goo blog サービス終了のお知らせ 

おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ゴッドファーザー

2025-01-12 07:15:44 | 映画
「ゴッドファーザー」 1972年 アメリカ

監督 フランシス・フォード・コッポラ
出演 マーロン・ブランド アル・パチーノ
   ジェームズ・カーン ジョン・カザール
   ダイアン・キートン ロバート・デュヴァル
   タリア・シャイア リチャード・カステラーノ
   ジョン・マーリー スターリング・ヘイドン

ストーリー
コルレオーネ(マーロン・ブランド)の屋敷では、彼の娘コニー(タリア・シャイア)の結婚式が行なわれていた。
ボスのドン・コルレオーネは、相手が貧しく微力でも助けを求めてくれば親身になってどんな困難な問題でも解決してやり、報酬といえば友情の証と“ドン”あるいは“ゴッドファーザー”という愛情のこもった尊称だけだった。
ドンのお気に入りの名付け子で、歌手として成功したが今は落ち目になっているジョニー・フォンテーン(アル・マルティーノ)もその1人で、新作映画で彼にきわめつけの役をハリウッドで絶大な権力を持つプロデューサー、ウォルツ(ジョン・マーレイ)からその主役をもらえずにいた。
ある朝、目を覚ましたウォルツのベッドの中に、60万ドルで買い入れた自慢の競走馬の首が転がっていた。
それからしばらくしてフォンテーンの許に、その新作の大役があたえられた。
ある日、麻薬を商売にしている危険な男ソロッツォ(アル・レッティエーリ)が仕事を持ちかけてきたが断った。
ソロッツォは、ドンさえ殺せば取引は成立すると思い、彼を狙った。
早い冬の夕暮れ、ドンは街頭でソロッツォの部下に数発の銃弾を浴びせられたが一命はとりとめた。
ソロッツォの後にはタッタリア・ファミリーがあり、ニューヨークの五大ファミリーが動いて戦いが始まった。
末の息子マイケル(アル・パシーノ)は、一族の仕事には加わらず正業につくことを望んでいたが、父の狙撃が伝えられるや病院に駈けつけ、咄嗟の策で2度目の襲撃からドンの命を救った。
ドンの家では長男のソニー(ジェームズ・カーン)が部下を指揮してドンの復讐を誓ったが、一家の養子で顧問役のトム・ハーゲン(ロバート・デュヴァル)は、五大ファミリーとの全面戦争を避けようと工作していた。
危険を感じたマイケルはソロッツォを殺害し、父の故郷シシリーへ身を隠した。
タッタリアとの闘いは熾烈をきわめ、ソニーは持ち前の衝動的な性格が災いして敵の罠に落ち殺された。
シシリーではマイケルが暗殺から逃れ、アメリカに帰った彼はドンのあとを継いでボスの位置についた。


寸評
見終るとフゥーッとため息が出るくらい緊張感を保った重厚なギャング映画である。
マフィアを描いた作品としてはこれほどの作品はない。
冒頭は圧倒的な実在感で繰り広げられる結婚式のシーンだ。
その合間に同郷の者たちがドン・コルネオーネに泣き言を言ってくるが、ドンはそれらの問題を引き受けてやる。
ドンの人柄とファミリーの結束を見事なテンポで描いていくので、最初から映画世界に引きずり込まれてしまう。
このドン・コルネオーネのマーロン・ブランドが年老いたドンを見事に演じ、その風貌としわがれた声で圧倒的な存在感を示す。
先ず最初に描かれるのがフランク・シナトラがモデルとも言われるジョニーにまつわる話である。
復活を期す彼の出演を拒み続ける映画のプロデューサーが目を覚ますと、血まみれになった愛馬の首がベッドから現れるショッキングなシーンが冒頭で強烈な印象を残す。

コルネオーネはマフィアだが麻薬には手を出さない節度を持っている。
5大ファミリーの会合シーンでは、麻薬を青少年に売ってはいけないなどと言うボスを登場させて、場違いな正義を描いたかと思うと、その後すぐに黒人には売ることにしようなどと人種差別容認ともとれることを認めている。
この会合シーンは短いながらも、なかなかな息詰まるシーンとなっている。
スリリングなのは、ドン・コルネオーネが果物屋の店先で撃たれるシーン、あるいはマイケルが深夜に重体の父が入院中の病院を見舞った時に、警察とグルになった対抗組織の襲撃計画を間一髪でかわす場面などで、一瞬たりとも息を抜かせない展開にしびれてしまう。

マイケルがレストランで対抗組織のボスと、ボスと結託している警部を射殺するまでのくだりの緊迫感、ソニーが有料道路の料金所で蜂の巣になる壮絶なシーンも見逃せない。
この二つのシーンにおいて、沈着冷静に事を運ぶ弟のマイケルと、瞬間湯沸器的でカッときたら見境をなくす兄のソニーの違いを見事に描き分けていたと思う。
しかもそのソニーの暗殺は仕組まれたことであり、その後始末の描き方もマフィアの結束と非情さをものの見事に描いていて、脚本の素晴らしさにも唸らされる。
マイケルの見事なまでの作戦で、敵対するファミリーをせん滅するのだが、それを描くのにギャングの騒々しい抗争を選ばず静かに描き切ったことに僕は身震いしてしまった。
マイケルの子供が教会で洗礼を受けている。
神父の問いかけに「守ります」とマイケルが淡々と答え続けている洗礼式が見事なショットでとらえられ、あくまでも静かな教会の様子が映し出される。
その合間に敵対マフィアの殺戮が次々と行われていく見事なカットバックが素晴らしい。
まさしく映画と思わせる美しいシーンだ。
この映画を単なるギャング映画としていないのは、緻密な人間描写を丁寧に描き、そして重厚な人間関係をも丁寧に描き切っていることだ。
この映画の魅力を語りだせば、誰もが一言発したくなり、語っても語り尽くせない見事な作品となっている。
新たなドンの誕生と妻の不安を示すラストシーンは滅茶苦茶いい。
テーマ音楽は言うまでもない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿