TVおじさん

世相の鏡であるテレビから学び、時として批判も。メディア表現にも触れる。まだ元気、散策の想い出も綴りたい。

“諸刃の剣”に違和感

2011-09-30 | ことば

 

これは趣味・主観の問題かもしれないが、

きょうの『News23』では“諸刃の剣”(もろはのつるぎ)と表記されていた。

確かに広辞苑の第6版は【諸刃】が見出し語となっている。

しかし、明鏡国語辞典は【諸刃・両刃】、

毎日新聞用語集では漢字としては〔双刃・諸刃・両刃〕を挙げているが

表記は【もろ刃の剣】、ただ〔両刃の剣(りょうばのけん)〕も許容としている。

NHKは【もろ刃の剣】。マスコミは常用漢字表を大原則としており、

〔双刃・諸刃・両刃〕はいずれも常用漢字表にない読みであるため【もろ刃の剣】としている。

こんな説明をすれば『News23』がどうして“諸刃の剣”を使ったのか、

余計に説明がつかなくなってしまう。

ちなみに、もろ手〔双手・諸手・両手〕、もろ肌〔双肌・諸肌・両肌〕も同じことが言えるが、

さてあなたはどれを使っていますか。


長岡京 早良親王の怨念??

2011-09-24 | 散策

 悲劇の皇太子・早良親王の謎に触れるため、きょう長岡京跡を巡った。

長岡京について少し説明しよう。長岡京は、桓武天皇が延暦3年(784年)に奈良・平城京から都を移した所、平安遷都までの10年間、この地に都が置かれた。ところが、都の造営を巡って事件が起きた。工事の責任者である藤原種継が暗殺され、桓武天皇の同母弟・早良親王が関与したというのだ。弁明も出来なかった親王は、桓武によって幽閉された乙訓寺で一切の食べ物を拒み、淡路に流される途中に餓死したという。

 

阪急電鉄の西向日駅をスタートし、朝堂院跡と大極殿跡に足を運んだ。発掘作業は昭和30年ころから、時期がかなり遅かったせいだろう、長岡京跡は住宅で埋め尽くされていた。今も「大極殿」という地名が残っており、天皇気分でここに暮らしている人も多いようだ。奈良時代の古社・向日神社や角宮神社などにも立ち寄り、乙訓寺に足を運んだ。ここには早良親王の供養塔があったが・・・。

 

早良親王の壮絶な最期、桓武の近親者が次々と命を落とす。さらに畿内で疫病がはやり、多くの人が亡くなったという。“祟り”か“怨霊”か、桓武天皇は早良親王に天皇の尊号を贈り、災いを鎮めようとしたようだ。

 

謎解きとまではいかないが、謎を知るだけで楽しい旅が出来る。お薦め・京都異界巡り。

 


能と落語 奇妙なコラボ

2011-09-23 | ブログ

幼いころ「お腹をこわすから」と言ってよく“食い合わせ”を注意されました。

天ぷらとスイカ、ウナギと梅干等々。

音楽や踊りの世界ではかなり以前から、意欲的にコラボへのチャレンジが行われていますが、

きょうは梅若玄祥のお能と桂南光の落語の何ともおかしげなコラボを見てきました。

南光さんがうまく説明していました。

「落語家が8000円もするような公演をやっても誰も来てくれない。

私の方は1000円分だけです」と言い訳をしていましたが、かなり悩んだのでしょう。

お能を目的にやってきた客にもなんとか聞かせようと大作の「質屋蔵」を持ってきました。

なかなか聞き応えのある出来栄えでした。得をした感じ。

 

ちなみにプロデュースはダンスウエストの西尾智子さん、

これまでにも異ジャンルの人物を組み合わせた異色の企画を次々と発表しています。


取り返しのつかない不始末

2011-09-22 | メディア

ドイツ・ウォッチャーの友人を紹介しよう。

ミュンヘン在住20余年、『びっくり先進国ドイツ』など著書も多く、ドイツの素顔を綴っている。

最近では『NHK放送文化』夏号で、「ドイツのマスコミは震災をどう伝えたか?」というタイトルで、

ドイツ・メディアの報道姿勢を紹介している。

 

Super-GAU(超重大事故)という言葉を繰り返し使って「取り返しのつかない不始末」をしでかしたことを強調、

紙面には“世界の終わり”“恐怖の原発”といったフレーズが乱舞したという。

全文は彼のホームページで見てもらうとして、

http://www.tkumagai.de/NHK%20East%20EQ.html

 

彼は「ドイツの報道機関は、中立性よりも特定の主張を貫こうとする姿勢が目立つ。

・・福島の事故をきっかけとして原子力発電所をこの国から一掃しようとするキャンペーン的な雰囲気を感じた」ともらしている。

ぜひ読んでもらいたい。


私も台風15号の被害者!?

2011-09-21 | ブログ

 

台風15号接近、昨日から断続的に激しい雨が降った。

関東・東北も大変なことになっている。

今朝は警報も出ているし、さぼり虫が顔をのぞかせていたが、行くしかないと思い家を出た。

電車が遅れる恐れもあったので、いつもより早く電車に乗った。

特にダイヤの乱れもなく、定刻に大阪についた。

ところが、ニュースを見てびっくり、神戸電鉄、鈴蘭台西口と鈴蘭台の間で

線路わきの斜面の土砂が崩れ、電車が乗り上げてしまったという。

不通は延々と続いた。復旧は夕刻の午後5時過ぎだった。

被害その①、朝は強風で雨傘がめちゃめちゃに壊れてしまった。

被害その②、やばいと思い早めに帰ったが、これが裏目。

足止めを食い自宅まで歩かされる羽目になった。

悪いことに雨にも見舞われた。(傘はなし、代替バスに乗ればよかった)

被害者と言えないかもしれないが、影響を受けたのは事実。

 

 

 

 

 


ヤクルト 優勝への序奏?

2011-09-20 | メディア

ヤクルト・スワローズ、セ・リーグ優勝に向けて着実に歩を進めている。

相性の悪い阪神に3連勝、横浜には2勝1敗、中日はしぶとく食いついてくるが、

巨人には8ゲーム差、阪神には9.5ゲーム差をつけている。

 

 

NHKは、今夜の『アスリートの魂』で定席4番の畠山和洋にスポットをあてた。

“勝利へのフルスイング”とやや遠慮気味に副題をつけていたが、私は“優勝への・・”と受け止めてしまった。

仮に優勝を逃したとしても、誰が怒鳴り込んでくるということもないだろうし、サキよみのタイムリーな企画だった。

メディアで言うと「やり得」ということになる。

 

それは兎も角として、この番組を見てこれまで以上に畠山に好感を持った。

手抜きがなくすべての打席を大切にする心構えがいい。

「ブンブン丸」と呼ばれたかつての池山選手とは違ってかなり安定感があり、

例え三振に終わってもなぜか“清々しさ”が伝わってくる。頑張ってほしい。


朝ドラ・おひさま 淡々とリアルに!!

2011-09-19 | メディア

いよいよ最終盤の『おひさま』、ここにきてあの生真面目な和成が・・。

月~土の週6回、半年におよぶ朝ドラで、これだけ視聴者をひきつけるのは並大抵のことではない。

 

 

人気の秘密を単純に解きほぐすことはできないが、ひとつはテーマを明確に示したことが挙げられる。

戦争、家族のカタチ、安曇野ののどかな光景などいろんな幹があるが、

私は“戦後の女性の目覚め”に着目したことが、視聴層を広げたのではないかと考える。

私のように60代半ばの男は“郷愁”に引っ張られるが、

もっと若い世代はあの“家族のぬくもり”に憧れを抱くのではないだろうか。

 

 

これはTVドラマに明るい先輩の指摘だが、

『おひさま』は「“淡々とリアルに”描かれている」点が特に良いと強調する。

子どもたちに戦意発揚を植えこむ陽子だが、夫を戦場に送りだし、兄を亡くす。

戦争を理屈っぽくなく“淡々と”描く。不幸は不幸としてとらえるが、深追いはしない。

ここでの家族の描き方が際立っている。

そば屋丸庵を営む丸山の家、徳子と道夫、陽子と和成それに日向子、

どこかにありそうだがなかなか見当たらない“ほのぼの家族”。

2組の親子夫婦の対比も面白いが、かつての教え子の面倒を見たり、

近隣の人たちが我が家のように挨拶もなく上がり込んだりする。

ヤマ場の22週、「お店っていつも入り口があいている」「みんなが来てくれる」といったセリフが光っていた。

それに21週の“夢”を語る場面での「夢がいつかひとつになるなんて」といったセリフは、

終盤に向けた今後の展開をはっきりと予感させた。この辺りは脚本家・岡田さんの力量だろう。

 

 

 当時の暮らしを実感させる演出もさすがと思う。私が感じた点を列挙する。

小道具として登場する旧タイプの黒電話、お世辞にも上手いとはいえない和成の吹くハーモニカ、

日向子に添い寝する陽子、徳子を中心としたさりげないスキンシップ、夢を乗せた宝くじ、

街頭録音、ラジオから流れるジャズ、近隣のおすそわけ等々、

当時を感じさせる仕掛けが随分埋め込まれており、リアリティーあふれる流れを作り上げている。

昭和レトロに盛り込まれた“癒やし”が隠し味となっている。

 

 

朝ドラはこれまでおおむね1週1話という展開だったが、

『おひさま』はここにきて1日1話の様相を見せ、話が軽く唐突に翌日へ引き込もうとする仕掛けが繰り返されている。「あざとさ」がやや気になるが、終盤に向けて大きなヤマ場を作ろうとする意図があるのだろう。

“絵本の中のおうち”が大きなカギを握り、“幸せ曲線急上昇”ということになるのだろう。

かなり多くの伏線が張られており、指折り数えただけでも残りの回数で描き切れるのか心配になる。

 

 

 可愛い日向子ちゃんの登場、家族の中でのびやかに動き回り、目をひきつける。

「おいでなさんし」といったセリフもいいが、ジャズに合わせて踊る姿はもっともっと見たかった。

『おひさま』ではみんながそれぞれにいい演技をしているが、その中でも日向子ちゃんは光っている。

長期にわたる連ドラは終盤の手前でやや失速しがちだが、

日向子ちゃんのあどけなさがこれを助けているように思えてならない。

安曇野の清々しい自然も露出度を増してきた。脚本・制作スタッフはすべてお見通しのことと思うが・・。


伝播ってどう読むの?

2011-09-14 | メディア

 

“まったく読めないスタジオトークに大爆笑間違いなし!”

というふれこみの関西テレビの『ホンマでっか!?TV』。

進行のさんまさんも顔負け、評論家と呼ばれる人物が素の言葉で好き勝手な裁断を下していく。

個性があるというよりは人間そのものが曝されており、見ている側を飽きさせない。やや問題もあるが・・。

 

今日の放送で気になったのは“伝播”という言葉。どう読めばいいのか。

私はこの言葉を高校時代に初めて目にした。

伝統芸能についての論考のタイトルだったと思うが、もちろんルビはなし、つい思いこみで「でんぱん」と覚えてしまった。

正しくは「でんぱ」。伝わって広まっていくことで、たとえば「言葉が伝播する」と言ったりもする。

敢えて名前を記すことはしないが、本日出演の女性評論家がやはり「でんぱん」と間違っていた。

 

私は播州(播磨ともいう)出身なので、この字には愛着がある。

しかしながら常用漢字表にないいわゆる表外字であるため、ほとんどのメディアは「伝播」は「伝ぱ」、

種をまく「播種」は「は種」と書いている。

“播”の存在感がないためにこうした間違いが引き起こされるのではないか。

このたびの常用漢字の見直しで採用してほしかった。

 

すでにお気づきだろうが、今回の台風報道で“氾濫”という漢字表記がずいぶん目につく。

ついこの間までは“はんらん”だったのだが・・。

法の「乱用」も今は「濫用」、「おく病」の“おく”もつい先日まではリッシン片の“憶”だったが、

今はツキ片の“臆”に入れ替わっている。

受験の際には特に厳密に採点されることになると思うので、要注意!!

 


憧れの桂離宮

2011-09-14 | 散策

私に深読みはできないがさすが桂離宮、“見応えあり”。

 

 

案内役の職員の分かりやすく楽しい案内で、書院、茶室の配置、真・行・草の飛び石、遠近感を強調するさまざまな仕掛けが読み取れた。

 

厳しい残暑の中一時間あまりの見学だったが、おそらくは四季を通じて期待にたがわぬ光景を見せてくれることだろう。めったにお目にかかることはできないようだが、残る紅葉に純白の雪がかぶる景観は目に焼きついて離れないという。混雑する紅葉の時季をはずし、今申し込めば一般参観の確立はかなり高いようだ。さほど難しくはないので、ぜひ参観の手続きを。


苔のきれいな西芳寺

2011-09-13 | 散策

寺が配布した案内図によりますと、650年前夢窓国師が中興、上下二段構えの鎌倉式庭園です。

上段は枯山水、下段は池泉回遊式で、中央には心字の池があり、南岸には千少庵建立の茶室・湘南亭があります。

庭一面の苔は120種余、梅雨の頃が最も美しいそうです。

宮元健次さんの著『京都名庭を歩く』にはこんな言葉が並んでいます。

「生きた庭園としては、最も古い庭園のひとつに属する。

芸術は試行錯誤を世のことわりとするのならば、はじめにして最高のものが造られた希有な一例といってよい」と記し、

小見出しには「最古にして最上」「地獄と天国の上下二段構成」「日本庭園の定石」など賞賛に辞が並んでいます。

惚れ込みようがよく分かります。

 

「庭は心で見ろ」という意味なのでしょう。

まず、般若心経と坐禅和讃美あげ、願い事を納めてから庭に出る。

大学時代は只々美しいと感じたが、今回は心が洗われたような気がした。