12日間の過重労働で会社側に2億円賠償命令 大阪地裁
勤務中に脳内出血を起こし意識障害となったのは、異動後の12日間の長時間勤務による過労が原因として、大阪市内の元会社員の男性(33)と家族らが、大阪府門真市内の精密機器メーカーに約5億6000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。田中敦裁判長は「長時間勤務の負担は大きく、会社は改善措置を講じなかった」として同社に約2億円の支払いを命じた。(引用終わり)
長時間労働、過重労働での病気や過労死に関わっての裁判は後を絶たない。
「休みたいならやめればいい」という日本電産株式会社の社長のような人もいる。発言の意図がくみ取られていない、遺憾であると主張するが本音は隠せない。「他社が8時間働いているのら、わが社は倍の16時間働く」「すぐやる 必ずやる できるまでやる」これがわが社の伝統だという。
残念ながら日本には資本主義のルールがない。
ILOはこれまで22本もの労働時間にかんする条約を締結しているが、ILO第1号条約(8時間労働制)からただの1本も批准していない。8時間労働制とは原則8時間以上働かせることができないことを指す。EUでも残業はあるがほとんど1、2時間に限定されている。EUなどとちがうところである。労働基準法はあるが骨抜きにされて日本電産の社長のような発言になってしまう。そういう点でいえば残念ながら立派な文明後進国である。
利潤最優先、利潤第1主義で人の命までをも粗末にする。資本主義社会の乗りこえられない大きな壁である。
“いずれ死を迎えるから”と言いながら白寿を迎える老婆からも保険料をむしりとる平成の姥捨て山に怒りの告発ファクスがしんぶん赤旗4月28日に掲載されています。
怒りの告発ファクスの主は東京・八王子市の奥田靖二さん(65)、大要はこうです。
「白寿の母からむしりとるのか!」
京都市で暮らす母親のよ志子さん(99)を見舞ったとき、年金振込通知書をみて驚き。後期高齢者医療制度の保険料、7500円(2ヶ月分)が天引きされていたのです。
7月に百歳になるよ志子さんの年金は2ヶ月で約8万円。同制度の保険料と介護保険料が天引きされ4月に振り込まれた年金額は6万3000円ほど。この中から週3回通っているディケアセンターの料金4万円(2ヶ月)と医療費を捻出しています。「食費や生活必需品経費はほとんどでない。同居している兄夫婦の援助なしには暮らしていけません」と奥田さん。
これまで、よ志子さんの国民健康保険料は、兄が払っていました。同制度に移行してからは、所得のあるなしに関係なく全員から一律に徴収する「均等割」の部分、年間4万5250円を払うことになったのです。
よ志子さんは、年金額が少なくても「均等割」の軽減措置は受けられません。なぜなら、兄に、軽減措置の基準以上の収入があるからです。
一人一人が加入し、一人一人から保険料を取る制度なのに、軽減対象となるかどうかは、世帯主の収入が関係してくるのです。「こんな矛盾した制度はありません」と憤る奥田さん。
「お年寄りには『長い間ごくろうさまでした。もう医療費など心配ご無用』というのが、人の道ではないでしょうか。心からの怒りをこめて、この制度の中止を求めます」と。
京都府久御山町では、後期高齢者医療制度への加入は説明もなく、一方的に強制されたものとして、加入の取り消しを求める審査請求をおこそうと「久御山生活と健康を守る会」の会長である射場弘さん(79)が呼びかけをおこなっています。「保険証が届いたときには赤紙を思い出した」と。
これまで射場さんは、長男の健康保険に入っていたため直接はらっていませんでした。10月から約10万円の年金から天引きされることになります。
日本共産党が廃止を求めるわかりやすいチラシを発行しています。こちらをぜひご覧ください。
シンクタンクの総合研究開発機構(NIRA)が、「就職氷河期」に急増した非正規雇用の労働者が現在の低水準の賃金で十分な年金が確保されないまま置かれ、老後(六十五歳以上)を迎えた場合、七十七万四千人が生活保護受給者となり、そのための追加的な財政支出が二十兆円にのぼるという報告書を発表しました。
報告書は、一九九三年から約十年の間に学卒・就職活動を迎えた「就職氷河期世代」のなかで増加した非正規雇用者、無業者を百二十万人程度と見込み、そのまま高齢化に突入すると、生活保護に必要となる追加支出は十七兆七千億円から十九兆三千億円になるとしています。
八五年に制定された労働者派遣法が改悪を重ね、企業が「雇用調節」や「人件費節減」のために急増した非正規雇用の規模は「社会的にみても深刻なもの」と指摘。非正規労働者の増加で、企業内の「業務継承の仕組みが機能しない状況も発生」しており、「中長期的観点から評価した場合に、企業からみても必ずしも非正規雇用の一方的上昇は望ましくない」としています。(しんぶん赤旗08年4月27日引用 下線は引用者)
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労働者3人に1人は年収200万円以下というこの国の現状は、けっして自然現象でこうなったのではありません。1985年に労働者派遣法ができて、1999年の法改悪では原則どういう仕事にも適用できるようにされ、2003年には製造業までに拡大され、使い捨て、低賃金を生み出した原因です。
持続可能ということがよく言われますが、このままではこの国が持続可能でないことははっきりしています。
持続可能にするためには労働者派遣法を見直し、労働者保護法の確立がどうしても必要です。
■就職氷河期世代の老後に関するシミュレーション
「こんな働かせ方、おかしいですから」涙の全面勝訴
裁判長が「雇用契約上の権利を有することを確認する」と述べると、法廷の吉岡さんは2度、小さくうなずいた。判決理由の要旨の読み上げに移ると、口を固く閉じたまま下くちびるを前に押し出し、泣きそうな顔になった。
「こんな働かせ方、おかしいですから」。判決後、吉岡さんは目に涙を浮かべて偽装請負を批判した。「この問題に苦しんでいるのは、特に、ぼくらより下の世代で、これからの日本の社会を支える人たち。そういう人たちを痛めつけて、日本の将来があるとは思えない。人をモノみたいに扱う働かせ方は今後一切やめてほしい」と。
派遣先に雇用義務あり
大阪の松下プラズマディスプレイ茨木工場で働いていた吉岡力さんが偽装請負を告発し、直接雇用の5ヶ月間で解雇されたのは不当だと解雇撤回を求めていた裁判が25日、大阪高裁であり、判決は一審をくつがえし、吉岡さんの訴えを全面的に認めました。
判決は、松下の違法行為(偽装請負)を認め、継続して働かせていたことについて「黙示の労働契約(直接雇用)にあったとして、吉岡さんの地位について「雇用契約上の権利を有する」と確認しました。
ワーキングプア(働く貧困層)の増加という深刻な事態をつくりだした「派遣労働」が急速に広がったのは、「国際競争力」を強め、いつでも自由に安く使い解雇できる「使い捨て」の労働力の確保という財界の雇用戦略でした。労働者派遣法が導入され、相次ぐ規制緩和で2003年には製造現場まで解禁にされました。その結果、派遣労働者は321万人にも急増し、しかもその7割が「日雇い」の登録型派遣です。
非人間的な働かせ方が社会的批判を浴びる中での判決でした。労働者派遣法を根本から見直し、労働者保護法に改正していくうえで契機をつくる画期的な判決です。そして新自由主義路線がもたらしてきた誤りにストップをかけるうえでも意義ある判決ではないかと考えます。
吉岡さんも言っているように、人間を消耗品のように使い捨てる働かせ方を横行させていては、労働者はもとより、日本の経済と社会の未来はありません。
■松下プラズマディスプレイ社 偽装請負事件
たたかい40年ごし
電機大手の東芝(本社・東京都港区)が、働きやすい職場の実現をめざして活動していた日本共産党員や労働者を排除するため昇進・昇格差別を行ってきた事件で、是正を求めていた労働者九十六人は二十四日、差別された処遇の是正、解決金の支払い、再発防止を内容とする全面和解協定を東芝と結びました。
「四十年越しの解決。職場に民主主義を取り戻す運動の成果だ」。不当労働行為の救済を労働委員会に申し立てている十二人と、差別の是正を求めている「人権を守り差別のない明るい職場をつくる東芝の会」の八十四人が、東京都港区の中央労働委員会で協定を結んだことが報告されると、集まった支援者から拍手がわきおこりました。
まともな賃上げ、過労死や事故のない安全な職場をづくりを求めてきた人たちを「問題者」と呼んで差別する。会社はこういう人たちの職場のつきあいから排除するために秘密組織をつくり、経歴がわかっているだけでも神奈川県警の元警察官が8人もいたそうです。
嫌がらせと差別とたたかうこと40年、職場に民主主義の夜明けです。
「申立をしなかった女性も男性と同じように差別が是正され幸せです。時間はかかっても勝利する時代、歴史は動いていると実感しました」「つらいこともあったけど、会社に再発防止を約束させることができて本当によかった」と「東芝の職場を明るくする会」のホームページです。
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和解協定書の要旨
1.株式会社東芝(会社という)と、12名の申立人および、人権を守り差別のない明るい職場をつくる東芝の会(明るくする会という)は、紛争の全面解決について合意し本協定を締結する。
2.会社は、申立人および明るくする会に対して、解決金を支払う。
3.会社は、申立人および明るくする会の在籍者について、処遇を見直し、他の従業員と同様に扱う。
4.双方は和解の趣旨を尊重し、同様の紛争の再発防止に誠意をもって努力する。
なお、本協定書には、西田厚聰東芝社長の代理人弁護士、申立人12名の代理人弁護士、明るくする会の会長、中労委の審査委員・参与委員らが調印しました。
思いやる相手が違う
在日米軍への「思いやり予算」に関する日米特別協定を3年間延長する新協定が24日の参院外交防衛委員会で否決された。
衆参両院のいずれかで条約が不承認になったのは、現憲法かでは初めての事である。
在日米軍の特権を定めた日米地位協定は、米軍の維持経費は米側が負担することを定めており、「思いやり予算」はこの規定にも反するもの。
「思いやり予算」は、▼在日米軍基地で働く機知従業員の労務費▼基地内の光熱水料▼米軍の訓練移転費▼施設建設費からなり、1987年度の開始から30年間で日本が払った金額は実に総額5兆円を超えるという。
暫定的といいながら20年も続いているという。いつになったらやめるのかメドも示せません。社会保障費はどんどん削りながら、米軍には湯水のように税金を使うのです。思いやる相手が違うと言うんです。
■「暫定」なのに
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30日には、ガソリン税の暫定税率を復活させる租税特措法改定案を衆院で再議決するそうだし、5月になればガソリン税などを今後10年間道路整備に使うことを定めた道路特定財源特例法改定案の再議決だって。来年から一般財源化の話と矛盾してるやないか。
30日に再議決を急ぐほんとうの理由は、新車の購入や車検のときに納める自動車重量税に上乗せしている暫定税率が期限切れになるからとちがいますか。道路特定財源の税収をこれ以上減らしたくないと言うわけだ。自動車業界の突き上げもきついと。
「先は明るい」どころか、やってること、言ってることがわけわからん。内閣支持率は2割台に突入したいう、北海道新聞の全道調査では19%だ。
「まあ、いろいろありますよ。物価が上がるとか、しょうがないことはしょうがないのだから、耐えて工夫して切り抜けていくことが大事だ」と。
これで「可哀想なくらい苦労している」だって。わけわからんよな。
東芝深谷工場(埼玉県深谷市)で勤務していた元社員の重光由美さん(41)が、激務でうつ病になったのに解雇されたのは不当として、東芝に解雇の無効確認などを求めた訴訟で、東京地裁(鈴木拓児裁判官)は22日、解雇を無効とした上で未払い賃金や慰謝料など約2800万円の支払いを命じた。東芝は即日控訴した。
判決などによると、重光さんは、01年4月にうつ病と診断され、同9月から療養したが、会社側は04年9月に休職期間が満了したとして解雇した。
月平均90時間を超えた時間外労働や切迫したスケジュールが肉体的・精神的な負担を与え、うつ病を発症させたと判決は認定した。 (引用ここまで)
自殺をしたのは過労が原因として、労災認定が3月14日おりたところでした。同じ職場の人が二人も自殺するという、どれだけ過酷な現場であるかは想像をまたない。
病気になるまでとことん働かせておいて病気になったら「はい、解雇」。ほんとうに人間を道具みたいに思うてくさんじゃ。
重光由美さんが、提訴して3年5ヶ月。その間、嫌がらせ、隠蔽、偽証の数々、どんなにか苦しい思いをしてきたのでしょう。理不尽を許すわけにはいきません。「権力のあるほうが勝ってしまう、そんな事のない社会である事を願うだけです」と重光由美さんは裁判前日に記してます。どんなに大きな権力がたちふさがろうとも、正義と真実を掲げて不屈にたたかうことの尊さ。おめでとう!勝利判決を心から喜びたい。
原告の訴えをほぼ全面的に認めたこの勝利判決は、働く、多くの仲間を激励することでしょう。
■東芝社員の労災認定 妻の日記が証拠
この特集ワイドで、「世の中全体を不幸にする」と題して服部万里子さん(立教大教授)が、後期高齢者医療制度の本質をついた発言をしています。
「新制度では、1人当たり月平均約6000円の保険料を支払います。非常に多額です。元々それほど多くない年金から保険料を天引きされては、収入はガタンと減るわけでしょう。自衛策としては、生活費を切り詰めるしかない。けれど、生活費のほとんどは食費なんですよね。高齢者は不安でしようがないわけです。長生きすればするだけ医療の必要性は高まります。心理的プレッシャーはすごいと思います。
老人医療は、昔は無料でした。それが定額負担になって、徐々に増え、今1割負担です。政府はおそらく、次は負担を2割にしようと考えていると思います。その結果、利用は抑制に傾くことになると思います。
今回、高血圧や糖尿病、認知症といった高齢者に多い病気の治療に関し、外来の後期高齢者診療料は、一つの医療機関にしか保険からの給付をしないことになっています。しかも、月の定額制です。そうなると、医療機関側は今後、患者の取り合いを始めると思います。なぜなら、患者は途中で別の医療機関に移ると保険の利用が制限されるわけですから、医療機関側は最初にたくさんの患者を診断しようと努める。その上で、例えば、保険で支払われるお金は、1回でも5回でも同じ額なのですから、今まで週1回の治療を月1回に減らす。さらに、この定額制の下では、さまざまな治療が必要な高齢者が、十分な医療を受けられない、という問題も起こってきます。
医療や介護は、人生の後半で必要度が増すサービスです。合理的にまとめて受けることはできません。私は、福祉は福祉のための、医療は医療のための予算を取るべきだと思います。
20歳以上の人にアンケートすると、「高齢になったとき、医療と介護をきちんとしてほしい」という回答が必ず出てきます。その点は共通意識として一致できるはずなんです。日本の国内総生産(GDP)に対する医療費の割合は8%で、世界的に見ても低いのです。もっと多くの予算を投入すべきです。」と。
OECD諸国の医療費対GDP比率では、日本は22位です。世界的に見ると決して高い水準ではありません。
これまでの自民党政治の「古い枠組み」からでは、財源は出てきません。大企業への応分の負担や、軍事費にメスをいれることができないからです。参院選挙の結果が示したように、政治の大本からの転換が必要なのです。(下線は引用者)
誰がこんな制度をつくったのか
天引きで年金は減っているわ、徴収ミスに、算定ミスに、保険証は届かない、各地で不満と怒りの渦です。お医者さんたちもこんなに反対していることは聞いたことがない。さすがに世界に類例のない異常な制度です。いくら「お年寄りに向いた?医療制度」と必死に弁明してみても、発想が医療費の“削減先にありき”だから、心から長生きしてねという医療にならないわけ。お国のためなら死んでくれと手榴弾で自決させるわけにはいかないから真綿で首を絞めるようのもの。「姥捨て山に入ってくれ」と、だれがこんな制度をつくったのか。 “導入戦犯”の責任は重いです。