ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

障害者1級 見直しの動き 先天性疾患の人 不安

2013年04月04日 10時26分42秒 | 障害者の自立

 心臓ペースメーカーの装着者や、心臓の弁の動きが悪く、人工の弁に置き換えている人は現在、全員が身体障害者手帳の一級に認められている。厚生労働省は、こうした人に対する障害認定基準の見直しを検討している。生まれつきの心臓病の人や家族らは不安を訴えている。 (佐橋大)


 身体障害者手帳があると、医療費助成や所得税の障害者控除、福祉サービスなどが受けられる。重い等級ほど、優遇される。内容は、障害等級、自治体により異なる。年金の障害等級は別物だ。


 手帳の障害等級は、基本的にそれぞれの障害で「日常生活が極度に制限される」と一級になる。心臓などの内部障害では「家庭内の日常生活が著しく制限」されると三級、「社会の日常生活が著しく制限」されると四級。視覚障害では矯正視力の左右の和が〇・〇一以下、下肢の障害では「両下肢の全廃」で一級になる。聴覚障害には一級がない。


 脈が遅くなる人の脈を整え、失神などの症状を改善するペースメーカーなどの基準が別に定められたのは約三十年前。当時は今ほど機器の状態が安定せず、生命の危機にもたびたびさらされるとして、一級とされた。


 同省では、装着後の生活の制限の度合いは、機器の性能の向上で以前より改善されたと認識。最近は一級の「極度な制限」に該当しない人が多くを占めると考えている。


 昨年四月の参議院予算委員会では、民主党議員がペースメーカー装着者の一級認定について疑問を呈した。これに、当時の小宮山洋子厚労相は「医療技術が進歩し、社会生活に大きな支障がない程度に日常生活が改善している例が多くある。このような方たちの障害認定について見直しを進めたい」と答えている。同省は今後、ペースメーカーを装着する人に対する認定基準を「装着後の状態で評価する」に改めるのが適当かを議論する有識者会議を四月以降、開く予定だ。


 こうした動きに、先天性心臓病児の親らでつくる「全国心臓病の子どもを守る会」は強く反発している。


 静岡県支部の榎本歌子代表は、これまでの議論が高齢者の患者を想定したものであることを挙げ、「先天性の患者の実情を正しく認識しないまま、今後も議論が進むのでは」と危ぶむ。


 同会によると、先天性心疾患の人の多くは、心臓やその周辺の血管の形に異常がある。ペースメーカーや人工弁で不整脈や弁の動きが改善しても、心臓の働きが十分良くならず、体も弱いままで、就労などに苦労する人も多いという。榎本さんの元には、ペースメーカーを装着した若者から、電磁波が機器に与える影響を心配され、工場での就労を断られる実情が寄せられている。


 ペースメーカーは、電池が寿命を迎える七~八年ごとに交換の手術が必要。高齢の患者と違い、幼いころから装着する患者は手術の回数も多くなる。人工弁も、成長に合わせ再手術を迫られる。


 生きづらさは分かってもらいにくく、成人後の障害基礎年金は必ずしも得られない。就労のハードルも高いという。機器の交換など、必要な医療が受けられるよう、障害一級で自己負担がほとんどなくなる現在の基準を維持することを守る会は求めている。



中日新聞-2013年4月4日