退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

帳尻が合うということ

2007-11-29 23:34:12 | Weblog
くもり。今日も寒さなし。

小林信彦「セプテンバー・ソングのように 1946-1989」を読み直す。

著者はⅡの<1946年夏休み日記>を活字にすることで、敗戦直後の
<闇市、浮浪者、リンゴの唄>というイメージを崩したかったとのこと。

ⅠとⅤが最近(89年当時)の文章でⅣは75年から87年にかけて書いた文庫解説。
Ⅲの「自己流に生きて」という文章にとりわけ共感する(執筆73年)。

弓立社から89年に出た本作は文庫になった記憶がないが
「時代観察者の冒険」とともに著者の一貫した視点が感じられてグッド。

壊れたままのDVDプレイヤーがなんとかならないものかと
クリーナーを買ってきた(無意味なのだが)。

画面が二つに割れた状態に変化があるはずもなかったものの
なぜかパソコンのDVDドライブが直っていたのが不思議。

というわけでドン・シーゲル「刑事マディガン」を観る。

マディガン(リチャード・ウィドマーク)は優秀だが規則違反が多い。
相棒のボナーロ(ハリー・ガーディーノ)はよき家庭人で無茶はしない。

マディガンの妻ジュリアは夫の帰りを待つだけの生活にうんざり。
警察のパーティーで不倫しようとするが夫を愛している彼女には出来ない。

一方マディガンにはクラブ歌手ジョーンジーがいる。
彼女は彼を愛しているが彼は彼女の部屋でただ疲れて眠るだけ。

本部長のラッセル(ヘンリー・フォンダ)は自他ともに厳しい人間。
親友で主任警視のケイン(ジェイムズ・ウィットモア)の罪を知って悩む。

息子の借金をかばうために風俗業者と裏取り引きしたケイン。
束の間不倫した人妻から友人を大切にするように言われるラッセル。

基本はマディガンとボナーロが自分たちの銃を奪った犯人を捕まえる話。
ただし「NYの下町の人情話」的部分に重きを置いている。

たとえば年老いたアル中の情報屋が犯人を見たというのだが人違いに終わる。
そんな情報屋にマディガンは優しく、「彼は寂しかったのさ」と言うあたり。

それぞれがそれぞれの事情を抱えて生きている描写がなかなか。
とはいえ、結末はそんなに甘くないけれど。
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故障と不運

2007-11-29 01:03:59 | Weblog
くもり。寒くなし。

先回「システムの復元」で直ったDVDドライバが
イジェクトボタンを押しても開かなくなった。

かれこれ6時間くらいあれこれ試したのだが
結局修復せず。

今日からせっかくの連休だというのに。

図書館も来月の5日までやってないし
踏んだり蹴ったりでうんざり。

こういう時は何をすべきか。
笑うしかない。
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ちあきなおみな夜に溺れ

2007-11-28 04:11:44 | Weblog
深夜、youtubeでちあきなおみを聴く。

かすれた声も透明な声も自由自在な彼女は
美空ひばりと似ている。

圧倒的な歌唱力と、時代とジャンルを超えた幅の広さよ。

おそらく「本物」というものはすべてこういうものなのだ。
「まがいもの」ばかりの現代しか知らない貧しさよ。

知っているか知らないか
こういう「情報格差」には敏感でありたい。

個人的にはアニマルズの「朝日の当たる家」のカバーと
「かわいい女」を演じ切った「ねぇ、あんた」を勧めたい。

人がそれだけで明日をまた生きられるもの。
「芸能」の力とはそういうものだ。
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常に生き難い場所

2007-11-28 02:14:24 | Weblog
くもり。寒さはなし。

小林信彦「パパは神様じゃない」を読み直す。

次女の誕生から18ヶ月をスケッチ風に描いた作品。

角川文庫の裏表紙に「昭和五十年 五月三十日 初版発行」
「昭和五十七年 九月三十日 七版発行」とある。

赤ん坊が成長していく微笑ましさと同時に
「戦後30年」の生き難さもたっぷり。

現代はさらに生き難くなっているような気がするのだが
年を取ったせいばかりとは思えないのが怖ろしい。
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女と愛と性と

2007-11-25 23:29:14 | Weblog
晴れ。おだやか。

増村保造「刺青」を観る。

手代に駆け落ちを唆した強気な質屋の娘が芸者屋に売られ
背中に女郎蜘蛛の刺青を背負って「女」を武器に男たちに復讐する話。

自分を売った男に女房を殺させた挙句当人も手代に殺させ
自分を買った男をまた手代に殺させる凄さ。

自分を「女」にしてくれたという理由で愛した手代だったが
くよくよする彼に嫌気がさすと男らしい旗本に惚れる。

ただし最後に天罰が下るのは面白くない。
女は常にたくましく生きるのだ。

引き続き増村保造「赤い天使」を観る。

従軍看護婦になった主人公は赴任早々レイプされてしまう。
「あなたで3人目よ」と何気なく言う婦長。

彼女をレイプした一等兵は前線へ送られ
ちょうど前線へ来ていた彼女の目の前で死ぬ。

前線の病院に運び込まれる患者たちは「モノ」。
薬が不十分なために治療としては手足を切り落とすしかない。

軍医に両手を切り落とされた一等兵は
戦争の悲惨さを国民の目から隠すために帰国を許されない。

彼のために自慰まで手伝った彼女だったが
彼は感謝の手紙を残して自殺する。

そんな兵隊を次々に作り出していることを知る軍医は
モルヒネですべてを忘れるしかない。

まだ見ぬ赤ん坊を一目見たいと
わざと傷口にウジを湧かせる兵隊もいる。

モルヒネと激務のせいで不能になった軍医を
彼女は愛の力で回復させるのだが。

ふたりが互いの身体にキスマークをつけた後、
激しい戦闘が始まる。

日本兵の死体は身ぐるみ剥がされ
彼女は折れた日本刀を持って死んでいる軍医のキスマークにキスする。

戦争と愛(性)の対立を見事に描いた傑作。
迫撃砲のリアルさも迫力あり。
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正体見たり

2007-11-24 23:22:44 | Weblog
晴れ。暖かい日。

春日武彦「ロマンティックな狂気は存在するか」を読む。

精神科医の目からすると「狂気」は類型化できるほど単純であり
狂者の妄想は「あまりにたやすく発見し断定する」結果生まれるらしい。

要は「イメージとしての狂気」は
実際のものとは全く違っているということだ。

それは「精神病院」に関するイメージについても同様であり
狂気と犯罪の関係についても同じである。

「ロマンティック」というのは
「あまりにたやすく発見し断定する」という意味で一種の「狂気」なのだろう。
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誠実な腑分け

2007-11-23 23:07:49 | Weblog
晴れ。寒さが緩む。

北田暁大「責任と正義 リベラリズムの居場所」読了。

「まともであるための理論的背景」とは
こういうものだったのかということがよくわかった。

「理論のもつ暴力」に繊細であること。
それらをきちんと認識することこそが「誠実」であること。

「特効薬」を求める向きは
「結論のなさ」に失望するかもしれない。

しかし大切なのはこの「手つき」なのだ。
そういう意味で支持できる作品である。
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鍋もの

2007-11-22 23:13:01 | Weblog
晴れ。今日も冷える。

今年初めてみかんを食べる。
子どもの頃は手が黄色くなるまで食べていたものだけれど。

夕食は白菜・葱・鶏肉・豆腐・糸コンニャク・えのきで鍋。
ダシはスーパーで売っていたものを使用。

簡単でおいしく身体が暖まる。
一回では食べきれないので明日も鍋。

食べ物に興味がない身としては
簡単なのが一番ありがたい。
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論理的であるということ

2007-11-21 23:39:35 | Weblog
晴れ。夜風冷たし。

北田暁大「責任と正義 リベラリズムの居場所」を読み始める。

まだ第一部を読み終えただけだが
理論の限界と効用を冷静かつ慎重に吟味する姿勢が好ましい。

「精確なコミュニケーションの図式は、実に奇妙ではあるが、
意図の所有者としての『送り手』を図式から削除し、

世界の観察者としての受け手/聞き手のみが『意図的行為』の
『理解』をしあう《理解→理解》図式とでも呼ぶべきものである。」

「煎じ詰めて言えば、コミュニケーションとは『意図的行為』を
観察(記述)する過程」そのもののことだといえる。」

何故そうなるのかは本書にゆずるし、内容はまだ盛りだくさんで
明日が楽しみに思える一冊。
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少女の意志の強さ

2007-11-20 23:09:37 | Weblog
曇り空と晴れた空が同居する日。

増村保造「遊び」をGyaoで観る。

飲んだくれの父親が死に、脊椎カリエスの姉を抱え、
借金のために内職するしかない母。

中学を出て部品工場に勤めた16歳の少女は
少ない給料から家へ仕送りを続けている。

さらに金をせびりに来た母を追い返すものの
ホステスになるつもりで友人の電話番号を探していた彼女。

そこへヤクザの手下になっている少年が近づき
ふたりは仲良くなる。

屋台のおでん屋をやっていた少年の母は酒に溺れ
次々と家に男を引っ張り込む生活をしていた。

兄貴の手前スケコマシに成功したのだと威張って見せる少年は
彼女を連れ込み旅館に連れてくるように言われる。

約束の時間まで、ふたりは映画を観てディスコで踊る。
本気で彼女を好きになった彼は結局兄貴の言いつけを破る。

行き場のない少年と少女は互いに愛を確かめ合うのだが。

少女・関根恵子、少年・大門正明、少女の父・内田朝雄
少女の母・杉山とく子、少年の母・根岸明美、
兄貴・蟹江敬三、子分・平泉征、フーテン娘・松坂慶子ら。

1971年に描かれた少年と少女の姿はあまりにナイーブなのだが
ラストの道行がなぜか清々しい作品。
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