鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」(「友政懇」)をめぐる偽装献金事件で政治資金規正法違反に問われた元公設第1秘書の勝場啓二被告(59)の初公判が29日、東京地裁(平木正洋裁判長)で行われました。
起訴状などによると、勝場被告は鳩山首相や実母から資金提供があった事実を隠し、友政懇や「北海道友政懇」の収支報告書に虚偽の記載をした疑いです。
勝場被告は収支報告書の作成時に、まず支出総額を決めた上で、それに見合う収入額を設定。友政懇は2004年から08年分の収支報告書で、個人からの寄付や政治資金パーティーでの収入を水増し。実際には寄付をしていない人から、個人献金を受けたように記載していました。
また政治団体「北海道友政懇」も05年から08年にかけて、実母と姉からの寄付を記載しないなど、約4200万円を虚偽記載していました。勝場被告は「間違いございません」と起訴事実を認めました。
検察側は、5年間にわたって友政懇の虚偽記載の総額は3億5990万円にのぼる点にふれ、長年にわたる虚偽記載の悪質性を指摘。禁固2年を求刑しました。弁護側は、起訴内容などについて争わず、即日結審。判決は4月22日に言い渡されます。(しんぶん赤旗2010年3月30日)
政治資金は、すべて秘書任せ、母親からの年間1億8000万円の資金提供はまったく知らなかったー。初公判では、首相の「ご説明」という上申書が証拠採用された。虚偽記載の4億円超という多さや、「故人」を含め、のべ271人の名前を無断で使った悪質さなど、首相の重大な責任があらためて浮き彫りに。
元公設第1秘書、勝場啓二被告は、検察側の質問に、東京の二つの事務所(議員会館と国会近くの民間ビル)と友政懇の双方で実際の寄付収入、パーティ券収入、首相の個人資産からの資金、母親からの資金を区別することなく、一括管理し、ここから友政懇の活動、首相個人の政治活動やプライベートな支出にあてていたことを認めた。
検察側は論告で、「きわめてずさんな政治資金管理で、収支の実態を国民による監視から覆いかくす犯行」と厳しく指摘している。
偽装献金に充てられた原資は、首相の個人口座と母親からの資金提供とあわせて15億8240万円。偽装献金の補てんとの差額11億8140万円の使途について、解明されなければならない。
友政懇の収支報告書には、2007~08年で平野博文官房長官ら21人の民主党議員に資金提供が記載されているが、これは「オモテ」のカネ。03年の総選挙で同党議員に「陣中見舞い」が裏金として渡された疑惑も指摘されている。
「子分づくりのために回したことはない」という首相だが、膨大な資金をいったい何に使ったのか、明らかにする責任がある。何処にいった12億円…。
鳩山首相は、国会の答弁で「公判が終われば(使途を)公表する」と述べていた。今回、秘書が虚偽記載の事実を認め、裁判は終わる。何の障害もなくなる。いまこそ、首相は、使途を国民の前に明らかにする責任があるのだ。
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