世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【米、債権放棄をアノ国に要求か!?】コロナ禍で検討アリ?日銀の債権放棄⑪

2020-05-29 00:50:01 | アメリカ

前回からの続き)

 前回までに論じた事情(米欧金融機関は自身への財政資金注入を通じた政府の介入を回避するべく自分たちの出資するFRBの策に頼りがちになる、といったこと)、そして先日のこちらの記事に書いたことなどからもアメリカは、もはや・・・というより、もとから?インフレ(≒反デフレ)に頼らざるを得ず、その傾向は今後、ますます顕著になっていくでしょう。

 ですが、これでは米ドルの過剰散布に伴う価値低下は避けられず、これまではドルを受け取ってきた諸外国のなかには、ドルに替えて、もっと値もちのいい他国の通貨やゴールド)やビットコイン(?)等を国際決済通貨にしようとするところが出てくるかもしれません。そうなったら米ドルは現在の基軸通貨(≒石油交換券)から「メイド・イン・USA」交換券へと、その地位を落とし、かつその価値は「アメ車」で評価されることになるわけです。それは非常にマズいから?そうならないようアメリカとしてはドルの他通貨等に対する価値を一定以上の高い水準に保たなくてはなりません。だからといって現在のインフレ的な金融政策のスタンスを引き締めに転換することも上述のとおり、できません。では、インフレを持続させつつ、いっぽうでドルを信認させるには、どうすればよいのか・・・

 ・・・って、そこで考えられるのが、アメリカにとっての借金相手に対して「債権放棄」(あるいは減免)させるという策です・・・って、もちろんこっそりと、でも断固として。ただし上記理由から、これは最大の米国債&不動産担保証券ホルダーであるFRBにはさせられないので、それ以外の債権者すなわちどこかの外国にこれを求めるということになります(?)。そのあたり、こちらの記事でご紹介したように、現大統領であるドナルド・トランプ氏は、米債務の減免要求をほのめかした前科?があることから、これ本心で、けっこうヤル気があるように思えます・・・

 ここで、アメリカが借金踏み倒しを強要できそうな相手をイメージしてみると・・・中国がもっとも有力に思えます・・・が、実際には無理でしょう。そのとき同国は、これをやめさせようと捨て身の米国債投げ売り(米国債・ドル暴落、米金利急騰)に打って出るだろうからです。そのあたりロシアなども同様でしょう。では産油国?・・・っても、これだけ原油価格が下がってくると、アメリカとしては今後はオイルマネーに多くを期待できそうにありません。となってくると・・・唯一考えられるのは、やはりアノ国!?

 「かなりキワドイ策ですが、この際なので、検討等してみるのもアリかと」・・・本稿冒頭で書いたこのフレーズ、じつはアメリカが主語だったのですが・・・そのとおりで、これ、ヒジョ~にキワドイような気が・・・

「コロナ禍で検討アリ?日銀の債権放棄」おわり

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【FRBがバブル扇動を続けるのは株主?リーマンを救えなかった反省?】コロナ禍で検討アリ?日銀の債権放棄⑩

2020-05-27 00:08:01 | アメリカ

前回からの続き)

 20世紀末に金融危機が起きた際に日本がとった対応は、過小資本に陥った銀行に公的資金つまり血税を断固として投入し、その経営者らの退陣と株主責任の履行を求めるというものでした。これに対してアメリカでは、前述のように、この手の政府(≒国民)の介入を銀行(の経営者とか株主等)が嫌がり、政府に頼らないで済む対策を、自分たちが株主となっている(米各地の連邦準備銀行の上位組織である)FRBにやらせようとすると思われます。それこそFRBが遅くとも2008年のリーマン・ショック以来、基本的に途切れることなく今日まで続けている超緩和的な金融政策ということになります。これ本ブログで何度も指摘しているようにバブルの永遠膨張策、すなわち金融恐慌をもたらす銀行資産の不良債権化を防ぐ唯一の手立てになりますからね・・・

 その意味で、上記のリーマン・ショックすなわち投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻はFRBにとっては痛恨の出来事だったと推察します。同行は自分たち連銀の株主だったであろうからです。実際、ネット等の情報によれば、同行はニューヨーク連銀の創設時の株主に名を連ねていますし、おそらく破綻時もそうだったのでしょう(?)。であれば、FRBはあの時(リーマン・ショック時)、その大事な出資者を救えなかったことになるわけで・・・

 いまのFRBの「(超)ハト派」的な政策スタンスは、そのときの反省に基づいていると考えます。ようするに、そうすることで(バブルを煽り、銀行資産の不良化を阻止して)米欧金融機関すなわち自分たちの株主はもう絶対に破綻させない、ということ。そのあたりはリーマン後に出てきた大銀行を指す言葉「too big to fail」(大きすぎてつぶせない)に象徴されているように感じられます(って、べつにつぶしてもアメリカも地球も消滅するわけではないでしょうに・・・)。他方で上記スタンスは米国民の利益を第一に考えているわけではない、ともいえるでしょう。彼ら彼女らは株主ではないのですから、そう指向するのは当然かもしれません、法人としてのFRBが・・・

 そんなこんなでアメリカは、日本などと比べると、金融セクターの利益を守ろうという思い、そしてだからこそ(国≒国民の介入を招く)金融危機に対するアレルギーがはるかに強く、したがってこれらのためにどうしても借金バブル、そしてその債務を軽減させるインフレに頼らざるをえなくなる、という面があろうかと思います。このあたりは経済学者の多くも、いわゆるリフレーション(デフレではなくインフレ・・・寸前状態?)を前向きに評価するようなかたちで実質的に肯定しているわけです(?)。他方でインフレは、いうまでもなく、市民の大半にとっては最悪の経済現象。このあたり、米大統領選挙等の際に「反ウォール街」を掲げる政治家らがけっこうな支持を集めるのは理解できるところ、つまり、自分たちが苦しめられるインフレでウォール街・・・に象徴される大銀行が巨大な利益を享受していることへの反感が国民に根強い、といった感じかと考えています。

(続く)

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【米銀が危機回避策を米政府ではなくFRBに頼るのは…】コロナ禍で検討アリ?日銀の債権放棄⑨

2020-05-25 00:22:57 | アメリカ

前回からの続き)

 前回、いまや第一の米国債ホルダーとなったアメリカの中央銀行FRBは、そもそも民間資本(である米各地区の連邦準備銀行の上位組織)であるため、本稿タイトルのような、政府債務を減らすために中銀に債権放棄をさせるという策はアメリカでは成り立ちません。そりゃそうでしょう、FRB(各連銀)の株主は100%民間企業―――正確には米欧金融機関(内訳等は非公開)―――であるがゆえに、この債権放棄はその株主である米欧金融機関にとって貸し倒れ損失になってしまうのですから。そのへんがアメリカと日本などとのけっこうな違いかな、と考えています。つまり上記策の場合、アメリカの場合は損害を被る側(FRB≒米欧金融資本家[政府出資ゼロ])と利益を得る側(政府≒国民)が異なるのに対し、日本などの場合は前者(日銀≒政府出資55%≒国民)と後者(政府≒国民)が同じで損害と利益が相殺消去される、といったようなことです。

 このあたり、金融危機が発生したときの対応にも微妙な差が出てくるところかと思っています。こちらの記事等でも書いたように、20世紀末、バブル崩壊後の同危機に直面したとき日本は、債務超過に陥った大手銀行(当時)のいくつかの破綻を容認するとともに、過小資本にあえぐ残りの銀行に巨額の公的資金を否応なく注入し、「失われた20年」などとも表現される長い年月をかけてこれを回収して乗り切ったわけですが、他方、これによって銀行の経営者らの多くは(理不尽な思いを抱きつつも)退陣せざるを得ず、その株主や債権者は大きな損害を被ったことになります。で、いまアメリカ(をはじめとする日本以外?のすべての国々?)は当時の日本・・・をはるかに上回るスケールのバブルの末期、あるいはその崩壊過程にあり(?)、このままだとその金融システム深刻な局面を迎えざるを得ない?でしょうが、これへの対処としては、やはり公的資金を使って・・・

 ・・・って、少なくともアメリカにはそれはできないでしょう。その最大の理由は、本ブログで何度も指摘しているとおり、米政府には上記に必要とされる公的資金額(≒米銀のB/Sに開いた穴[債務超過額])の規模がデカすぎて用意できないため。そして別な理由としては、上記の公金での救済に(米国民はもちろん)金融機関の側もネガティブであろうことも考えられるかと思います。「血税で救うのだから、その代わりに」と米銀の経営者や株主が責任を取らされる(経営者:辞めさせられる、株主:所有株が紙くずになる、等)ことに対する拒絶反応がより強い、といったことです。でもだからといって、このままだと危機を防ぐことはできない・・・

 ・・・って、そこで彼ら金融機関は、米政府(≒米国民)ではなくFRB、すなわち自分たちが出資する連邦準備銀行を総括する組織に対策を頼ることになります。FRBにどうしてもらいたいか?は上記からすれば当然、公的資金が注入される事態の回避、つまり・・・バブルすなわち(資産)インフレの無限膨張・・・

(続く)

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【米政府、FRBに債権放棄をさせたいが…】コロナ禍で検討アリ?日銀の債権放棄⑧

2020-05-23 01:40:51 | アメリカ

前回からの続き)

 前述のように、日銀が現行の金融政策「異次元緩和」(≒アベノミクス)によって大量の国債を購入し続けているのは、それで金利を極端に引き下げることで「国の借金」が膨大な本邦・・・ではなくアメリカを支えるためなのではないか、と書きました。これで実質金利を無理やり「米>日」に持っていくことで、ジャパンマネーにドル建て債券投資を促した・・・かった、のでしょうが、実際はこれに失敗?(って、したふり?)し、日本側にはキャッシュばかりが留め置かれることに・・・

 こうしてみると、アベノミクスの結果、日米市場はますます対照的になってしまったといえそうです。つまり、日本は「マネー過剰・債券過少」、逆にアメリカは「マネー過少・債券過剰」いや「マネー超~過少・債券超~超~過剰」といったこと。そのあたりは昨今のレポ市場やら社債市場等の動静を見れば一目瞭然です。であれば、日本は新型コロナウイルス感染拡大対策で必須の財政資金の調達は国債発行で行うべきだし、アメリカはマネー発行(!?)で行うべきだ、ということになりそうです・・・って、ようするにアメリカはその分だけインフレに向かう以外にない?

 そこで、本稿タイトルの「債権放棄」ですが、これアメリカこそ実践したほうがいい、という考え方もできるかもしれません。ただでさえ同国の財政は前述のとおり火の車で、そのうえでコロナ対策などの巨大政策は、もはやインフレを喚起する以外になさそうだからです。となると、インフレを発生させずに債務を減らしたい―――債権者に対して債務を減免させたい、といった思いの強さは日本の比ではないはず。かといって、大口債権者に借金を棒引きしろ!なんてことはけっして口にできないでしょう。そんなことをしたら米国債価格が暴落(金利は急騰)しかねないためです。実際、最近、中国とロシアに対立的な姿勢を示すドナルド・トランプ米大統領も、両国に、借金は返さない!とか、米国債を買ってくれるな!なんて絶対に言いません(言えません?)からね。じゃあ、どうするか・・・

 ・・・で、考えられるターゲット?が、いまや最大の米国債ホルダーとなったアメリカの中央銀行たるFRBになります。現にFRBのB/Sには先月中旬時点で米国債だけで約3.8兆ドルも計上されていて、これは当然、米連邦政府の負債勘定に計上されている国家債務の一部でもあるわけです。この債権をFRBに放棄させる―――上記した日本政府とその「連結子会社」日銀との連結決算処理のように相殺消去して、みたいなことをすると、かなりの額の米国債は一気に消却されて・・・

 ・・・って、これ(日本にはできても?)アメリカにはけっしてできないはず。なぜならFRB・・・を構成する、NY連邦準備銀行に代表される米各地の連銀は、アメリカ(連邦)政府の連結子会社などとはみなせない・・・どころか、1ドルの政府出資すらない100%民間資本―――米欧の大手銀行等―――の組織だからです(っても、具体的な株主構成は非公開)。よって米政府とFRBの双方のB/Sを「米政府グループ」として一緒に、なんて発想自体が成り立たちません。

 ではFRB(とかNY連銀などの組織)って何?ですが、たしかに物価や金融システムの安定等を目的とする中央銀行・・・のように振る舞ってはいます・・・が、組織的にみればそれは法人であり、当然ですがその目的は株主利益の極大化になるわけです。で、日銀の場合は先述のとおり政府の認可法人で、その最大出資者(出資全体の55%)は日本政府≒日本国民だから、日銀は日本国民の利益のために存在しているといえます。他方、FRBの株主は上記のとおり・・・

 以上のように考えるとFRBとは、米中銀である以上に、その株主である米欧金融資本が米政府≒米国民を相手に金融業を営むために作られた組織、とみることもできるかと思います。具体的に言えば、FRBはドル(無利子)を発行して米政府に(有利子)貸し付けを行って利ざや=通貨発行益シニョレッジ)を得ていますが、これは株主(米欧金融資本)のものであって、米国民のものではないわけです。であれば、上記債権放棄にFRBが応じる理由はありません。それはFRBの株主にとっては利益の喪失(貸し倒れ損失)になってしまうためです。

(続く)

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【日銀は米金利を上昇させてしまうので金融引き締めを行えない?】コロナ禍で検討アリ?日銀の債権放棄⑦

2020-05-21 00:00:23 | 日本

前回からの続き)

 前回、いまの日銀にとって保有する国債を市中に売却する(売りオペする≒金融引き締めを行う)ことは現実には難しい、といったことを綴りました。「そりゃそうだよね、そんなことをしたら金利が上がって『国の借金』がスゴ~いスケールに膨張している政府の利払い&資金調達がいっそう困難化するからね」そのとおりです・・・っても、それは日本(政府)よりもむしろアメリカ(連邦政府・・・ばかりか地方政府、企業、家計・・・国家全体)が苦境に陥る、という意味になります・・・

 本ブログで何度も論じているように、2013年から7年間にもわたって行われている日銀の現行金融政策「異次元緩和」(≒アベノミクス)の本当の目的はアメリカ支援、すなわち、本来ならば日本のほうがアメリカよりも実質金利(=名目金利-予想インフレ率)が高いところを、日銀が国債を無理やり高値で買い上げて日米の当該金利を逆転させることで、ジャパンマネーにアメリカをファイナンスさせよう(米国債等への投資を促そう)とするものだと理解しています。ご存じのとおり、そしてこれまた本ブログのあちこちで書いているように、アメリカこそ「国の借金」が世界一のスケールの国。FRBによると昨年末時点でアメリカ以外の国―――アメリカにとっての外国―――が保有する米国債の額は6.69兆ドル(1ドル107円で716兆円!)。そしてアメリカはいわずとしれた世界ワーストの純債務国(本邦財務省データによれば2018年末時点でマイナス1077兆円!)なわけです。さらに同国はいま、新型コロナウイルス感染拡大対策として、兆ドル規模の巨大な財政出動をするところであり・・・

 そんなところに相当量の日本国債がマーケットに出てきたらどうなるか・・・って、簡単に想像がつくというものです。つまり、日銀当座預金口座内のマネーが先述のとおり一斉に日本国債に流入してしまう・・・ばかりか、日本国債に投資するマネーを得ようと国内外の投資家がドル建て債券を売ろうとしかねません。上記のとおり日本国債の実質利回りは米国債以上を期待できるうえ、いまは実質実効的に2割以上も円安ドル高でドルから見れば円資産を安く買うチャンスでもあるためです。それらの結果、世界中のマネー―――ジャパンマネーはもちろん、日本以外のマネーまでも―――が日本国債に集中してしまい、逆に米国債にはやってこない・・・どころかマネーがそこから流出してしまう展開となり、それらの結果、日本の金利は引き続き低い水準を保つのに、アメリカの金利はますます上昇して・・・

 世界最悪のコロナ禍に見舞われているアメリカがこの先、直面していきそうな最悪の経済状態は・・・先日のこちらの記事に綴ったとおり、制御不能のインフレ(そしてそれがもたらす国民生活の破壊、そして暴動や内乱?)になりますが、それは同国のアキレス腱金利」の上昇に歯止めがかからなくなって生じること。で、それに唯一、歯止めをかけられるのがジャパンマネーとなります・・・が、それには同マネーがアメリカに向かうよう、無理やりにでも(市場原理に反してでも)上記実質金利を「米>日」にしなくてはならない(あるいは、最低でもそうする姿勢を示さなくてはならない)わけで、その点で日銀は上記政策を続けるしかない―――金利上昇圧力を抑える必要から国債を買い支えるしかない(市中に放出できない)・・・ってそれは日本政府のため・・・ではなく、アメリカのために、となります・・・

 ・・・っても、以前から書いているとおり、日銀の同政策によって為替が極端な円安ドル高になってしまい、ジャパンマネーの対米投資はそれだけ非効率かつ高値掴みのリスクが大きくなってしまったわけです。その結果、アメリカに向かうはずだったマネーの多くが日本(の日銀当座預金等)に留め置かれ、アメリカは日本に十分ファイナンスされなくなり、いっそう強い金利上昇圧力にさらされて動揺してしまっているわけで、そのあたりこそ本当に本当の日銀の狙いなのではないか、と勘繰っているわけですが・・・

(続く)

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【日銀、いまのB/Sの圧縮はほぼ不可能?だが…】コロナ禍で検討アリ?日銀の債権放棄⑥

2020-05-19 00:02:50 | 日本

前回からの続き)

 前回、新型コロナウイルス緊急経済対策に必要な財源は、新規国債の発行により、日銀当座預金口座に低利ザヤで耐え忍んでいるマネーを借りることで、十分に確保することができる、といったことを書きました・・・

 ・・・が、ここで留意しなければならないのは、4百兆円近くもの当該マネーの大半は、もとはといえば金融機関が保有していた国債を日銀に売って得た代金だということ。となれば、そのおカネが上記のように新規に発行される国債に吸収されていったら、いま日銀が保有する、過去に発行された国債は、そうは手放せなくなる、ということになってしまいます。そこを無理して売ったら、(マネーのほうが超過剰な)いまとは正反対に、今度は国債が市中に過剰供給されて、金利が跳ね上がりかねません・・・

 ・・・っても、日本は現在、日銀が保有する国債を放出しなければならない事態(すなわちインフレ)に直面しているわけではありません。それに日銀は、本邦財政を支えるため・・・もあるかもしれませんが、それ以上に後述する理由から、わが国の金利を一定程度以上、上げてしまうことは許されない立場(?)なので、売りオペのような金融引き締め策は現実的にはまずできないでしょう。かくして、日銀は保有国債を売るに売れず、このままだと、そのB/Sは巨大スケールのまま据え置かれてしまうことになります・・・

 ・・・って、じゃあどうする?で考えられるのが、本稿のタイトルに含めた日銀の政府に対する債権放棄です。具体的には、本稿2回目で書いたように、日銀は政府の連結子会社とみなせるから、「日本政府グループ」の疑似的な連結決算処理として、政府の負債勘定そして日銀の資産勘定にともに計上されている国債を帳簿上、相殺消去する、みたいなことをします。すると政府は国債の債権者(って、いまは持ち分の4割以上が日銀・・・)に対する債務元本の返済負担が一気に軽くなり、財政運営が楽になるでしょう(?)。逆に日銀は数百兆円もの債務超過に転落することになります・・・が、そのあたりは前述そして上記のとおり、日本政府グループ、さらには、より上位の「日本国グループ」のB/Sで、この国の財政・金融状態を判断する、ということで、それは上記をしてもしなくても、相対的には引き続き強固であることに変わりはないわけで・・・

 もっとも、上記によって、日銀を債務超過状態のまま放置する、というのもどうかな~?という気もします。そこで、実質的に上記と同様になるやり方として、日銀に保有国債と同額の国債を借り換えさせ続けることも考えられるでしょう。これによって日銀の見た目の?B/Sは何とか体裁を保つし、政府は日銀に対する国債元本の支払いを実質的にゼロにすることができるので、こちらのほうが上記の債権放棄よりは現実的な策かもしれません(?)。

 上記はかなりキワドイ?手ですが、いっぽうでテクニカルなもので、国家国民に大損害を与えるものにはならないでしょう。それより、先述のように、いまの非常事態に対応するには、とにかく資金繰り支援が真っ先に求められるところ、政府債務が増えることを気にするあまり、国債の発行をためらい、結果として、その実行が遅れ、かつ規模が小さくなってしまうほうが、よほど危険に思えますが・・・

(続く)

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【補正予算額を賄う国債が無難に消化されると日銀が困る?理由】コロナ禍で検討アリ?日銀の債権放棄⑤

2020-05-17 00:01:33 | 日本

前回からの続き)

 前回、このたびの新型コロナウイルス緊急経済対策等に関する補正予算額25兆円あまりが新規国債の発行によって余裕で―――超低金利で―――ファイナンスされる根拠として、総額4百兆円近くに膨れ上がっている日銀当座預金口座のおカネの存在を示しました。では現在、その中身がどうなっているかというと・・・

 日銀のデータによれば、この3月末時点での当座預金残高(ただし超過準備:本来ならば預け主[銀行等]が自由に投融資できるおカネ)は約376兆円。で、これにはもともと、すべてに年0.1%の付利が適用されていましたが、「マイナス金利政策」の開始(2016年1月~)によって当該利息は実質的にさらに下げられました。具体的には当該預金は3階層に分割され、それぞれの階層ごとにプラス金利、ゼロ金利、マイナス金利が適用されることになっていて、同時点のこれらの内訳はそれぞれ208兆円、145兆円、23兆円になっています。なお日銀は、当該金利が低くなりすぎることで金融機関の収益が過度に圧迫されることのないよう、ゼロ金利が適用される部分の残高を3か月ごとに見直す、などとしています。

 前述のとおり、この(銀行が顧客から預かった)おカネ、べつに付利が欲しいからここに留まっているわけではありません。なぜならそれ、上記のように雀の涙(年0.1%)「未満」だから。そうではなく、各行は、それを投融資する対象を見つけられないため、まあ自分自身で管理するコストがかかるよりはマシかな、くらいの、やるせない思いで預けているわけです・・・

 そんなところに国債が市場に売りに出されたら・・・って当然、空腹に耐えかねた(利ざやに飢えた)マネーが一斉にこれに飛びつくことになります。その「食欲」ですが、上記数字からすると、かなりコンサバに見積もっても、合計で百数十兆円は問題なく―――金利が上がりすぎることなく―――消化できるほど、ではないでしょうか。ということで、それほど食欲旺盛だから国債は高値で売れ、ゆえに金利は引き続き超低い水準で維持されるでしょう。であれば、上記25兆円なんぞは「前菜」程度に過ぎません。よって、まだまだ腹ペコのマネーを潤す(本邦金融機関の経営を支援する等の)意味でも、政府はコロナ禍で苦しむ国民層を救う「メインディッシュ」(もっとず~っと額のデカい資金繰り支援等)を早く出しなさい!ってことです。そうしてはじめて、何にも活用されずに上記口座内で仮死状態にあった兆円単位ものマネーは息を吹き返し、人々の間をイキイキと飛び回ることでしょう。

 なお、いうまでもありませんが、上記で国民に提供されたマネーは原則、消えることなんてありません。それは税収等を通じて政府等にも還流し、また預貯金となって国債を買い支える、要するに先述「日本国グループ」B/S内を行き来するだけで、その純資産が棄損するなんてことはない、ってことですから、一応、付け加えておきます。

 ところが・・・日銀にとってはそうなってしまったら―――ジャパンマネーが国債買いに殺到してしまったら―――困るわけです。なぜなら、「アベノミクス」・・・の同義である現行の金融政策「異次元緩和」(いまの正式名称は「長短金利操作付き量的質的金融緩和」)は、ジャパンマネーにその国債投資をやめさせ、かわりに株やら外債などのリスク資産に投資をさせることが開始以来、一貫した狙いだからです。だからこそ日銀は、これまで国債を市場価格以上の高値で買って金融機関に代金としてのキャッシュを渡し続けてきました、各社がそれでリスク投資をやってくれるだろうとの期待を込めて・・・

 ・・・ですが、実際にはその狙い通りにはなりませんでした。その証拠が上記預金額の巨大さです。ようするにそれは、いまの世界に、日本国債以上に安全で確実にリターンを得られる運用対象なんてどこにもないことを明らかにしています。その結果、こうして経済活動に何ら活用されないおカネの山を生んだことについて、「こんなに『死に金』作ってど~すんだ日銀!」とネガティブな言われ方をされても仕方がないことになってしまいます。そんなときに補正予算の資金を賄うために国債が発行され、これが上記のように市場で大歓迎され、難なく消化されたら(って、本当にそうなるでしょう・・・が、日銀は「演出」として市場介入するでしょう?)・・・日銀が国債を買い上げたらマネーが死んだだけだったけれど、異次元緩和以前のように国債を市中消化させたら、ようやく適当な投資対象を得た銀行も、そして政府経由でそのマネーを享受する国民もみんな喜んだ・・・となって、じゃあ、国債を買わせまい!っていう日銀の政策≒アベノミクスって、いったい何なの?・・・ということになりかねないわけで・・・

(続く)

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【コロナ禍経済対策の国債発行が超OK!な理由】コロナ禍で検討アリ?日銀の債権放棄④

2020-05-15 00:01:55 | 日本

前回からの続き)

 前述のように、日本国を一つの企業体とみなすと、それは純資産が約340兆円以上もの世界一の分厚さを持つ超優良グループという見方をすることができます。よって、その「財務部門」の社員(≒財務官僚各位)には、親会社(日本政府)のB/S(って、債務超過)ばかりにフォーカスするのではなく、もっともっとコチラ「日本国グループ」全体の連結財務諸表とか上記財政状態を「IR」の一環として「(社員)株主」(≒日本国民)に知らしめるべきだ、と思いますけれどね・・・

 さて、本稿冒頭で、今般、新型コロナウイルス感染拡大に対する緊急経済対策等のため、総額25.7兆円の補正予算が成立したことをお伝えしました。そして容易に想像ができるとおり、これではとても足りそうになく、政府内ではすでに第二次補正予算の検討等が始まっているもようです。で、これらに必要な財政資金は国債で賄うことになるわけですが、決定されたものだけで25兆円超とは・・・消費税収額が年間で20兆円くらいですから、なかなかスゴい財政出動規模ですよね。いかに非常時の対応とはいえ、そんなに国債を発行しちゃって大丈夫なのでしょうか―――金利が跳ね上がったりはしないでしょうか・・・

 ・・・って、心配ご無用、超~大丈夫です! なぜなら、国債買いに向かうべきマネーが死ぬほど積み上がっているからです・・・って日銀当座預金口座。そのあたり、こちらの記事を含めて何度も指摘しているように、「アベノミクス」(≒日銀「異次元緩和」)開始以降、日銀は超高値で市中の国債を買いあさってきたわけですが、本邦金融機関はそれで得たキャッシュの新たな投融資先がないため、しかたなくこれを同口座に預けています、ほんのわずかな付利(年0.1%程度未満:後述)を得るために。ここでもし新たな国債が売りに出されて、その付利を超えるリターンが得られる水準に価格が下がったら、キタ~!とばかりに当該口座から当該国債におカネが流入します。そしてあっという間に国債価格は上昇・・・するとともに金利は低下するので、政府の資金調達コストは低い水準に抑えられる、という次第。

 で、その当座預金口座にはいま、ほぼ400兆円ものキャッシュが「ブタ積み」(適当な資金運用先が見つけられず、やむなく当該口座に預金)されています(3月末時点の合計で約395兆円:日銀HP)。(銀行等の法定準備額を除く)この大半が上記国債投資の元手になり得るわけで、これに比較すると、先般の補正予算額25兆円なんて微々たるものでしょう? ゆえに上記のとおり、大丈夫・・・に「超」まで付く!といった塩梅です。逆にいえば、ここでおカネをモタモタと出し渋ることで、コロナ禍で厳しい状況にある観光業とか飲食店など各種サービス業等に従事される方々をいっそう苦しめるほうが、超~大丈夫じゃない!!のは言うまでもないこと、国民経済的にも・・・

 日銀は先月27日、米FRBをまねて(?)、年80兆円をめどとしていた国債の購入額を無制限にする、などとする金融緩和策を決定しました。けれど、わざわざ日銀が買い支えなくても、上記マーケットメカニズムが働くから、国債は高値で無難に消化され、金利は低水準のまま、上記政策は粛々と実行されるはずです。厳密には、ビッミョ~に金利が上がり、そのままでは借り手の返済負担が増えるリスクがありますが、そこは貸し手の銀行にその支払金利分を政策的に補填してあげればよく、その原資も国債でOK!というだけの話です(?)。

(続く)

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【「日本国」のB/Sは世界一強靭】コロナ禍で検討アリ?日銀の債権放棄③

2020-05-13 00:00:21 | 日本

前回からの続き)

 前述のように、日銀はその出資の55%以上を政府(財務省)が保有することから「日本政府グループ」の「連結子会社」とみなすことができる(?)わけで、したがって日銀が持つ国債と政府が日銀に対して負う債務は、連結決算処理によって相殺消去が可能です。こうして現在、日銀B/Sに計上されている500兆円近くの巨額の国債(政府債務)が一瞬にして消えることになります(???)。

 さて、このような決算処理(日銀の政府債権の放棄)を行った後の「日本政府グループ」のB/Sはどうなるのでしょうか。財務省の「国の財務書類」(平成30年度)によると、昨年3月末日時点での政府B/Sの「資産・負債差額の部」にはマイナス約583兆円が計上されています。「・・・って、あれ?『国の借金』って1.1千兆円以上あるんじゃなかったっけ?」たしかに財務省の発表ではそうなっていますが、それはあくまでも負債の部のうちの国債等だけを合計した金額のこと。実際には政府の総資産(国有財産など)のほうも約675兆円と巨大なスケールで、上記の583兆円は、それを差し引いた後の正味の数字―――純債務の額になります。

 で、ここで日銀に債権放棄をさせるとすると、同時点(昨年3月末)の同行保有の国債(額面額)は約459兆円で、これを上記超過額から控除すると、残りは一気に124兆円にまで減ります。また国債の発行残高も1千兆円近くあったのが5百兆円前半へと約47%も減少します(なお、政府と日銀の連結決算処理をもっと厳密にするとなると、国債以外にも現金[日銀券]の相殺消去等も出てきたりして、煩雑になるので、国債だけで単純化しています)。とはいっても、この段階で「日本政府グループ」は依然として100兆円を優に超えるほどの債務超過状態にあることになります・・・

 ・・・が、これを日本政府グループからさらに拡張して「日本国グループ」つまり政府や日銀ばかりではなく、金融機関や事業会社そしてわたしたち家計も全部連結させて、日本国全体をひとつのB/Sでとらえると、どうなるか。すると、日本政府グループの負債である国債は邦銀等にとっては資産であり、その負債勘定の預金は、非金融企業や家計の資産であり、またそれらは自身の資産として現ナマ(日銀券)もしこたま保有し、そしてその日銀券は日銀の債務であって・・・などと、グループ内の「各社」(政府、日銀、邦銀、家計等)で持ちつ持たれつの関係にあることが分かります。これら国債とか日銀券は日本国グループの連結決算処理に当たっては相殺消去され、その差額だけがその連結B/Sに表れてきます・・・が、それはもはや、連結外の相手すなわち外国に対してどうか?になってくることに・・・

 ・・・って、そのあたりがおおむね確認できるのが、わが国の純資産額(=対外資産-対外負債)になります。で、これがいま、どれくらいかといえば・・・2018年末時点で約342兆円(財務省HP)。これ2位のドイツ(260兆円)、3位の中国(237兆円)などを大きく引き離して、世界一です(同年末時点の為替レートで換算)。ちなみに2019年末時点の直近値も同省からまもなく(毎年5月下旬ころに)発表されると思われますが、日銀「資金循環統計」から計算すると、昨年一年間でさらに増えて約372兆円と、円はもちろんドル建て換算額でも史上最高額になったもよう・・・

 以上により、全世界に二百社弱ある国家という名の企業体のなかで日本国は、その財務基盤が世界一強靭な超優良企業ということができるわけです。こう見てくると、本稿冒頭でご紹介の財務省発表に関するメディア報道「『国の借金』が過去最高になりました~!」って、いったい・・・って思えてはこないでしょうか・・・

(続く)

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【日銀は政府の「連結子会社」とみなすことが可能?】コロナ禍で検討アリ?日銀の債権放棄②

2020-05-11 00:02:10 | 日本

前回からの続き)

 財務省の先日の発表によれば、この3月末時点での政府債務の総額は約1115兆円で、そのほとんど(約9割:988兆円)が国債となっています。

 ではその国債の保有者の内訳ですが、いちばんたくさん持っているのが日本銀行(日銀で全体の46.8%、続いて金融機関36.0%、年金基金等7.2%などとなっていて、これら本邦勢が全体の92.4%、他方で海外が7.6%となっています(昨年末時点:財務省「国債等の保有者別内訳」)。このように本邦政府債務の大半が身内のジャパンマネーによってファイナンスされていることが分かります。そして、これら本邦投資家等によって支えられた日本国債は、前述のとおり、そしてこちらの記事等を含めて本ブログで何度も論じているように、どこの国の国債よりも実質利回りの高い、安全確実な金融資産になっているわけです。

 で、上記のように、現時点で日銀が全国債のうちの半分近くを保有するに至っています。これ前述したとおり、2013年から始まった「アベノミクス」の金融政策「異次元緩和」によって、これまで大量かつ高値で購入してきた結果です。こうして同行の保有割合は、2012年の10%台から約30%も増えました。これとは逆にその割合を大きく減らしたのが銀行と公的年金基金。いずれもこれまでの過程で日銀に国債を売ってきたためです。

 ということで現在、日銀の保有国債の額は500兆円近く(4月30日時点で467兆円:日銀HP)にまで拡大しました・・・が、ところで、この日銀って組織、いったい何だっけ?答えは当然、中央銀行・・・なのですが、ここでは政府(財務省)所管の「認可法人という分類で考えます。でこの法人、法律(日本銀行法第八条)では資本金が1億円とされ、そのうち政府からの出資の額は5500万円を下回ってはならない、と規定されています。ということは日銀は、「日本政府グループ」の親会社「日本政府」が出資金(≒株式)の55%以上を保有する、れっきとした政府の「連結子会社」(出資比率50%超)に該当しますね。したがって日銀は、日本政府グループの「連結決算」の連結対象となるから、その保有するグループ内の債権債務は同決算処理においては相殺消去されることに・・・(?)

 上記のとおり、日銀B/Sの資産の部には国債が5百兆円近く、そして日銀の「親会社」日本政府のB/Sの負債の部にも同額の国債(日銀保有)が計上されています。これスゴ~いスケールですが、このように考えてみると何てことはない、「日本政府グループ」の連結財務諸表には現れることのない、いわば期中の仮勘定みたいなものなのかも・・・(?)

 以上により、(法的調整等は別にして)親会社である日本政府は、「日本政府グループ」全体の債権債務整理等の観点から、しかるべきタイミングで、子会社である日銀に対し、同行が保有する自身の債権を放棄させることが可能・・・なのではないかと(?)。これにより、政府債務はMAXで5百兆円近くも消えてなくなるわけです、それも大増税とかではなく一瞬の机上処理で・・・???

(続く)

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