アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

オーガニックな演奏

2017年01月31日 | ピアノ
別に、楽譜白い系だから甘く見ていたとかそういうつもりはないのだけど、ショパンマズルカだのシューベルト即興曲、アルカンの「ファ」にかまけてて手をつけるのが遅れたのは確か。

   にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←ベヒと吉松の相性はばっちりです。いいなぁ

気が付いたらひたひたとピアノサークル発表会が迫ってきていて、慌てて吉松隆の「4つの小さな夢の歌」の練習を始めたけれど、まぁ素敵に弾くのが難しいことくらい知ってたけれど、それどころか音が並ばないんですがどうしたら(-_-;;

という状態でレッスンにいってまいりました。この曲をどうしても弾きたくなったのは内藤晃さんのせいなので(CD持ってる)セキニンとってもらうっていうか(^^;;まっすぐ持ち込みました。内藤先生のレッスンは初めてじゃなくて二度目です。一度目はずいぶん前、YUMIさん企画の公開レッスンで、そのときはショパン24の前奏曲集から13番でした。

えっちらおっちら「春」からいくと、まず言われたのが
「伴奏の部分を、バランスよく溶け合わせて、その上に旋律をのせる」
ってことでじゃあどうすればという感じですが、
・先生に伴奏弾いてもらって旋律弾く
・先生に旋律弾いてもらって伴奏弾く
の手順を踏むとあら不思議、ずいぶん改善しました。こうして弾くとキレイ(^-^)

内藤先生のところのピアノはほどよくこなれた感じのベヒシュタインで、丁寧に弾くとちゃんと狙ったような音が出る(こともある)、いいピアノでした。だんだんレッスン内で弾き方がマシになってくると、とても幸せな響きがします。

が、しかし、私が弾くと安定しない…細かい音のところになるとガタガタが目立ちます。
「この音は黒鍵でこの音は白鍵でしょ。鍵盤の底の位置が違うわけだから変えて弾かないと」
おぉぉ。そりゃそうだ。うーん難しい

「夏」は、比較的問題は少なく、でもp → mp → mf → f のめりはりをつけるにはもっと最初抑えていかないと。
小さく弾くの難しいです。制御できずにときどきどしんと行くとこの残念感ハンパないんですけど。

「秋」はまた、「春」みたいな問題点浮きぼり系の曲で、なかなか難しくて格闘しているところへ
「音の方向、これそっちじゃないですよねぇ」
などとツッコミが入ると、はい~?? 私なにやってましたっけ??(自分が何やったか把握できてない)

それで、バスの音がソ→ラ→シってきてるからこのシのところで旋律はこうでしょ。
なるほどそうですね、と理解するところと実際にそう弾くこととはまた距離がある。もどかしい。

そしてテンションの上がり下がりとかシーンチェンジとか…

突然雰囲気の変わる音とか…

もちろんそういう、表現すべきポイントというのはあるんだけど、先生が何度も口にしたのが
「もっとオーガニックに」「その延長上で」
というようなこと。オーガニックというのは初めて聞いたけれど、先生の先生がよくいっていたそうで(「なすがママ、いもがパパ」とも)、こういう曲だったらとりわけ、何か不自然につくったりしないで、そのまま弾く。ポイントだけちょっと助けてあげるくらいで。

先生が見本弾くと、たーしーかーにー。「つくらなくても」素敵。つくる演奏ってどんな、というのでちょこっとtoo muchな演奏の実演もしてもらった(笑える)

「冬」の弾けないところは、そもそも左手で10度が連続出てくるのも問題で「物理的に届かないものはしかたありませんから」とあっさり音削ることを薦められた。ずらして必死で弾いてたけど雰囲気壊すし音楽の流れ止まるし、まぁロクなことはないので。というわけでこの線で練習します。

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「蔵」に響くシューベルト

2017年01月29日 | ピアノ
この空間、歌+ピアノには絶対向いてる!! と思ったんですよね(^^)
3月19日にはシューマン詩人の恋レクチャーコンサートをやる「しらべの蔵」で、今日はグランドオープンコンサート。

   にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←短い人生で600曲超の歌曲を(o_o)

内藤晃さんが解説しながら進めてくれるんだけど、オールシューベルトの、歌あり、チェロあり、ピアノソロあり、とっても耳が幸せなひとときでした。

シューベルトさんって、ほんとに美しいメロディーを書いてくれるんだけど、「長いよ!!」ってツッコミたくなることも多いですよね。特にソナタなんて、練習会とかで気軽に選曲できる長さじゃないもの。

でもでも、歌なら短いんですよ!! (^o^)/
いろんな雰囲気のを、次々何曲も聞けちゃうんです。

「春に」「愛の使い」「セレナーデ」「ミューズの子」「水の上で歌う」「さすらい人の夜の歌」「さすらい人」「月に寄せて」

シューベルトって、貧乏のイメージが強いけど、低所得と貧困は違います。彼は「ぼっち」じゃなくて、ちゃんと人脈を持っていて、曲を作っては、誰かが歌ってくれて、近しい人たちの中で披露するというようなそんな作曲生活。リストみたいにリサイタル開いてきゃーきゃー言ってもらったわけではないのだけど、なんだか幸せそうです。

「シューベルティアーデと呼ばれる集いで、彼らはシューベルトの新作を聴き、ワインを片手に文学や芸術を語り合った。」
「友人たちの喝采が彼にはいつでも最高に嬉しいものであったが、大衆の喝采は彼を感動させず、彼はそれを求めもしなかった。」(コンサートで配られた「シューベルティアーデの奇跡(内藤晃)」より)

今日の会場である「しらべの蔵」は椅子をMAX並べても30席が限界の小さなサロンで、しかも二階席まで入れての30席ですから、ほんとうにこじんまりした親しい空間になります。シューベルティアーデの再現にはぴったりです。

それで、今日の歌はみんなドイツ語で歌われていましたが、聞くだけじゃ何いってるかぜんぜんわかんないところ、全部、歌詞の日本語訳をプリントで配ってくれたという親切設計。

私、第二外国語はドイツ語だったんですが、すべて忘れて(もとからあまり覚えてなかったともいう)、いまや1から10までも数えられないていたらくですが、歌を聞きながら日本語の歌詞を見ていれば、ところどころわかる言葉…「森」とか「愛」とか「何」とか「どこ」とか…それと、英語から類推きくような言葉とか…そういうのを手掛かりに、今何を言っているかがわかるんです。そうすると言葉の意味と、歌の旋律がほんとうまいこといってるなぁというか、歌が詩を表現しているのだということが納得できます。

ドイツ語で歌われるときって、意味がぎゅっと少ない数の音節に詰まっていて(ひとつの音節に子音てんこ盛りだから)、同じ歌に日本語の訳詩をつけると、ずいぶんちょびっとのことしか言えなくなります。そうでなくても語順とか違うんだから同じにならないのは当たり前だけれども。

ドイツ語と旋律がぴたっと密着したところに成立しているシューベルトの歌というのがとてもおもしろいと思って、ドイツ語を必要な単位としてしか考えず中身を全スルーしていたことをちょびっとだけ後悔しました(^^;;

ピアノは大屋根全開でしたが、内藤さんはほんとうに音のコントロールが完璧で、音色も音量も、蔵の中でベストバランスになるよう演奏されてました。

歌のほかは、アルペジオーネソナタ、そしてピアノソロはなんと、即興曲op90-3でした!!

元々、内藤晃コンサートで惚れちゃった曲を、ぼちぼち練習してようやく昨日、人前で弾いたところで、また今日ナマで聞けちゃうなんて(^-^)

もう感激して、ほんといい曲だー!! 昨日で終わりにしちゃうのはもったいない。
家に帰ってから、いそいそともう一度op90-3を弾いてみると、あらなんだか昨日よりちょっと素敵なような…錯覚かもしんないけど(笑) いいイメージを持って弾くといいことがあると思うんだ。

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フラットいっぱいシューベルト

2017年01月29日 | ピアノ
昨日はテーマ限定の会、お題は「フラット4つ以上」でした。

   にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←フラットてんこ盛りのあとはビール祭りでした

この会への参加を決めたのはもうずいぶん前で、なんと去年の9月ですよ。そこから、フラット4つ以上ってことはモーツァルトさんとかは書いてないよなと思って、まず見たのがショパン。マズルカの楽譜をつらつらと見ていって、そこでop56-3にずっきゅーんと出会ってしまって(でもフラット3つ)それにハマって延々と回り道。

それで、フラット4つのほうはどうするよ、と思ってブルクミュラー25番、18番、12番の三冊から各1曲だけあるフラット4つに目をつけたはいいものの、結局あれこれと別件あり、正月休みだってちっともブルクに回る隙がなく、そのままバタバタと。

気が付いたら、特に人前で弾くというつもりではなく自分のために弾いてみてたシューベルトの即興曲op90-3、これを弾くっきゃないというところまで追い込まれていた。

いやいいんだけどね、4つどころか6つもフラットついてるし、お題としてはばっちりだよね。

この曲を人前で弾くイメージがつかめなかったのは、おゆき先生も言ってたように、下手に弾くと聞いてる人を退屈のどん底に突き落とすつらい曲(長いし!!)ってことで…でも弾いてるうちにどんどん好きになっちゃったし、もういいやって。


昨日の会場は、ピアノもいいし天井高くてやさしいひびきのホール60(原宿)、街がめっちゃ若者だらけでびびる。

持ち時間は14分、もちろんシューベルトop90-3だけでは埋まらないが、一巡目はなんの曲でもよくて二巡目だけ縛りとのことなので、一巡目はアルカンの「ファ」を弾くことにする。

この曲はイロモノで弾くべく鋭意練習中だけれども当然のことながらまだまったく仕上がってないどころかレッスンもこれからなのだけれども、スケジュールを検討するに、イロモノの前に人前で弾いてみるとすれば昨日がオンリーワンのチャンスなので仕方がない。

自分が弾く前のいろんな演奏を聞いているときには、響きすぎるピアノ(+音響)なのかなという印象だったのに、いざ自分が「ファ」を弾き始めてみるとぜんぜん響かない(ような気がする)。決して弾きにくいピアノではないのだけど、思ったように響かず焦る。

あとでわかったのだが、響きの特性というか私の座っていた客席は響きすぎ、弾いている本人にはやや聞こえづらいという会場のようだ。録音を聞いてみると、本人の主観とは違ってふつうに響いている。

でも弾いてるときは焦ってたのでいつもより余計に噛みまくり。焦ったときに噛みまくるのは曲がわかりにくいせいでもあり練習不足のせいもある。これ、三月までになんとかなるんだろうか??

二巡目の縛りタイムはシューベルト。今度は一転して弾きやすく感じられ、気になっていた響きも、自分が狙うところがちゃんと得られている感触があり、別物のよう。

弾いている間、自分としては気分よく、あちこち細かいところは弾けてないものの(←これは仕様です)、いいピアノ、いい会場をしみじみ楽しんで味わうことができた。

昨日のシューベルトop90-3録音

録音を聞いてみると、確かに楽しそうに弾いてる感じ(笑) ただし聞く立場からいえばテンポ遅いというか、もっと「巻き」でいってもらわないと長くてしょうがないんだがこの曲は。全体にゆっくりなのもさることながら、途中、よく頭に入ってない音を探している間延び感はいつものことながらなんとかしてほしいものだ(と他人事のように)。

もっと弾き込んで手に馴染んでくれば違う明日も見えてくるだろうか。


結局、アルカンは噛んで時間が延び、シューベルトはゆっくり楽しんで弾いて時間が延び、二つ合わせてほぼちょうどよく持ち時間を使い切った格好になった。

みんなの縛りタイムを聞いていると、ショパン、ドビュッシー、そして私が持ってた楽譜(シューベルト)の中からもいくつか。目次を見て思ったんだけどシューベルトのフラット盛りはすごい:

14曲並んでいるこの目次、フラットが全部で46個もありますよ!!

昨日の会で選ばれるのも納得ですね。

それとね、フラット多めの曲を聞いてるとなんかなごみます。まったりしたいい雰囲気、いい演奏てんこ盛りでした。次はシャープ四つ以上という縛りが行われるらしい(^^;; どんな雰囲気になるやら。

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音楽を聴くには練習がいる

2017年01月27日 | ピアノ
「脳はこんなに悩ましい」(池谷裕二&中村うさぎ)に出てきた話で、だいぶ昔の実験らしいけど、西洋音楽を聞いたことない人(アフリカ)にモーツァルトの音楽を聞かせてみたってのがあって…

   にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←あなたの限界は今どのへん?

音楽として認識されなかったと。どういう確かめ方をしたのかは知らないんですが、モーツァルトの音楽、どのくらい好みなのかは人によるとしても、誰が聞いてもとりあえずきれい~とかくらいは思うんじゃない? と思われるかもしれませんが、それは我々がすでにどっぷり西洋音楽に毒されている、いや別に悪い意味じゃありませんが、「素養」があるといってもいいですが、聞き方のルールやコツみたいのを知っているからモーツァルトきれいってなる。

私の場合だと、モーツァルトに限らず、いわゆる「昭和のピアノ教室」に流れるような音楽ならどっぷり浸って育ったわけで、バッハ以降、リストとかブラームスとかくらいだったらものすごくたくさん聞いている。いわば「聴く練習」済みというわけですね(一部、あまりに耳タコすぎてアレルギーっぽくなったものとかもあったり)

その後、ラフマニノフとかラヴェルとかも「ちょっと新鮮」くらいの位置づけでよく聞くようになり、
さらに、
どうなんだろう?? と、私的境界の外にあったストラビンスキー春の祭典も、artomr先生の「はるさいレッスン」を経てがぜんおもしろくなった。というか聞いていてあの、前にはぐちゃっとしか聞こえなかった響きも「きれい」って聞こえてきて、ミスタッチするとちゃんと「あっ違った」ってわかるようになった(笑)

しかし、私の限界はおよそそこいらへんにあって、シェーンベルクとかベルクとかウェーベルンとか、いいと思えないわけね。

ところが池谷さん(元々クラオタらしいが)は諦めないで(?)がんばった。

ベルクの曲について
「彼の音楽はとてもキワドイんです。ちっとも美しくないのですが、美しいという概念を究極に広げると、これも美しいという範疇なんだ、と感じるようになります。初めて聞いたときは、全くいいと思いませんでした。でも、音楽専門家たちは「耽美的でロマンティック」と絶賛するから、「そうか、これを美しいと感じなければいけないんだ」となかば義務的に一か月間聴き続けました。その結果、今の私には、ベルクの音楽は美しくて仕方ないもの、いや、美の極限値となっているんです。」

まじめですね。コツコツと毎日まいにち「30日完成、あなたもベルクリスナー」

これ、私の場合は「弾いてみる」というかなり能動的なかかわりをしているから「何か」が起こりやすいかと思うのですが、ただ聞くだけでもそんな180度転回するような効果が出てくるところ、おもしろいですね。

「美しい」っていったい何なんでしょうね、もともとは。

知っているものに近いこと、でもちょっと違うこと、
均整がとれている(と感じる)こと、でもちょっと違うこと、

ある程度、馴染みがある、予想ができる、把握できるというところと、そこからはみ出したところの、何かバランスのようなもの。

そういう点では、たぶん美術と音楽は共通するものがあるのだし、でも、音楽の場合には強烈に
時間で進んでいくこと(リズム、ノリ)
という要素が大きいから、

これに、ノレるか、ノレないかというのは大きな分かれ目。分析をしたり知識を仕入れたりはしなくても、ここのところは、回数を重ねるだけでも劇的なブレイクスルーというものがあるのかもしれません。

そうやって限界突破していくことで、老後の楽しみの幅を広げておくべきだろうか?

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「羊と鋼の森」の映画化するならぜひ…

2017年01月26日 | ピアノ
森下さんや福間さんのピアノ弾く動作を「美しい」と書きましたが、熟達した動作というものはジャンル問わず美しいもので…

   にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←ピアノと調律の魅力がわかる映画になったらうれしいな

スポーツももちろん。テニスでボールを打つ動作であれ、棒高跳びの飛び越える動作であれ、洗練され合理的な動作は美しく見えますよね。これ、自分自身は棒高跳びの「ぼ」の字もできないくせに、動作の美しい美しくないは見て取れるってのがおもしろいところだと思います。

音楽やスポーツだけでなく、寿司職人が寿司を握る動作であっても、あるいはプロ棋士が駒をぴしりと打つときの動作であっても同じ。駒なんて、かっこ悪く盤にちょんって乗せたって強さの本質にはなんの影響もないはずなんですがね。不慣れな俳優さんが和服着てタイトルシーンやっても、なかなかプロ棋士には見えません。不思議なもんです。

ピアノの調律だって、ベテランの調律師さんの動作のひとつひとつがサマになっているもので、見た目だけでも一朝一夕にはマネできないと思います。「羊と鋼の森」が映画化されるそうで(来年公開)、楽しみなような怖いような…

調律師の映画といえばもちろん「ピアノマニア」…あれはほんとに調律してるんでいいですが、俳優さんに調律シーンをやらせるならピアノシーンと同等の配慮が必要だと思います。そのシーンに説得力がなかったら根底からひっくり返っちゃうから。

ピアノにも、もちろん調律にも、なんの興味も関心も知識も持っていなかった主人公(当時高校生)が偶然、スーパー調律師さんの調律(高校体育館のピアノ)作業時に居合わせて、それでコロリといっちゃう話なので、その調律がダサかったらなんも始まらないので。

そのあと、主人公がなんとか調律師の専門学校を出て就職し、スーパー調律師さんのホール調律を見学させてもらうシーンがある。このときになると、主人公も一般家庭のピアノだったら何度も調律したことあるんだけど、ホールのピアノは、そしてスーパーな調律というのは別物。

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板鳥さんが鍵盤を鳴らし、耳を澄まし、また鍵盤を鳴らす。一音、一音、音の性質を調べるように耳を澄まし、チューニングハンマーをまわす。
だんだん近づいてくる。何がかはわからない。心臓が高鳴る。何かとても大きなものが近づいてくる予感があった。
(中略)
ぼやけていた眺めの一点に、ぴっと焦点が合う。山に生えている一本の木、その木を覆う緑の葉、それがさわさわと揺れるようすまで見えた気がした。
今もそうだ。最初はただの音だったのに、板鳥さんが調律し直したとたんに、艶が出る。鮮やかに伸びる。ぽつん、ぽつん、と単発だった音が、走って、からまって、音色になる。ピアノって、こんな音を出すんだったっけ。葉っぱから木へ、木から森へ、山へ。今にも音色になって、音楽になっていく、その様子が目に見えるようだった。
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自分は迷子だった(迷子であることにも気づかなかった)、求めていたのはこの音だ、この音があれば生きていける。

…こんなシーンに、調律師と称する俳優の動作が不自然だったらぶち壊しである。映画作るんならホントに気合入れて作ってもらいたいと切に願う。

でもそしたら本物の調律師(それも凄腕の!!)を呼んで来るしかないんじゃないの~?? 映画の技術のことはよくわからんけど。

そういえばパガニーニの映画では、ビジュアルも完璧パガニーニ、それでバイオリンもパガニーニばりに弾ける、しかも演技もできちゃうというなんでそんな人がリアルにいたんだかわかんない人をよくぞ探して主役に持ってきたもんです。バイオリンなんて、ピアノよりもっと、手元と顔と分けて映しづらいからね…

それと、調律したピアノを弾くふたごの高校生もね。調律の音の差がわかる、そして人の心をつかめる素敵なピアノを弾いてほしいなって思います。昨日の記事を書いたあと、のだめのピアノシーンをいくつか見直してみたんだけど(*)、まぁね。とにかく動作が不自然なことは(あれだけ練習してあるのに)隠しようもなく、でもなんか許せるのは全体が基本、コミカルな映画だからというのがあって。

「羊と鋼の森」やるならマジで説得力のある絵と音作ってほしい。よろしくお願いします。(←誰も聞いちゃいないって)

(*) メイキングを見直してみました。特注ピアノ、中はちゃんと弦が張ってあって、でもパタパタ鍵盤叩いててもまったくダンパーはピクとも動いてませんでした。

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