに対して同10年物は3.59%などとなっています。このように、短期金利(短期国債の利回り)のほうが長期金利長期国債の利回り)よりも高くなり、上記曲線が右肩下がりを示す様子を一般的に「逆イールド(カーブ)」(inverted yield curve)といいます

 では、「通常」ではない、この逆イールドの発生が示唆することは何でしょう。いま(近い将来)の金利よりも(遠い)将来の金利のほうが低い、ということは・・・この先、どうやら景気が後退していきそうだ―――資金需要が減って金利が下がりそうだ(長期国債に資金が集まりそうだ)―――とマーケットは予測しているのでしょうね、やはり。そこは、たとえば「World Economic Forum」のコラムも、アメリカでは1960年以降、リセッション入りするおおむね1年ほど前から逆イールドが生じている、と書いているとおり、皆さんそのように思っている―――正しくは、そう思いたい(?)―――のでしょう、これまでの経験則から・・・

 しかし・・・それはあくまでも「これまで」のこと。おそらく「これから」は違いますよ、まったくね・・・

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【日本はウクライナ&欧米を財政支出は極小で支援することで…】ウクライナ「開戦」もうすぐ1周年:急がれる現実的な和平案④

2023-02-01 21:25:12 | 日本
前回からの続き)

 ということで、今月で「開戦」1周年を迎えるウクライナの情勢について、米実業家イーロン・マスク氏がツイートした和平案に関連させて思うところを書いてきましたが、このタイミングでは同案とは真逆な、つまり(米欧のウクライナ軍事支援の狂歌で)戦闘がさらに激化しそうな雲行きになっています(?)。とはいえ、上記したことからウクライナが形勢逆転・失地回復できるとはとうてい思えず、だからといってロシアも応戦に追われて占領地運営もままならず・・・でしょうから、結局、双方とも消耗戦を続けるほかなさそうな・・・

 さて、日本はどうするべきでしょうか。個人的には、わが国は、両サイドの和解仲介役になるべきだし、諸状況から見て、本来はその最適任と考えます・・・が、いまの本邦政府(と日銀!?)にその気はまったくないでしょう。では、いっそのこと・・・こうして延々とドンパチして、この瞬間も人々が死傷し、納税者は疲弊していくのに、何ら懲りることのない関係各国をすべて逝かせますか。とはいっても、スケール的に(国民負担[財政支出]的に)は小規模に抑えつつもウクライナとその支援国の側をそれなりにサポートすることで戦争の長期化を促して・・・という具合。まあ・・・本稿2回目に書いたような、みなさんどうぞご勝手に、という、離れた地点で傍観しながら(?)深入りは絶対に回避するスタンスで対応する、ということです。あとは自然の成り行きで・・・

 そのあたり、武器輸出三原則も含めて日本は平和憲法で守られているな、と感じます。つまり・・・そのおかげで、この無益な戦いの巻き添えにならずに済みますから。その点、わたしたちはウクライナから「平和」の戦略的な意味を知ることができますよ・・・

(「もうすぐ1周年:急がれる現実的な和平案」おわり)

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