世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【アメリカが平和に向かう世界で破綻を免れる手はコレしかない?】中国もロシアもアメリカ陣営だ⑨

2020-01-29 00:03:31 | 世界共通

前回からの続き)

 前回、冷戦はとっくに終わったにもかかわらず、世界の現状は平和からは程遠く、相変わらず戦争や対立そしてそれらの脅威に満ちたまま、と書きました、たしかに(とくに日本の?)メディアが伝えることに日ごろ接している限り、そのように感じられることが多いかと思います。しかし、本当はそうではありません。こちらの記事でご紹介したように、じつは戦争の犠牲者はいま、どんどん減ってきているのです・・・

 このあたり、本稿の文脈に基づくと、どの国も、もはや戦争をしたり軍隊を所有したりする国力を維持できなくなってきたことの結果の反映と考えています。日本を含めて財政運営に苦労していない主要国はないし、オイルマネーで兵器武器を買い漁ってきた産油国や「敵役」を演じる(?)反体制勢力も石油価格の低下が予測される今後はその余裕を失うでしょう。それに、かつてと違って現在の戦争は領土などの相手の財産を奪う手段にはなり得ません。であれば、合理的に考えて、利益を生まずにコストばかりかかるこれらに充てるおカネなんて出せないわけで、その結果、戦争や紛争そして戦死者が減少し、世界が平和に向かっている、ということかと思います。

 となってくると苦しいのはアメリカです。その理由は先述のとおりです。このまま世界がますます平和になって、「用心棒代」(?)としてのジャパンマネーが入ってこなくなれば、金利上昇圧力を抑えきれず、やがてアメリカは強烈な資産デフレ、あるいはQE乱発に起因するハイパーインフレといった国家存亡の危機に直面しかねません。

 けれど・・・アメリカにだってわずかながらも希望はあります(?)。平和になれば、いまの巨大過ぎる軍事費をリストラできるためです。Wikipediaに記載されたストックホルム国際平和研究所の統計によると、2018年のアメリカの軍事費は6490億ドル(GDP比3.2%、1ドル109円換算で約71兆円!)と、核大国ロシアの軍事費614億ドルの何と10倍以上!という、いまの世界の上記実態に照らせば明らかに超過剰、つまりリストラ余地も膨大なスケールになっています。これをたとえば2000億ドル(同国GDPの1%弱)にまで圧縮できれば、差し引きで年4500億ドルもの財政支出が節約でき、そのぶん日本などの外国からの借金を減らせて、アメリカは金利上昇懸念を和らげることが可能になります。

 軍事費をいまの3分の1以下に縮小・・・って、そんなに削って大丈夫?って気になりますが、そのスケールでさえ現状のロシアの3倍以上もの支出レベルを維持できるから、アメリカのロシアに対する軍事的優位は揺るぎようがありません。そもそもロシア、そしてそれ以上に中国は、上記したように、アメリカの経済そしてその通貨ドルに依存しているので、これを敵視するなんて考えられないし、むしろこうしてアメリカが強くなってくれた方が―――米財政収支が大きく好転し、ドル・米国債の信認・価値が高まる方が―――ドル資産を後生大事に抱える中ロ両国もまたハッピーでしょう(?)。

 別な言い方をすれば、これ以外に・・・軍事費の大幅カット以外に、平和に向かう世界でアメリカが破綻を免れること―――金利上昇を食い止めること―――は、まず無理だ、と考えています。

(続く)

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【日米、同盟国なのに望む世界が真逆:日本「平和」、アメリカ「戦争」】中国もロシアもアメリカ陣営だ⑧

2020-01-27 00:03:06 | 世界共通

前回からの続き)

 ここまで綴ってきたことから、(あくまでも本ブログの見方に基づけば)アメリカにとって世界一大切で、そして世界一の脅威となり得る国こそ・・・日本であることがお分かりいただけるものと思います(けっして中国でもロシアでも英国などでもありません?)。ということでわたしたちは、アメリカに常時、そうした視線で見られていることを意識しなければならないことになります。ここでいちばん厄介?なのは、以下に記すように、同盟国同士にもかかわらず日米両国の国益が以下のように両極端といってもいいくらいに相反してしまうことです・・・

 日本の国益は平和にあります。これ当たり前のことであり、かつそのメリットをあげていけばキリがないので、本稿の文脈に沿ったところだけを述べておきましょう。すなわち、世界平和が実現されれば、石油や天然ガスといったエネルギー資源の(ドル建て・円建ての双方の)価格が一気に下がり、「エネルギー」という日本の「弱み」(外国に依存しなければならない国家としての弱点)が解消に向かう、ということです。そして、先記したことから、わが国の経済力は本来の実力のとおりに評価されるようになり、その結果、そのGDPは中国ばかりかアメリカをも抜いて世界最大になるでしょう(?)。

 アメリカの国益は戦争や対立にあります。その理由は先述したとおり、それらの脅威で日本を自身に繋ぎ止めることができる―――日本に自身の債務を引き受けさせることで「金利」の上昇を食い止めることができる―――ためです(ってこれ日本にとっては経済的な国益には反しますが、安全保障コストとして受け入れざるを得ない?ことになります)。その限りにおいてアメリカは、債務をどんどん膨らませても平気で巨額の消費生活を享受することができ、その結果、そのGDPは世界最大を維持できます。そして中国をはじめとする各国はこれを相手に商売をしてハッピーなわけです。それはドル」という名の米借金の証文に日本がこうして価値を与え続けているからこそ成り立つ構図ということになります・・・

 ・・・ではいまは?って、ご存知のとおり、以前(≒冷戦時代)と変わらぬ平和からほど遠い?紛争や混乱に満ちた世界のままです(?)。つまりアメリカ(や中国などの諸国)の国益が増進され、そして日本の国益が損なわれる現状にあるということ。こう見てみると、いまのままでは、この星の平和は永遠に達成されないかのように思えてしまいます。それは、自分自身を含めた人類の精神性が未熟なせい・・・というより、繰り返しますが、金利高騰という破局を食い止めるためにこうして戦い続け・・・ているように日本に対して見せつけ続け・・・なくてはならないアメリカ(経済とドル)に(日本以外の?)世界が頼り過ぎていることのせいで、ということです・・・

(続く)

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【米、対立に満ちた世界望むも金利爆騰するからリアル戦争はNGか?】中国もロシアもアメリカ陣営だ⑦

2020-01-25 00:03:51 | 世界共通

前回からの続き)

 前回、世界平和が実現したら米経済は壊滅する、と書きました。これは、そうなれば安全保障をアメリカに依存する必要がなくなった日本が、経済合理性の無い投資すなわちドル米国債買いをしなくなり、その結果、アメリカの金利の上昇に歯止めがかからなくなるからです。本稿そして以前からたびたび指摘しているように、アメリカの国家的弱点(外国に頼らならなければならない弱み)はこの「金利」であり、これを低い水準に保てるのは日本が米債務を引き受け続けてきたから。そして日本がそんな割の合わないディールをし続けてきたのは、日本が自国の安全保障を「日米安保条約」というスキームでアメリカに依存してきたためです(?)。

 けれどその意義が大きかった時代の冷戦つまり「米 vs. 中ソ(旧ソ連)」の軍事対立の構図はとっくの昔に消滅しています。そして中ロ両国は、先述したように、いまや実質的にアメリカのドルの「力」(≒実質金利)に従属しているうえ、とくに中国などは、米中貿易戦争を見れば分かるように、自分の実体経済の大半?を対米輸出に頼っているし、アメリカだって、自前のモノ作り産業がすっかりすたれた中、メイド・イン・チャイナがなければ国民生活が成り立たなくなってしまうほど。つまり、かつては敵対し合っていた米中両国は、好き嫌いはともかくとして、もはや切っても切り離せない戦略的(?)パートナーとなっています。であれば、米中ロみんなで仲良くすればいいのに・・・

 ・・・っても、それができないのは上記のとおりです。よって、アメリカは、走り続けていないと倒れてしまう自転車のように(?)、どうしても中ロと、あるいは両者が支援しているとされる?国、たとえばイランなどと、激しく対立していかなければ―――少なくとも対立している様子を見せつけなければ―――なりません。それは、世界で自分より「」(≒実質金利)が強い唯一の国である日本を繋ぎ止めるための必死のパフォーマンスといえる面もあるわけです・・・?

 他方でアメリカには、かつてのベトナムやイラクを相手にしたような大戦争は、もうできなくなっているはずです。そのあたりの事情はこちらの記事に綴ったとおりであり、上述したことからも容易に想像ができるところ。平時のいまでさえ金利上昇の抑え込みにこうして四苦八苦しているのに、財政支出を膨張(金利を爆騰)させるスケールの戦争なんてリアルでできるわけがない、ということです。このあたりは、過激なことをしているようで、これ以上の手出しには抑制的なスタンスの?ドナルド・トランプ政権の対イラン戦略でも、けっこう意識されているものと思います。

 ということでアメリカは、国家存続に不可欠となる穏当な金利水準維持のため、必然的に?戦争や対立を望むものの、それらは自身のかかわりが小さくて済む(あるいは、誰か[って誰?]に代理でやらせれば済む)程度のものであってほしいし、核大国でもある中ロなどは本当の戦いの相手ではなくヴァーチャルな脅威であってもらいたい(?)などと願っているのだろうと推測しています。

(続く)

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【世界平和が実現すると米経済が壊滅する?理由】中国もロシアもアメリカ陣営だ⑥

2020-01-23 00:02:31 | 世界共通

前回からの続き)

 アメリカ金利を低い水準に維持するために日本にもっと米国債を買ってもらいたい、けれど、実質利回りが日本国債を下回るこれを買う理由が日本にはない、となってくれば、日本がアメリカから米国債を買い、そしてアメリカが日本にこれを買わせるには、経済合理性では説明がつかない大義名分が必要で、それが安全保障つまり「日米安保条約」ということになる、と前回綴りました。このあたりは、こちらの記事を含めて何度か書いてきたことなので詳細は省きますが、その反映(?)となる具体的な動きのひとつがこちらで指摘した「ゆうちょ銀行」の預入限度額の引き上げだと思っています。

 上記に沿って考えると、アメリカには自分の「アキレス腱」(外国・・・って、ぶっちゃけ日本?に頼らなければならない国家的弱点)である金利の上昇を抑止するには、日本に安全保障つまり世界最強の軍事力のカサを提供しなければならない、ということになります。ここに、こちらの記事で定義した、アメリカは「弱み」である「金利」を「強み」である「軍事力」で守る、という図式が浮かび上がってくるわけです。それは世界で唯一、対日本での関係において、ということでもあります・・・

 この見方をさらに進めると、アメリカにとっては、日本にマイナスの影響がある戦争や対立およびその脅威が不可欠となります。それらがこの星にある限り、自身の強みである軍事力が意味を持ち、日本がこれにすがり、よって金利上昇という破局を食い止めることができるからです。そのためには当然、「敵」が必要になるわけですが、現在、その一番手が中国、二番手がロシアといったあたりになります。上述の理由で両国とも本質的にはアメリカに「従属」する「味方」だから、喜んで(?)この敵「役」を買って出ることになります(?)。なぜなら、そうすることで日本をアメリカにイヤでも(?)「従属」させる―――経済的には合理性の無いドル・米国債買いを日本にさせる―――ことができ、それによってアメリカばかりか自分たちの利益でもあるドル・米国債の価値を保つことができるため、です・・・

 逆からすると、世界平和の実現はアメリカにとって国家存亡の危機になります。上記に照らせばいうまでもありませんが、その結果、金利が爆騰してしまうためです。つまり軍備が不要な世の中になれば、「ゆうちょ銀行」を含めた(?)日本の投資家は市場原理(円>ドル等)だけに従うようになってドル投資をしなくなる・・・ばかりか手持ちのそれらを手放すため、米国債の価格が暴落(金利が暴騰)してしまう、ということです。それは米経済の壊滅を意味するとともに、中ロ両国にとっても大ダメージとなるものです・・・

 冷戦はとっくに終わったにもかかわらず、いまだにアメリカが中国やロシアと対立し続けている(?)のは、日本に対してそう見せなければ、こうして3国共通の利益であるドル価値が失われてしまうから(?)だと考えています。

(続く)

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【中ロと違って日本にはドル・米国債買いに経済的合理性はない】中国もロシアもアメリカ陣営だ⑤

2020-01-21 00:02:11 | 世界共通

前回からの続き)

 前述のとおり、アメリカの国家戦略上の脅威とされる(?)中国ロシアの両国は、なんてことはない、そのアメリカの通貨ドル米国債が欲しくて仕方がないため、脅威どころか結果としてアメリカを支える側にいる、といえます(?)。何度も指摘しているように、アメリカの「アキレス腱」(外国に頼らなければならない国家的弱点)は「金利」ですが、上記から中ロは喜んでこの弱点を補ってくれる―――ドル・米国債を自分から率先して買い支えることで米金利の上昇を食い止めてくれる―――「味方」みたいな国ですからね・・・

 このようにアメリカは、ドルの「力」で中ロ両国を従属させ、自分を標的とするその核戦力を実質的に無力化することに成功しています(?)。冷戦の勝者はアメリカ、とはそういうことと理解しています。

 というわけでアメリカはめでたく天下無双になった・・・と思ったら、さにあらず、引き続きこの「金利」(上昇リスク)に脅かされています。たしかに中ロは上記のとおりサポートはしてくれるのですが、その程度じゃまったく効かないくらいにアメリカは借金を膨らませてしまっている、ということです。したがって、金利上昇圧力を抑え込むには、もっと多くの米国債をヨソの国に買ってもらう必要に迫られますが、これに応えられるのは・・・世界一の純資産国・日本しかありません。実際、わが国は中国と並ぶ米国債ホルダーなわけで、アメリカからすれば日本にはこれまでも、そしてこれからも期待するところ(メッチャ巨)大でしょう・・・

 ところが、日本にはドル・米国債を買うインセンティブが本来ありません。これ、わが国がアメリカに「敵」対しているから・・・ではもちろんなく、単純に、これらへの投資が割に合わない、つまり本ブログで何度も登場させている円>ドル>ユーロ>新興国通貨」(実質金利[=名目金利-予想インフレ率]が高い順)のとおり円の「力」(≒実質金利)がドルのそれを上回るため、日本の投資家にとって(短期での売買等を除けば)自分の通貨である円をドルで運用することに経済性を見出せない、ということです。そこのところが日本と、「ドル>自国通貨」となる中ロ・・・を含む(日本などごく一部を除く)大半の国々との決定的な違いです。

 となるとアメリカとしては非常に困ったことになります。自身の弱点をガードさせるべく(金利上昇圧力を抑えるべく)、対外投資のポテンシャルが世界一の日本を手なずけたいけれど、できない―――実質利回りという利益を与えられないためにジャパンマネーを米国債投資に誘導できない―――わけですから・・・って、あくまでもマーケット原理に基づく限りは・・・

 そこで出てくるロジック(?)は、当然ながら、その経済合理性では説明のつかないものになってきます。すなわち、安全保障です・・・

(続く)

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【中国、金の「売りオペ」ができず、せっかくの金は「宝の持ち腐れ」に…】中国もロシアもアメリカ陣営だ④

2020-01-19 00:01:00 | 世界共通

前回からの続き)

 先述のように中国は、自国の通貨・金融政策をアメリカから独立させるべく、中国人民銀行(人民銀:中銀)のドル米国債に替わる資産としてゴールド)を急速かつ秘密裏に(?)積み上げていると推測されます。では、中国はこうすることでアメリカ(ドル)の呪縛から脱することができるのか?・・・って、やはり難しいのではないか、と考えています。それは中国には、こうして一生懸命に蓄えた金を市中に放出することができないだろうから、です・・・

 どういうことかというと、上記の場合、人民銀は、理屈の上では、マーケットを相手に自身の資産である金を売ったり買ったりしながら通貨量や金利を調整することになりますが、実際には金の「買いオペ」(金融緩和≒インフレ惹起)はともかく「売りオペ」(金融引き締め≒インフレ抑制)のほうは、まずできない、という意味です。市場は、人民銀には金を使った通貨管理を適切に行う手腕がないことを見抜いているはず。したがって、もし人民銀が金を売り出したら、投資家は我先に人民元を差し出してこれを入手しようとするでしょう。そのときの人民元の将来価値は売りオペ時点での金の価値を必ず下回ってしまう(インフレになってしまう)ためです。

 もちろん人民銀にだって投資家のそうした胸の内、そして自身に通貨の価値を金に対して一定のレンジに誘導する能力がないことくらい分かっているでしょう。なので、売りオペで金を手放したら、同じ量の金を買い戻すのに通貨を増発するしかなくなる(インフレを制御できなくなる)から、金の売却はやめよう、という結論に至ります。かくして中国は、せっかく大量にかき集めた金を売るに売れず、文字どおり「宝の持ち腐れ」にしてしまうことになります。これを金融政策に供するべき「生きた資産」―――通貨供給量や金利の調整等のために売買するべき資産―――にすることができないのなら、いくら金をたくさん持っていようが、その価値は意味をなさない、ということです・・・

 このように金は難しい、となって中国は次に?ドル・米国債から自国の債券等に基づく通貨管理への移行を検討するかもしれません。ですが、日米などとは違って中国では債券市場が未成熟だし、国債をはじめとする債券の流動性も十分とはいえません。そうしたなかでこちらの記事等でも書いた「理財商品」ようするに債務がマトモに履行されるのか非常に疑わしい債券類が大量に出回っているわけです。こんなジャンク債に紐づけて通貨を発行したりしたら、それらのデフォルト等によって人民銀は大ダメージを食らい、過小資本あるいは債務超過墜ちを免れず、その結果、これまたインフレを防ぐことができなくなります。こうしたことから、このスキームも実現できそうにありません・・・

 こちらの記事に書いたように、通貨発行体たる中央銀行の最大の目的はインフレを起こさないこと。その意味で金に基づく通貨制度は理想的ではありますが、上記のとおり、人民銀にはこれを用いた政策運営なんてほぼ不可能、かといって自国債券の売買オペではインフレを抑制できない、などとなってくれば、中国が頼るべきは・・・くやしいけれど(?)自分たちの債券等よりは値持ちが良いドル・米国債しかなさそうです(?)。ということで人民元は、引き続きアメリカというヨソの国の通貨ドルの信認に寄生した「疑似ドル」としての地位にとどまらざるを得ないでしょう。そうであればもちろん、よほどのことでもない限りドル・米国債の売り崩しといった対米攻撃なんてできなくなります。それは自分自身を傷つける―――人民元の価値を暴落させる―――ことでもあるわけですから・・・

 ご存知のとおり、中国はモノマネ大国であるわけですが、その最たるものが、このドルに似せた人民元なのではないか、と思っています。いくら精巧に作られていても中国製の偽ブランド品が本家本物を超えられないように、この「疑似ドル」もまたドルを上回る価値を認められることはないのではないでしょうか・・・

(続く)

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【「悪役」中国が米国債売りを仕掛けるストーリー、米国民には「ホラー映画」?】中国もロシアもアメリカ陣営だ③

2020-01-17 00:03:22 | 世界共通

前回からの続き)

 前回綴ったとおり、アメリカ人は自国の弱点が「金利」であることを認識していて、これが外国によって操作されてしまうことに恐怖を感じているわけです。他方、軍事面では最大の脅威であるロシアは、じつはドル米国債が欲しくてたまらない国だから、アメリカを恐れさせること―――これらを手放してまで米金利を跳ね上げてやれ!みたいな捨て身の?攻撃を仕掛けてくること―――はできません。だからこそ先述のような、ロシアが米国債を大量売却してマーケットを大混乱させて・・・みたいなストーリーの映画が出てくるわけです。これなら、ロシアの陰謀のせいで金利が上がっちゃうかも!?と観客はハラハラドキドキしつつ、でもこれスクリーンだけの話で、実際にはあり得ないんだよね~と、どこかで安心できる、といった具合です。

 けれど、この種の映画の「悪役」が中国だったら? マジでシャレにはならないでしょう。なぜなら、ロシアを大きく上回る経済規模と保有ドル資産を誇る中国ならば、ヴァーチャル(映画)ではなくリアル(現実世界)でこうしたこと―――大量のドル・米国債売りで米金利を急騰させ、アメリカを窮地に追い込むこと―――ができてしまう・・・かもしれないからです。したがって、中国にそうさせて・・・みたいな筋立てでは、巨額ローンを背負うアメリカ人としては身につまされる思いになるため、エンタメにはなり得ない・・・って、ホラー映画としては考えられるかもね?

 さて、では中国は本当に上記のようなこと(対米戦術としてドル・米国債を売却して米金利を跳ね上げること)ができるのか?ですが・・・正直、したくてもできない、と考えています。その理由はこちらの記事等で書いたので繰り返しませんが、これに関連して、中国がひそかに進めているであろう?金準備の増強について思うことを追記しておきます。

 上記以前記事、そしてこちらの記事を含め、本ブログでは中国が中国人民銀行(中銀)の資産構成の相当部分を金塊にしようと試みていると推測するものです。それは、現状のままだと同国の通貨・金融政策はいつまでたっても独り立ちできない(アメリカのそれに振り回される)し、もっと懸念されるのは、対外債務の重みに耐えかねたアメリカがドルを暴落させることで(インフレを起こすことで)、これに裏打ちさせている人民元の価値までが伴連れになって失われかねない、などといったことが想定されるためです。これらに対処するためには、上記資産を、ドルから何か別の、通貨に価値を与えるにふさわしいものに転換しなければならず、それは中国の場合、ゴールド)以外には考えられません。

 ということで中国は近年、急速に、かつ秘密裏に(?)金の保有を増やしてきているものと想像するわけです。おそらくその量は国際社会に公表している量(1948トン:2019年第4四半期)よりずっと多く、ひょっとしたらすでにアメリカ並み(約8千トン)のスケールに達している(あるいは超えている?)のではないでしょうか。

 こうして着々と金を蓄えてきている中国ならば、ドル資産からの独立を果たせるから、アメリカの急所を突くような上記攻撃等が実際にできてしまいそう・・・に思えますが、やはり無理でしょう・・・

(続く)

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【冷戦終結:中ロがドルの軍門に降ったことを意味する】中国もロシアもアメリカ陣営だ②

2020-01-15 00:03:28 | 世界共通

前回からの続き)

 前回、中国およびロシアの「利益」とは米ドルであり、両国ともに貿易でこれを稼いで喜んでいる、といったことを書きました。となってくると両国民にとって、命の次に大切なおカネ、などというときのおカネとは、アメリカの通貨、ということになりますね・・・

 「アメリカ vs. 中ソ(旧ソ連)」という20世紀の冷戦の枠組みは、政治・外交的には、ベルリンの壁崩壊~東西ドイツ統一~ソ連解体等を経て消滅したわけですが、経済的には、中ソ両国がこうしてドルの軍門に降った―――両国民が自国の通貨よりもドルを信頼し、所有しようとした―――ことを意味していると考えています。そしてその状況は上記のようにいまも基本的には変化がありません。

 このあたりを象徴するのが、中ロの通貨管理です。つまり両国は人民元ルーブルの信認を裏打ちする資産(中央銀行の資産勘定)にドル・米国債を充てているわけです。自分たちの通貨には、こうして裏付けているドルに等しい価値がありますよ~とやっていることになります。

 どうでしょう。このように考えてみると、失礼ながら中ロ両国がいかにトホホか、ということが実感できるのではないでしょうか。両者とりわけロシアはアメリカに唯一対抗できるほどの核兵器大国であるうえ、そのアメリカを仮想敵にしているはずです。当たり前ですが、アメリカは自分たちをその核戦力の第一のターゲットにしているだろうからです。そんな憎き?敵の通貨に国民の大半はこうしてすがり、ドルを渡されれば、それこそ命以外は何でも差し出しかねない(?)わけです。何とも屈辱的でナサケナイ・・・ってよけいなお世話でしょうが・・・

 いっぽうのアメリカは、自分たちに次ぐ核兵器を持ち、かつ世界最高額の貿易黒字国である中ロを、こうしてドルでコントロールできるわけです。これ安全保障上、圧倒的なアドバンテージといえるでしょう。ドルがとにかく欲しい両者は、その発行国であるアメリカへの敵対行為を一定以上エスカレートさせることができないからです。そんな無茶をしたらアメリカから経済制裁等を食らって、ドルをゲットできなくなってしまいますからね。

 加えて、中ロが率先してドルを持つということは、それだけドルそして米国債の価値が支持される・・・から、米金利は低いレベルに保たれますこちらの記事等で指摘のとおり、アメリカの「アキレス腱」(外国に依存せざるを得ない国家的弱点)は「金利」(上昇懸念)ですが、こうして中ロがその上昇を抑えてくれるわけです、それも喜んで(?)・・・って、じゃあロシアは何であれほど対米核戦力を持っているの?って不思議な気持ちになるくらいに・・・

 何年か前、(たしかマット・デイモンが演じる)CIAエージェントがロシアの陰謀に立ち向かう、といったストーリーのアメリカ映画があったと記憶していますが、その恐るべき陰謀とは・・・とある日、ロシアが大量の米国債を売却してドル暴落と金利急騰を引き起こして・・・というものでした。もちろんこれ、ギリギリのところで阻止され、めでたしめでたし、となるわけですが、この話、次の2点で印象深く感じたものです。1つ目は、やはりアメリカ人は、エンタメ映画を見る人(つまり、普段は金融とは縁遠い一般国民)でさえ、外国人に米国債を売り浴びせられて自国の金利が跳ね上がることを超ヤバい!と認識しているんだな~ということ。そして2つ目は、この手の企ての主犯にロシアという、上述した理由から実際にはこんなことができるはずのない国にして、文字どおりこれをフィクションに仕立てていること・・・

 ・・・って、これロシアではなく、この国だったら・・・リアリティあり過ぎ?でコワくて映画にならないでしょう・・・って、それは・・・中国です・・・

(続く)

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【米イランの対立、中ロ両国はイラン寄り、というわけではない】中国もロシアもアメリカ陣営だ①

2020-01-13 14:25:45 | 世界共通

 「米 vs. 中ロ」なんて単純な図式はもはや成り立つことはないでしょう。けれどこれならあり得ますよ、「米中ロ vs. ・・・」・・・

 アメリカの一方的な核合意離脱から始まった同国とイランとの対立は、アメリカによるイラン軍ソレイマニ司令官の殺害、これへの報復とするイランによるバグダッドへのロケット弾攻撃、そしてイラン軍が同国発のウクライナ旅客機を誤って撃墜するなど、ここのところ短期間で新たな展開を見せているところです。他方、アメリカ・イランの双方に事態のこれ以上の悪化は避けようとする抑制的な姿勢も感じられ、マーケットの微妙な動きと合わせ、このあたり何ともフクザツな(?)舞台裏が垣間見える印象です。

 そうしたなか昨年末には、イラン中国及びロシアの3か国が、インド洋のオマーン湾海域(つまりペルシャ湾・ホルムズ海峡のずっと外側)で海軍の軍事演習を行いました。中国の報道官によるとこれ「3か国海軍の交流を深め、世界平和と海上安全を共同で守る」ことが目的であるとのこと。同国そしてロシアは上記の核合意尊重の観点からアメリカの対イラン制裁等には従来から反対のスタンスにあり、ゆえにこのへんをふまえてアメリカと、中ロそしてイランの両者対立の絵を描くメディアが少なくないように思えます。

 まあたしかに、20世紀の冷戦思考ではそうなるでしょう。アメリカの戦略に中国そしてロシアがネガティブな姿勢を示しているのですから。しかしいまは21世紀、そんな古いステレオタイプな(?)目で見るわけにはいきません。つまり中国ロシアも、現在はそれぞれの思惑で、はっきり言えば自国の「利益」のために動いているのであり、互いを革命の(?)同志と認識しているわけではない、ということ。今回のイランの件は、たまたまそのあたりが合致し、というより、まあこのくらいなら一緒にやってもいいか程度の意識で演習をやったものと推察されます(ってイランには、オレには中ロが付いているんだぞ、ってあたりを見せつけたい、といった、もっと切実な面もあるでしょうが・・・)。

 さて、中ロ両国の利益とは何でしょう。そのあたりは両国の貿易構造を見れば分かるというもの。まず中国ですが、「世界の工場」などと呼ばれることがあるように、いまやモノ(≒消費財)の輸出ではご存知のとおり世界一です。そしてロシアは石油天然ガスの、これまた世界トップクラスの生産・輸出大国です。その結果としての貿易黒字額、すなわち貿易による利益のランキングでは中国が世界1位、ロシアは同3位となっています(2018年)。

 では、中ロ両国の利益とは具体的には何か、ですが、それは・・・「ドル」というアメリカの通貨になります。両国は(自国民の生活レベル向上はさておき、まずは)モノや石油を外国に売って、対価としてドルを大量にもらって喜んでいる、ということです・・・

(続く)

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【IMFに「相続増税」「円安誘導転換」を提言させたいが…】政治家(国民)の上位に君臨する財務官僚⑤

2020-01-11 00:03:19 | 日本

前回からの続き)

 というわけで、財務省の実質的な権力基盤は揺るぎようがない、ということになります。だからこそ本稿冒頭で、財務官僚になりたかった、との個人的な思いを吐露したわけですが、それはIMF(国際通貨基金)を使って次のような提言をしたいためです・・・

 ・・・IMFは今般、日本に対して以下2点の政策の実行を勧告する:

 一点目は、増大する社会保障費を賄うため、相続増税を進めるべきということ。その理由として、相続税の課税対象は、故人が自分の老後資金として蓄えた財産の遺りであるため、その性質上、年金原資等に充てるものとしてふさわしいこと、そして日本においては相続税の増税裕度が大きいことが指摘できる。これに対して消費税は、消費活動の主役である現役層、とりわけ所得・貯蓄の水準が相対的に低い子育て世代に過大な負担を強いてその意欲を減退させるうえ、税率引き上げがもたらす物価上昇へのおそれを喚起し、同世代にさらなる出産・育児を断念させることで、結果として少子高齢化を促進するなど、日本の国力を削ぐ弊害のひとつとなっている。税負担の世代間・階層間の均平化、直間比率のリバランスを進める観点などからも、消費税の負担軽減策および相続税の課税強化を早急に求めたい。

 二点目は、現行の恣意的な通貨安政策を転換し、為替レートを円高方向に是正して原材料・エネルギー等のコスト低下を促し、これで活性化される個人消費を主体とする内需主導型の経済成長をめざすべきということ。日本は現在、日銀の超緩和的な金融政策によって事実上の円安誘導を行っているが、それが当初から破綻していることは、同開始の前後でGDPが1兆数千億ドル(史上最悪規模)も失われたことからも議論の余地はない。この記録的な超マイナス成長、加えてその間の消費増税により、日本は7年の長きにわたって本来の経済ポテンシャルをまったく発揮できていない。この窮状から脱するためにすべきことは、上記数字が雄弁に物語るように、自明である。まずは、経済規模を極端なマイナスにある現地点(GDP約4.97兆ドル、2018年)からゼロベースである上記政策の開始直前年(2012年・・・って8年も前!)のレベル(同約6.2兆ドル)に回復させることを意識するべきである。

 ・・・みたいなことを国際機関の権威を借りて勧告すれば、わが国は、いとも簡単にこれに従って・・・って楽観していたら、「これIMFの内政干渉だろ!誰だ、この提言書いたのは?」って異例の?「犯人探し」が始まるでしょうね、いまは「日本」ではなく「アベノミクス日本」ですから・・・

(「政治家(国民)の上位に君臨する財務官僚」おわり)

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