おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち

2019-04-27 10:45:40 | 映画
「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」 1997年 アメリカ


監督 ガス・ヴァン・サント
出演 ロビン・ウィリアムズ マット・デイモン
   ベン・アフレック ステラン・スカルスガルド
   ミニー・ドライヴァー ケイシー・アフレック

ストーリー
ウィル・ハンティングは、マサチューセッツ工科大学で清掃員のバイトをしている。
親友のチャッキー、モーガン、ビリーらとつるんで、たびたび警察沙汰の事件を起こしたしてタチが悪い。
しかし、実は彼は特に数学に異様な才能を見せる天才だった。
ウィルはある日、MITの掲示板に書かれた難解な数学の証明問題を人目を盗んでこっそりと解く。
出題者のランボー教授は問題を解いたのがウィルと知り、傷害事件で拘置所にいた彼をたずねて、週2回彼と共に研究室で勉強し、さらに週1回セラピーを受けることを条件として身柄をあずかる。
フィールズ賞受賞のランボーでさえ手こずる数学の難問をあっさり解いて周囲を驚嘆させるウィル。
しかし、孤児で里親を渡り歩き、虐待までされた不幸な過去を送った彼は、誰にも心を開かないのだ。
ランボーは大学時代のルームメイトだったショーン・マクガイアをたずね、ウィルと境遇が似ている彼なら、ウィルの相手もつとまるのでないかとセラピーを依頼する。
マクガイアの言葉をウィルは黙って聞くが、セラピーでは沈黙を守った。
ウィルはハーヴァード大学の女子学生スカイラーをデートに誘い、やがて結ばれるが、自分の素性だけはどうしても告白できない。
西海岸の医学校に進学を決めたスカイラーは、一緒に来てとウィルを誘うが、混乱する彼は拒否した。
ウィルは傷心を抱えてセラピーもすっぽかし、刑務所に逆戻りの危機まで訪れるなかで、ショーンにも虐待の過去があったことを知る・・・。


寸評
登場する3人の性格設定が映画を面白くしている。
ウィルは孤児で転々とした里親からの虐待を経験し、そのトラウマから抜け出せないでいて、捨てられる前に捨てるという孤独の世界にいて人と打ち解けないでいる。
ショーンも妻と死別して、そこから立ち直れずかつての生気をなくしてしまっているのだが、過去にウィルと同じような経験も有している。
ランボー教授は数学のノーベル賞とも言われるフィールズ賞を受賞している有能な数学者なのだが、そのことを鼻にかけているような所があり、上から目線の態度を見せる。
そして、ランボー教授とウィルの関係はまるでサリエリとモーツァルトの関係みたいだ。
ウィルの才能を惜しみ、彼の将来に道を与えようとしていながら、ウィルの才能の前に自分の無力を知り嫉妬に駆られたりしている。
彼は威厳を保つために、ウィルの出した解答に間違いがあるようなことを言う。
それに反発したウィルが答案用紙を燃やすと、答えが消え去ってしまうのに慌てた教授が必死で火を消し止めたが答えが消失してしまっていて愕然とする場面などは二人の関係を面白く描いていた。
ランボー教授は自分のために彼を利用しようとしているフシも見受けられたが、ショーンとの関係はそうではない。
ショーンが描いた絵から心理学にも長けていたのだろうウィルに心の傷を言い当てられてしまう。
そこでショーンが妻への侮辱は許さないと感情をあらわにしたことで二人の距離は近づいたようだ。
上から目線の相手より、自分と同じような傷、あるいは欠点を持った人間との方が打ち解けあえる典型のようだ。
その場面での会話は興味がわいた。
女子大生のスカイラーと出会う場面で、知識を見せびらかす男子学生に「受け売りのエセは50年後に自分の正体を知る」と言い放つ。それと同じようなことをウィルはショーンから言われていて、ウィルの知識も書物からの知識にすぎず、自ら確認したものでないと指摘される。
ショーンはそのことを通じて、あるいは自分の経験を通じてスカイラーとの関係のあり方を説くいい場面だ。

ウィルの心を許していそうな友人たちとの生活は、単純労働の世界であり、警察沙汰を起こすすさんだものだ。
しかしその中の一人であるチャッキーは「才能のあるお前が、もしずっとこの町にいたら、俺はお前を殺す。ここにいるのは俺たちへの侮辱だ」と忠告する。
不良仲間だけど、友達っていいよなあと思わせる感動的な場面だった。
彼等の精一杯の気持ちでポンコツ車をプレゼントする仲間の交流は心が和むものだった。
提示された難問とされる問題が一体どのような命題なのかは観客にわからないままだが、その命題を示されたところで僕にはその意味すら理解できなかっただろうけどね。
ラストはある程度予測されたものだったが、驚いたのは、知らなかったことだけどマット・デイモンが名門ハーバード中退のインテリだったことだ。
ハーバード大学はマサチューセッツ工科大学の近くにあるということを、ウィルがスカイラーと出会ったことで知った次第。
変なところに興味がいった。


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