世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【Brexitで対EU輸出品に関税なら英国にいる意味なし?】英国には「何もない」ことを知らしめる日本②

2019-02-27 00:03:05 | ヨーロッパ

前回からの続き) 

 前回記したように、本邦大手自動車メーカー「ホンダ」がこのほど、2年後の2021年に英国からの撤収を決定した理由は、「Brexit」(英国のEU離脱)にともない、英国からEU諸国への輸出品に関税が賦課されること等によって、英国にEU市場への輸出拠点を置く意味もメリットも消滅してしまったためでしょう。

 そのあたりの状況はホンダばかりか、英国に工場進出しているトヨタ自動車日産自動車にとっても同じです。Brexit後の英国での自動車生産環境は、EU貿易などの観点から、同前よりも悪くなることはあっても良くなることは期待できないでしょう。したがって現在、両社ともに水面下では英国拠点の縮小か、ドラスティックな場合はホンダに続いて撤退を検討していることと想像します・・・

 他方、英国にとって、ホンダをはじめとする日系企業各社の脱・英国の動きは非常に心配されるものとなるでしょう。工場閉鎖等によって、少なくとも数千人規模の雇用が失われるのはもちろん、英国の自動車輸出額が大きく減少するいっぽう、国内生産台数が減る分だけ外国からの自動車輸入が増え、差し引きの貿易赤字が拡大し、ただでさえアメリカに次ぐ世界ワースト2の経常赤字状態をさらに悪化させると予想されるためです・・・

 英国の自動車産業に関するデータ(以下出典:JETRO)によると、同国の乗用車生産台数(2016年)は約172万台で、うち半数近く(48%)の82万台余りを日産、トヨタ、ホンダの日系3社が生産しています。したがってこれら各社が英国から去ることになれば、同国の車作りは、関連産業も含めて大打撃は必至です。それに、この3社以外で英国に生産拠点を置くのは・・・ジャガー・ランドローバー(英国発祥ブランドで同国生産台数が544千台と1位だが、いまはインドの「タタ・モータース」傘下)やBMWなど、高級車ブランドに偏っている印象で、これでは一般英国民のニーズに同国生産組は十分に応えることができず、結局はEUや日本などからの大衆車の輸入が増えてしまいそう・・・(?)

 英国の貿易データによれば、2017年の同国の「道路走行車両」の輸出額は405億ポンドで、同輸入額は563億ポンドと、この分野では現在でも輸入超過です。この状況は、Brexitが促すであろう上記の動き等によって、いっそう悪化するのは避けられないでしょう。

 ちなみに自動車以外でも多数の本邦企業が英国に進出し、同国の輸出セクターに貢献していますが、これらの多くだって対EUで関税フリーだったからこそ英国にいる面があるわけで、そのアドバンテージが消滅するのならホンダと同様、英国から撤収し、もっと多くの収益が見込めそうなEU側に拠点を移す・・・か、日本に戻るなどの検討を進めることでしょう(帝国データバンクによれば、2016年時点で製造業だけで500社以上もの日本企業が英国に進出している)。

 以上、Brexitをきっかけに、ホンダをはじめとする日本各社の英国脱出の動きが今後、ますます加速しそうな中(?)、あらためて感じさせられるのは、英国には「何もない」―――正確には、日本や他国の企業にこうして出ていかれてしまっても、それらに代わって自国民のニーズを満たし、かつ他国にも売れるモノを作れる有力な英国オリジナル企業等がほとんど見つけられない―――ということです・・・

(続く)

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【ホンダ、2021年に英国から撤収へ】英国には「何もない」ことを知らしめる日本①

2019-02-25 00:01:43 | ヨーロッパ

 英国経済はますますヤバくなっていくことでしょう(?)。だからといって、では大陸欧州へ、っていうのも十分すぎるほど慎重に判断した方がよさそうですよ・・・

 日本の大手自動車メーカー「ホンダ」が今月19日、英国からの撤収を発表しました。同国南部のスウィンドンにある工場を2年後の2021年中に閉鎖するとのことです。これと同時にトルコでの生産終了も発表していることもあって、ホンダはこのたびの決定を、グローバルでの生産配置と能力適正化を考慮したもので「Brexit」(英国のEUからの離脱)とは無関係、としていますが・・・

 ・・・って、そりゃ、かの国の人々の気持ちに配慮すればそうした言い方になりますよ。実際には、Brexitが上記に少なからぬ影響を及ぼしたことは間違いないとみるべきでしょう。たしかに上記工場は年間生産台数が16万台ほどと、ホンダの全生産能力の3%程度を担うにすぎない小さなもの。それでもここはホンダにとって欧州内で唯一の生産工場であり、現状、欧州での販売が不振とはいえ、その戦略的な重要性から、引き続き同工場で生産を続けるという選択もあり得たはず・・・っても、あくまでそれは英国が同じEU圏内に留まる、すなわち同社の英国生産車が関税フリーでEU各国に輸出できるという前提があっての話です。その前提が間もなく(?)、Brexitで消滅するわけですからね・・・

 Brexit後の英国でホンダが自動車を作り続ける合理的な理由はほとんど見つけられません今後EUは、英国からの輸入自動車に所定の関税をかけるだろうから、その分、メイドインUK車の価格はEU内で上昇し、売り上げが減少するのは必至でしょう。だからといって英国で他地域、たとえば北米輸出向けの生産を増やす・・・ってのも現実的ではありません。ご存知のように米ドナルド・トランプ政権が貿易不均衡問題に厳しいスタンスを取っているからです。それは血を分けた同盟国である英国相手でも変わることはないでしょう。それにホンダはアメリカに大きな工場をすでに有しているわけで、わざわざ大西洋の反対側で対米輸出車を作るまでもありません。となるとこの先、英国に工場を持ち続ける唯一の理由が、同国内での販売に対応するためといったことになりますが、そもそも同国マーケットは小さ過ぎです・・・

 以上により、ホンダが英国撤退を決めた真の理由は、同社の世界展開再構築の一環・・・もそうでしょうが、Brexitによって英国が、もはや一大自動車市場であるEUへの「ゲートウェイ」ではなくなるため、とみるべきでしょう。その意味ではこれ、ホンダと同様、英国に生産拠点を置くトヨタ自動車日産自動車にとっても当てはまるわけです。であれば個人的には、ホンダに続き、トヨタ、日産についても英国撤収を早急に検討、実行に移すべきかと思いますが、いかがでしょうか・・・

(続く)

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【けふからは日本の雁ぞ楽に寝よ:世界一暮らしやすい国は…】韓国:「ヘル朝鮮」がもたらす国民の移住願望④

2019-02-23 00:03:28 | 日本

前回からの続き)

 これまで書いてきたように、韓国では多くの国民が「ヘル朝鮮」(ヘルチョソン:地獄のように生きづらい国)から脱出して海外に移住したいと願っているし、実際に多くの韓国人が外国で暮らしています。Wikipediaによれば、世界各地で生活する韓国系の人々は743万人(2017年)ほどと、380万人余りとされる日系人の2倍近くになっています。日韓の人口比でみれば在外コリアンがいかに多いかが分かるわけで、彼ら彼女らの中には「ヘル朝鮮」脱出組も少なくないことでしょう。このままヘル的状態とか中国由来の(?)PM2.5汚染などが劇的に改善でもされない限り、今後も多くの韓国人が次々と海外へ飛び立っていくことでしょう・・・(?)

 余計なお世話かもしれませんが、個人的に、そんな韓国の移住希望者に第一にお勧めしたい国が・・・日本国です。本稿一回目で書いたように、かの国の人々の移住先としては豪州やカナダなどの英語圏諸国に人気があるようですが、自然環境、経済社会情勢、衣食住、文化、精神的風土などなどを総合的に評価すれば、好き嫌いはともかく(?)、隣国・日本こそがどこよりも住みやすい国だと思いますよ・・・

 ・・・じつは、本稿でヘル朝鮮を「鏡」にして言いたかったのは、このこと、つまりわたしたちが、様々な意味で世界一の国に生きている―――生かされている―――ということです(って、同じ「日本」でも「アベノミクス日本」は世界一・・・のマイナス経済成長?で喜んでいるから少し違うかもね???)。これは今日に始まったことではなく、ずっと昔からいえること。そのあたり、外国の情報がほとんど無くても気づいていたに違いない江戸時代の俳人・小林一茶は、見事にこう表現しています―――

 けふからは日本の雁ぞ楽に寝よ

(「韓国:『ヘル朝鮮』がもたらす国民の移住願望」おわり)

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【輸出財閥企業を優遇し、国民は後回しで、ヘル朝鮮…】韓国:「ヘル朝鮮」がもたらす国民の移住願望③

2019-02-21 00:01:26 | アジア

前回からの続き)

 前述したように、韓国は一人当たりGDPでアベノミクス日本をあと数年で抜くくらいの(?)勢いで経済成長してきました。にもかかわらず、残念なことに(?)多くの国民が祖国のことを「ヘル朝鮮」(ヘルチョソン)と自虐的に表現するとともに、他国への移住を希望しているわけです。その理由は様々でしょうが、個人的には同国が第二次大戦後、開発独裁(経済発展のために独裁を正当化する体制)の下で、経済成長のベクトルを、国民を豊かに、そして国民生活を快適なものにする方向・・・ではなく、外国にモノを売る方向に向けてしまったことが大きいように感じます。つまり、韓国経済は外需主導型を指向し、内需喚起を後回しにしたということ。

 日本のような、内需のスケールが大きな国においては、企業等は第一に自国での売り上げ・利益を確保しようと、人々のニーズに応えるためのモノやサービスを創造しようとするでしょう。当然それらは国民生活を豊かで快適なものにしてくれるはずです。これに対して韓国では・・・自国市場が小さいせいもあって、企業等ははじめから(?)国民ではなく外国相手の商売を優先することになるわけです。そして歴代の政権もそれを後押ししてきました。具体的には、自動車、造船、鉄鋼などの分野で輸出競争力のある大手企業(財閥企業)の保護育成をはかり、それらの輸出売り上げで国を発展させるというものです。この成果の表れが、たとえば貿易収支の黒字であり、4000億ドルを超えるほどの外貨準備額であり、上記した一人当たりGDPの順調な成長、などでしょう。ちなみに同国の2016年のGDPに対する輸出の割合(輸出依存度)は45.6%になっています・・・

 しかし、輸出財閥産業ばかりをこうして優遇した結果、たとえばサムスン電子現代自動車2社の売上総額だけで同国全製造業の売上総額の2割を占めるなど、これらの全経済に占める割合が高まった一方で、国民生活に近い位置にある中小企業や新産業の育成が遅れてしまった・・・といわれます。これでは雇用情勢も若年層の就活状況も良くならないし、国民のニーズもなかなか充たされないでしょう。さらに財閥の利益向上が優先される結果、その経営者や株主等ばかりに富が偏在し、その他の国民の大半は厳しい労働環境にマッチしない賃金や待遇で我慢を強いられ、福祉向上等も後回しにされ、それらのあげく、巨額の(家計)債務(韓国メディアによれば昨年9月時点で1500兆ウォンあまりと史上最高値付近)にあえいでいるわけです・・・(以上データ出典は外務省H29/4「韓国経済と日韓経済関係」)

 ・・・であれば、一般の韓国民、なかでも、これから先の人生が長い若者たちが、そんな「ヘル朝鮮」から他国へ脱出したほうがまだ希望が持てる、と考えるのも頷ける気がしてきます・・・

(続く)

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【韓国、一人当たりGDPでアベノミクス日本を抜きそうだが…】韓国:「ヘル朝鮮」がもたらす国民の移住願望②

2019-02-19 00:01:15 | アジア

前回からの続き) 

 多くの自国民に「ヘル朝鮮」(「ヘル(hell:地獄)のように生きづらい」国の意)と自嘲気味に表現されてしまう国・韓国ですが・・・その経済状況はいま、どんな具合なのでしょうか。

 上のグラフは2012年、つまりアベノミクス開始前年から昨年2018年までの日本と韓国の一人当たりGDPの推移を見たものです(2018年値は想定値、出典「世界経済のネタ帳」)。これによれば韓国は201516年こそ前年比でわずかながら減少しましたが、この間、GDPはおおむねプラスで推移し、2018年(32,046ドル)までの通算の経済成長率は32%ほどと、この点に限れば良好だったとはいえそうです。

 これに対してアベノミクス日本は・・・上記、韓国とは真逆で、この6年間で17%もの「マイナス」成長2012年:48,169ドル→201840,106ドル)を達成(?)しました、本ブログで何度もシツコク指摘しているように過度の円安誘導のせいで。韓国との差も接近しており、このままアベノミクスが続けばあと数年で日本は同国に抜かれるでしょう(?)。個人的にはこの一人当たりのGDP値、アベノミクス日本は韓国に追い越された方がよい、とすら思っています。そうなればさすがに、アベノミクスって何かヘンじゃない?って感じる日本人がちょっとは(?)増えるんじゃないかな、と期待するためです(って、これだけ日本中で円安万歳三唱しているから、自信はありませんが)・・・

 ちなみに、安倍政権が「最悪」と評する(?)旧民主党が政権党であった2012年が、わが国のGDPが史上最高値をつけた年になっています。このことは世界が認めるしかありません・・・って、当たり前ですが皆さんは各国GDPをドル換算額で比較するから。で、もし2012年値が「最悪」で、そこから2割もGDPが転落したアベノミクス下のいまが「最高」(?)というのならば、やはりアベノミクス各位、そしてこれを支持するメディア経済学会は「異次元」感覚、正確には数の大小の感覚が逆―――プラス成長がNGでマイナス成長がOK―――なのだろうな、と解釈してしまうわけですが・・・

 ・・・って、アベノミクスのそんな異次元ぶりに言及するとついつい話がそれてしまいます。韓国に話を戻すと・・・同国マクロ経済はこのように、アベノミクス日本と違って順調そうに見えるわけです。ではどうしてそれでも「ヘル朝鮮」なのでしょうか。このあたり、いろいろな理由が考えられると思いますが、韓国の経済成長の方向性、ようするに「開発独裁の下、輸出振興で経済を発展させよう」といったあたりに根本的な原因があるような気がしています。

(続く)

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【韓国人6割が他国への移住を希望…】韓国:「ヘル朝鮮」がもたらす国民の移住願望①

2019-02-17 00:00:26 | アジア

 いくら外貨準備高が過去最高値を更新しました!などと胸を張っても、多くの国民が他国へ逃げ出したいとの願望を抱くようでは、う~ん、どうかな、と思いますが・・・

 昨年12月の韓国の報道によれば、大手生保会社のアンケートの結果、韓国人の多く(60.4%)が外国に移住したいと思っていることが明らかになったのだそうです。海外移住の意思は女性(57.0%)より男性(64.1%)のほうが高く、5049.5%、4063.7%、3068.8%などと、若い世代ほど海外移住に肯定的だったのこと。移住したい国としてオーストラリアをあげた人がもっとも多くて全体の16.8%、以下カナダが14.4%、アメリカのハワイ・グアム11.8%、ニュージーランド8.8%などとなっています。

 で、韓国国民の高い移住志向の理由は様々なようですが、社会に多くのネガティブ面を抱えているということで韓国には自国を「ヘル朝鮮(ヘルチョソン)」(「ヘル(hell)」は地獄、「朝鮮」は韓国の昔の言い方)と自虐的に表現する言い方があり、各々の移住希望者にはそれぞれの「ヘル朝鮮」的な(地獄のような生きにくい)状況から逃れるために韓国から脱出したい、といった強い思いがあるもよう。その具体例としては・・・厳しい受験戦争に代表される教育環境、若者の就職難や失業率の増加、過酷な労働環境、高い自殺率などがあり、たしかにどれをとっても、自分が韓国人ならば同じように外国に移住したいと思うだろうな、と感じさせられるものばかりです・・・

 最近、そんな韓国のヘル的環境を一段と悪化させていると思われるのが、深刻な大気汚染です。先月14日も首都ソウルは過去最悪レベルのスモッグに覆われ、微小粒子状物質「PM2.5」の濃度が基準値(75μg/m3)を大幅に超える122μg/m3に達したとのこと(ちなみに日本の同基準は1日平均値で35μg/m3以下)。ここのところ毎年、韓国では冬のこの時季、上記クラスの悲惨なPM2.5汚染に見舞われていますが、同国の環境科学院の調査によると、どうやらその約75%が国外、ぶっちゃけ中国由来のものとみられるとのこと。もしこれが本当なら、自助努力では如何ともし難く、かといって中国が近隣国を思いやって早急な大気汚染対策を講じるとはとても思えません。であれば韓国の分厚いスモッグが晴れることはとても望めず、人々は個々に自衛するしかない、ということに・・・って、抜本的な自衛策が空気のきれいなヨソの国に移住すること、になるのでしょうね・・・

 先日のニュースによれば、文在寅大統領の娘家族がこのほど東南アジアに移住したそうで、これによって警備コストが上がること等について韓国の国会議員が問題提起しているとのこと。その問題性はともかく、これを知った多くの国民は、模範的な愛国者であるべき国家トップ層まで「ヘル朝鮮」から逃亡かよ!?と愕然としつつ、自らは泥船に取り残されたかのようなトホホ感を抱いたのではないでしょうか・・・(?)

(続く)

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【アベノミクス失敗のダメージを円貨の山が緩和する?】「高値掴み」心配されるアベノミクスの大損害⑨

2019-02-15 00:03:17 | 日本

前回からの続き)

 本ブログで何度も書いていることですが、アベノミクスのせいで日本経済は「進むも地獄」そして「戻るも地獄」の完全なドツボにハマってしまったといえます。つまり、このままアベノミクス推進すなわち国益とは真逆の通貨安路線を突き進んだら、さらなるマイナス成長でこの国も国民も窮乏化する一方でしょう。かといっていま、アベノミクスを放棄したら(日銀が金融引き締め[ってもゼロ金利程度のささやかなもの]に動いたら)・・・円キャリートレードの巻き戻しが起こってスゴイ勢いで円高外貨安が進むとともに株や外債等のリスク資産が円建てで暴落し、これらを高値で掴んできた政府系金融機関の純資産や年金積立金が大きく毀損して、結局、国民がそのソンを被る破目になるわけです(大増税やら年金カットやらで)。これら公的投資主体は「くじら」などと称されるように図体がデカ過ぎて、リスクオフになっても株などの売りを機敏に放てませんからね。よって、せめていまからでもこれらを徐々に売って利益確定し、得た円貨で日本国債を買って、来るべき世界経済危機?に備えてほしい・・・けれど、日銀がこれを超高値で買い占めているから、それもかなわず・・・

 そんなドツボ状態にあるからこそアベノミクスは、前述のように統計を粉飾せざるを得なくなります(?)。そして公平な報道を求める、といった名目でメディアに対して経済のネガティブ面を伝えさせまい、という気にもなるわけです(?)。そのプレッシャーがないのなら、「報道の自由度」ランキングで日本が、アベノミクスがスタートして以降、これほど転落するはずがないでしょう。このように経済がドツボなのにメディア等がこぞってアベノミクスを礼賛するという、どこかの共産主義国で見られるものと同じ光景がいま、わたしたちの現実になっています・・・

 ・・・それでも個人的には日本経済には前向きです。その根拠の詳細は本ブログにたくさん書いているので省きますが、ここで本稿に関連して1つ挙げると・・・こちらの記事等に書いた民間部門(企業や家計)の円貨の山です。これがあれば・・・たとえアベノミクスが崩壊し、上述した政府部門の公的投資が大損害を被っても、そのドル建ての評価額は跳ね上がり、本来の強さを発揮して、アベノミクスのダメージを緩和してくれるだろうと信じています。

 そのためにも、わたしたち一人ひとりが、自分たち(≒「円>外貨」)を信じることが大切ですね・・・(?)

(「『高値掴み』心配されるアベノミクスの大損害」おわり)

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【アベノミクス日本の公的投資、共産中国以上のマイナスか?】「高値掴み」心配されるアベノミクスの大損害⑧

2019-02-13 00:02:42 | 日本

前回からの続き)

 以前こちらの記事に、中国が太平洋島嶼国やアフリカ諸国等のインフラ建設プロジェクトに投融資したチャイナマネーの相当部分が焦げ付きそうになっている様子等を綴りました。そうなったのは、中国がこれら諸国の採算の合いそうにない投資案件に入れ込み過ぎた、つまりプロジェクトの多くを「高値掴み」してしまったためです。ではなぜ採算割れが見込まれるようなものを中国は高値で掴んだのか・・・って、これが共産党政府の政策投資だったから・・・

 通常、インフラ案件が民間主導で計画される場合は、事前にその案件の費用便益等が吟味され、その結果、利益が得られそうなものだけが実行に移されるもの。したがってそれらが失敗し、融資金が回収不能になるようなケースはそうはないし、あったとしてもその損害額は事前の関連引当金等の範囲に収まるものと考えられます。逆にそうでなかったら、不採算のプロジェクトに突っ込んで会社に損害を与えた!などと当該企業の経営者は株主から批判され、最悪の場合、株主代表訴訟を起こされかねませんからね・・・

 他方、中国政府の投融資にはこうした市場原理のブレーキが働かないから、プロジェクトのフィージビリティ(実行可能性)も厳しく審査されることなく、共産党権力者の好み次第で?サクっと実行されてしまったのでしょう(?)。その結果が・・・中国からすれば不良債権の山、そして融資受け入れ国にすれば、返済不能の対中国債務の山となった、という次第・・・

 これ、わたしたちにとっては「対岸の火事」とはけっしていえませんよ。アベノミクス日本もまた、かの国と同様、「政府」の投融資が採算度外視の?「高値掴み」になっているということです。そのさまはこれまで綴ってきたとおりです・・・

 上記過去記事でご紹介したように、今世紀に入ってからの中国の対アフリカ諸国向け融資の総額は1300億ドルを超える規模だそうです。これらの大半が現在、貸し倒れの危機にあるものと思われます(?)。近い将来、おそらく中国は、債務国との外交関係や現地の対中感情の悪化を回避するために、これらの債権放棄に応じざるを得ないでしょう(?)。その想定額はアフリカだけで1300億ドルに迫るスゴイ規模です・・・が、前述したように、わたしたちの「虎の子」年金積立金もまたこれとほぼ同額(14兆円あまり:現レートで約1300億ドル)の「ドル価値」すなわち石油購買力を、アベノミクスの「高値掴み」のせいで(?)あっという間(昨年第2四半期末→同第3四半期末の3か月の間)にサクっと失いました。そしてトータルの損害額はきっと、さらに膨らむことでしょう・・・(?)

 上記において、いまのわが国は中国と同じといえます。ようするに、市場メカニズムの歯止めが効かない政府部門の公的マネーを使った投資が高値掴みとなり、それらが当然のように元本割れを起こして巨額の損害が発生し、結局は国民がその尻拭いをさせられる―――政府系金融機関を救済するために税金が投入される、年金支給額がカットされる、などなど―――ということ。本ブログでは以前からアベノミクスは「左翼的」と指摘していますが、まさにそのとおり、アベノミクス政府はこの点でも中国の共産党政府と同様だ、という思いが強まるばかりです・・・

(続く)

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【統計粉飾の狙いは「円安は良いことだ」への疑い喚起の阻止?】「高値掴み」心配されるアベノミクスの大損害⑦

2019-02-11 00:01:01 | 日本

前回からの続き)

 ご存知のとおり、国会では現在、厚生労働省の「毎日勤労統計」等の不正が大きな問題になっています。その詳細はここでは省きますが、アベノミクス偽装だ!といった批判だけをするよりも、どうしてアベノミクス政府が実質賃金(実質雇用者報酬)等の統計値を実態よりも良いように見せようとしたのか、の原因の追究が重要だと思っています。

 ここでもし、アベノミクスがうまくいっているのならば、その様子が統計にはっきりと表れるはずです。つまりアベノミクスで日本のGDPは大きく成長し、労働者の実質賃金も、そして国民の金融資産額も大きく伸び、これが消費を喚起してさらに経済が成長するという好循環・・・みたいなことが真正な統計値から誰でも読み取れることになります。

 ・・・でも実際にはこうした統計データは出てこない(って、下述からすれば超~当然です?)、このままだと、アベノミクスはうまくいっていないのではないか・・・といった疑念を一般の国民にも抱かせてしまい、次の選挙でアベノミクス与党は敗北し、消費税率引き上げ8%→10%)だって実行不可能になりかねない、であればアベノミクスは引き続き順調!とデータで言えるようにこれらを書き換えちゃえ~といったあたりがアベノミクス各位の本心だったのでしょう・・・(?)

 本ブログでシツコク書き続けているように、わが国はアベノミクス開始以降、記録的な超マイナス成長に沈み、国民金融資産や先述した年金積立金はそれ以前より大きく減少し、いっぽうで国民のエンゲル係数は急上昇、労働者の実質賃金は低下してしまいました。これらの超~ネガティブ状況をもたらしたアベノミクスの何が悪いのか?って・・・それは極度の「円安」にほかなりません。これまた何度も指摘していることの繰り返しで恐縮ですが、アベノミクスは「カブノミクス」(私的造語:取り柄は「株のみ」)と表現できるように、株をつり上げるために(外国人投資家の円キャリートレード等がもたらす)円安を非常に良いものとして許容してきました。でもこれだとアベノミクスは文字通り「株のみかい!?」との非難を免れないから、「いいえ、アベノミクスは実体経済にも有効です!実際、このように実質賃金も上がっています!」と強弁(?)したかった、データを偽装してでも・・・

 このへんも、アベノミクスすなわち実質的な円安誘導政策である「異次元緩和」を推進中の日銀黒田総裁のお名前にちなんだ黒田魔術、略して「黒魔術」(私的造語)のとおりだと思っています。ようするに国民はアベノミクスに、実際には損をしているのに得をしたように思わせられている、ということです。そのトリックのひとつが、今回の不正統計だった、といえるでしょう(?)。このように見てくると、前述した年金積立金の実質マイナスとか、今回の統計粉飾をもたらした最大の元凶は、この「黒魔術」≒「円安は良いことだ」なのだろうな、と推測せざるを得ません。であれば今回冒頭で述べたように、統計不正を批判するだけでは何にもならないことが分かるわけです(?)。そうではなく、わたしたちは、政府がこうした偽装工作をせざるを得なくなるような経済状態にわが国と国民生活を陥れた「黒魔術」こそを打破しなければならない・・・

 このあたり、日本が上記とは真逆の、こちらの記事で詳述した最大の国益「強い円」を活かした政策をとっていればーーーたとえば日銀が金融緩和の限界ラインを実質「ゼロ金利政策」(名目金利-予想インフレ率=0)に維持してさえいればーーー、アベノミクス的な上記統計不正をする必要もなかったし、年金原資の元本割れをいまほど懸念せずに済んだのに、と勝手に悔やむ次第です・・・

(続く)

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【年金基金、増えたようで実は6年前より減っている?】「高値掴み」心配されるアベノミクスの大損害⑥

2019-02-09 02:20:32 | 日本

前回からの続き)

 以前から書いているように、アベノミクスは「カブノミクス」(私的造語:取り柄は「株のみ」)であり、そのためには円安外貨高・株高が必要です。このモードが保たれる限りは株価も外貨も、円建てではその価値は膨らむことになるためです。この恩恵を受けるのが、株や外貨建て資産といったリスク資産を大量に保有する、前述の政府系金融機関とか公的年金基金(年金積立金管理運用独立行政法人:GPIF)などとなります。

 ですが、いっぽうでこれらの価値をマネーの世界標準である米ドルを物差しとして測ると・・・逆に小さくなったりしていることが分かるわけです。それはそうでしょう、アベノミクス前まで80円の価値で1ドルだったものがいまは110円にならないと1ドルの価値に届かないのだから。それでも―――円安外貨高になっても―――トータルでは円建てでもドル建てでも増えていればよいのですが、たいていの場合、円建て価格は増えたけれどドル建て価格にするとマイナスになっています・・・・

 このあたりを、前回ご紹介したGPIFの運用資産額で見てみましょう。その201812月末時点の運用資産額の円建て価格は約150.7兆円です。いっぽう、アベノミクス直前(つまりいまの円安ドル高モードになる直前)にあたる20129月は約107.7兆円です。これだけを比較するとGPIFはこの6年あまりでほぼ4割近く、43兆円も年金原資を増やすことに成功・・・したように見えます。しかし、これをドルベースでみると・・・前者には1ドル110.91円(2018/12最終営業日終値)、後者には同77.61円(2012/9最終営業日終値)を適用すると、それぞれ13584億ドル、13880億ドルとなって後者、つまりいまから6年半も昔のほうが年金原資が多かった、という計算になります・・・

 こちらの記事等に以前、書いたように、この手の資産がいくら円建てで増えても、このようにドル換算額で減ってしまっては、日本国民はけっして豊かになったとはいえないと考えています。なぜならドル価値が減った分だけわたしたちは、石油・・・に代表される燃料や原材料の購買力を失ったことになるからです。これら、外国から輸入しなければならない戦略物資は、原則としてドルでしか買えないことになっているから、自分たちの資産のドル価値が減ってしまったら、いくら円建てで増えても喜べない、ということです。

 いまのアベノミクスの推進役?である上記投資主体の多くは、決算や運用成績等は(円建てでは)一見、好調なようにみえて、実際にはこうしてドル価値を失っています。ようするにわたしたちはアベノミクスでトクをしたようで、じつはソンをしている・・・。このあたり本ブログでは、上記状況を金融政策「異次元緩和」で演出中の日銀・黒田総裁のお名前にちなみ、これを黒田魔術、略して「黒魔術」と呼んでいるところです。

(続く)

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