世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【ウイルス禍、最大の脅威?は原油価格の低下】新型コロナウイルス、最大の経済的被害者はサウジアラビアと…②

2020-02-27 00:00:32 | 世界共通

前回からの続き)

 前述したゴールド)価格ですが、引き続き1トロイオンス当たり1600ドル台を激しく上下しており、市場が依然として金に意識を向けている様子が窺えます。なお円建て価格は前述以降、為替がやや円高になったために1グラム6000円の高みからは少し遠のいた印象です。以前こちらの記事に書いた理由から、金価格(ドル建て)が上がっているとはいっても史上最高値(1923ドル)から15%前後も低い現時点で円建て価格のほうが人跡未踏の6000円台に乗るようではイケナイ!という思いがするわけですが、このままだと近日中に6000へのリトライ局面が現れるかも・・・(?)

 さて、金価格が上がることの本質的な理由はインフレリスクの高まり、すなわちペーパーマネー(ぶっちゃけドル)の、過剰な増刷に起因する信認低下懸念に見出せます。以前から何度も書いているように、これ金融システム危機によって生じ得ること(米欧各行のデカすぎる債務超過額の穴を埋めるのは財政資金では不可能なためにインフレ承知で中銀が派手に紙幣を散布[≒財政ファイナンス]する以外にない)。ということはいま、市場がその危機が現実になるリスクを検知し始めているからこそ金価格がじりじりと上昇していると解釈するべきなのでしょう(?)。では、新型コロナウイルス禍の何に関連して市場がそう感じるようになっているのか?ですが・・・最大のところは、石油の需要減少と価格低下だと考えています。

 そのあたり、同ウイルス発生源の中国について、今月3日のブルームバーグは、同国エネルギー業界複数の関係者の話として、ウイルス感染拡大の影響で中国の石油需要は消費全体の20%に相当する日量約300万バレルも減少したと伝えました。これほどの落ち込みはリーマンショック以降で原油市場が見舞われた最大スケールとのことです。2016年にアメリカを抜いて以来、世界最大の原油輸入国となっている中国は日量1400万バレルを消費しており、これは何と!日独仏伊西英韓7か国の合計に匹敵するそうな・・・(って、スゴい比較の仕方・・・)

 まあ上記数字の信ぴょう性は必ずしも高いとはいえないのでしょうが、今般のウイルス禍で中国の原油需要が激減しているのは間違いのないところでしょう。今後、事態が好転せず、それどころかいっそう悪いほうに向かったりしたら、中国はもちろん、わが国を含む全世界の原油需要のいっそうの低下は避けられない感じです・・・

 いっぽう、そのダメージを目いっぱい被るのは当然ながら産油国、とりわけOPECの盟主サウジアラビアでしょう。こちらの記事でご紹介のとおり、現在「OPECプラス」(石油輸出国機構[OPEC]および非加盟産油国のグループ)は日量170万バレルの原油減産を実施中ですが、サウジはこのスキームの自国割り当て以外に40万バレルの自主的な減産を追加で行っています(OPECプラスの合計では210万バレルになる)。サウジとしては、こうして自ら身を切ってでも―――原油販売の量&収益を減らしてでも―――原油価格を押し上げたい!と切望しているのでしょう。が・・・その願いもむなしく、中国一国の需要減だけでも、各産油国が苦労して積み上げた減産総量210万バレルを軽~く上回りそう。これに加え、日本など中国以外の石油輸入国の消費量も今後は減少必至です・・・

 そこでサウジとしては、もう一段の原油減産を図り、その価格低下に歯止めをかけたいところでしょう。しかし、ただでさえ収入が減っている他の産油国がどこまでこれに追従できるか不透明です。ちなみにロシア・・・は、サウジと並んで減産への耐性がまだありそう(?)ですが、同国のエネルギー相は6日、地元メディアに対して追加減産に慎重な姿勢を示したとのこと(って、まあそうでしょう、やはりロシアには、こちらの記事に書いた事情等もあるみたいですからね)。というようにサウジとロシアという2大産油国の足並みは揃わず、結果として原油の大規模な追加減産は見送られ、いっぽうでウイルス禍の拡大で需要は低迷し、その価格はじりじりと下がり続ける、といった展開になっていきそうです(?)。

(続く)

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【金の円建て価格、1g6000円台に上昇も】新型コロナウイルス、最大の経済的被害者はサウジアラビアと…①

2020-02-25 00:00:32 | 世界共通

 新型肺炎の一番の被害者は、まあ人的には中国になるのでしょうが、経済的にはサウジアラビア、と・・・

 はじめに、国内外の区分によらず、新型肺炎で亡くなられた方々のご冥福と、現在治療中の方々の一刻も早い回復を祈念いたします。

 ご存知のとおり、新型肺炎(新型コロナウイルス)が猛威を振るっています。これが今後どのような展開をみせるのか非常に不透明ですが、その脅威は誰にとっても同じだし、よってその収束を願わない人は世界のどこにもいないでしょう。そのような意味で、この根絶に向けた現在の国際的な協力と連帯が、後になって振り返ると、人類のいっそうの結束を促す契機になった、と近い将来、皆が思えるようになる日が来ることを切に願いたいものです。

 さて、これまたご存知のように、新型コロナウイルスは世界経済にも影響を及ぼすようになってきました。ここでまず指摘しておきたいのは」(ゴールド)価格の上昇です。金価格は年初から今月(2月)はじめにかけて1トロイオンス1500ドル台前半から後半へとじりじり上がってきてはいましたが、同ウイルスの感染拡大が確認された今月中旬以降は上げ足が速まり、18日には終値としては2013年以来約7年ぶりに1600ドル台に達しました(1603ドル;NY先物)。その勢いはさらに増して、現時点(NY時間24日7:00)で1680ドル前後と、1700ドル台に向かって?急騰中です。

 これ以上に顕著な値上がりを示しているのが円建て価格のほうでしょう。東京商品取引所の金先物価格はここのところ連日のように騰勢が続いていて、先週の終値は1グラム5854円(2月限月)と上場来最高値となっています。この瞬間の上記NYマーケット状況が継続すれば、近日中に史上初の6000円台に乗る可能性があり、それが日経新聞あたりで報道されそうです(?)。

 では、どうして金価格はこうも上がっているのか?について上記ウイルス禍をふまえてマーケット風に解釈すれば、中国を筆頭に世界経済の成長に下押し圧力が高まることで、リスクの高まりを警戒した余剰マネーが安全資産の筆頭である金に流れ込んでいるから、といった当たりでしょう。ここで円建て価格のほうが史上最高値に達したのは、それだけ円安ドル高が進行したため。本来、リスクオフ時は金と並んで円は高くなりますが、日本(経済)はコロナウイルスのダメージが相対的に大きい、とみた市場がドル買い円売りを進めたためと思われます。

 これに対し、上記を本ブログ風に解釈すると、コロナウイルス拡大を理由に市場がおカネを動かした結果として金価格が上がって円が安くなっている、といったあたりだと考えています。そうすることで利ザヤが取れる可能性がありますからね。まあ(「復権」しつつある)金のほうはともかく、ファンダメンタルズからしてコロナごときで円がドル等に対して安くなるなんてあり得ないでしょう?

(続く)

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【ドル・ユーロをかき集めるのは移住願望先の通貨だから?】「一帯一路」で何もない?「西」に向かう中国⑪

2020-02-23 00:00:13 | アジア

前回からの続き)

 ということで、表題について思うところを綴っていたら、いつもの結論、つまり中国はもちろん、アメリカEU諸国の現在の通貨・金融のシステムを支えているのは日本だといったあたりに行き着いてしまいました。まあこれ「円>ドル>ユーロ>新興国通貨人民元等)」(実質利回りが大きい順)のとおりだから当然といえば当然ではあります。マネーはこの不等式(≒市場原理)のとおり、低いところから高いところへ流れるわけで、これを無理矢理逆転させるには―――ドル以下の信認を保つには―――日本が自分の実質利回りを(反市場的、つまり左翼的な?)アベノミクスで世界最低にもっていかないとならない、ということですね・・・(?)

 さて、本稿の冒頭で、中国の特権階級(共産党長老)の孫とその妻が、その特権を行使して?休館中の紫禁城に禁止されているはずの車で乗り込んだ件を書きましたが、彼ら彼女らの大半は、母国の改革(中国の通貨・金融システムを日本に迫るような「先進国型」にすること等)などはどうでもよく(?)、単に自分たちがスーパーリッチになれればそれでよいし、イザとなれば外国、具体的には「憧れ」の欧米諸国に「エクソダス」(Exodus;国外脱出)すればいいや、と考えているのでしょう。くだんの2人も、これ見よがしにドイツ車を乗り回し、多くの中国共産党幹部と同様、(逃走予定先の?)アメリカにブルジョア風な?不動産を所有しているわけですからね。いかにも「3S」(Screen, Sports, Sex)を通じて欧米文化に洗脳されちゃっているな、という感じ・・・(でいいの?共産党員がそんなことで・・・)

 であれば必要なのは、かの地で流通するドル・ユーロということになってきます。となると、いま中国が必死になって?これらをかき集めているのは、金融当局らを含む支配層の潜在意識に欧米諸国への移住願望があるからなのでは、なんて勘繰っています。もうそうなってくると、去ろうとする国(中国)を少しでも良くしよう(外国の意のままにされることのない通貨・金融システムを作ろう)なんて気になるはずがない・・・

 ・・・って、彼ら彼女らにも、3Sに導かれて向かった「西」が、それまで見向きもしなかったすぐ「東」の日本に支えられていたことを知るときが・・・やがて来るでしょう(?)。このあたりも含めて中国は、本当に本当は、有史以来、(日本が中国から学んだ以上に)じつに多くのことを日本から学んでいるんですけど、なかなか気づけないものですね・・・

(「『一帯一路』で何もない?『西』に向かう中国」おわり)

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【通貨金融「新興国型」の中国がいま買い増すべきは円資産】「一帯一路」で何もない?「西」に向かう中国⑩

2020-02-21 00:01:18 | アジア

前回からの続き)

 前述のように、中国の経済的根幹である通貨・金融システムは第1に米ドルそして2番目にユーロに依拠して成り立っていますが、その両通貨とも実質的に日本が支えているからいまの価値を保っていられる面があるわけで、その意味では、自覚しているかどうかはともかく中国は上記を日本に頼っている、といった見方もできると考えています。

 となると、このあたりを外国に依存せざるを得ない中国にとっては、ドルやユーロなどよりも、・・・建て資産(日本国債等)の保有額を増やすのが賢明、ということになってきます。その意味でアベノミクス、すなわち極端な円安のいまは、中国(などの諸外国)にとっては円資産を安く買うべき絶好の好機でしょう。

 実際、各国はこれらを着々と買い増しています。財務省の債務管理政策レポートによれば、海外勢の本邦債券(国債、地方債、社債等のすべての債券;カストディアン[金融機関]ベース)の所有合計額は、アベノミクス開始直前の2012年には96.9兆円だったのが、2018年には同175兆円と、6年間で8割も増えています(っても、この間の円安ドル高進行でドル換算額の増加率は約33%となる)。この間の日本の金利(名目)が世界トップレベルの低さで推移したにもかかわらず外国勢がこうして保有円資産を増やしたのは、単純にそれらが実質実効ベースで20%以上も割安で、海外の投資家にとっては、見た目の低利回りを差し引いてもその潜在的な実質利回り―――これらがもたらすドル等換算額の増分―――が元本に対して20%以上?もの高率が見込めるためでしょう。とても合理的な判断だと思います。

 ちなみに、上記175兆円のうち中国の保有額は14.3兆円で全体の4番目となっています(1位アメリカ、2位ルクセンブルグ、3位ベルギー)。これ中国の外準総額約3兆ドルに比較するとずいぶん少なく感じられますが、先述、そしてこちらの記事等に書いたような事態―――ドルそしてユーロが暴落する事態―――になった場合は、このドル・ユーロ換算の価値が逆に大きく膨らむことになります。1ドル100円が同50円になれば2倍に、同30円になれば3倍超になる、といった具合です。これによって中国人民銀行(中銀)資産勘定の急収縮の勢いは緩和され、人民元の価値は一定程度、下支えされるでしょう。それはこちらの記事等に書いた「」(ゴールド)が果たす役割と同じですが、いまの円資産はおそらく次の2点で金以上に中国にとって有用なはず。1つ目は、円が過度の安値に抑え込まれているために、上記場合でのドル等に対する上昇リバウンドの大きさが金をも上回る可能性があること、そしてもう1つは日本国債等の流動性が金よりもずっと高いこと、です。

 以上からすれば、「新興国型」(先進国の通貨・資産を自国通貨の裏付けにしているスタイル)の中国には、このタイミング(円安の現在)で日本国債等の円資産を買い増さない手はないように思えますね。本稿のタイトルで言えば「西」ではなく「東」(の日本の円建て資産のいっそうの確保)を目指したほうがよほど国家国民のためになる、といったようなことです。他方、これ日本にとっては(チャイナマネーを借金することの)キモチ悪さ?があるかもしれませんが、ぜんぜん大丈夫。だってチャイナマネーは「疑似ドル」すなわちドル(ユーロ)・・・に支えられているのであり、そのドル(ユーロ)は、わたしたちジャパンマネーが支えているのだから・・・

(続く)

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【中国が真に頼るのはドル・ユーロではなく、それらを支える日本】「一帯一路」で何もない?「西」に向かう中国⑨

2020-02-19 00:01:28 | アジア

前回からの続き)

 前回、中国の経済的根幹をなす通貨(人民元)と金融のシステムが全面的に頼るところの米ドル・米国債の信認と価値は、市場原理(円>ドル等[実質金利の大きい順])に逆らって(アベノミクス)日本がこれを買い支えることで―――巨額の為替含み損失リスクを抱えることで―――(かろうじて?)維持されている、といったようなことを書きました。

 なお、一帯一路構想に基づき、中国が依存度を高めつつある?ユーロEU(欧州連合)諸国債のほうは、上記の対米と比較すると一見、日本の投資額が少ないように思えます。が、こちらにも、わが国はけっこうなサポートをしているというべきでしょう、とくにIMF(国際通貨基金)を通じて・・・

 こちらの記事を含めて何度か指摘しているように、IMFは巨額の対外債務にあえぐEU加盟国ギリシャへの資金供与を継続しています。IMF自身、同国の債務持続性に強い疑いを持ち、その棒引き等が不可欠だ、などとしているにもかかわらず、です。この理由は、もしIMFがギリシャ支援を打ち切れば、同国はもちろんユーロそしてEUまでもが重大な危機に陥りかねないとの懸念があるためでしょう。よってEUは何としてもIMFに同国支援スキームに留まってほしいわけです。その最大の理由が・・・貸し倒れリスクの大きなギリシャに、EU以外のIMF出資国すなわち、わが国やアメリカ等のおカネを投入してもらいたいからでしょう(?)。そして、表面上はともかくIMFだって本心はここから抜ける気はないはず。そんなことをしたらギリシャ危機の再燃は避けられず、EUの主要銀行・・・のみならず最大出資国アメリカ金融機関が耐えがたいほどのダメージを被るだろうからです。

 ここで(中国とほぼ並んで世界第二のIMF出資国である)日本だけが真っ当なことを主張できる立場にあります。すなわち、ギリシャ支援は支払い能力が高いとされる独仏などのEU各国及びECB欧州中央銀行)に全部任せ、IMFはその枠組みからさっさと撤収せよ、ということ。日本(の金融機関)は欧米諸国とは異なり、ギリシャを含むEU重債務国の資産をそれほど持ってはいないし、逆にIMFの対ギリシャ融資が増えていくと、同国が債務不履行となったときに自分のIMF出資金を失うリスクが大きいわけですから。

 けれどいかんせん多勢に無勢、いくら日本がこうした正論?を語ったところで、欧米金融界の「牙城」でこれが支持されることはなく、IMFはギリシャへの追い貸しを今後も続けていくことでしょう。それはギリシャを助けるため・・・というよりはEUそしてその共通通貨ユーロの価値を守るためであり、こちらの記事等で書いたとおり、欧米金融システムが崩壊しないようにするため、ということになります。これ・・・日本からすれば、かの国々を助けるために、国民の財産が(無事に返されるかどうかアヤシイのに)貸し込まれていく、といったことを意味するわけで・・・

 ・・・って、すっかり長くなってしまいましたが、要するにユーロの信認もドルのそれと同様、日本が支えている、と言いたかったわけです。ということは、中国が真に頼っているのはドル・ユーロ・・・ではなくて日本だった、ってことになりそうです。そのあたり、ちゃんと自覚していますかね?かの国は・・・

(続く)

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【中国が経済大国になれたのは日本のおかげ?】「一帯一路」で何もない?「西」に向かう中国⑧

2020-02-17 00:02:27 | アジア

前回からの続き)

 先述のとおり、現在の世界経済シーンでは、アメリカと中国の2か国を「G2」つまり2大大国(?)などと表現することがありますが、アメリカはともかく、中国については、前述のとおり、国家の根幹となる通貨・金融システムが「新興国型」すなわちアメリカ(ドル)に全面的に依存しているために、アメリカと並び立つ国にはなり得ないと考えています。

 ということで中国がアメリカを追い越して世界一の経済大国になる可能性はなさそうです。で、そのポテンシャルがあるのはEU・・・でもロシアでもインド?などでもなく、日本一か国のみでしょう。メイド・イン・ジャパンは多くの分野で世界一であり、上記システムは自国債等の自国資産に基づく「先進国型」で、そのシステムが主要国中、もっとも健全であり・・・などと、その理由を上げていけばキリがないので一点だけシンプルに述べておくと、本ブログ毎度の不等式「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」(実質金利[=名目金利-予想インフレ率]が高い順)が成り立っている、ということかと思います。

 ・・・って、ここでは「円>ドル」となっていることが重要です。つまり日本国債)の実質利回り(≒成長の配当)が、中国など新興国が頼りにする基軸通貨ドル米国債)を上回っていること。であればマネー(≒通貨価値)は自ずと低いところから高いところに流れるわけで、円がドルに対して値上がりトレンドを続けることになります(ちなみにユーロその他の通貨は、せいぜいドルとイーヴンだろう)。その結果、こちらの記事に書いたように、近い将来、日本がアメリカと並んでG2と称されるようになる・・・のではなくそのアメリカをも抜き去ってG1―――世界一のGDP大国になるでしょう、理屈の上では・・・(?)

 けれど実際はそうなっていない・・・どころか、いまの世界ではほとんど日本一か国だけが圧倒的なマイナス経済成長に沈んでいるわけです。それは、本ブログでさんざん書いているように、アベノミクスゆえ(名目金利ほぼゼロ-予想インフレ率=実質マイナス金利?)、ということになります。つまりこれ、本稿の文脈では、市場原理に反して「円<ドル」に見せることでアメリカ(ドル)を支えようというもの。それはドルに基づく中国をもサポートすることになるから、上記、そしてこちらの記事に書いたように、劇的な転落を演じた「アベノミクス日本」を踏み台に(?)、米中両国がまさにG2として圧倒的なプラス経済成長を成し遂げたことになるわけです。

 上記からすれば、中国が世界第2位の経済大国になれたのはアメリカの通貨ドル・・・の価格を実勢よりも高い水準(ドル高)に維持し続けてきた(アベノミクス)日本のおかげ、といえそうですね(?)。

(続く)

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【通貨金融「新興国型」の中国が米国と「G2」なんてあり得ない】「一帯一路」で何もない?「西」に向かう中国⑦

2020-02-15 00:01:56 | アジア

前回からの続き)

 これまで書いたように、中国は自身の通貨・金融システムの信認をアメリカの通貨ドルそして米国債に依拠したまま世界第二の経済大国になってしまいました。よっていまさら、中国債など自国内の資産に紐づけた「先進国型」の同システムに転換するのは困難・・・というより、そもそも中国にはそれができるだけの実力もなかったしチャンスもなかった、というべきなのでしょう。かくして中国には今後もアメリカ(ドル)に従属し続ける以外の道はなさそうです・・・(?)

 「だからこそドルのウェートを下げて、一帯一路で欧州への輸出をいっそう増やし、さらに多くのユーロを稼いで・・・」って、これも外国依存には変わりないし、先述のとおり、中国にとってユーロがそれに値する通貨と言えるか?は疑わしいわけです。まあユーロは・・・ドルとイーヴンがせいぜい、といったあたりでしょう(?)。であれば「石油交換券」としての使い勝手の良さでドルの方がまだマシ?なのかもしれません(・・・って、このあたりは正直、どっちもどっち、という気がしますが)。

 さて中国は最近、アメリカと並んで「G2」つまり世界経済トップ2のうちの一国、みたいな言われ方をされることがありますね。けれど、上記からお分かりいただけるように、中国がG2すなわちアメリカと並び立つ国、なんて定義はあり得ないし、今後もなり得ません。通貨・金融が「新興国型」である以上、しょせん同国はアメリカより下位の地位に甘んじざるを得ないためです。一方、アメリカはドルの力で中国を意のままにできるわけです。それを感じさせる直近の例が昨年アメリカで成立した「香港人権・民主主義法」(香港で一国二制度が機能しているかを米政府がチェックする、とかを規定した法律)。これどう見てもアメリカの中国に対する内政干渉色が非常に強いものですが、中国は、報復する!と反発したものの、実際にしたことは、米艦船の寄港制限くらいです。その理由は上記のとおりでしょう・・・(?)

 将来、そのアメリカの地位に迫る国が出てくるとしたら、その国は「先進国型」つまりドルではないその国自身の通貨と国債等で金融システムが成立していることが絶対条件となるでしょう。その意味で中国やロシアなどの「新興国型」は選外です。まあ一般的に考えて、その一番手は・・・ユーロの欧州連合(EU)ということになるでしょう。が、上述、そしてこちらの記事等で何度も指摘のとおり、EUにその力はなさそうです。もちろん英国スイスなどは小さすぎ(なのに面倒を見なくちゃならない?金融機関は大きすぎ)て問題外。インド?たしかにデカいんだけどね、人口規模は・・・

 ・・・って、いつまで引っ張っても仕方がないので答えをいえば、それは「日本」になります・・・って、わが国以外にどこがある、というべきか・・・

(続く)

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【中国国有企業の巨額債務が先進国型通貨システム構築を妨げる】「一帯一路」で何もない?「西」に向かう中国⑥

2020-02-13 00:00:32 | アジア

前回からの続き)

 これまで綴ったように、中国の通貨・金融制度は、ヨソの国の通貨(ドルやユーロなど)および当該通貨建ての債券等の価値に依存するという「新興国型」となっています。同国は、これにともなう構造的リスク―――同制度が欧米諸国の経済情勢や政策変更等に否応なく振り回されてしまうというリスク―――から脱するため、これらに替わる通貨の価値裏打ち資産として、無国籍の世界共通通貨「」(ゴールド)を蓄えているものと推察されています。しかし、こちらの記事に書いたように、かの国に金を用いた金融政策がスマートに運営できるとはとても思えないわけで・・・

 となってくると中国は、他国通貨や金ではなく、日本やアメリカがやっているように、国債などの自国資産に基づいた「先進国型」の通貨・金融体系に移行するべき、ということになりそうです。たしかに、そうするのが世界第二の経済大国として自然に思えます。ですがこれ、言うは易く、行うは・・・メッチャ難し、でしょう。自国資産が・・・あまりにボロいため、です。

 上記の場合、最大のネックになりそうなのが企業の債務でしょう。中国の債務残高(2018年)をセクター別に対GDP比で見た場合、政府と家計は50%前後ですが、(非金融)企業は150%を超えるスケールにまで膨らんでいます(以上、MUFGレポートより)。これ、リーマンショック以後の大規模な公的投資政策によるインフラ建設や不動産開発等にともなうもの。ここで気になるのが、その債務の7割が国有企業のもの、つまり暗黙の政府保証が付いたものになっているところです。となるとこれ、治安維持の観点から、デフォルトさせるわけにはいかなくなるはず。よって、いずれはこれらを中国人民銀行(人民銀;中銀)が本来の市場価値よりもずっと高い値段で市中から買い入れて人民元を散布せざるを得なくなります(?)。各社はそれをいいことにさらに債務を積み上げ、銀行は企業融資を止めず、投資家は社債等を買い続けます。これらが延々と繰り返されたあげく、最終的には・・・制御不能のインフレ(通貨価値の暴落)を免れることはできないでしょう(?)。それは上記「先進国型」システムの破綻をも意味します・・・

 以上により、中国には「新興国型」つまりドル米国債に依拠した現行スタイル以外の通貨・金融制度を選択・構築することはほぼ不可能、ということになりそうです。個人的にはこれこそ、現王朝「中華人民共和国」最大の失敗だと考えています。経済的には大国になったようでいて、国家の経済的根幹をなす通貨と金融のシステムを、こうしてアメリカドル)に牛耳られ、そして今後もその呪縛から自由になれそうもないのですからね・・・

 では中国はどうすればよかったのか?・・・って、上記の企業債務が大膨張するず~っと前に、国有企業改革とか金融自由化などを断行するべきだったと考えられます。そうすれば不採算の企業は淘汰され、不良債権の累積が回避されるとともに、これによって人民元は安定した金融システムと真っ当な価値を有する自国資産に裏付けされた強い通貨になり・・・となったはず(?)。ですが、やはりこれも現実には困難だったでしょう。上記自由化を契機に、大規模な資本流出が起こっていた---国民の多くが自身の資産価値を守ろうとドルや円などの外貨(と米国債などの外貨建て資産)を買うべく、人民元を一斉に売ってしまっていた---でしょうから・・・

(続く)

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【人民元の裏打ち、ドルやユーロはインフレリスク、金も無理…?】「一帯一路」で何もない?「西」に向かう中国⑤

2020-02-11 00:04:35 | アジア

前回からの続き)

 前述したように、中国が自身の通貨・人民元の信認を裏付ける資産として依存するべき欧州連合(EU)の共通通貨ユーロは、ドルのような基軸通貨(本ブログの定義では「石油交換券」)ではないこと、そして万一の際に中国がEUから調達しなければならないような産品があるわけではないことから、中国にとってはそれほど頼りになる通貨ではなさそうに思えます。

 上記のうち後者について補足しておくと、スマートフォンに代表されるIT関連の先端技術開発において、欧州が日米中韓に大きく遅れてしまったことも、中国にとってのユーロの重要性が高まらないことの理由になるかと思います。現在、中国の最大の輸出品はこの分野の製品すなわち電気機器(輸出構成比で26.3%)で、そのうち電話機(有線・無線)が全体の9.7%を占めています(以上、データは経産省HPより)。ここにおいて中国は、アメリカ発のOS(基本ソフト)と日韓製の基幹部品を自国でパッケージして最終商品化し・・・といった具合に、おもに日米韓とサプライチェーンを形成しています。他方、ここには欧州メーカーはほとんど入りません。上記工程において、欧州から調達するべきものがさほどないためです。ということは、同国の稼ぎ頭である上記の輸出生産ラインを維持するうえで、ドルや円は必要でも、ユーロはいらない、ということになりそうです・・・

 こちらの記事を含めて何度も指摘しているように、そもそもユーロは、今後の価値劣化のリスクが非常に強く懸念される通貨です。であれば、そんなユーロおよびユーロ建てのEU国債に人民元を紐づければ、今後、高い確率で発生するであろう欧州発のリスクオフ事象(ギリシャイタリアの債務危機、ドイツ銀行の経営不安、などなど)に起因するユーロ急落の伴連れで人民元の信頼もまた大きく損なわれる事態は避けられません。

 そして、中国の現時点での主力資産?であるドル米国債がはらむユーロ同様のインフレリスクも上記、そして本ブログで何度も指摘してきたとおりです。加えて、中国からすれば、アメリカは欧州とは違って、中国輸入品への一方的な関税賦課とか香港問題への介入など、自分たちに対していろいろ敵対的なアクション?を仕掛けてくるわけです。それはアメリカが、中国がドル・米国債への依存からそう簡単に抜けられないことを見透かしてのことでしょう。したがって中国は、こうしたアメリカのプレッシャーをかわす意味でも、ドル資産への依存度を何としても下げたいところです。

 といった感じで、ユーロそしてドルのいずれも、中国にとっては扱いづらい面が多いわけですが、それはこれらが外国の通貨なので当然のことでもあります。このあたりから中国が自由になるためには・・・無国籍の世界共通通貨であり、インフレリスクがほぼゼロの「」(ゴールド)に基づくシステムがベストでしょう。たしかに中国はそのへんを目論んで金を蓄えているものと推察はされます。しかし、先日のこちらの記事に書いたように、かの国にこれ、すなわち「金本位制」を上手に運用できるか、非常に心もとない印象です・・・って、正直、無理でしょう・・・(?)

(続く)

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【ユーロ、一帯一路でさらに集めるほどの価値があるか疑問?】「一帯一路」で何もない?「西」に向かう中国④

2020-02-09 00:04:43 | アジア

前回からの続き)

 世界第二の経済大国となった中国ですが、前述のように、その根幹となる通貨・金融制度は相変わらず「新興国型」、つまり通貨の価値や金融システムの信頼性の維持等を自国資産ではなく外国の通貨や債券の価値に頼る構造になっています。であれば、それら全体に占めるドル米国債の割合を下げ、一帯一路構想の進展でさらに多く手にできそうなユーロEU国債の割合を高めたところで、上記の対外依存体質は何ら変わることがない、ということになります。これでは中国は、いつまでたっても通貨・金融政策の自主権を得られず、ヨソの国の政治・経済・金融等の情勢変化に否応なく振り回されていくことでしょう。たとえばアメリカは「明日から新ドル?に切り替えまーす」と宣言したりできる?わけですが、そうなったら旧ドルに裏打ちされている人民元はどうなっちゃうんでしょうかね?―――みたいなことです・・・

・・・って、まあそんな万一の(って、けっして低い確率ではない?)場合のリスクヘッジとして中国が外貨準備としてのユーロを増やそう、というのは分からなくもありません。けれど、そのユーロですが、一帯一路!って力を込めてまでかき集めるほどの価値があるのか、はなはだ疑問なわけです・・・

 そのあたり、まずはユーロがドルと違って基軸通貨すなわち本ブログの定義である「石油交換券」ではない、という点が指摘できるでしょう。何だかんだいっても、原油取引はまだまだドル決済が主流です(っても最近はユーロ決済も増えてきてはいるが・・・)。そして中国は世界最大の石油輸入国(輸入額は2500億ドルあまりと日本の約3倍;2018年)であるとともに、自国の石油需要の7割を外国産に依存しています。したがって中国が石油交換券としてドルを相当量、持つことには、エネルギー安保の観点から、それなりの合理性が感じられますが、ユーロはどうかな、という気がします。まあロシアとかイランみたいな反米国家(でも、じつは親ドル国家?)はユーロでも石油を売ってくれるかもしれませんが、他方でサウジアラビアなどのペルシャ湾岸諸国は、対米関係に配慮する関係から、石油販売でドル以外の通貨を大量に受け入れることはしないように思えます(が、今後は?)。

 そしてユーロは当然、メイド・イン・EUとの交換券であるわけですが、中国・EU間の貿易が中国側の大幅な出超になっていることなどからも分かるように、ユーロを蓄えたところで、中国にはイザというときにEUからユーロで調達しなければならないモノやサービスがそれほどあるわけではなさそうです(?)。まあ火急の用に供さないまでも、EU名産品(?)としてドイツ車やブランドバッグなどは考えられるでしょう。けれど、これらは別にEUでなくてもヨソから買えばいいはずです。これらのうち車を例にとれば、その総合的なクオリティーは、こちらの記事等に書いたように日本ブランドがトップを含む上位を占めていて、(ドイツ車を含めて)EU車は概して日本車よりランクは下です(って、だからこそEUは日本製輸入車に10%の関税をかけている[今後撤廃の予定])。そしてその日本車はドルでも円でも買うことができるわけです。

(続く)

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