成立した戦争法のPKO活動、任務遂行のためなら武器の使用も可能。自衛隊の南スーダンへの派遣は9月に訓練、来年2月に派遣とこの法律が成立する前から、成立を前提に計画されていたことが、参議院の質疑の中で自衛隊の中枢部による内部文書で明らかにされた。
駆け付け警護を行なえば、テロやゲリラの標的にされる。自衛隊員のリスクは格段に高まること必定。誤って民間人を誤射することもありうる。殺し殺されるような日本でいいのか。一刻も早く戦争法の廃止だ。
←応援よろしく
行動基準改定に着手
南スーダンPKOで初http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015092902000134.html
他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法の成立を受け、政府は二十八日、来年三月までの法施行に向けた準備を本格的に始めた。当面は集団的自衛権を行使して海外で武力行使する際や、国連平和維持活動(PKO)での武器使用基準の緩和など自衛隊の活動拡大に対応できるよう、隊員の任務遂行の基本的なルールとなる部隊行動基準(ROE)の改定などを進める。 (中根政人)=核心<3>面
安保法の初めての適用は、南スーダンのPKOに従事する自衛隊員の任務として、離れた場所にいる他国部隊や民間人を武器を使って助ける「駆け付け警護」の追加となる見通し。防衛省は、早ければ来年五月にも交代要員で派遣される陸上自衛隊北部方面隊(総監部・札幌市)から、任務追加を検討している。
任務の追加のため、防衛省を中心に新たな武器使用基準を踏まえたROEの改定や隊員の訓練、PKOの派遣計画変更などに取り組む。ROEは、敵国からの攻撃や緊急事態の際、部隊の暴走や紛争の拡大を防ぐ目的から、武器使用の手順や法的に許される武器使用の権限などをマニュアルとして定めているが、公表はしていない。
また四月に再改定された新たな日米防衛協力の指針(ガイドライン)に基づき、戦時の機雷掃海など集団的自衛権行使に対応した自衛隊員の新たなROEの整備や、日米共同作戦計画の検討も進める。
防衛省はROE改定のため、二十八日に安保法成立後、初めて省内の検討委員会を開催。中谷元・防衛相は「慎重の上にも慎重を期して検討を行うことが必要」と、自衛隊の新たな運用ルールの整備に向けた情報収集、関係省庁との連携などを省幹部に指示した。
リスク国会で議論を
安全保障関連法はさまざまな論点で議論が全く尽くされていないのに、安倍政権は審議を打ち切り成立させた。法が施行されれば、自衛隊の任務が現実に拡大する。例えば国連平和維持活動(PKO)では、現在実施している南スーダンの自衛隊部隊に、「駆け付け警護」や他国軍の宿営地の共同防護などの任務を追加する準備に入ったと言われている。
法案の国会審議では、実際に起こる任務をもとにした具体的説明は全くなかった。これでは国民が理解できるわけがない。
南スーダンの治安状況はどうか。同国や同国以外で実施された各国部隊の「駆け付け警護」はどのように行われ、どの程度の死傷者が出たのか。自衛隊は何キロ程度の距離ならば実施可能なのか。隊員の安全は。こうした問題がいよいよ現実になるのだから、政府は検討状況を明らかにしなければならない。
自衛隊は南スーダンに戦闘のための部隊でなく、現地のインフラ整備のため施設部隊を派遣している。この派遣部隊の規模をどうするのか。どのような訓練を行うのか。装備はどうするのか-。こうした点は国会で説明されていない。
日本は戦後七十年間、戦闘で一人も殺さず、自衛隊は死者を出してこなかった。安保法の施行でそれが現実に変わることになる。
PKOに限らず、法の施行を具体的に準備する段階に入ったのだから、従来してこなかった具体的な任務とリスクを説明し、国会で議論しなければならない。安倍晋三首相が強調する「国民の理解を得るための努力」とはそういうことだろう。 (聞き手・金杉貴雄)
◇
安保法が成立し、来年三月末までに施行される見通しです。集団的自衛権の行使が解禁され、日本が攻撃を受けなくても、海外で武力行使することが可能になり「戦える国」に大きく変質します。先の通常国会では、元内閣官房副長官補・柳沢協二氏に論戦を分析、評価してもらいましたが、今後も「ウオッチ安保法制」として、柳沢氏による安保政策のチェックを続けます。
やなぎさわ・きょうじ 東大卒業後、旧防衛庁入り。運用局長や官房長を歴任した後、2004~09年に小泉、安倍、福田、麻生の4政権で安全保障担当の官房副長官補を務めた。NPO法人国際地政学研究所理事長。68歳。