世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【原油価格、サウジ石油施設攻撃から1か月で攻撃前の水準に値下がり】「古い世界」は石油とともに終わる①

2019-10-29 00:03:03 | 世界共通

 「新しい世界は日本から始まる」(本ブログのタイトル)と同時に「古い世界は石油とともに終わる」といった言い方もできるかもしれませんね・・・

 ご存知のように、米ドナルド・トランプ政権のいわゆる「イラン核合意」からの一方的な離脱発表(昨年5月)以降、ペルシャ湾岸では緊張が高まっていて、今年5月には同海域を航行していたタンカーがミサイル(それとも機雷?はたまた魚雷?)攻撃を受け、9月にはサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの石油施設が何者かに操られたドローン?によって一部破壊されるなど、非常にキナ臭くなっています。アメリカもイランも相手を非難し、表向きは双方とも柔軟姿勢に転ずる兆しは見られないので、今後もこのエリアでは何が起こるか予想ができない、といった感じです。であれば、当然ですが・・・

 ・・・と上昇が大いに懸念されていた原油価格ですが、それほどでもなかった、というより奇妙なくらいに?安定している、といってよさそうです(?)。まあたしかに原油価格は上記アラムコ施設攻撃直後の9月16日に1バレル63ドル近くと前日比で15%も跳ね上がりました。けれど、その後は少しずつ値下がりし、現時点(日本時間28日)では同56ドル台と攻撃前と同じくらいの水準で推移しています(価格はWTI)。アラムコは上記ダメージによって日量500万バレル以上(全サウジの4割、世界全体の5%相当)もの原油減産を余儀なくされたそうですから、その分だけ原油の需給が引き締まって、価格は60ドル台の高値を維持し続けていきそうにも思えますが・・・

 このあたり、市場は比較的冷静だと感じます。つまり現在、そして将来にわたり、原油の需給は緩和に向かうトレンドにあり、それは上記程度の想定外の?事象でも変化はない、とみているのでしょう。日経新聞によれば、国際エネルギー機関もそのへんを裏付ける見通しを攻撃前に公表しているとのことです。つまり、OPECがこの8月の生産量からさらに日量140万バレル減産しなければ、2020年前半は供給過剰になりそうだ、と。そしてサウジの上記減産にともなっていったん増産に転じたサウジ以外の産油国は、アラムコが復旧したからといって、せっかく増やしたシェアを落とすのは嫌だから、そう簡単に減産には応じないだろう、との見方も強いようです・・・

 このように、あれほどの大事件?が続いたにもかかわらず原油の需給はひっ迫しないしその価格も上がらない・・・って最大の原因は、やはり世界最大の石油消費国であるアメリカのシェールオイル増産にあるのでしょう。

(続く)

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【「日本」(アベノミクス後)のジャパンマネーだけが米を救えるかも】米レポ金利急騰で事実上スタートしたQE4⑪

2019-10-27 00:00:55 | アメリカ

前回からの続き)

 ということで、先月来の米レポ市場の動揺に関連して思うところを綴ってきましたが、やはり本ブログでこれまで書いてきたのと同じような結論に至りますね。つまり、上記動揺はかなりの程度「アベノミクス日本」・・・のジャパンマネー冬眠中)のせいであり、これを救える可能性があるのはニューヨーク連邦銀行やFRB・・・ではなく「日本」・・・のジャパンマネー冬眠明け後だということ・・・っても、そろそろ手遅れかと、「アベノミクス日本」が提供し続けた「麻薬」乱用の期間があまりに長すぎたために・・・?

(「米レポ金利急騰で事実上スタートしたQE4」おわり)

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【米レポ市場を救う手はドル円を市場原理に委ねること】米レポ金利急騰で事実上スタートしたQE4⑩

2019-10-25 00:03:05 | 日本

前回からの続き)

 前回、本ブログで何度か紹介の「アベノミクス」(≒日銀「異次元緩和」)の真の狙いについて、相当にうがった見方を綴りました。まあ実際にはアベノミクス各位はそこまで「ワル」(?)ではないでしょうから、日本国民がどれほど苦しもうが(って、その点でやっぱりワル?)―――わが国を1兆ドル以上もマイナス経済成長させようが、ゆうちょ銀行農林中央金庫年金原資が巨額の為替損を食らうリスクを高めようが―――とにかくアメリカ様のほうを支えたい一心で金融緩和をやっているのだろう(?)とは思います。けれど、好意なのか陰謀?なのかの違いによらず、これがアメリカに与えるダメージ?は同じ。以前からのたとえのとおり、これ禁断症状(金利上昇圧力)に苦しむヤク中の友人に「ラクになっちゃえよ」とさらに麻薬を差し出すというワルい行為に等しいわけですから。であれば、その友人がどうなってしまうのか、は自明でしょう・・・

 これまたしばしば書いているように、ジャパンマネーにアメリカをファインスさせる手は、アベノミクス・・・とは全く逆のことをする、すなわち日米双方にとって害悪が大きく不合理な円安誘導(≒異次元緩和)をさっさと終えて、為替を市場原理に委ねる、ということになろうかと考えています。そうなれば当然のように円高ドル安になっていくでしょう。そこでわが国ではようやく米国債投資の妙味が出てくることになります。100億円の円貨で現在は1億ドル未満しか米国債を買えないところが同50円!では2億ドル、同30円!!では3.3億ドルあまり、そして同10円!!!では10億ドルも買える、といった具合です。これ日本にとっては同じ100億円の投資ですが、アメリカからすれば1→2→3.3→10億ドルとアベノミクス時よりもはるかに多額のドル建て債務が日本によって引き受けられることになります。

 上記の場合でも、本邦投資家が米国債の売買で日本国債以上の利回りを得るのは簡単ではないでしょう。世界一の純債務国の通貨である米ドルは世界一の純資産国の通貨・に対して中長期のトレンドではどうしても弱くなっていくためです。ですが上述のように短期での取引に限れば不可能ではないはず。それこそ債券ディーラーの腕の見せ所です。他方でアベノミクスのいまは、それ以前の問題、つまり市場原理では説明がつかないくらいの極端な「ドル高円安=高値掴みリスク極大」だから、たとえ、ゆうちょ銀や農中に「伝説のディーラー」(って誰?)がいたとしても、勝利はけっして望めないでしょう・・・

(続く)

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【米をQEに追い詰めて・・・はアベノミクス日本の想定通り?】米レポ金利急騰で事実上スタートしたQE4⑨

2019-10-23 00:02:50 | 日本

前回からの続き)

 前回、アベノミクス日本」の国営ヘッジファンドである「ゆうちょ銀行」と「農林中央金庫」(これらに加えて、おそらく公的年金基金)は、米レポ市場での金利上昇を食い止めるためにも、いま怒涛の勢いで米国債を買っているものと推測されます(?)・・・が、先述した状況から、これスゴ~い高値掴みになる可能性が大で、やがてこれらは上記金融機関の自己資本を軽く吹き飛ばすほどの巨大評価損を発生させ、その尻拭い(資本注入等)を国民がさせられる破目になるでしょう・・・

 それほどの「犠牲」を払ってでも、アメリカを支えたい!というのがアベノミクス日本の表向きの?意向なのでしょうが、ではこれでうまくいくのか―――アメリカの金利上昇とインフレ圧力を抑制できるのか―――って、上記でもふれたように、やはり無理でしょう。先述したドナルド・トランプ政権の財政放漫的スタンスからみて、日本が買い増す以上の米国債をアメリカが振り出してしまうのは間違いなさそうだからです。したがってQE量的緩和策)の再開は不可避であり、これが「This time is different.」(今回は違う)といわれる事態を引き起こすことに・・・?

 ・・・って、このあたりにアベノミクス日本の裏の目的を勘繰るわけです。つまり、これらの記事等に書いたようなこと―――アベノミクス≒日銀の金融政策「異次元緩和」によってアメリカをサポートするかのように見せかけつつ、極端なドル高円安を演出してジャパンマネーが対米投資に回らないように仕向け、同国を流動性危機からQE要するにドルの無限増刷に追い込んでハイパーインフレを発生させて・・・みたいなことです。

 実際、上記のとおり、まさにそうなりつつある?し、いっぽうの日本の側には、本来ならば世界最強の投資力を有する「」のキャッシュがアメリカへの出動機会を失って?積み上がるばかりです。この円貨の山、アベノミクス政府や日銀の想定外なのでしょうか?・・・って、そのはずはなく、はじめから想定の内と考えるのが自然でしょう。というのも各位ほどの頭脳の持ち主なら、そんな初歩的な見込み違いをするはずがないためです。市井の1ブロガーに過ぎないわたしでさえ、以前から「円>ドル等外貨」(実質利回りの高さ)を示すこと等によって、こうなる―――本邦投資家は日銀に日本国債を高値で売ってキャッシュを得ても、これを実質利回りで円に劣るドル等外貨にそうは投資できないから結局キャッシュ(≒日銀当座預金)でホールドするしかなくなる―――という予測を書いてきたのですから。

 もちろんメディアに「政府・日銀が想定を外した」みたいに報じられるのも想定内だし、むしろ歓迎でしょう(?)。それによって各位の真の意図をアメリカに見破られるリスクが減るためです。会見等で「経済金融のプロなのに予想できなかったのか?」と問われても、所期の目的を成し遂げるため、エコノミストとしてのプライドが傷つくところをぐっとこらえて、こう答えます―――「そう、誤算だった」・・・

 以上、アベノミクスにはこのような非常におそれ多い狙いを感じるものです。「っても、ゆうちょ銀や農中に米国債を高値掴みさせているんじゃなかったの?」そうでした。これにともなう上記「犠牲」もこの壮大な計画?の一環で、間もなく起こる?アメリカ・・・のみならず日本以外の世界各国を巻き込む金融恐慌日本が「独り勝ちし過ぎる」ことを回避しようというのではないか。「日本も大手金融機関(ゆうちょ・農中)が(ドル等暴落で)経営危機に瀕するほどのダメージを被りました~」と嘆いてみせることで、諸国から理不尽な恨みを買わないように・・・?

(続く)

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【日本の米国債保有の増加と米金融情勢はシンクロしている?】米レポ金利急騰で事実上スタートしたQE4⑧

2019-10-21 00:02:32 | 日本

前回からの続き)

 前回、レポ市場の金利上昇を食い止める米国債買いができる国は日本をおいてほかにない、といった以前からの見方を綴りました。

 ですが・・・わが国にとって、円の対ドル名目レートが実質実効レートを上回るようなレアな?円高局面での短期売買等を除けば、米国債投資が割に合うものではないことは、こちらの記事等でも述べたように明白です。中長期のトレンドから見て「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」(実質金利の高い順)が成り立つからです。よって本来ならば、つまり市場原理的には、本邦投資家にとって、実質の利回りで円の現ナマに対してすら負けてしまう米国債は投資候補になり得ません。国債投資はリターンこそ小さくても安全確実、逆に言えば元本割れはNGであり、この条件を満たせる対象は上記不等式が示すとおり日本国債だけです。他方、ドル資産投資では、元本割れリスクをヘッジしつつ、日本国債以上のリターンが期待できそうな株やハイイールド債そして不動産などが選択されるべきでしょう。ということで日本にはどちらにせよ――-ローリスク・ローリターン狙いでも、ハイリスク・ハイリターン狙いでも―――原則、米国債投資のチョイスはない、ということになります、あくまでも理論上は・・・

 上記からすると、このまま放っておいてもジャパンマネーは米国債には十分に流れず、したがってアメリカの金融危機発生を防ぐことは難しくなります。ではどうするか?って・・・力づくで誰かに米国債の高値買いに突っ込ませる以外にありません。もちろんそんなこと、株主の目が光る民間の金融機関には強制できっこないので、自由主義経済下では不可能に近いはずです。けれどいま、この国は「アベノミクス日本」という事実上の社会主義体制になっています(?)。つまり市場メカニズムに反する投資を権力が平然と実行できてしまう、ということです・・・

 このあたり、具体的にはアベノミクス政府が株主の国営銀行---国営ヘッジファンド---が実施部隊になります。こちらの記事に書いたように、預入限度額が増やされたタイミング(今年4月~)などから判断すれば「ゆうちょ銀行」がそうでしょう。そして「農林中央金庫」も同様と推測されます。そんなこともあるせいか?日本の米国債所有残高は6月、約2年ぶりに中国を抜いて世界一位になり、8月には前月から440億ドルも増えて1.17兆ドルと引き続きトップを維持しています。このへんの経緯、ここのところの米金融の上記動向と絶妙にシンクロしているような気が・・・って、考えすぎでしょうか・・・

 なおここでは米国債投資は絶対ダメ!といいたいわけではありません。上記の円高局面では、それ以上に円高ドル安が進行するリスクが小さいから、短期に限定すれば、当該投資で日本国債を上回る利回りを得られる可能性があるためです。けれど、何度も指摘しているように現在はそれとは真逆の市場環境すなわち「アベノミクス日本」各位が、これまた社会主義的な金融政策によって、極端なドル高円安を演出しているわけです。であれば、米国債・・・どころか株をはじめとするあらゆるドル建て資産への投資は、高値掴み→為替損発生のリスクが高いので、厳に手控えられるべきだし、むしろこれらを高値のうちに売却整理等して現金化し、次のチャンスが来るまで様子見するのが自然でしょう。こちらの記事に書いた、円のキャッシュが過去最高額に積み上がっている様子はその反映の一端といえます。

 こうした為替情勢のもと、ゆうちょ銀や農中などによって現在、鬼のような勢いで逆行買い?されているであろう米国債はどうなってしまうのか?・・・って、当たり前ですが?近い将来の不良債権化は必至です(?)。そして国民は、増税や年金カットなどのかたちで、その大損害の尻拭いをさせられる破目になるでしょう・・・?

(続く)

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【インフレも金利上昇も抑止できる手は日本の米国債買い支え】米レポ金利急騰で事実上スタートしたQE4⑦

2019-10-19 00:01:14 | アメリカ

前回からの続き)

 前回、レポ市場の金利急上昇を抑制する目的のニューヨーク連邦銀行(連銀)の資金供給オペは、QE量的緩和策)の再開(超低金利マネーの大量供給)を渇望するマーケットと、メンツ上おいそれとはQEができないFRBの中央銀行としての矜持?の妥協の産物、といった見方を綴りました。まあFRBはどのみち、上記レポ市場を救済する意味でも、QEつまり実質的な米国債直接引き受けによるドルの無限増刷に追い込まれ、中銀≒インフレファイターとしての役割を終えることになるでしょう(?)。これによってドル価値は著しく劣化し、同時にゴールド)が復権を果たすような気がします。あとは、時間の問題、ということですね・・・?

 ・・・って個人的には、FRBのいまの実力を見る限り、このような破局コースしか想定できないわけです。ですが・・・じつはあるんですよ、FRBそしてアメリカを救う手が。それは上記のドル暴落つまり激しいインフレも金利暴騰も引き起こさない、(先述した再担保設定の魔法とは違って)こっちこそ本当に魔法のような手・・・

 ・・・ってそれは、本ブログで何度も書いている、日本による米国債の買い支え、ということになります。これこそ米レポ市場・・・のみならず米経済の根幹である金融システムの動揺を鎮める決定打といえるもの。これによって米国債の価格も信頼も保たれ、したがって金利も低い水準に維持され、FRBはQEなんぞをやらなくても・・・って、さすがにそれは無理でも、かなりの程度その規模を小さくすることができるようになります。

 以前から書いていることですが、本稿5回目に、アメリカの国家的アキレス腱は「金利」だとあらためて指摘しました。そしてこの制御不能の上昇を食い止める策としての連銀やFRBの緩和的なオペに言及しましたが、これ抜本的な解決策にはなり得ません。なぜなら上記のとおり、これらはいっぽうで激烈な副作用すなわち超~過剰流動性(ハイパーインフレ:実質金利が超~マイナス状態)を招きかねないためです。そんなインフレを起こさずに金利上昇を抑制するには・・・FRB以外の誰かが米国債を高い価格(低金利)で買う必要がありますが、国も企業も家計も借金まみれのアメリカにそのゆとりはありません。よってアメリカは米国債購入(金利の低位制御)を外国に依存せざるを得ない・・・って、こうして自力では如何ともし難いからこそ「金利」が同国の弱点ってことです・・・

 では現在、米国債を買い増せるアメリカ以外の国って?となると・・・長くなるので結論だけ書けば、わが国しかありません。その理由や歴史的経緯などは、本ブログのあちこちで様々な面から綴っているので省略しますが、今後もそのあたりは変わらない・・・どころか、ますます日本しかない!みたいな感じになるでしょう、中国とか産油国などの現状そして将来予測からすれば・・・

(続く)

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【NY連銀オペ、FRBのメンツと市場実態の妥協の産物か】米レポ金利急騰で事実上スタートしたQE4⑥

2019-10-17 00:01:35 | アメリカ

前回からの続き)

 前述した理由から、米レポ市場の動揺を抑える手はFRB米国債買い入れ、すなわちQE量的緩和策)しかなさそうです。そのあたりはFRBも分かってはいるでしょう・・・が、ちょっと困ったことにFRBはメンツ上?いますぐにはQEには踏み込めないはず。モノには順序がある、つまりまずは利下げが先で、QEは利下げが限界(=金利ゼロ)に達した後で、ということです・・・

 現在FRBは利下げを進めているとはいえ、足元の政策金利の誘導レンジは1.75~2%と、ゼロ%との間にはまだまだ開きがあります。でFRBとしては今月(10月31日)以降のFOMC(連邦公開市場委員会:FRBの金融政策決定会合)で、もっとも速い緩和ペースでも、これを毎回0.25%ずつ下げていくという想定をしている・・・し、本心では、できれば利下げをせずにしのぎ切りたい、と思っていると考えます。FRBは本当に危険な事態に備え、いまは「実弾」(利下げ余地&QE)をキープしておきたいだろうからです。しかしこの目論見がドナルド・トランプ政権の予期せぬ?米国債大量発行によって崩れつつあるのは上述のとおり。このためにレポ市場では深刻なマネー不足と金利急騰が起こってしまい、一刻も早くQEを発動しなければならないような局面に・・・?

 だからといってFRBは現状の政策レベルをなし崩し的にQEレベルにまで大幅に緩和することはしたくはないはず。それはこれまでの金融正常化に向けた歩みの頓挫になるから、FRBの威信は崩壊し、その中銀(≒インフレファイター)としての能力に対する重大な疑念を市場に惹起してしまうためです・・・って、すでにみんな疑い出している感じ?(小声)

 そこで考えられたのが、本稿冒頭で記した、ニューヨーク連邦銀行(連銀)による市場操作だった・・・のではないかと推測しています。これ、連銀が翌日物レポ取引を、担保として米国債などを受け入れて、11月4日まで(って再延長必至?)の毎営業日、少なくとも750億ドル規模で行うものです。したがってFRBは表向き、これは国債を買い入れるQEとは違いますよ、ということが可能です。いっぽうでこれ、米国債を介してFRB・・・傘下の連銀がマネーを市場に出すという点では実質的にQE・・・的なオペといえるでしょう(?)。ということでFRBは、上記の利下げ→QEに至る時間をできる限り確保しつつ?その間に、市場原理に委ねていては不可避のレポ市場の動揺を鎮めるため、連銀に上記のマネー供給策をやらせることにした、という次第なのではないか・・・?

 以上のような意味で、本稿のタイトルのとおり、アメリカのQEは、レポ市場の動揺を機に、すでに再開された、と考えるものです。FRBの算段は、上記想定に基づくと、来年の夏あたり?には政策金利をゼロに、そして市場が待望するQEに突入、というものだったでしょう(って、もっと早い時期にQE再開に追い込まれる可能性も大かと?)。まあこれくらい時間をかけて利下げをすればFRBには市場をコントロールする力があるように見せられる、ということで。ですが、レポ市場はそこまでこらえきれず、金利が上がってしまう!・・・からFRBは、これを抑えるべく連銀に上記QE的オペを先行実施させ、そして11月以降もきっと継続させる(?)、真のQEが発動されるまでの、いわば「つなぎ」の策として・・・?

 ・・・こう考えると、この連銀オペって、FRBのメンツとQ超低金利マネー)を欲する市場実態の妥協の産物に思えてきますね・・・?

(続く)

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【レポ金利急騰を防ぐには連銀口座マネーの積み上げが必須】米レポ金利急騰で事実上スタートしたQE4⑤

2019-10-15 00:00:02 | アメリカ

前回からの続き)

 前回、レポ市場における金利急騰につながった同市場におけるマネー不足の真因は米財政赤字の急拡大にともなう米国債の大量発行であると論じました。実際、ドナルド・トランプ政権は、昨年あたりから財政規模を急激に膨張させており、この7月にも連邦債務上限を引き上げて、さらなる財政赤字の拡大、そしてこれにともなう米国債の乱発もいとわない感じです。その結果、これからは償還額を上回る規模の起債が続くため、自ずと市中のマネーは米国債に吸収されて減少し、他の債券などにおカネが回らなくなって・・・

 ・・・といったマーケット環境で、ではレポ市場でおカネを借りたい側―――ヘッジファンドや投資銀行など―――はどうなってしまうのか。これらは顧客の投資家から預資産の換金請求を受けると、これまでは手持ちの米国債を担保として差し入れて同市場から難なく(ほんのわずかの利子負担で)資金を調達できていました。ですが上述のように調達コストが上昇しそうな今後は、かなりの場合、その負担が難しくなって、なかには手持ちの米国債などを売却せざるを得なくなるところも出てくるでしょう。そうなると当然、米国債の価格が下がり、その伴連れで社債などの価格も下がって・・・結果、金利がいっそう上がっていくことに・・・

 こちらの記事を含めて何度か指摘しているように、アメリカの国家的アキレス腱は「金利です。しかもこのアキレス腱、現トランプ政権の上記放漫的な財政政策の影響でますます脆弱化している現状です(?)。であれば、上記のレポ市場の環境は非常に危ういものといえるでしょう。このままだと、ちょっとした出来事をきっかけにレポ金利がまたも跳ね上がり、これがもとで市場モードがリスクオフに転化して株やジャンク債が投げ売られて・・・といった危機の連鎖がいつ発生してもおかしくはないわけです。これを未然に防ぐには、アキレス腱を守る―――金利の上昇を食い止めるしかありません・・・

 ・・・って、ではどうするのか?ですが・・・上記からすれば、その裏返し、ということになります。つまり、米国債が発行され過ぎたせいでマネーが枯渇して金利が上がったのだから、そうはならない―――レポ金利が上がらない―――量のマネーを、米国債を購入することによって、連銀預金口座に積み上がるくらいに生み出してやる、という手です。これ、上述した事情から市場原理に委ねていてもできないため、これを度外視できるところがする以外にありません。そんなこと―――担保としての安全性に疑問符がついている米国債をマーケットプライスよりも?高値で掴むこと―――が可能(って自己資本が毀損するから本当は無茶?)なのは・・・FRBしかないでしょう、やはり・・・

 ということで、レポ市場の動揺を抑えられるのは唯一FRB・・・の米国債買いということになりそうです・・・ってこれ、QE量的緩和策)ってことになりますけどね・・・

(続く)

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【レポ金利急騰の元凶は米財政赤字の急拡大】米レポ金利急騰で事実上スタートしたQE4④

2019-10-13 00:00:04 | アメリカ

前回からの続き)

 前回、レポ市場におカネが出てこなくなっている理由として、再担保設定(担保の使い回し)の横行で担保としての米国債が安全資産とはみなされなくなっていること、そして市場においてマネーそのものの量が足りなくなっている・・・って、それには米FRBの見込み違いがあること、といった見方を綴りました。

 で後者ですが、FRBとしていちばん想定外だったのは・・・ドナルド・トランプ政権による財政赤字の急拡大といえるでしょう。FRBとしては金融正常化を進める大前提として、金融引き締めを進めても金利急騰を招かない程度の財政運営を米連邦政府に行って欲しかったはず。ですがトランプ政権はそうはしなかった・・・どころか、これまでにないくらいのスゴ~い勢いで財政出動路線を突っ走っています・・・

 このあたり、こちらの記事に書いたメキシコとの「国境の壁」などを例に上げ、本ブログでは前からトランプ大統領らの財政運営が放漫的なことを指摘しましたが、いよいよその傾向が顕著になっているわけです。例えば7月に米政府は、いわゆる債務上限を引き上げ、今後2年間で3200億ドルの歳出増を決めました。すでにトランプ政権は18~19年度で3000億ドル引き上げていますから、これからさらに赤字幅が増加していくことになります。その結果、19年度の米財政赤字は18年度の実績7793億ドルから増えて9599億ドルへ、そして20年度はいっそう拡大して1兆ドルを上回りそうなのだとか。よって米政府は20年度、1兆ドルを超えるほどの巨額資金を市場から調達、つまり米国債を大量発行せざるを得ない状況に・・・

 結局、上記2つの理由の根源にはこれ―――トランプ政権による米国債の大量発行―――があるということです。これだけドカドカ振り出されれば、上記使い回しもあって、担保米国債の信頼も価値も低下していくし、本来はレポ市場に回るべき連銀預金口座のマネーもFRBの想定を超えるペースで減ってしまうでしょう、大量に発行される米国債に吸収されることによって。前述、とくに昨年あたりから同口座残高の減少ペースが速まってきているのは、このへんのせいといえますね・・・

 ちなみに上記口座には、減り続けているとはいえ、9月時点で、まだ1.4兆ドル近くもあります。であれば、米国債への流出マネーが増えても、もうしばらくは大丈夫なのでは、といった見方もできるかもしれません。が、それは米国債だけでの話であり、実際にこのおカネ、レポ市場の貸出金に加えてジャンク債などの他の債券等をファイナンスするマネーとしても想定し得るもの。となると、価格等が最上位の米国債がこれだけ市場に出てきてしまえば、これより格付けが劣る社債等に回る分は減ってしまい、これらの価格低下と利回り急騰そして最悪、債券発行体のデフォルトを招きかねません。そんな意味からも、やはり1.4兆ドル程度のマネー量では非常に心もとない、ということなのでしょう(?)。

(続く)

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【マネー不足:担保米国債への不信と想定外の…】米レポ金利急騰で事実上スタートしたQE4③

2019-10-11 00:02:58 | アメリカ

前回からの続き)

 前回、ニューヨーク連邦銀行の預金口座に1.4兆ドル近くもの資金があったにもかかわらず米レポ市場におカネが出てこなかった理由として「借り手の担保の信頼性が低いこと」と「マネーそのものの量が足りないこと」の2つが推測される、と書きました。これらは互いに関連し合い、後述する根本原因に行きつくものと考えています。

 で、まずは前者から。これについては先日、日経新聞が米フォーブス誌の記事を引用しながら、以下のような手口が広がっているために担保としての米国債の価値に疑いが高まり、結果としてマネーの出し渋りが生じていると伝えています。そして同誌は、これこそがレポ市場崩壊の本当のストーリーだ、としているとのこと。

 で、その手口とは―――投資家Aが国債1単位をBに課す→Bは投機目的でこれをCに売却→Cは購入した国債1単位をレポ取引の担保として差し入れて資金を調達―――というものです。これだとAとCが国債1単位を保有することになる、つまり本来は1の国債が2に(も3にも?)なるという、魔法のような?仕組みで、これを再担保設定といいます。で、2017年にはヘッジファンド等が保有する原資産3.7兆ドルが約2倍の7.5兆ドルに再利用され、昨年はこの再利用率が2.2倍にまで上昇し、2012年以来の水準に達したとのこと・・・

 でこの実態を、マネーを出す側である銀行等は知っているわけです。であれば貸し手としては借金のカタに取る米国債の価値に疑念を抱かざるを得ず、レポ市場におカネを回すのを控える・・・ために資金ショートが起こって金利が急騰した、という次第。ということで「もはや米国債は担保としては安全資産とはいえない」とフォーブス誌は指摘しているとのことです。

 次に後者―――マネー量が足りない、について。上記の準備預金「1.4兆ドル」(現在のレートで約150兆円!)だけを見るとスゴい量であり、足りない・・・の真逆では?と思えます。ですが・・・じつはこの預金額、2014~2015年くらいまではもっと多くて2兆ドルを優に超える分厚さでした。これがやがて少しずつ減りはじめ、昨年あたりからはそのペースが速まっていまに至る、といった感じで、ピーク時と比べると3割以上もの減少です。こう見ると1.4兆ドルが必ずしも巨額過ぎる・・・ほどではない感じがしてきます(?)

 では、なぜ4~5年ほど前まではマネーがたくさんあったのか?といえば・・・リーマン・ショック直後の2008年11月に開始されたFRBQE量的緩和策)によってマネーが準備預金に積み上がったため。そして以後、減少が続いているのは、その終了(2014年10月)によってマネーが同預金から抜けていったため・・・って、どこに?答えは、おもに米国債に、です。以前から書いているように、ざっくり言ってQEとはFRBが米国債を買い入れてマネーを創出する策であり、これを止めればマネーはおのずと米国債に戻ることになります。ということは、同ショックを受けて異例の策として実行されたQEが終わり、FRBが利上げをしてきたという、いわば金融正常化が進んでいるなかでマネーの残高がこうして減ったのだから、まあFRBとしては想定どおりのことで・・・

 ・・・って、これはあくまでも米国債が穏やかに?発行されていけば、の前提での目論見。実際はそうはならなかったわけですよ・・・

(続く)

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