2万6000円の「子ども手当」は、昨年総選挙での民主党マニフェストの大きな目玉商品のひとつであった。これに期待していた人もいるだろうし、半信半疑の人もいたかも知れない。それにしても、民主党が大きく掲げたことには間違いない。
案の定と言えば失礼かも知れないが、問題点大ありだ。
まず、初っぱなから期待を裏切られた。ほかに掲げた政策もそうだが財源不足が大きく横たわっている。2010年度は、公約の2万6000円は半額の1万3000円(年額15万6000円)からの出発だ。
子ども手当の財源確保のために、所得税と住民税の年少扶養控除(16歳未満)を廃止だ。所得税は11年1月から、住民税は12年6月から増税になる。
そうなると、子ども手当が支給されても、控除廃止で支給額が大幅に目減りする。
これまであった児童手当は、子ども手当支給にともない、子ども手当に含まれます。児童手当を月額1万円受けていた世帯は、子ども手当が半額支給のままでは、月3000円しか収入増にならない。こうした世帯は、増税が始まる11年1月以降、負担増になってしまう。相当数の世帯がこれに当てはまってくる。
もう一つの大きな不安。増税がのしかかる11年度以降、子ども手当が全額支給されるかどうかは、「財源のあり方も含め、改めて検討する」(長妻昭厚生労働相、23日の衆院本会議)というだけで、まったく不透明。財務副大臣らからは全額支給に否定的な発言が相次いでいる。
というのも、財源の見込みがまったくないからだ。10年度(約2兆3000億円)については1年限りとして地方などに負担を求め、残りは国債と埋蔵金でまかなうことになっている。11年度については、まったくといっていいほど財源のめどがない。
問題点の二つ目。雪だるま式の負担増だ。所得税・住民税の増税が保育料などに連動し“雪だるま式”の負担増を招く恐れがる。政府は「適切な措置を検討中」(菅直人財務相)というが、保障はない。
政府は、「庶民増税抱き合わせ」という国民の批判を受けて、当初考えていた配偶者控除の廃止と23~69歳の成年扶養控除の廃止について、10年度は見送った。しかし今後、それらの庶民増税が持ち出される可能性大いにありだ。
配偶者控除が廃止されると、かりに子ども手当が全額支給された場合でも差し引きで負担増になる世帯が出ることが日本共産党の佐々木憲昭議員の質問で明らかにされている。(26日、衆院財金委)。
子育てを支えるには、認可保育所を抜本的に増やし、深刻な状況にある待機児童を解消する、義務教育の完全無償化―などの総合的な施策が欠かせない。
華々しく掲げた「子ども手当」だが、いまのところ期待はしょんぼりだ。
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