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おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ブラッド・ワーク

2020-03-08 07:33:57 | 映画
「ブラッド・ワーク」 2002年 アメリカ


監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッド
   ジェフ・ダニエルズ
   ワンダ・デ・ヘスース
   ティナ・リフォード
   ポール・ロドリゲス
   アンジェリカ・ヒューストン
   
ストーリー
元FBI心理分析官テリー・マッケイレブ(クリント・イーストウッド)は2年前、連続殺人犯“コード・キラー”を追跡中、突然心臓発作で倒れてしまい、犯人を捕り逃してしまう。
心臓を移植して何とか一命を取り留めたテリーは早期退職し、現在はクルーザーでの隠居生活を送っている。
そんな彼の前にある日、グラシエラ(ワンダ・デ・ヘスース)と名乗る見知らぬ女性が現れた。
そして、自分の姉を殺害した犯人を探してほしいと依頼する。
心臓移植したことを理由に断るテリーにグラシエラは、その心臓が殺された姉のものであることを伝える。
その事実がテリーを再び捜査の現場へと引き戻すことになった。
テリーはいつ発作が起きるか分からない状態の中、独自に捜査を始める。
事件を担当することで心臓に負担がかかり体調が思わしくなくなっていることで、主治医のフォックス女医(アンジェリカ・ヒューストン)はやめるように促すが、テリーは捜査を続行する。
ロサンゼルス市警の元同僚だったアラゴン刑事(ポール・ロドリゲス)や、ウォーラー刑事(ディラン・ウォルシュ)はテリーに犯人を見つけられることを恐れて協力を惜しむ。
保安官事務所のジェイン刑事(ティナ・リフォード)はかつて手柄を譲ってもらった恩義から捜査に協力的となる。
心臓移植したばかりのテリーは行動が制約されるために、隣に碇泊しているヨット仲間のバディ(ジェフ・ダニエルズ)に運転を頼み、殺人事件の遺族のもとを訪れて事件の共通点がないか聞きただす。
体を張って捜査を続けるテリーの姿にグラシエラは好感を抱き始め、亡くなった姉の息子もテリーになついてきたのだが、そん中で再び暗号を残したミステリー殺人が起きる。
ある日男の死体が発見され、遺体が以前の被害者の遺留品を所持していたので殺人犯が追い詰められて自殺したものと思われたが、テリーには信じられなかった。


寸評
テリーへの挑戦状と思われる血文字と、謎の暗号を残した猟奇殺人が起きるが、犯人は現場に居合わせていて、それを発見したテリーが追いかける。
まるで往年の大ヒット作「ダーティ・ハリー」を思わせるスタートである。
実際のクリント・イーストウッドと同様に、テリーも歳が災いして追跡も苦しいものがある。
もう少しで捕まえられると思われたところでテリーが心臓発作を起こしてしまい、犯人に銃弾を浴びせたものの取り逃がしてしまう。
画面はすぐに変わり2年後のテリーの姿が登場するが、場所は病院で彼が心臓移植を受けたことが明かされる。
隣の病室には心臓移植を待ちわびる少年が入院していて、心臓提供者がいたテリーは幸運だったことが医師によって語られるのだが、それがすべての始まりでもあった。

ドナーの情報は明かされなものだが、妹が死亡した日と、テリーが移植手術を受けた日が同じで、血液型も合致していることを知って、妹の臓器提供者がテリーであると推測したグラシエラは聡明な女性と分かる。
一人残された幼い息子の面倒を見ているらしいのだが、やがてこの二人が危険な目に合うのが見え透いているのだが、犯人がなかなか現れないので、予想されるその展開もなかなか始まらない。
それでも観客の興味を途絶えさせることなく引っ張り続けるのだから、ストーリー的にも練られた脚本だ。
主人公が心臓移植を受けているという設定が目新しい。
その事で、主人公が自動的にスーパーマン的な活躍が出来ない状況を自然なものとしている。
元FBI心理分析官のテリーが、分析力で犯人を追及していく様子がテンポよく描かれる。

容疑者と思わる男の存在と、彼らが消えていくストーリーも無駄がない。
ただそのことで、この手の映画を見てきた者にとっては犯人が推測されてしまう欠点も持ち合わせてはいた。
少年がテリーの持つ拳銃を見つけ興味を持つが、このシーンの意味がよく分からない。
何かの伏線かと思ったが、そうではなかった。
専門部署に問い合わせてもわからなかった暗号に対し、少年が「1がない、ノー・ワンだ」と言うが、これが決定的なヒントであることは、ストーリー的にも間違いがないが、それが何を意味するのかこの時点で分かった人は居ないだろう。
再見すると、相当前に発せられているのだが、日本人の僕には想像のつかないものだったし、字幕を読むことで精一杯の僕は書かれた文字など判読する余裕はなかった。

ラストに向かっては少々走りすぎたきらいがある。
それまで築いてきた緻密さが崩れたような気がするし、心理戦だった話が船上での活劇に移行してしまうのには違和感があった。
僕としては最後まで理詰めで犯人を追い詰めてほしかったし、別の人間、例えばジェイン刑事に活躍させても納得できたと思う。
でもなかなか見ごたえのあるサイコ・サスペンスで、僕は満足できた。


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