退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

じんわりと対象に迫るカメラと鏡

2007-10-31 01:00:11 | Weblog
晴れ。夜になって雨少々。

Gyaoで久方ぶりに
ブライアン・デ・パルマ「殺しのドレス」を観る。

冒頭の淫乱症、アンジー・ディキンソンの行動が面白い。
右手(正しい手)でなく左手の手袋を落とすのがポイント。

美術館を迷路のように歩き回って男を捜すのだが
結局男が性病にかかっていて笑わせる「呼吸」がうまい。

彼女を殺した犯人はすぐにわかる仕組みになっている。
デ・パルマ印の「スプリット・スクリーン(2つに分かれた映像)」はたっぷり。

結局殺された彼女と同じような行動をすることになるナンシー・アレン。
彼女はコールガールで、偶然犯罪の現場を目撃してしまうのがミソ。

精神科医マイケル・ケインの患者だった母を殺された息子は義父が嫌いで
患者を探るために自転車にカメラを仕掛ける。

事件が解決してコールガールと息子が
ふたりに不似合いのレストランでする会話に眉をひそめる夫人に注目しよう。

この呼吸と精神病院での不気味なシーンの対照がいい。
ホラーには「息抜きとしての笑い」が重要だったりする。
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ヒーローのいない時代にヒーローを演じること

2007-10-30 01:02:22 | Weblog
晴れ。夜になって風が出る。

宮台真司「制服少女たちの選択 after 10 years」を読む。

10年前に読んだときは著者が援助交際をする少女たちに
やや自分を重ねすぎではないかと思われた。

とはいえ「社会学」というものに
あらためて目を開かれたのは何より著者のおかげだ。

東浩紀「波状言論S改」での東浩紀と鈴木謙介との鼎談を
読み直していたこともあって余計に中森明夫の解説が泣かせる。

当時誰よりも現実に向き合っていた学者が
明快な論理の裏側で苦しんでいたことがよくわかる。

実際に調べたことを理論的に抽象しなければ意味がないことの
重要性だけはわかっておきたい。

あとはそれを受け継ぐ者たちが「まともに」やることだ。
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当たりとはずれ

2007-10-29 00:48:04 | Weblog
晴れ。のんびり。

仲正昌樹「お金に『正しさ』はあるのか」を読む。

価値を計ろうとしても計りきれないものがある。
たとえば人の命とか正義とか。

そういうものを計るのに便利なのが「貨幣」。
それによって例えば「報復合戦」に終止符を打つことができたりする。

あるいは「貨幣」と不可分な学問の自由というところや
「芸術が欲望を喚起し、貨幣がそれを利用する」というのも面白い。

「ヴェニスの商人」「神曲」「ドラキュラ」「海辺のカフカ」などを
「貨幣」をキーワードに読み取っていく手際は鮮やか。

誰もがそれに関わらざるを得ない「貨幣」をいたずらに嫌わず
その役割や意味や効用をきちんと考えようというのは実に「まとも」。

川島雄三「しとやかな獣」を観る。

芸能プロダクションに勤める息子に使い込みをやらせたり
作家の二号になった娘に借金させた金で豊かに暮らす家族の話。

その息子やプロダクションの社長、税務署職員から巻き上げた金で
都心に立派な旅館を建てた若尾文子はさらに上手。

元海軍中佐の父に伊藤雄之助、言葉遣いは丁寧な母に山岡久乃、
社長が高松英郎で税務署職員が船越英二。

小沢昭一は「ピノサク」という芸名の歌手で珍妙な日本語を話す。
家族をネタに書く作家に山茶花究。

ミヤコ蝶々はバーのマダムでツケを取り立てに来るがあっさり帰される。
露悪趣味がやや勝ちすぎた感じで物語りも平坦なのが残念。
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悪女あるいは天女

2007-10-28 00:59:17 | Weblog
雨のちくもり。風強し。

増村保造「妻は告白する」を観る。

戦災孤児で生活苦から仕方なく年の離れた薬学部教授と結婚した女には
夫のひどい仕打ちを見て彼女に同情を寄せる製薬会社の愛人がいる。

3人で登山の最中、夫が足を滑らせる。
彼女は夫のぶら下がったザイルを切って殺人罪に問われる。

「妻として夫とともに死ぬべきだった」と責める検察官。
「緊急避難として仕方ないことだった」と守る弁護士。

ただし夫には500万の保険がかけられていて若い愛人もいた。
判決前には裁判中にもかかわらず愛人とデートをしたりもする。

夫の友人も家政婦も彼女の「殺意」の確かさを証言する。
そう言えばいいんでしょうと彼女は「私は夫を殺しました」と三度繰り返す。

結局無罪を勝ち取った彼女は保険金で新しいマンションに引っ越す。
結婚もしていないのに「旦那様」と愛人を部屋に迎え入れる彼女。

「本当に殺したんじゃないんですね」と念を押す愛人に
タイトル通り「妻は告白する」。

この展開はいかにも「悪女の物語」なのだが。

愛人には婚約者がいて
彼女がすべてを明らかにする傑作。

「幽霊の美しさ」を見せる若尾文子の代表作をお試しあれ。
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割合の名前

2007-10-27 01:05:15 | Weblog
くもりのち雨。淡々と過ごす。

歩合は10割を1として考え、さらに1分、1厘、1毛と位が下がっていく。
割・分・厘・毛と名前が変わっていくのがやや煩雑と言えば煩雑。

パーセントは「per(~につき)」と「cent(100)」がくっついたもの。
100%を1と考える「百分率」はすべてのものを「100で割った割合」で示す。

どちらが合理的かといえば位ごとに名前が違わない後者だろう。
元号と西暦の違いに似ているけれど。

両者を知るわれわれは
これら二つを気分や感覚次第で使い分けている。

現在は2007年で、平成19年。

なぜ西暦を先に書くのかというと
たぶん元号は昭和で終わっているからだ、と思う。
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本の中の歌

2007-10-26 01:51:57 | Weblog
晴れ。おだやかな秋の日。

橋本治「ひろい世界のかたすみで」には
各章に曲のタイトルがついているのでそれについて。

「I kiss your hand, madam」

ビリー・ワイルダー監督「皇帝円舞曲」の中で使われていて
ヴィクター・ヤング作曲、歌うはビング・クロスビー。

「gone the rainbow」

1963年PPMが歌って大ヒットした曲でアイルランドの曲がオリジナル。
歌詞の内容は「ジョニーは戦場に行った」とも関係あり。

「man and woman」

1965年の映画「男と女」の主題歌で作曲はフランシス・レイ。

「try to remember」

ミュージカル「ファンタスティクス」の中の一曲で歌はハリー・ベラフォンテ。

「windmills of your mind」

1968年映画「華麗なる賭け」の主題曲。スティーヴ・マックィーン&フェイ・ダナウェイが出ていて「トーマス・クラウン・アフェア」がリメイク。

「stranger in paradise」

1953年ミュージカル「kismet」のナンバーで邦題「韃靼人の踊り」。
元々はロシアの作曲家ボロディンの歌劇「イーゴリ公」劇中歌。

「you'd be so nice to come home to」

1943年映画「something to shout about」の主題歌で
作詞作曲はコール・ポーター。ヘレン・メリルの歌が有名。

「my favorite things」

1965年映画「サウンド・オブ・ミュージック」の中のナンバー。
ロジャース&ハマースタインの作品。

「someone to watch over me」

昭和初期ぐらいからのジャズ・スタンダードナンバー。
誤訳だが「誰かに見られてる」という小説と映画もある。

以上、お粗末。
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ふたつの異なる「予定調和」

2007-10-25 01:18:50 | Weblog
晴れ。気分はよくも悪くもなく。

ジョゼフ・L・マンキウィッツ「復讐鬼」を観る。

強盗して警官に足を撃たれた兄が黒人の新米医師に
弟を殺されたと逆恨みして復讐しようとする話。

白人スラムの「主」と呼ばれて黒人を憎む兄リチャード・ウィドマーク。
苦学してようやく医者になったシドニー・ポワチエ。
弟の元妻で白人スラムから「5ブロック」だけ抜け出したリンダ・ダーネル。

弟が殺された話を元妻がスラムの仲間に伝えたせいで「黒白抗争」が起きる。
負傷した白人を治療しようとしたポワチエに侮蔑と唾を吐きかける母がいる。

上の階級にあこがれながら兄の話に騙される元妻の「哀しさ」に注目。
「愛してくれ」と叫ぶ兄が最後に泣くのはやや甘い結末か。

ジョージ・キューカー「アダム氏とマダム」を観る。

不倫した夫を尾行して銃で撃った妻の事件を担当する夫アダムだったが
妻が男女同権をかかげて弁護に回ったことから事態は複雑にという話。

スペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘップバーン。
実生活でもカップルだったふたりの「夫婦ぶり」が楽しい。

「人を銃で撃ったら罰せられるべきだ」という男と
「不倫した夫は責められずに妻だけが責められるのはおかしい」という女。

男女同権のための証人は3人で
やたら学位を持つ博士、男の部下を大勢もつ職工長、そして怪力自慢の芸人。

あれこれありながらも結局元のサヤにおさまるのだが
夫が妻にしてみせるふたつの「芝居」がなかなか。
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微生物

2007-10-24 01:11:09 | Weblog
晴れ。日が暮れるのが早い。

昼間教育テレビの「10minutes box」を観る。

ツボワムシは単為生殖でメスしか生まないのだが
環境条件が悪化するとオスを産む。

受精した卵は休眠卵となって環境条件がよくなると孵化する。
透明でエサを食べると緑色になって糞も緑なのがキュート。

ミカヅキモは核が身体の中心にあり
普段はそこから分裂して増殖する。

ところが環境条件が悪化するとふたつのミカヅキモが
ヒトデのように核のところで接合して丸く固い殻の中に閉じこもる。

そして環境条件がよくなると殻が破れ
ふたつがひとつに合体して動き出す。

見た目が美しくて環境に役立つ水中動物と単細胞。
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ひよっ子

2007-10-23 04:20:48 | Weblog
晴れ。洗濯物がよく乾く。

橋本治「ひろい世界のかたすみで」を再読中。

圧倒的な「知性」を感じるのは毎回のことだが
ときどきその濃密さに参る。

「権力の日本人 双調平家物語ノートⅠ」の凄さは只事ではない。

以前ちょいと読んであまりのことに投げ出した。
凝縮の度合が異常なのだ。

今度また再チャレンジすることを誓うが
「死屍累々」になること間違いなし。

この徹底ぶりは職人で
今の時代に「プロ」ということを伝えていることだけはわかる。

何とか歯を立てなければ。
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メディアを変えて

2007-10-22 00:16:30 | Weblog
晴れ。また墓へ行く。

アーノルド・ファンク「新しき土」を観る。

ドイツ留学から「自由」を学んで恋人を連れ帰った男が
結局は許婚のもとへ戻り満州で新生活を始める話。

ただし物語はほとんど破綻していて
17歳の原節子と日本の昔の風景が見どころ。

早川雪州の父親は現代の日本人が見ても神秘的。
火山が「ドイツ表現派」っぽく描かれるのがポイント。

山下耕作「緋牡丹博徒 鉄火場列伝」をGyaoで観る。

久方ぶりに藤純子(現・冨士純子)の緋牡丹お竜。

天津敏の悪役ぶりが懐かしく、鶴田浩二・若山富三郎・待田京介
丹波哲郎・里見浩太郎・河津清三郎・名和宏ら豪華なキャスト。

時代は明治半ばという設定の中
ひとり白いスーツ姿の丹波哲郎がカッコイイ。

TVでマイケル・マン「コラテラル」を観る。

トム・クルーズは「レオン」のジャン・レノに「知性」を加えたよう。
ジェイミー・フォックスは結局トム・クルーズを超える。

殺し屋の出す難題に答えながら
彼女まで手に入れるタクシー運転手の「成長物語」といったところ。
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