退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

「豊かな老い」について

2015-01-24 02:59:52 | Weblog
晴れ。風が強い。

藤川桂介「時代が見えるプロファイル脚本術」を読む。

「宇宙戦艦ヤマト」「宇宙皇子」などで知られる
今年81歳の脚本家・小説家が若者向けに書いた本。

ある程度の「レベル」を知る者にとっての「当然」を
敢えて「解説」するに至ったのはやはり「コワイもの知らずの若者たち」のせいか。

この「懇切丁寧さ」にはただただ頭が下がるのみ。
著者の身近にはそれだけ「危機感」があったということなのだろう。

もっとも「いいもの」に触れてそれを感受できる力がありさえすれば
自分が「作品」を生み出す側に回った時に「プレッシャー」を感じないのはむしろ「異常」。

とはいえ「自分を基準としたもの」からしか情報を得ないと
そうしたことになる「当然」もある。

おそらく基本は「世界の複雑さ」に対する「われわれの無力」であるはず。
ジャンルを問わず真摯に「世界」に向き合いさえすれば。

自分の「限界」を知ればこそ
そこから飛び出してみたくなるというのが「本筋」。

そこに「自分」しかなければ自動的に「貧しさ」に甘んじるよりなく
その「貧しさ」にさえ気付きもしない結果に。

やたらに「神」などと言いたがる手合いはロクでもないだけ。
自分にできないことなど数えればキリがなく。

久方ぶりに中田英寿をTVで観る。

彼のほぼ意味不明な「ポジション」について金井美恵子がある時期盛んに言っていたけれど
90歳の染織家志村ふくみを紹介していたのはいいこと。

圧倒的な美しさをもつ糸が織りなす着物の素晴らしさは
国籍がどこであろうと誰にでもわかるし知っておくべき。

とりわけ色彩感覚に乏しいと思われる人々には是非。
いたずらに「刺激」だけを求めるのはひたすら「貨幣量」を競うのと同じ。

ため息をつくしかない「存在」があることを知ろう。
そしてそれを受け継ぐことが可能であるという「幸せ」についても。
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