財界戦略の破たん
厚労省は、22日、2008年版労働経済の分析(労働経済白書)を発表しました。
白書は、非正規雇用の増加について、賃金の「節約」が主要な目的であり、企業側には労働者のために柔軟な就業機会をつくるという認識は低いとしています。つまり、これまで政府が主張してきた非正規雇用化は「労働者のニーズ(要望)によるものというのは誤りであったことを認めたことになります。
また、柔軟な就業形態ついて白書は、「コスト削減には有効であっても、労働者の職業能力の向上を通じた労働生産性の向上にはつながりにくい」「わが国全体の労働生産性の向上にとって、マイナスの影響を及ぼすようになってきている」と分析しています。
白書は、成果主義賃金が「人件費削減的な目的も少なくなかった」として、大卒ホワイトカラーの賃金格差が拡大し、賃金や処遇に納得できない労働者が増えていると分析。
成果主義賃金は、こうした制度を望む人にとっては意欲を高めるとしながらも、「長期的に考えてみると、賃金や賃金制度を、労働者の動機付けに直結させることについて、根本から考え直す必要もある」としています。
非正規雇用化と成果主義賃金は、必要なときに必要なだけの労働力を安上がりに得ようと財界が強力にすすめ、政府も後押しをしてきたものです。
抜本的な法改正を
28日には、厚労省の「今後の労働者派遣制度のあり方に関する研究会」でも、日雇い派遣の原則禁止など、規制強化の方向が示されたところです。
「いつでも首にできる、使い捨て自由の不安定労働」をなくす抜本的な法改正を実現させることがどうしても必要です。
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※労働経済白書〈要約〉08年版(厚労省)
第1章 労働経済の推移と特徴
第1節 雇用、失業の動向
…正規の職員・従業員の割合は、2007年も引き続き低下を続けており、またパート等
で働く労働者では、正社員での就業を希望したにもかかわらず、不本意ながら正規以外の職員・従業員として就業した者が増加しており、正社員に転職したいとする者の割合も上昇している。正社員での雇用機会を拡大し、安定的な雇用を実現することが課題となっている。
第2章 働く人の意識と就業行動
第3節 働く人の意識と社会の課題
…今後は、働く人の意欲の発揮に向けて、正規従業員として就職したいと思っている人々の正規雇用化に向けた支援を充実させていくとともに、就業形態間の均衡処遇を着実に推進していくことが求められる。また、業績・成果主義的賃金制度が広がった正規従業員の中高年層で賃金格差の拡大と仕事に対する意欲の低下がみられることから、賃金制度の見直しも企業経営における重要な課題になると考えられる。特に、長期勤続者が多い50 歳台の労働者の意欲の低下に適切に対処することは、我が国の長期雇用慣行を有効に機能させていくうえでも重要である。
“犯人”は、政府白書も認める投機マネー
経産省がまとめた、「通商白書」(7月15日閣議決定)は、世界的な資源・食料価格の上昇を分析して、2000年4月と08年4月の国際取引価格を比較。原油が4.4倍、鉄鉱石と石炭が4.9倍、銅が5.2倍高騰し、食料もトウモロコシが1.6倍、大豆が2.4倍小麦が3.4倍米が4.7倍に高騰。
白書は、高騰の原因として、?アジアなど新興諸国の需要が急騰している?国際金融・資本市場から巨額の投機資金・投資資金が商品市場に流れ込んでいることなど要因をあげている。そのうえで、こう結論づけています。「近年の急激な価格高騰は、?の投機資金・投資資金の流入が大きな役割をはたしていると考えられる」と。
これより先に、同じ経産省のまとめた「エネルギー白書」(5月27日)があります。07年後半の原油1バレルあたりの価格を分析しています。「直近においては、ファンダメンタル(需給バランスで決まる価格)は、50-60ドル程度」
原油価格は、投機などで30-40ドル程度押し上げられ、需給バランスで決まる価格から「大きく乖離している」と。分析時点では1バレル=100ドルを突破する以前。原油は1時140ドルを突破するなど、急騰しており、投機マネーによる押し上げ分はさらに膨らんでいることになります。
7月15日に、全国漁民大会が開かれたが、そこでも燃油価格の高騰にたいする必要な補てん措置と合わせて、ー投機資金の国際原油市場への無秩序な流入を規制する国際措置を求める決議が採択されています。政府は補てんは決めた(値上げ分の9割の補てん)が、ブッシュ政権の“市場にまかせろ”の追随の責任は重い。
サミットでは、アフリカ諸国首脳から、飢餓を生む食料高騰の要因に投機があるとして、課税による規制を求める声があがりました。
しかし、主要8ヶ国(G8)首脳がまとめた宣言では、原油市場の「透明性の向上」がうたわれただけでした。
資本主義の限界が言われているとき、資本主義の管理能力が問われています。
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全国知事会(会長、麻生渡福岡県知事)は18日、横浜市で開かれた知事会議で、深刻な影響が出ている原油・原材料価格高騰への対策を政府に求める緊急決議を採択。
決議は、燃油価格の高騰で、農林漁業者が出漁の断念や廃業を余儀なくされていることを指摘。「燃油価格の高騰に対する必要な補てん措置」をはじめ、実効性、即効性のある措置を講じるよう求めています。
また、原油価格の高騰が、中小企業をはじめとする産業界にとどまらず、「住民の日常的な福祉サービスの提供においても大きな影響が生じている」として、根本的な対策として、「現在のような市場がマネーゲーム化している状況を収束させ(る)」ことをあげ、政府に「国際的な経済活動を秩序あるものにするよう、強いリーダーシップを発揮すること」を要請しています。
消費税増税で議論が白熱
この知事会議で、地方の財源確保に、消費税率の引き上げの議論が白熱。特別委員会から「財源不足を補填する基金も2011年までに枯渇、地方団体の財政運営は完全に破綻する」と「破綻シナリオ」が提出されたからです。
発言では「消費税の引き上げを、この時期はっきり言わなければ、知事会の力がないと見なされる」(三重県知事)など。
ところが、慎重論のなかで、「国民の反発が強い、『蟹工船』を読む若者を敵に回すことになる」と。ここでも「蟹工船」が生きている。
結局、消費税増税派の思惑ははずれ、最終的にまとまった提言は消費税引き上げではなく、「地方消費税の充実」というあいまいな表現になり、増税への国民の厳しい批判を意識せざるを得ない状況が浮き彫りに。
地方財政の悪化をもたらした根本原因は、地方交付税の大幅削減です。03年から06年度までに5兆円以上も削減されました。国の財政支出を求めることなしに、住民にばかり負担を求めることでは筋が通りません。
米軍新基地に反対する決議ー沖縄県議会で初めて
県議選後、与野党逆転の初の沖縄県議会6月定例会・最終本会議が18日開かれ、野党6会派が提出した「名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する」決議・意見書が賛成多数で可決されました。
決議・意見書は、「辺野古海域は、国の天然記念物であるジュゴンを初めとする希少生物をはぐくむ貴重な海域であり、新たなサンゴ群落が見つかるという世界にも類を見ない美しい海域である」と強調しています。
このことから「新たな基地の固定化と、新基地建設工事に伴う環境汚染や大規模な埋め立てによる環境破壊につながる辺野古新基地建設に断固反対し、世界に誇れる自然環境を後世に残し引き継ぐことこそが我々沖縄県民の責務である」として、日米両政府にたいし新基地建設を早急に断念するよう強く求めています。
日米両政府が合意した辺野古沿岸域へのV字型滑走路建設案に県議会が反対を決議したのは初めてです。
アメリカのいらだち
ブッシュ政権で国家安全保障会議アジア上級部長を務めたマイケル・グリーン米国CSIS(戦略国際問題研究所)日本部長が、6月自民党本部で開かれた国防三部会で「イエス・ウイ・キャンという日本をつくらなければいけない」と言いました。
アメリカの要求を「できない」といって拒否するのではなく、「はい、できるよ」という日本になれと安保・外交関係議員に説いたそうです。
インド洋やイラクに自衛隊を派兵したのも「同盟維持」が主な動機です。アメリカについていかないと見捨てられる」不安が、「イエス・ウイ・キャン」です。
主権国家・日本どこへ?行くです。
いつまでも、アメリカに「イエス・ウイ・キャン」では、日本は世界から孤立する道でしょう。
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東大の授業料免除制度をまずは、全国に
東京大学の年収(給与)400万円以下家庭の学部学生の授業料(年53万5800円)の免除制度が今年度から始まり、全額免除者が前年に比べ1.7倍に増えているそうです。
東大の授業料免除制度は、家族構成、家計、学力(成績)などを総合的に判断する「従来の制度」に加え、今エンドから年収が400万詠歌の家庭は全額免除とする「新制度」が導入されました。
授業料の全額免除を受けたのは、年収400万円以下の家庭の学生576人を含む634人。全学部がくせい1万3870人の4.6%にあたり、前年の365人と比べ、1.7に増えています。また、半額免除も38人から178人と4.7倍に。
教育を受けることは、基本的人権の一つであり、経済的理由で、進学や学業を断念するようなことがあってはなりません。憲法は国民に「ひとしく教育を受ける権利」(第二六条)を保障しています。
国際人権規約(一九六六年に国連総会で採択)は「高校や大学の教育を段階的に無償にする」と定めており、欧米のほとんどの国では高校の学費はなく、大学も多くの国で学費を徴収していません。
日本は、高等教育予算の水準(国内総生産にしめる割合)は、OECD(経済協力開発機構)加盟国全体の平均1・0%に対して、日本は0・5%にすぎず、加盟国中で最下位です。その一方で自民党政府は、“学費は、教育で利益を受ける学生本人が負担する”という「受益者負担」の考え方を教育にもちこみ、学費値上げをすすめてきました。一九七〇年に一万二千円だった国立大学の授業料は今では五十三万五千八百円(標準額)で、これほど高騰した公共料金はほかにありません。
欧米で確立していることが、日本でなぜできないのでしょう。まずは、東京大学で始めたような世帯年収400万円以下は、全員授業料免除とする制度を全国でおこなえるようにして欲しいものです。
※「世界一高い学費」を軽減し、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすために
(日本共産党政策08年4月16日)参考
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人間味のない、薄情な判決ー裁判官は聞く耳をもて!
11日、京都地裁の強引な訴訟指揮に対して「裁判所は、原告の生活実態に目を向け、切なる願いに耳をかたむけよ!」の緊急京都集会が開かれ参加した。
東京地裁での不当判決(6月26日)について、東京弁護団、原告の横井邦雄さんの話。
「70、80になって裁判をおこしてやるなんて、ほんとは情けないはなし」と。
金沢誠一さん(支える会代表・佛教大学教授)は、東京判決及び京都のたたかいについて報告。東京判決は随所に相対的考え方(均衡論)が出ていると。相対論では、(生活水準)が、際限なく引き下げられる。絶対論で。抽象論でなく、具体論で、生活の質が大事だと。健康状態はどうか、移動することはできるのか、人前に出て恥はかかないのか、自尊心はどうか、社会生活に参画できているのかどうか。
最低生活が保障されてこそ、それでこそ自由だと。そして、最低生計費は、国民的な合意形成が必要だとも。
また、一般の国民も貧困化にまきこまれていると、固定的な支出(税金や保険料や)が増えていると。
原告・松島さんの話、「築50年のアパートで暮らしている。タタミぼろぼろ、クーラーなし、扇風機で。ちょっとでも、新鮮で安いものをと買っている。ただ、お腹を膨らませているだけで、それて健康で文化的な生活といえるのか。お年寄りはおとなしく過ごせと言うの。人間ですねん、苦しくなったが、このまま黙っていたら人間失格になってしまう。黙ってては、人間としての価値がないと、大それた裁判をした。人間味がない、薄情な判決だ(東京地裁での判決)。倒れるまでたたかう決意です」と。
最後に、京都弁護団の竹下義樹弁護士がたたかう決意と支援の訴え。
「東京地裁での判決は、あまりにもひどすぎた、腹がたつが負けてはいない。たたかう展望が出てきた。ひどい内容を克服せずしてなんのためにたたかっているのか。人の痛みがわからん裁判官に、痛みを伝えきっていない。血のにじむような思いを裁判官に伝える、聞く耳をもたせることだ」と。
経済大国と言われた日本、どこへ行く?
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投機マネー暴走に無策
食料の高騰や原油急騰の原因になっている投機マネーの暴走をいかに制御するのか。世界のリーダーたちに迫られている緊急課題です。ところが、北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)に集まった主要八カ国(G8)の首脳には投機マネーの暴走に向き合う姿勢が見られないどころか、「市場競争」を加速する文言を盛り込んだ宣言さえ発表しました。(金子豊弘)
「食料価格と燃料価格の高騰という二重の危機に際し、最も弱い立場の人々を救うことができるか、グローバル・システムが試されている。失敗は許されない」。サミットに出席した世界銀行のゼーリック総裁は北海道留寿都村の国際メディアセンターでの記者会見で危機感をあらわにしました。
サミットに出席した国連の潘基文事務総長も、「世界は、三つの同時危機に直面している。それは食料危機、気候変動の危機、開発問題の危機だ」と警鐘を鳴らしました。
その危機の引き金を引いている一因に大手金融機関などを資金源とした投機マネーの暴走があるのは、いまや明らかです。金融規制の緩和によって「自由」の羽を与えられ、暴れまわる投機マネーの規制について日米首脳会談では、「そこまで細かい話はありませんでした」(日本政府)。投機マネーの暴走は、人々の生存を脅かす「静かなる殺人」とまでいわれるほど。それを、「細かい話」だと言い切るところに、議長国としての日本政府の見識がないことが露呈しました。
アフリカは規制要求
アフリカの人々の声を首脳会議に届けようと国際メディアセンターで記者会見した非政府組織(NGO)のメンバーは「原油、食料の高騰が不安定を招いている。カメルーン、セネガルなどで暴動が起きた。アフリカは危機の時に入った」と訴えました。
七日のG8首脳とアフリカ七カ国首脳との会談の席では、アフリカの首脳から「原油取引で過大なもうけを得るのは問題。この取引に課税する制度ができないか」と、投機マネーへの規制を求める声も上がりました。
ところが八日発表された「世界経済」宣言で、石油高騰への対応として指摘されているのは、「商品先物市場の透明性の向上」という文言だけ。しかも、「開放的で競争的な資本市場は、経済成長を促進させる」と強調。投機マネーの制御どころか、暴走をあおるかのような競争強化をうたいました。
G8の無策ぶりに、大手紙編集委員も「世界経済は深刻な問題に直面している。その時に、先進資本主義の陣営は戦略をなくしてしまったようだ」と指摘します。
「投機マネーの規制に最も反対しているのは米国」(経済産業省幹部)です。その理由はどこにあるのでしょうか。金融問題が専門の相沢幸悦埼玉大学教授は指摘します。「米国政府と米国の金融街は人脈的にも一体化している。しかも規制策がとられて原油や穀物価格が下落すると石油大手企業や穀物大企業が損をしてしまう。金融、石油、穀物の三つの利害関係者が存在しているわけで、投機マネーを規制できないのはそのためだ」 (2008年7月9日(水)「しんぶん赤旗」より)
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正社員化への道を切り開く、たたかいこそ
日本共産党・志位委員長が6月30日、キャノン長浜工場を視察後、キャノン調査についてあきらかになった4つのポイントについて記者会見を行っています。
一つは、偽装請負問題に関わって、会社側が「大いに反省している」として、社会保険未加入問題について、「一部の派遣社員のなかで未加入があることが判明したので、派遣会社に保険加入を要請し、確認を終了した」と、一定の対応をしたことを明らかにしたこと。
2つめは、製造現場での派遣解消について。製造派遣について、会社側は、「年内に解消するという」。理由は安定した労働力の確保や技術の継承という面から、派遣労働者を企業の基幹的要員として期待することができないこと。つまり、派遣労働者頼みでは企業もやっていけないと。実際、長浜工場では6割以上いた派遣労働者でなりたっていたが、製造派遣はゼロになっています。
3つめは、派遣労働者から期間社員になった労働者の労働条件の問題。
期間社員の雇用契約期間は、最初は5ヶ月、その後6ヶ月ごとに更新され最長2年11ヶ月とされており、新しい形での使い捨て労働の問題が浮上してくること。派遣労働であった方からは、「2年11ヶ月では不安で期間工を選べない」という声もあるそうです。しかも、期間工はすべて時給制で盆、正月の長期休暇の時には、手取りが数万円単位で下がり、一番つらいという。
会社側は、「正社員への登用制度がある」とさかんにあるというが。
派遣を解消して一部を業務請負にするというが、「構内請負でほんとうに、偽装請負をなくすことができるか」と聞くと「現実には、なかなか難しい」と。偽装請負を根絶する保障はありません。
4つめは、滋賀労働局の体制の問題。派遣事業を指導する受給調整指導官が滋賀労働局には2人しかいず、とても無法を取り締まることができないこと。
そして、志位委員長は、製造業で派遣解消の動きが出てきたことは一歩前進だが、しかし、それに代わってでてきた期間社員は2年11ヶ月で首をきられる。業務請負は偽装請負の危険がまぬがれずゆきづまりだとして、「まともな道をすすもうと思えば、やはり正社員化という太い道を切り開くしかありません」と語っています。
経済協力開発機構(OECD)が7月2日に、加盟30ヶ国の雇用状況を調べた「雇用アウトルック2008年版」を発表しました。
報告書では日本の労働市場は改善されてはいるものの、日本の労働者について、「しばしば不安定な雇用から抜け出せない」「特に、低学歴の若年労働者の場合、正規雇用へと移行するのは困難」と指摘しています。
こうした、若者の不安定雇用や女性の就業率の低さが、指摘され、「早急に対策を講じる必要がある」と求めています。
日本社会の希望ある発展方向は、志位委員長が指摘するように、正社員化への太い道を切り開いてこそ展望を見いだすことができるのではないでしょうか。
■OECD 雇用アウトルック2008年版:国際比較から見た日本
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生存権裁判(生活保護老齢加算)ー廃止は違憲の訴えを棄却
東京地裁判決 原告は控訴へ(6月26日)
70歳以上の生活保護受給者に支給されていた「老齢加算」の廃止で、憲法25条で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」ができなくなったとして、東京都内の生活保護受給者13人(現在は12人)が区や市に廃止処分の取り消しを求めた訴訟の判決で6月26日、東京地裁は「廃止には合理的な根拠がある」などとして、原告の訴えを棄却しました。判決後、原告・弁護団は「貧困と格差を拡大する政府の不当な政策を是認した判決」だと批判、控訴する考えを表明しました。
棄却の理由は、?国民一般及び低所得者層の各単身高齢者の消費水準について、60歳ないし69歳の者と70歳以上の者とを比較すると、後者は前者を下回っていること、?70歳以上の単身無職者について、低所得者層の消費水準と老齢加算を除いた生活扶助基準額とを比較すると、前者は後者を下回っていることが認められ、これらのことは、70歳以上の高齢者の被保護者において、老齢加算を付加しなければならない特別の需要がないことを基礎付ける、として老齢加算を減額・廃止しても現実の生活条件を無視した著しく低い基準を設定したとまではいえない。
要するに、貧しい人、生活に困っている人は、他にもたくさんいるのだから、生活保護を切り下げてもいいという、政府・厚労省の言い分をそのまま受け入れたもので、老齢加算を廃止されても、なお、やりくりすれば最低限度の生活は可能であると、「贅沢いうな」式の高齢者の生活実態をまったく無視した判決です。
こうした判決に従えば、国民全体の生活水準をさらに「下へ、下へ」と、引き下げてゆくことになってしまいます。「これでよし」とすれば、健康で文化的な最低限度の生活を保障した憲法25条は絵空事になってしまします。
この国の生活水準はどんどん下がってゆくのかと惨めな思いをもたさられるのは、私だけなのでしょうか。
東京地裁の前々日、6月24日には、京都生存権裁判第16回口頭弁論が行われ、傍聴に行って来ました。
まったく、ひどいものでした。原告の生活実態をみてほしいという弁護団の意見も聞く耳持たずで、裁判長は、ぷぃと立ち上がるや「見解の違い」とそのまま閉廷したのです。唖然とはこのことか。
リアルな実態、事実をみないでどこで判断を下すというのか、しかも、原告本人尋問はしない、証人は母子加算で一人しか認めないというものです。
「制度論」だけで片付けようという裁判所のねらいが如実に示された京都地裁第16回口頭弁論でした。
客観的事実をないがしろにしようとする生存権裁判に限りなく、憤りです。
【参考】 東京地裁判決骨子
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