アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

正しいショパン?

2018年09月20日 | ピアノ
世の中のトレンドとはなんの関係も脈絡もなく、今朝の電車の中では「ショパン・コンクール」(青柳いづみこ)を読んでいました。

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ショパン・コンクールでは、一般の人が見られるステージに出てくる前に、書類&DVD審査が行われるのですが、DVDで審査するのも結構たいへんなことらしく、なにしろ画質も音質もバラバラで、それを差し置いて「公平に」聞くというのも難しいことですよね。(過去には、結果的に優勝することになる人をこのDVD審査でいったんは落としてしまったという事故? もあった)

ショパンコンクールに参加するにふさわしく、「きちんと」弾けているかが問われるらしいですが、「きちんと」というのはどういうことなのか?

たとえば「革命」のエチュード、「タラッララー」の「付点」のリズムを、「複付点」っぽく…つまり楽譜に書かれているよりも鋭く弾いてしまっているものが多かったという指摘があったとか。

青柳さんが、審査員のひとり、イヴ・アンリにインタビューをしているのだが、アンリ先生も、「木枯らし」エチュードで多くのコンテスタントが左手のファンファーレのリズムを複付点で弾いている(楽譜は単に付点)のでイライラしたといっている。

で、これを「楽譜が読めていない」「間違い」としてまず書類審査/一次審査のところでバサバサ落とすのがショパコンか、という話だけれど、しかしショパンが元々、19世紀の作曲家でありながら18世紀の流れを汲む書法を使っていたとすると、付点のリズムは3:1に限らず、曲のスタイルにより鋭くなったり、逆に鈍くなったりと変化することが考えられる。「木枯らし」ではともかく、「革命」のようにエモーショナルな要素の強い楽曲では、音楽の進行に従って付点が鋭い方向に変化しても別に間違いとはいえないという意見もあるとか(「ショパン・コンクール」172ページ)

この、19世紀とか18世紀とかのあたり、非常に話をややこしくしていると思うんだけど、ショパンの生きた時代(19世紀)はヴィルトゥオーソの時代というか、要するに、音増やしたり跳躍を派手にしたり、極端に速くしたり遅くしたりして、旋律をオクターブでどどどどどっ、「どやっ!!」みたいのが流行ったらしい。でもショパンはそういうの好きじゃなかったのよね。「今こうしてリストがわたしのエチュードを演奏しているのを聴いていると、とても落ち着いた気持では居られないのです」(『弟子から見たショパン』)

ショパン・コンクールを創設するにあたっては、こういう余分な飾りを排除して「正統的な解釈を普及」したいという意図があったそうなんだけど、それではいったい何が「正統的」なのか?

ショパン自身の弾き方がどういうものであったかというと、別に楽譜に書かれているとおりメトロノームどおりということではなくて、装飾音はその都度変えているとか、弟子の技量に合わせてちょいと書き換えてるとか、わりとゆるい意味での「楽譜どおり」だったようなのですね。それに、自在なルバート…

今ふつうに聞くルバートは、ちょっと遅くなるところと速くなるところがあって全体でつじつまが合うようにするというか、それで左右の手はタイミングが合っているというものだけれど、

ショパンのルバートは、左手は「幹」のごとくがっしりとゆらがずにそこにあって、右手が「葉」のごとく自在にゆれるというものだったらしい。

そういったことを含めて、ショパンは19世紀人でありながら18世紀ベルカント的というようなことをいうようだけど、

ショパン・コンクールでの「正しいショパン」というのはそれに戻っていくということでもないんですよね。

楽譜に付点と書いてあれば付点。

ルバートは左右の手で合ってるやつ。

それで、審査員の中では磐石に意見統一がされているかというとそんなことはなく、ポゴレリチがありとかなしとかいって揉めたりするわけですね。

いろんな人が、いろんな違う「正しいショパン」というのを持っていて、いろんな主張をするので、
まぁたいへんだよね…
コンクールに出るのでなければどれでもいいっちゃいいんだけど。

バッハとかショパンとかって、どう弾いても何か(間違ってるとか)いわれそうだから面倒、というか敷居が高い気がする。吉松とかって好きなように弾いてもあんまり文句こないからいいよね(^^;;


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