細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『31年目の夫婦げんか』の犬も喰わない空論と微笑。

2013年06月20日 | Weblog

●6月19日(水)13−00 外苑前<GAGA試写室>
M−072『31年目の夫婦げんか』Hope Springs (2012) columbia pictures / MGM presents
監督/デヴィッド・フランケル 主演/メリル・ストリープ <100分> 配給/GAGA ★★☆☆
邦題は面白そうだったが、原題は、夫婦問題のクリニックのこと。
倦怠期というよりは、夫婦の存在そのものに意味を失いつつある円満夫婦。
これは31年の夫婦生活で、子供たちも自立している中流家庭にとっては、むしろ問題視するようなトラブルじゃない。
夫のトミー・リー・ジョーンズは実直なサラリーマンで、浮気もしない毎日がルーティンの繰り返し。要するに悠々自適。
その繰り返しの日々に業を煮やしたメリルが、活気ある夫婦生活を復活すべくカウンセリング旅行を計画する。
もちろん、それはいいことで、多くの夫婦映画はそのことに変化を求める。が、この映画には意外性がない。
いっそ「ヴァージニアウルフなんて怖くない」や「ハート・バーン」のように派手な口論をすればいいのに。
煮え切らないカウンセリングとの禅問答のような空論を繰り返し、ああ、もういいや。という退屈。
もし小津監督の「お茶漬けの味」のような繊細な情感があれば、もう少しどうにか見られただろうに。
結局は、下ネタで夫婦関係の修復を計ろうとする発想もハリウッド趣味で、おかしくもない。
オスカー女優も、ただの息抜きの企画だったろうに、これではドリス・デイのコメディにも及ばないのだ。

■フルカウントからファールで粘ったものの見逃し。
●7月26日より、TOHOシネマズ シャンテなどでロードショー