細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ベルリン・ファイル』壮絶な南北朝鮮スパイ大作戦。

2013年06月11日 | Weblog

●6月10日(月)13−00 西銀座<東映本社7F試写室>
M−069『ベルリン・ファイル』The Berlin File (2013) C.J. entertainment / C J E&M corporations 韓
監督/リュ・スンワン 主演/ハ・ジョンウ <120分> 配給/CJ エンターテイメント・ジャパン ★★★☆☆
ベルリンは、かつては西欧諸国の勢力が混在する国際スパイの戦場だったが、いまは状況が違う。
これはキム・ジョンイル亡き後の、北朝鮮の隠し軍事資金の流れと中東諸国への武器密売を追う韓国のエージェントの活躍映画か。
と思って見ていたら、どうやら脱北した活動家、つまり無国籍<ゴースト>の動向を追ったスパイ・アクション。
それも、ただの脱北者と韓国捜査官の友情ものかと思いつつ、実はその<ゴースト>を追う北側の凄腕の保安監察員が絡むという三重構造。
ダブル・スパイの知的ゲームを描いたアンリ・ヴェルヌイユ監督の「エスピオナージ」に似た複雑な追跡劇の様相になる。
しかも北の秘密捜査官<ゴースト>には、現地ベルリン大使館の通訳女性の恋人がいて、ああ、何と妊娠中。
もとはといえば彼女の上司である北朝鮮ベルリン大使の不審な動向を探る、キム新体制の特令保安監視員の介入だったのが、事態が急変した。
はじめは複雑な中東アラブ連合への武器密売ものかと思っていたが、意外な要人暗殺からは、一気に南北朝鮮の絡む三つ巴のアクションとなる。
それにしても、ベルリン市内のホテルの壮絶な脱出銃撃戦から、郊外の荒野での肉弾戦へと、まさにアクションの延長戦だ。
「続/夕陽のガンマン」を思わせるラストの三重対決も壮絶だが、さすがにキムチ・アクションの見せ場は凄まじい。
 あまり、複雑な国際情勢を気にしないで見ている分には、後半のスピード感はハリウッドを圧倒する。
あの傑作「チェイサー」のハ・ジョンウが相変わらずの不機嫌な表情でいい。

■強烈なゴロがサードのグラブを弾いてブルペンに転々のツーベース。
●7月13日より、丸の内ピカデリーなどでロードショー