世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【コロナ禍第3波襲来、いまこそ総額130兆円の現金給付策を実践すべき】日銀は市場原理をリスペクトせよ④

2020-11-29 01:15:00 | 日本
前回からの続き)

 コロナ禍、第3波襲来・・・ということで、この国難のとき、いまこそ政府は前述の策を大規模かつ迅速に発動するべき。つまり、あらたに国債を発行して日銀当座預金口座に凍り付いて動かない約500兆円ものおカネから一部を借り受け、これを国民に・・・って、まあ一律もいいけれど、それより今度はコロナ禍で窮地にある産業―――観光、運輸、外食、芸能など―――に従事されている方々およびその家族に重点的におカネを配るべきと考えます。そうでもしないと、これら業界では倒産、廃業、閉店等が相次ぎ、多くの人々が職を失ってしまうとともに、それによって、世界に誇る「クール・ジャパン」なども大ダメージを被ることになってしまいかねません・・・

 で、この現金給付策の規模を・・・かりに130兆円(!)にすると、わが国の人口は1.3億人弱だから、国民1人当りの単純平均ではちょうど百万円になります。これを上記業界に厚めに配分すれば、その対象者一人が得られるおカネは数百万円規模になるでしょう。であれば、かりに自分の勤め先が閉店等となり、失業あるいは自宅待機等になっても、かなりの時間、すなわちコロナ禍が収束するまでの期間の生活コストは相当程度、このおカネで賄えるはず(そのおカネの支払いを受けた人は、手にしたおカネでモノやサービスを買って・・・というおカネの循環が生まれる)。歴史を振り返れば分かるように、永遠に続く疫病禍はあり得ず、したがって同収束まで耐えられれば、あとは事業再開あるいは新規開店等にともない、職場復帰あるいは再就職等の可能性が高まるわけです。そうなってきた時点で上記給付策も手仕舞えばよいわけで・・・

 130兆円?そんなに国債を発行したら金利が急騰してしまう~!・・・って、本ブログで何度も述べているように、そして上記のとおり、大丈夫です。いま年0.1%にも満たない付利しか得られていない上記500兆円のキャッシュが、それ以上の利回りを得られる!ということで怒涛のようにこの総額130兆円の国債に買い向かうからです。であればその金利は上がりようがなく(国債価格は下がりようがなく)、おそらく長期金利で0.1%をちょっぴり超えたレベルすなわち0.2~0.3%台くらいで安定するのではないでしょうか(?)。それどころか、上記国債が全部消化された後も、同口座には、これを買いそびれたキャッシュが300兆円以上も残っていて、国債買いの圧力をかけ続けている―――付利0.1%以上のリターンを得られる安全確実な資産が市中に現れるのを今か今かと待ち続けている―――わけです。そんなところからも、わが国の金利は引き続き低い水準を(国債価格は高い水準を)保つしかなく、したがって、利払いコストも大して上がらないから政府の国債発行残高が増加することに大きな問題は生じません。むしろ上記のような政策を行わないことのほうが、国家国民全体を傷つけることになるでしょう・・・

 なお、上記給付策が実行されれば、前記した、地方銀行・信用金庫の経営改革を促すための日銀のそれら向けの補助金付与は不要になるでしょう。当然ですが、地銀等もまた上記の国債投資で付利以上のリターンをゲットできるようになるから、自然とそのインセンティブは消えてしまうからです(もっとも、上記の国債発行があった場合、日銀としては、金融政策との不整合がないようにするために、現行の付利3段階を以前のように一律0.1%適用に戻す必要に迫られるかも・・・?)。

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【「金は天下の回り物」なのに政策で回らないようにする罪深さ…】日銀は市場原理をリスペクトせよ③

2020-11-27 00:58:10 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、日銀の超緩和的な金融政策「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)によって、結果的に日銀当座預金口座には10月末時点で約500兆円ものキャッシュが積み上がってしまいました、ほんのわずかな付利を得んがために・・・

 ところが、その付利さえも、上記政策によって、それ以前の一律0.1%付与から、こちらの記事および本稿一回目に書いたように、現在はプラス0.1%金利適用分、ゼロ金利適用分、マイナス0.1%金利適用分の3段構えになっていて、平均すると実質的に0.1%を下回るほどの極小金利状態にあります。であれば、一定の経営改革を成し遂げた地方銀行・信用金庫に同預金0.1%の上乗せ金利を付与する、という先述の日銀の支援策も、(金融正常化に向かう、という正道を除くと?)この異常ともいえる金融環境ではありがたいことなのかもしれません・・・(?)

 ちなみに、「0.1%」のイメージが分かりやすいように金額にして考えてみると・・・銀行が日銀の上記口座に100万円を預けたときに得られる0.1%付利の額は年1000円(=100万円×0.1%)になります。100万円を一年間も預けてたったそれだけ?って思えますが、その銀行が100万円の普通預金に支払う利息は・・・現在、多くの銀行の同預金の利率が年「0.001%」なので、何と年10円!(=100万円×0.001%)・・・ということで、上記付利でゲットできる額はその100倍!?ですから(って当然だけど)、銀行にとってこの0.1%のプレミアムを得ることは、預金者への支払利息を賄う等のうえではけっこうなサポートになりそうです・・・って考えが成り立ってしまうくらいスゴい状況ですが、いまは・・・

 そんなこんなの、この500兆円、非常に残念だ、と嘆くしかありません。というのも、以前から書いているように、このおカネは「ブタ積み」つまり何らの経済活動(投融資等)にも使われないで上記口座に留まり続けている(ばかりか、さらに増えつつある)からです。そもそもおカネとは・・・日本語で「天下の周り物」、英語で「currency」(通貨・流動性)などというように、そして昔の貨幣が〇(天)型の金属に▢(地)の穴が穿ってあったのは天地の間(人間社会)を行き交うものという意味がある(とも言われる)ように、実際に動いて始めて意味を成す媒介物であるわけです。それが上記のように大量に凍り付いている・・・ということは、こうしたおカネ本来の活用がされていないことの表れであり、とくにこの瞬間、すなわちコロナ禍で国民の多くが、おカネが流れてこなくて困っているなかでは、この現状・・・をもたらした日銀の上記政策はあまりに罪深い、とさえいえるのではないでしょうか・・・

 ではどうしたら?ですが、簡単な話です。上記のおカネの相当部分を使えばよい、つまり具体的には政府が国債発行でこれを借り受け、これを現金給付などの政策で国民の間に流通させるべき、ということです・・・が・・・

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【補助金より、投融資で利ザヤ得られる環境に戻して、が銀行の本心】日銀は市場原理をリスペクトせよ②

2020-11-25 00:35:07 | 日本
前回からの続き)

 前述、地域金融機関(地方銀行と信用金庫)の自主的な経営改革を後押しする目的で日銀(と金融庁)が開始する補助金付与の制度(一定の条件を満たす改革を行ったところに日銀当座預金口座のおカネに0.1%の上乗せ「付利」[って言ってはいけないかな?]を適用するというもの)に、全国地方銀行協会の大矢会長(横浜銀行頭取)は「チャレンジする銀行にとってありがたい制度だ」と歓迎の意向を示されましたが、ここからは、たった0.1%の金利をありがたいと思えるほどに各行が預金の運用に苦慮している実態が伝わってきます。その意味でこれ、地銀協の会長のお言葉を額面通りに受け止めることはできないでしょう。つまり、まあ立場上、日銀の権威?に忖度して表向きは感謝しつつも、本心は・・・わたしたち銀行のことを気にかけてくれるのなら、補助金はいらないから、銀行の本業である投融資で利ザヤが稼げる金融環境に戻していってくださいよ日銀さん・・・ということのはず・・・

 本ブログで何度も書いているところですが、その金融環境とは、2013年春からいままで7年以上にわたって続けられている日銀の現行の金融政策「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)が演出中の超低金利のことになります。このため銀行の利ザヤは大きく減少し、これがその経営にダメージを与えてきています。実際、前回ご紹介の日経記事によると、日銀の低金利政策の影響で貸出金利息はこの1年だけで316億円も減ったとのこと。上記補助金が満額支払われることになっても、これに近い400~500億円だそうですから、なんてことはない、1年前程度の金利に戻すだけで(っても超低金利に変わりないけど)、このインセンティブ、いらないじゃん、となるくらいです。であれば、そうしようよ・・・と金融関係者なら思うでしょう。

 貸出のほかにもう一つ、この低金利のせいで、地銀等・・・ばかりかメガバンクや生保などを含めた本邦金融機関のすべてが頼りにしてきた日本国債の投資が封じられてしまったことが、(後述することから)もっと重大です・・・

 上記の日銀の金融政策は、この国債を高値で買い上げることで金利を引き下げるわけですが、上記緩和策開始以降、その買値はどんどん上がって、ご存じのように、いまやその価格は「マイナス金利」すなわち購入時の価格が額面価格を上回るくらいにまで上昇しています(日本時間25日0:00時点の2年物国債の利回りはマイナス0.16%、など)。であれば、国債は常識的には買えません、損をするから(っても、それでも買う人がいるのは、購入価格以上の価格で日銀が買い取ってくれるかも、という期待で買っている?)。逆に国債を売れば日銀が高額で買うので利ザヤは得られるわけです・・・が、今度はそれで手にしたキャッシュの運用・投融資先がありません、超低金利ゆえに。したがってそれらの多くは、たった0.1%でもプラスリターンが得られるからという理由で日銀当座預金口座に流入して・・・それが積もり積もって、5百兆円近く(10月末で約490兆円)にまで膨れ上がっているわけです・・・

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【日銀、経営改革を条件に地銀信金に0.1%上乗せ金利提供へ】日銀は市場原理をリスペクトせよ①

2020-11-23 00:33:34 | 日本
 ホント、社会主義的金融のひずみがこんなところにも出てきていますね。もっとも、それに誰も異論を唱えないのも分かる気がするけれど・・・(?)

 今月10日、日本銀行日銀)は、地方銀行と信用金庫を対象に、その経営基盤を支援する目的で新たな制度を開始すると発表しました。日経新聞によれば、それは、①収益力の向上や経費削減、②合併や他行の連結子会社化などのいずれかについて、一定の条件を満たした場合、当該行に日銀が補助金を出すというもの。で、その補助金というのが、一定の上限の範囲内で日銀当座預金口座の残高の金利(付利)に0.1%上乗せするという仕組み。同預金は日銀金融政策の決定に基づき、現在、0.1%のプラス、ゼロ、0.1%のマイナスの3種類の金利が適用される階層構造になっているところ、これに0.1%をプラスするということで、その意味ではこれ補助金云々ではなく、どう考えても金利操作すなわち実質的に金融政策マターといえるでしょう。にもかかわらず、日銀はこれを金融政策ではない、と弁明しています・・・(って、その理由を本ブログ風に解釈すれば、上記の金利上乗せを金融政策の決定事項にしてしまったら、市場がそれを日銀のテーパリング開始のサインと判断して、が[というか、ドルが]たちまち・・・となってしまうから、「そ、そんなんじゃ(引き締めでは)ありませんよ、ほ、補助金ですからね」という以外になかった、ってことですよね?)

 本ブログでは、日銀の現行の金融政策(いわゆる「異次元緩和」、現在の正式名称は「長短金利操作付き量的質的金融緩和」)について、市場原理に反するものとしてネガティブな立場から何度も論じているところですが、本件からもこれまで指摘した問題点が浮かび上がってくるところです。本稿ではそのあたりについて思いつく順に綴ってみましょう。

 まずは、本制度の適用を受ける金融機関サイドについて。この日銀の支援制度に関して、18日の記者会見で全国地方銀行協会の大矢会長(横浜銀行頭取)は「チャレンジする銀行にとってありがたい制度だ」と歓迎の意向を示されています。たしかにそれは理解できるところでしょう、経営改革等で所定の条件をクリアできれば補助金がゲットできるわけですから・・・

 しかし・・・補助金っても、上記のとおり日銀当座預金の付利がたった0.1%増えるだけのもの。日銀によると、地銀等のすべてがこれを達成したときの補助金の総額は400~500億円になるそうですが、これを1行1信金あたりに割り振れば、本当に微々たる金額でしょう。にもかかわらず地銀等がこの程度のおカネでもありがたい、というのは、それほどまでに本邦金融機関の資金運用環境が厳しくなっていることの証といえます。いうまでもなくそれは超低金利環境のことであり、これを演出しているのは、ほかならぬ日銀なわけで・・・

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【中銀B/Sをドル・米国債にしたことが中国最大の設計ミス?】中国が次の覇権国になれない理由⑦

2020-11-21 01:57:59 | アジア
前回からの続き)

 先述のように、本来の市場環境「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」実質金利の高い順)になれば、わたしたちの通貨であるのドル換算額は圧倒的に膨張し、その投資効率は著しく改善されるから、次の世界で円はドルに代わって各種M&Aなどで主役を演じるマネーとなるでしょう。いっぽうで現在は、無理やり「円<ドル」にしようとされている(といっても、市場原理が強く働くので、実質はなかなかそうならない?)ので、この主役はドルそしてアメリカになっているわけです。ということで、国際金融界をリードできるのは、日本かアメリカのいずれか、ということになります・・・って、そのように思えますが、それすら日本の演出です。上記、そして本ブログで何度も指摘しているように、アメリカそしてドルがリーダーのように振る舞えるのは・・・真の主役である日本・・・の日銀のおかげですからね・・・(?)

 上記に中国は登場しません。その意味は・・・ここまで述べたように、その通貨である人民元疑似ドル、すなわちドルに紐づけられ、そしてその紐づけから離れようにも離れられない通貨であるために、ドルが強い時は・・・まあドルをたくさん持っているから中国はそれなりに強い通貨の強国に見えるけれど、ドルの本家であるアメリカには遠く及ばず、他方でドルが弱くなる時は、それに反比例して強くなる円・・・を持つ日本に遠く及ばない、ということになり、そのどちらにせよ、中国がマネーの覇権を握ることにはならない、ということです・・・

 このようにみてくると、中国がその中央銀行である中国人民銀行の資産をドル米国債にしてしまったことは、きっと、かの国の最大の設計ミスなのでしょう(?)。というのも上記のような限界がどうしても生じ、成長の頭を押さえられてしまう、などのため。しかしいっぽうで、同国が世界市場に進出するにあたり、他の新興国と同様、輸出でドルを稼ぐことを最優先にせざるを得なかった事情を考えれば、それも仕方なかったし、ドル&アメリカに翻弄されるリスクはぬぐえないものの、(農民工とか少数民族は「おいてけぼり」でも?)相当数の国民は、それなりに豊かになれたのだから、これでよかったのかも・・・

 ・・・って、それは遅くとも「2008年」までの話。それ以降、そして今後は、(ドルは?)本当にヤバいことになってきています(?)。なので中国は上記した脱ドルに向けたアクションを試行錯誤するしかありませんが、うまくいきそうにないわけで・・・

 わたしたちは、そんな中国からいろいろ学ぶことができますね。間違っても同様の「設計ミス」なんぞをしないよう、心したいものです・・・が・・・

(「中国が次の覇権国になれない理由」おわり)

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【市場原理回復で日本マネーは米欧中マネーを凌駕する】中国が次の覇権国になれない理由⑥

2020-11-19 00:30:37 | 日本
前回からの続き)

 前回、外貨準備(中国人民銀行の資産)の脱ドル化を進める中国にとって、実質的にベストといえるドル代替資産が日本国債だと書きました。しかも同国は、賢明なことに、現在の1ドル105円前後という極端ともいえる円安ドル高局面で日本国債の購入を急増させているわけです。これはきっと、かの国を助けることになるでしょう。つまり・・・やがてそのドル換算の価値は倍以上に(1ドル60円以下の円高に?)なり、人民銀のB/Sを膨らませてくれるだろう、ということです・・・

 ・・・とはいえ、かの国が保有する日本国債の額はいま、おそらく10兆円(1000億ドル弱)くらいと思われます。本稿前段でご紹介した英経済紙「Economist」記事によれば人民銀の資産規模は5兆ドル程度ですから、これに照らすと大したスケールではありません。逆にいえば人民銀の資産の大半は引き続きドル米国債と推測されるわけで、これでは、日本国債10兆円分のドル価値が倍になったくらいでは、先述したリスクが顕在化したときに人民銀のB/Sの急減を食い止めることは難しそう。やはりこの場合は、本稿3回目で書いたように、人民銀は簿外で(?)ひそかに買いだめしてきたゴールド)とかビットコインを自身のB/Sに振り替えて資産規模を維持しようとするのではないでしょうか(・・・っても、これでは人民銀は金融政策を円滑に遂行できない―――金とかビットコイン等を市場に売ること[金融引き締め]ができず、インフレを抑えられないでしょうが)・・・

 さて、ここまで綴ってきた中国の人民銀B/S脱ドル化の動きを眺めながら、あらためて感じられるのは、かの国・・・はもとよりEUそしてアメリカをも凌駕するであろう日本マネーのポテンシャルです。それは、たとえば上記「Economist」記事における各国中銀のドル換算B/Sの比較からも予想ができるというもの。それによると現時点の資産規模は、米FRBECBがともに約7兆ドル、人民銀は上記のとおり約5兆ドル、そして日銀が6兆ドルほどになっています。でこれが上記のような円高局面(「円>ドル」市場原理が機能する局面)になると、(資産構成の大半が米国債の)FRB、(同じく米国債の)人民銀、(ドルよりも弱いユーロ建てのEU諸国債の)ECBの資産スケールはほとんど変わらないのに、日銀のそれだけがどんどん拡大していくことになります。その資産のほとんどがドルに対して価値を高めていく円建ての日本国債だからです。そしてこれに裏付けられた日銀券、すなわち本邦企業や家計が資産として持つ円のキャッシュのドル換算額もまた、これに比例して膨張していくわけです。そのときのわたしたちの購買力、圧倒的です、チャイナマネー(≒疑似ドル)なんぞ問題にならないくらいでしょう・・・

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【中国の日本国債への投資額が急増中】中国が次の覇権国になれない理由⑤

2020-11-17 00:07:32 | アジア
前回からの続き)

 前回、中国の、ゴールド)とかビットコインを買い増してこれをドルに代わる外貨準備(中国人民銀行の資産)にしていくという脱ドル戦略は、理論上は分からなくはないものの、かの国の当局の手腕や市場環境などから、これを実効性あるスキーム(金本位制など)として運用していくのは、実際には至難の業だろう、といった見通しを綴りました。

 では他にその候補となる資産はあるのか?ということで、ユーロとユーロ建てのEU国債(とかポンド・英国債)が思い浮かぶわけです・・・が、こちらの記事に書いたように、それもネガティブでしょう。実質利回りで「ドル>ユーロ(>ポンド)」となる局面のほうが多そうだからです。であれば、ドルをやめて(ドルよりも弱い通貨の)ユーロに、というのは得策とは言えない感じです。この観点からすれば、ドル>ユーロ>・・・となる新興国通貨・同国債はなおさら買えない、ということになります。なので、中国が新興国で進めているインフラ等投資の多くは失敗する―――その利回りは米国債のそれに遠く及ばない―――ことになるでしょう・・・

 ・・・などとなって残るはたったひとつしかありません。それは・・・日本国債)。いまの世界金融市場で、ドル以上の実質金利が得られるポテンシャルがあり、かつ潤沢な流動性がある―――いつ、どこでも、誰でも、自由に売買できる―――資産は、日本国債だけといっても過言ではないでしょう、まあ本ブログでは何度も指摘していることですが・・・

 じつはそのあたり、外貨準備の多様化を進めるなかで、中国も当然のように気が付いているようで(?)、ここのところ同国が日本国債の保有を急増させている様子が窺えます。先月の日経新聞によると、中国による中長期債の買越額が4~7月に約1.4兆円と前年同期の3.6倍に膨らんだとのこと。この買越額はコロナ禍拡大の影響が出た今年度からしり上がりに増え、7月には7239億円と3年半ぶりの高水準に達したそうです。中国による日本の中長期債の保有残高は昨年末時点で約9.4兆円と、外国勢全体の8%を占めていましたが、上記購入ペースからすると、現在の保有高はもっと多くなっているでしょう・・・

 ご存じのとおり、そして本ブログでは何度も指摘しているように、わが国は日銀の「異次元緩和」によって極端な低金利(国債高)環境になっており、よってそのままでは国債投資のリターンは雀の涙です。しかし、これをドル目線から眺めれば・・・いまの極端かつ不自然な円安ドル高が、近い将来、通常モード(市場原理が普通に働くモード)に戻れば、円は現時点の1ドル約105円から同60円台へと上昇し(?)、その結果、日本国債への投資でドルベースでは約50%(?)もの利回りが得られる可能性があるわけです。しかもこれ国債(あるいは円のキャッシュ)ですから、元本割れはありません。これほど多くのドル価値のリターンを安全確実にゲットできる資産が、日本国債以外にどこにある?といった感じかと思います。その意味で、上記の中国の、円安局面での日本国債の買い増しは、とても合理的(というより、ほぼベスト?)な投資行動といえるでしょう(?)。

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【中国、金・ビットコイン等での脱ドル達成は至難か】中国が次の覇権国になれない理由④

2020-11-15 00:31:04 | アジア
前回からの続き)

 前回、中国は、2008年のリーマン・ショック、およびその直後に開始された米FRBの量的緩和策(QE)を契機に、今後のドル価値の劣化(≒実質利回りの[マイナスゾーンへの?]低下)は避けられない、と判断し、それまでの事実上のドル米国債一辺倒だった外貨準備スタンスを転換し、ドル建て資産を減らしてドル以外の資産で実質利回りが米国債を上回ることが期待できるものを増やしていこうとしたのだろう、との推測を綴りました。

 でその、ドルに代わるべき具体的な資産こそ、ゴールド)やビットコイン・・・だろうことは、たとえば金であればこちらの記事、そしてビットコインではこちらの記事に書いたように、実際に中国がこれらをひそかに蓄えつつある様子からも窺えるところです。こうして金やビットコインの保有量が増えれば、たとえドルが暴落しても、これらのドル換算価値は逆に暴騰するために、これら資産に裏付けられるチャイナマネー「人民元」の価値は維持・上昇が見込める―――少なくともドルの伴連れで価値暴落する事態は避けられる―――との読みが中国当局にはあるものと思われます(?)。

 しかし・・・この脱ドルといえそうな目論見も、実際にはうまく機能することはないでしょう。まず金ですが・・・こちらの記事等でも書いたように中国はアメリカの金準備(8千数百トン)を上回る、たとえば1万トン前後の金を保有しているのかもしれません・・・が、たとえそうだとしても、これをベースにした通貨・金融システムすなわち「金本位制」を運営する手腕がないことは、こちらの記事に書いたことからも明確です(?)。それは1944年に決められた「金・ドル本位制」(ドルを金と並ぶ基軸通貨にするためにドルと金の交換比率を固定したもの)をアメリカでさえも支えきれなかった(1971年のニクソン・ショック[ドルの金への交換停止]で終了)ことからも容易に予想できるというものです。つまり・・・アメリカとドルがそうであったように、人民元の保有者がこれを人民銀に持ち込んで金への交換を求めることはあっても、その逆は起こらない―――市場参加者は誰一人として人民銀が人民元と金の交換率を保つことができるとは考えていない―――わけです。これでは人民元は金を市中に放出できない、つまり金融引き締めができないので、金融政策の実践は事実上、不可能に・・・

 そしてビットコイン・・・に代表される「仮想通貨」は、上記の金よりも扱いがさらに難しいと思われます。こちらの記事に書いたように、たしかにビットコインには金に近い優れた面があるのは事実であり、だからこそ(ドルが実質マイナス金利通貨に堕ちてしまった)現在、そのドル建て価格は高騰しているのでしょう。ですが、ビットコイン(等の仮想通貨全般)は、少なくとも現時点では日本、アメリカ、EU等の主要国では法定通貨ではないわけで、よってその価値には危うさがつきまといます。場合によっては、これらの国々のなかから、自国通貨の立場を脅かしかねない、として、ビットコインの商取引での使用等を法的に禁止するところが出てくるかもしれませんし・・・(?)

 というように、中国の上記の脱ドル戦略は、理屈の上では分からなくはありませんが、実際には至難の業、といった感じだと考えられます・・・

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【中国、リーマンショック&QEでドル以外の資産増強に転換か】中国が次の覇権国になれない理由③

2020-11-13 00:22:57 | アジア
前回からの続き)

 前回、中国の中央銀行である中国人民銀行のバランスシートの大半が外貨準備つまりドル米国債であり、かの国の経済は様々な面でその制約を受けてしまう、と書きました。その例として真っ先に考えられるのが対ドルレートになります。現在、同レートは1ドル6~7人民元くらいです。ということは、人民銀の資産と負債+自己資本はそれくらいでバランスするのだろうと推測されるところ、これがちょっとでも元高に振れると、人民銀は、おそらく非常に少ないであろう自己資本をたちまち食いつぶして過小資本、あるいは債務超過に陥るでしょう(?)。であれば、理論的には、人民元の対ドルでの上昇は人民銀の資産(保有ドル準備)と負債がイコールとなるレートで止まるはず。つまり、いまのままだと、人民元がドルに対して、たとえば円が1ドル360円から同80円になるみたいな、劇的な上昇を演じることはなさそうです。もっとも、ご存じのように、中国は、貿易振興を図る観点から、これまでは通貨高を望まなかったので、それはそれでよかったのかもしれません(?)・・・

 ・・・が、それはあくまでドルという人民銀の大切な資産が引き続き価値を保つ、厳密には「実質金利≧ゼロ」であれば、という前提があればこそ、でした・・・が、その前提が揺らぎ、そして・・・となってしまっているわけです。それが誰の目にも明らかになったのが2008年秋のリーマン・ショックでした。このときアメリカは、日本が資産バブルの最終清算として断行した金融システムへの巨額公的資金投入・・・を行わず、いや正確には(金額が莫大過ぎて工面できないために)「行えず」、逆に資産バブルを膨張させる方向にかじを切りました、米FRBの量的緩和策(QE)によって。で、いまも続く(というより麻薬のようにやめることができない)このQEは、本質的にはドル価値を劣化させる、すなわちドルを「実質金利<ゼロ」な通貨に貶める策になります・・・

 これに中国が恐怖するのはよく分かるというものです。上記のとおり、虎の子のドルがQE乱発によってインフレ資産に堕ちてしまったわけですから。であれば、このままだと手持ちのドル・米国債そしてこれに紐づけてきた人民元・人民元建て資産の価値は時間の経過とともに減価していくばかり・・・となって中国は、これに対処するべく、稼いだドルの多くをドル以外の「実質金利≧ゼロ」が望める資産に一刻も早く振り替えていく必要に迫られました。ということで、その転換点となったのがリーマン・ショック前後の2008年、つまり前記の英経済紙「Economist」が指摘する中国の外貨準備高がピークを打ったタイミングだったと理解しています(?)。

 それから現在に至るまでの間、中国はドルの代わりに相当な量のゴールド)、ビットコインなどの資産を、国際社会には開示しないかたちで---人民銀の簿外で---ため込んでいるものと推測されます。そしてドル暴落時には、これらを人民銀の資産に振り替えることでドル暴落に人民元が伴連れにされないようにするつもりなのでしょう(?)。たしかに、これらの資産、とくに金をしこたま持っているのなら、たとえドル価値が急減しても、金の簿価を膨らませることで、人民銀の資産スケールを維持・増大させることはできそうです。しかし・・・

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【中国がひそかに外貨準備を積み上げる理由】中国が次の覇権国になれない理由②

2020-11-11 00:11:14 | アジア
前回からの続き)

 前回、日経新聞に掲載された英経済紙「Economist」の記事内の指摘をふまえて述べたように、中国人民銀行(中国の中央銀行)が2000年初頭から驚異的なスピードで積み上げていった資産のほぼすべては外貨準備になっています。その意味するところは、その発行通貨人民元」の価値を裏付けする資産が外貨、ようするに(大半が)ドル・米国債だということです。このあたりは、米FRBなら米国債、日銀なら日本国債というように、自国債を資産にしている日米欧の中銀と決定的に異なる点です。つまり、円などと違って、人民元はアメリカというヨソの国の通貨・国債の信認に基づいた通貨―――本ブログの定義では「疑似ドル―――というわけです。

 このあたりは、こちらの記事に書いたように、改革開放後の中国が新興国として世界市場経済にエントリーしてきたことからすれば、まあ当然だったのかな、という気がします。つまり、同開放直後は、他の新興国と同様、国内に付加価値を生む産業が乏しく、資本の蓄積もなく、よって内需主導の発展が望めなかった中国としては、必然的に外需主導すなわち貿易によって外貨を稼ぎ、その価値で経済を動かし、蓄えを殖やして・・・みたいな成長スタイルしかなく、したがってその通貨の信頼は自然と貿易で得た外貨すなわちドルの価値に依存したものにならざるを得ず、その結果、人民銀の資産構成は上記のように外貨(≒ドル)オンリーになった、といった感じでしょうか・・・

 で、これがどうして前回述べた、中国が次の覇権国(≒基軸通貨国)になり得ないことの根拠になるのか、ですが・・・それは、こちらの記事に書いたとおり、いまのままだと中国の経済力は人民銀の所有するドル・米国債のスケールの制約を受ける(その額を大きく超える規模にはならない)と考えられるためです。それはそうでしょう、人民元は上記のようにその所有ドル資産に裏打ちされているわけですから。他方で、当たり前ですが、米FRBはいくらでもドルを創出することができるわけで、ドルが基軸通貨の価値を認められる限り、このままでは「疑似ドル」の中国が「本家ドル」のアメリカを上回るのは難しいでしょう・・・

 では中国が上記制約から脱するにはどうするか、ですが・・・人民銀の資産をドル以上に価値のある別の資産に転換していくことが必要になってくると思われます。実際に中国は、そうした動きに出ているのでしょう(?)。そのあたり、上記「Economist」記事は、中国の外貨準備(≒人民銀資産)が2008年をピークに減少に向かい、この5年間は安定した水準を維持していることについて、中国がその後も巨額の貿易黒字を計上して(≒ドルを大量に稼いで)いることに照らすと(不自然であることから)、じつは中国はひそかに外貨準備を積み上げているのではないかとの疑念を生んでいる、と述べています。わたしも個人的にはそのように考えています。つまり中国は、上記の狙いに基づいて、人民銀のバランスシートをドル価値を超えるものに増強するべく、人民銀の簿外で(?)、当該外貨でひそかに調達しているのではないか、たとえばゴールド)、ビットコインなどを・・・

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