退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

「微妙な映画ふたつと長生きしてしまった『微妙な政治家』」について

2019-11-30 02:39:38 | Weblog
昨日の続きを。

ポール・グリーングラス「ジェイソン・ボーン」(’16)を観る。

このシリーズを観ていないせいなのかどうか。
とりわけ前半が面白くない。

自分の過去が本当はどうだったのか。
「迷える子羊の物語」だと思ってよさそう。

そこに「権力闘争=世代間闘争」が絡んで。
所詮ある種の能力を「利用」されるだけという事実が残り。

ヴァンサン・カッセルの「作戦員」がいかにも虚しい存在。
「権力の在り処」を見ずにただ「復讐」に生きる姿よ。

「正義」を気取る者たちがたいていは「悪魔」だという描写。
そもそも「正義」に惹かれる感覚がよくわからないのだけれど。

「自分の思い通り」にそこまでこだわるのはなぜなのだろう。
見渡せば「思い通りにならないことばかり」じゃないか。

ならばその「事実」を認めるしかないというのに。
あらためて「認知的不協和」がもたらすものの大きさを思うことしきり。

ダニエル・アルフレッドソン「デーモン」(’15)を観る。

プロデューサーに主演のアンソニー・ホプキンスの名前があり。
レイ・リオッタが「悪魔」じゃいささか面白味に欠けるような。

「本当の悪」にきちんと立ち向かえというということなのかどうか。
「若い娘」がジュリア・スタイルズって(実年齢34歳)。

ハル・ホルブルックはまるで「おばあちゃん」のようになっていて。
「ジジイの諦念」を壊すことが重要だと理解しておこう。

少なくとも「オヤジの現実認識」を「正当」とするのには問題がありそう。
若者には常に「未来」があることだし。

少なくとも「既得権益」のみを優先すれば「未来は暗い」。
その程度の「常識」がわからなければどうしようもないだけ。

それとは別に。

中曾根康弘が死んだ。
NHKは彼の「功績」を称えすぎのような。

もちろん現在の政治家と比べればそういう評価もなくはない。
客観的な評価としては「目立ちたがり」ぐらいでよさそう。

「現在の貧困」を元に過去を「過大評価」することなかれ。
たまたま「しあわせな時代」に首相だっただけと思うくらいがいいはず。
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「久方ぶりの3連休初日」について

2019-11-29 23:23:59 | Weblog
快晴。冷える。

昨晩は映画を観ているうちに爆睡。

フランシス・ローレンス「ハンガー・ゲーム FINAL レジスタンス」(’14)を観て
引き続き「ハンガー・ゲーム FINAL レボリューション」(’15)の途中で。

前者の原題は「the hunger games mockingjay Part 1」で後者は「Part 2」。

「mockingjay」とは「マネシカケス」という架空の鳥の名前。
「mockingbird(マネシツグミ)+jay(カケス)」で「ゴジラ」の由来に似て。

救出されたカットニスは反乱軍の象徴になるよう求められるものの
捕まって痛めつけられたピータの姿に悩むのが前者。

ピータの救出には成功するものの彼は洗脳されていてカットニスを襲う。
徐々に戦況が有利になる中キャピトルに向かう間に仲間が死んでいくのが後者。

いずれも「プロポ=プロパガンダ」のための撮影があるのがポイント。
ジュリアン・ムーアやマハーシャラ・アリも加わって。

ゲームメーカーのフィリップ・シーモア・ホフマンは本作撮影中に死去。
やはり何とももったいないと思うことしきり。

このシリーズはなかなか面白い。
続編になっても質が落ちないのと物語のつなぎ方がいいのかも。

戦闘シーンのリアルさにもふむふむ。
第12区の惨状も同じく。

ただし何と言ってもジェニファー・ローレンスが素敵。
清原果耶の魅力のあり方と比べたくなる感じ。

さて。

3連休の初日は換気扇の掃除など。
田中春泥「心に響く漢詩名句辞典」を読み進める。

一部だけ切り取って読むのはちょいとペースが狂う趣き。
とりあえず読了を目指すのみ。

古本屋で買った本川達雄「ゾウの時間 ネズミの時間」は明日再読予定。
もうちょいとじっくりお付き合いしないとと思った次第。
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「テクノロジーが開く『世界』と『革命』を促す映画」について

2019-11-28 03:02:52 | Weblog
くもり。晴れたりパラついたり。

長谷部光泰「進化の謎をゲノムが解く」を読む。

「細胞工学」というものに初めて触れる。
「進化の在り様」を「空間座標」で表すのね。

さまざまなことが明らかになっている模様。
敢えてその詳細については述べず。

テクノロジーが開いた「世界」であることは確か。
ゲノムを解読するシーケンサーの使い方もあれこれと。

明らかになればなるほど「わからない部分」に目が行くようになり。
さらなるテクノロジーも生まれようというもの。

われわれは相当に愚かだがその行く末をAIに任せるのかどうか。
「水は常に下方に流れる」ことを思えばその答えは明白。

「水=容易さ」だと思えばいいだろう。
ただひたすら「謎」に迫る科学者たちは「しあわせ」である一方。

われわれには不明な理由によってAIは「答え」を出す。
「容易さ」という「麻薬」に溺れる「ジャンキー」がわれわれであり。

フランシス・ローレンス「ハンガー・ゲーム2」(’13)を観る。

大統領スノーは主人公カットニスの影響力を怖れ彼女を亡き者にしようとする。
新たなゲームメイカー、フィリップ・シーモア・ホフマンのプランに従って。

彼女に「希望」を見出した人々は各地で反乱を起こし。
政府による弾圧をものともせず。

強引に第75回の記念大会に出場させられることになったかつての優勝者たちも。
「革命」を促す内容は現在の香港を描いているような趣き。

主人公の妹プリムが確実に「成長」している描写にふむふむ。
「チーム」のために自ら命を落とす老婆マグスはどこか「楢山節考」を思わせ。

「空」だったはずのものが「崩壊」し「落下」するシーンの意味を忘れずに。
それはわれわれの「視野狭窄」を象徴しているはず。

さて。

いよいよ結末がどうなるかが楽しみなシリーズ。
明日確実に「3」を観ることになりそう。
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「かつて獲ったザリガニのあれこれとジェニファー・ローレンスに酔うこと」について

2019-11-27 02:49:58 | Weblog
くもり。夜になって小雨が降る。

山口恒夫「ザリガニはなぜハサミをふるうのか」を読む。

19年前の作品でなおかつ著者は昭和六年(1931)生まれ。
「満州事変の年生まれ」も手伝ってか「研究の歴史」がむしろ濃厚。

その後の分子生物学の発展を思えばこの内容は現在ではどうなのか。
著者はどうやら「ニューロン好き」のような。

もっともあれこれ「サービス」はあり。
そのあたりは重々承知の上で。

正直素人には相当に厳しいかも。
残念ながらここでも「センス・オブ・ワンダー」の味わいは微妙。

何度でも繰り返すが専門分野で素晴らしい業績を上げることと
その素晴らしさを伝えることは「別物」。

ゲイリー・ロス「ハンガー・ゲーム」(’12)を今頃観る。

わが国のドラマと似たようなものだろうと思っていたのだがあにはからんや。
ジェニファー・ローレンスの「説得力」にやられる。

ルーのアマンドラ・ステンバーグのキュートなこと。
ふたりの交歓シーンはその幸福さが素敵。

レニー・クラヴィッツのシナの優しさよ。
「放置プレイ」に見せかけるウディ・ハレルソンも。

スタンリー・トゥッチのいかにもな「司会ぶり」はさすが。
主人公の「ライバル」に案外魅力がないのが残念。

ドナルド・サザーランドが見事に「続編」を告げる。
このシリーズは全部観ることにしよう。

ちなみにamazon primeの「30日間無料」で最初に観た作品。
どうもgyaoだけではツラくなってきたので。

徹底的に利用してその後どうするか決めるつもり。
いずれ「500円」なので大したことはないのだが。

どんな作品があるのか詳細は確かめていないので不明。
今のところ案外gyaoと重なる作品が多いという印象。

邦画がどうなのかは気になるところ。
ちょいと探ってみるつもり。
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「健全なジャーナリズムが存在するための条件あるいは『アンティーク』は『時間の推移=物語』を読むものであること」について

2019-11-26 02:10:23 | Weblog
晴れ。昼以降は。

池上彰「聞かないマスコミ 答えない政治家」を読む。

「馴れ合いの質問」どころか質問内容を事前に教えている現状よ。
「厳しい質問」が出来るはずのメンバーを排除もしていて。

6年前の本作の指摘は全く正しく。
選挙特番での「池上無双」が初めてTVに現れた頃のお話。

「インタビューの心得」も説かれていて。
心あるジャーナリスト志望者には大変に参考になる内容。

インタビューの中で何が明らかになったかの解説もあり。
対象が誰であれ「今のお気持ちは?」というのは愚問。

繰り返すが本来記者会見は「対決の場」。
ベテラン記者が「現役」を続けないマスコミの不備も。

これでは「健全なジャーナリズム」が育つはずもなく。
いつまで「儀式」としての記者会見を続けるつもりか。

かつては「情報源=政治家に食い込むこと」が目指され。
ナベツネやシマゲジのように「権力に参加する」事例が。

「権力を監視すること」がジャーナリストの仕事だろう。
そもそも「ジャーナリズムの役割」を理解していたのかどうかもあやしい。

「緊張感」がない場所は「腐敗」するのみ。
あらゆる分野の「実力」は「現場」で測られるものだと知っておこう。

「世界はほしいモノにあふれてる」の再放送を観る。

今回はイギリスのアンティークを扱った内容。
何とも魅力ある品物の数々に納得。

「昔のもの」の持つ「物語」を楽しむ姿にふむふむ。
「大英帝国の豊かさ」が偲ばれる。

ウィリアム・モリスも登場して。
「生活に芸術を」というコンセプトをあらためて。

「『生活』のない暮らし」を続けてきた者としては
「自らの貧しさ」を目の前に突き付けられた趣き。

まあ「煤けた隠居」ということでよろしく。
もっともそれなりの「審美眼」を持っているつもりではある。

「綺麗なもの」は存在していれば結構。
それを「身近なもの」にしたいとは思わないだけ。

ほぼ「目だけで生きている」のやもしれず。
「異形の者」に近いのだと言っておく。



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「『思い通り』という呪縛のもたらすものあるいは事件の背後にあるもの」について

2019-11-25 01:33:50 | Weblog
晴れ。東の空の夕焼けの色が濃い。

橘玲「朝日ぎらい」を読む。

「現状認識」に関するあれこれ。
共産党が「保守」で自民党が「リベラル」という構図よ。

「国際関係」ではリベラル化が進み
それぞれの国内では「右傾化」が見られるという見立て。

既成の「リベラル」は「従来通り」を望む「既得権益者」。
その意味で「保守」なのだと。

さまざまに「変動する世界」で「言語能力に劣る者たち」にとって
「アイデンティティー」が「最後の砦」になる模様。

自らの不遇の原因を「外部」に求めるしかなくなり。
「外国人」がわかりやすい「標的」に。

マル激を観る。

今回は幼児虐待やDVに関して。
信田さよ子の「事件の背景」を明らかにする話にふむふむ。

「虐待」は「どこにでもあること」だという認識が必要なよう。
「自らの不遇」を「子ども」を使って取り返そうとする動きよ。

最近の事件については「父親の『正義』」がポイント。
自らの不能さを「家族を支配すること」で補おうとするらしく。

要は「自分の思い通りになるもの」を身近で確保するということ。
何とも「あさましいこと」ではあるけれど。

その当人がDVに晒された人物であることも手伝って。
「被害者」が「加害者」になる「負の連鎖」もあり。

育児書などの「マニュアル」によってしか子どもを評価できない親は
いたずらに不安を煽られるばかりで。

「大人という存在」を「親と教師」しか知らない「貧しさ」も。
「斜めの関係」が失われて久しく。

「愛情という言葉」がもたらす「思考停止」にも気を付けたいもの。
「自らの『普通』」が実は「異常」であることも同様に。

「暴力に晒された者たち」はそれが「日常」になれば「慣れる」しかない。
ただしそれは「望ましいこと」ではなく。

「家族=自動的に好ましいもの」という「信仰」は捨てるべきだろう。
そこに「愛はない」という認識がいかに辛いものであっても。

少なくともわれわれはかくも「思い通り」という形に縛られる存在である。
そのことだけでも覚えておいた方がいいのは確か。

大阪の小6の女子は家庭も学校もイヤで「別の道」に。
彼女を「家に来るように言った男」は「誘拐犯」となったけれど。

その背後にあるものに思いを致したいところ。
「単純な誘拐事件」だと思うとおそらく「判断を誤る」と思われるのだが如何。

本来はそうした「事情」を伝えるのがジャーナリズムのはず。
わが国でそれは機能しているのだろうか。
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「『先生』が崩れることへの反発と『スパイ=エイリアン』であることあるいは『有名=指名手配』だったりすること」について

2019-11-24 02:56:33 | Weblog
晴れ。おだやか。

阿川弘之・猪瀬直樹・中西輝政・秦郁彦・福田和也
「二十世紀 日本の戦争」を古本屋で買って読む。

19年前に出たもの。
「先生」という存在が「崩れる」とむしろ憎しみが生まれるのにふむふむ。

要は「ちゃんとしてほしいもの」がそうでなくなると
「『自分の思い通り』にはならなくなるから」。

「先生=中国」で「生徒=日本」だと思ってよさそう。
「テロの恐怖」に負けた過去を思い出すのも忘れずに。

「全体」を考えるエリートから「成績」しか考えない「エリート」へ。
いわゆる「劣化」はすでにここにあり。

「国家」を「普請中」として作った者の緊張感と
それを「当然」だとする者の違いに注意しておこう。

マスコミが常に「煽るもの」であることも同様に。
そしてそこに「事実」はないことも。

マティス・ヴァン・ヘイニンゲン・ジュニア
「遊星からの物体X ファーストコンタクト」(’11)を観る。

二度目のリメイクは男子の中の「紅一点」を中心に。
面白いかと言われると微妙。

オリジナルの「遊星よりの物体X」(’51)の製作にはハワード・ホークス。
ジョン・カーペンター「遊星からの物体X」(’82)が懐かしい。

本作の設定の基本には「冷戦におけるスパイ疑惑」がありそうで。
アメリカの「赤狩り」を思い出せばよさそう。

つまり。

誰が「本当の味方」かわからないという疑惑が「エイリアン」に。
「エイリアン」が現実の状況を映し出す鏡だったりするのを覚えておこう。

ヘンリー・ジュースト&アリエル・シュルマン
「NERVE 世界で一番危険なゲーム」(’16)を観る。

本作はSNS全盛の現代にはうってつけの作品。
「いいね」が現金に変わるゲームが匿名の視聴者たちによって支持され。

プレイヤーには次々にクリアすべき「課題」が与えられて。
そこにちょいと「青春」を加えた内容。

「player」「watcher」という選択の他に
実は「囚人=prisoner」というカテゴリーがあるのがミソ。

母親役のジュリエット・ルイスの老けぶりに驚く。
「ケープ・フィアー」(’91)が懐かしい彼女ももう46か。

「有名になること」はある意味「指名手配」。
その事実を若者たちには知って頂きたいところ。

誰にも知られないところでコソコソする愉しみを忘れずに。
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「『漢詩の経済』再びあるいはわが国における科学もしくはSFに基づくドラマの不在」について

2019-11-23 01:59:11 | Weblog
雨。夜になって止む。

竹内実・吉田富夫「志のうた 中華愛誦詩選」を読む。

副題に「伯夷・叔斉から毛沢東まで」。
既読のものとそうでないものを共に味わう。

荊軻「渡易水歌」。
「風蕭々として易水寒し 壮士ひとたび去って復た還らず」の後半を。

本書では「ますらお ひとたび去りゆかば ああ もはや還らず」と。
「兮」の字を「ああ」と敢えて訳してあるのがミソか。

女性革命家秋瑾「絶命詞」の「秋風秋雨人を愁殺す」。
こちらは変えようがなくそのまま。

「志のうた」ゆえか激しいものも少々。
そうでないものもあれこれあるのだけれど。

繰り返すが本書の試みは漢字による「表現の経済」の中身を教えてくれる。
例えば「嬌小」を「あいくるしかあいらし」とするが如し。

こういうものに接していると
とりわけアメリカの出版物の「冗長さ」に嫌気がさす次第。

そこに内容があればいいのだがそうでないことも多く。
いたずらな「厚味」はむしろ「空疎」に感じるのだが如何。

「フリンジ シーズン1」の第17話18話を観る。

前者は主人公オリビアの過去を明らかにする内容で
後者は謎のテロ組織によって妻を「怪物」にさせられた博士の愛情を描く内容。

なぜかわが国のドラマにはこの種のものがない。
ちょいと昔には「怪奇大作戦」いう作品もあったがこちらは「怪奇の味」が強く。

TVのシナリオライターにSFものや科学の知識がないせいか。
ならばよそから引っ張ってくればいいだけの話だと思うのだが。

この「空白」が「金鉱」であることを認識したいもの。
きちんとしたものを作れば確実に人気番組になるはずなのに。

去年の暮れに「サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻」という
栗山千明主演のドラマがテレビ東京であったけれど。

ネタが「行動心理学の初歩」の一点しかない「貧しさ」で。
ティム・ロス主演の「ライ・トゥ・ミー 嘘は真実を語る」とは大違い。

「科学もしくはSFネタのドラマ」を作って頂きたい。
そういえば珍しく数学の解説書が「ことしの本大賞」に選ばれたことだし。
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「生物の精密機械ぶりと『不気味な』映画あるいはリアルに不気味な人々」について

2019-11-22 02:30:23 | Weblog
快晴。おだやか。

D・ダサヴァ「アメリカ版 大学生物の教科書 第1巻 細胞生物学」を読む。

先週読んだ一冊が面白かったので今回も。
「生物の機構の複雑さ」をあらためて知る。

それにしてもあまりの「精密機械ぶり」に驚くのみ。
解糖系、ピルビン酸酸化、クエン酸回路、電子伝達系そしてカルヴィンサイクルなど。

途方もない時間がこうした「生命」を育てたのか。
「一石二鳥の共役なシステム」もあり。

「消化」とは「膜で包み込むこと」。
この膜の複雑な仕組みも何ともはや。

モーターたんぱくや鞭毛の仕組みにふむふむ。
なるほど「運動」も生み出すのか。

引き続きこのシリーズを読むことにする。
こういう「教科書」がある国は幸いだと思うのみ。

マシュー・ルートワイラー「アンキャニー 不気味の谷」(’15)を観る。

「不気味の谷」はロボット工学者森政弘が今から半世紀ほど前に唱えたもの。
ロボットが人間に近づくにつれて好感度が増す一方ある時点から急激に嫌悪感を増す。

それをグラフにして急降下する部分をそう呼ぶ。
英語だと「uncanny valley=不気味の谷」。

AIやロボットが「人間以上に人間らしい」作品はあれこれあるけれど
本作はそこにミステリー風味を加えたのがなかなか。

かつてロボット工学に携わっていたちょいと見映えのする女子が
研究所に引きこもる男子とAIの元を取材に訪れたことから始まる物語。

面白いとはいえこの結末は気持ち悪い。
そこも含めての「アンキャニー=不気味」なのだと理解しておく。

SF好きは必見の作品。
作品の長さも好ましい。

さて。

知り合いの若者たちは何事も「自分を最優先する」。
相手の話をきちんと聞くことが出来ず。

自分以外のものを理解する際にも同様に。
自動的にその理解は歪んだものに。

こうした人間が増えてきたのはなぜなのだろう。
おそらくは「誤解したという経験の少なさのせい」のような。

例えば。

好意を持った相手には「理解したい」という気持ちが芽生えるのは当然。
ただし理解したと思った結果が「間違っていた」らショックを受けるだろう。

そしてそれゆえに「『正しい理解』をしたい」という動機付けが生まれるはず。

ところが。

彼ら彼女らはその結果を「相手のせい」にする。
要はストーカーやDVをする者たちと同様。

どうやら圧倒的に「愛情」が欠けているらしい。
その姿はほぼ「出来損ないのAI」のようなのがいかにも「現代」なのか。
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「魅力的なロマンポルノと観直して案外素敵な作品」について

2019-11-21 02:58:52 | Weblog
晴れ。夜に冷える。

寺脇研「新編 ロマンポルノの時代」を読む。

ちょいとロマンポルノの作品を観た後でどう思うのかと思って。
あくまで男子の視点からではあるけれど女子の姿が描かれている。

白川和子に始まり片桐夕子、宮下順子。
リアルタイムでは観ていないものの当時は写真のみで知っていたり。

小田かおる、山本奈津子の「百合族コンビ」が懐かしい。
朝比奈順子や風間舞子、風祭ゆきや鹿沼えりなど。

泉じゅん、麻吹淳子、高倉美貴、野平ゆき、寺島まゆみも覚えている。
竹田かほりと亜湖は「桃尻娘」で。

実際に作品を観るようになってからは
志水季里子、速水典子が印象に残ったか。

もちろん「絡み」は基本だけれどその間に描かれる姿が重要。
若手の監督たちはそこで自分の色を出して。

それにしてもシナリオライターから男優に至るまでの記述が詳細に渉って。
著者の「人生を共に過ごした感」が満載の本書を是非。

深作欣二「復活の日」(’80)を久方ぶりに再見。

複雑な内容をよくまとめたなと思うことしきり。
撮影はやがて監督もする木村大作。

グレン・フォード、ロバート・ヴォーン、ヘンリー・シルヴァに
ジョージ・ケネディ、チャック・コナーズ、ボー・スヴェンソン。

そんな男性陣の中にオリヴィア・ハッセー。
日本の女優陣は多岐川裕美に丘みつ子、監督夫人の中原早苗。

よくこれだけのスターを集めたもの。
当時の角川春樹の力なのか(当人も出演)。

やはりラストの唐突さは否めないけれど
「全世界的な危機」ゆえに各国の人々が「ひとつ」になる姿は悪くない。

ほぼ40年前の作品。
「生物兵器による災害」でなく「気候変動」に関してこうでありたいもの。

ベニスはすでに水に侵され。
神保哲生がかつて書いたツバルの現状やいかに。
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