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【英国の瀬戸際戦術、EUと関税ゼロ協定を結びたいため、だが…】英国:急速に進む分国化⑥

2020-10-05 00:30:02 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 2日、Brexit」(英国のEU離脱)後の英国EUとの新しい通商協定の策定に向けた会合が終わりましたが、前述のように、英国が離脱協定(の北アイルランド議定書)を反故にするかのような動きに出たため、結局、大きな進展はなかったもよう。このままだと(EU加盟国間のゼロ関税ほどではないにしても関税額がそれなりに低い)新協定が未締結の状態で、英国がEU加盟国と同等に扱われる期限(今年末)が過ぎ、来年からは両者間の貿易において(世界貿易機関の最低ルールに基づく)けっこう高い関税がかかることになってしまいます・・・

 それ以上にマズいと思われるのは、当初のルールに反し、英国がアイルランド島と英国本土との間に通関施設等を置こうとしないようなので、来年初頭から、それを英領北アイルランドとEU加盟国のアイルランドとの間に作らざるを得なくなること。となると、アイルランド島内に国境線を引かざるを得ず、これがかつてのカトリック系とプロテスタント系の対立・闘争を呼び覚ますリスクを高めます。それは絶対に避けなければ、ということでEU・英国はこれまで互いに苦労し、やっとそれが北アイルランド議定書としてまとまった・・・にもかかわらず、です。よって今後、北アイルランド周辺で何か良からぬことが起こってしまったら、そのすべての責任は同議定書を一方的にねじ曲げた英国の側にあることを欧州、のみならず全世界は認識するべきですね・・・

 といった具合に英国とEU・・・というより圧倒的に英国のほうは、このままだとヤバいよ、みたいな瀬戸際外交を展開している印象ですが、それはEUとBrexit前と同等のフリートレード協定を結びたいからにほかなりません。そうしなければ、前述のとおり、EUからの輸入はともかく、EUへの輸出がタイヘンなことに―――英国産の対EU輸出品に関税がかけられてしまうため、英国に対EU輸出拠点としての魅力を感じなくなった日欧米の企業が続々と同国を退出してしまうことに―――なってしまいます(・・・っても、EUとしては、英国と関税ゼロ協定を結ぶわけにはいかないだろうことは前述のとおり)。

 上記は、本邦自動車大手のホンダの動き(来年、英国撤収予定)に関連して、こちらの記事に綴ったとおりです。それがもたらすのは、それらに出て行かれてしまうエリアにとっては雇用の喪失と地域経済の崩壊、そして英国全体にとっては輸出額の減少と貿易・経常赤字のいっそうの拡大と、その当然の帰結としてのポンドの下落・・・と、英国の分国化―――北アイルランドとスコットランドの英国からの独立等・EUへの合流―――となるでしょう。これも先述のように、両地域にとって価値低下し続けるポンドに用はない、というより、ポンド・英国と一緒に沈むわけにはいかない、という強い危機感から、そうせざるを得なくなる、といったほうが正確でしょうか・・・

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