TVおじさん

世相の鏡であるテレビから学び、時として批判も。メディア表現にも触れる。まだ元気、散策の想い出も綴りたい。

藍那周辺路傍の花!

2010-03-26 | 散策

 


 

いずれも珍しい花ではありません。

時折カメラを手に散策しています。

街路樹やどこかのお宅の前栽の花、

とにかく歩いていれば誰でも目に付く花ばかりです。


ただ、この日限りのバージョンです。

撮影は5日前、

今週末はきっと違った光景を目にすることができるはずです。

私も歩くつもりです。


静かな山道でお会いできるのを楽しみにしています。

お互い、軽く会釈でも。


 

 







須田剋太 「街道を行く」の挿絵

2010-03-24 | ブログ



豆本“灯”41編 『千古動悲風』仙賀松雄著より

 著者には大変お世話になっている。文化人を中心にきわめて交流が広い。彼が編む豆本・灯叢書には、いろいろ面白い話が満載されている。もう手に入らないと思うので、さわりの部分を抜き取って紹介しよう。著者の了解は得ている。以下、抄録。

“街道を行く”の挿絵を担当された昭和46年頃に「世の中知らなさ過ぎる。須田国太郎先生と俺を間違えて、俺の絵を買う人が居るんだ。国太郎と剋太を間違える。日本人の文化の程度はそんなものかな」。



 夜おそくに電話があり、今すぐ蘇州の帆掛舟の写真を持ってきてくれ、私は中国旅行の写真の主たるものをアルバムにして先生に届けているので、アルバムはと尋ねたら、「探すが見つからないんだ」。真夜中で電車もないし、明朝持参することで電話を切る。早すぎるかと思ったが、一番電車で伺うと、いつもはお手伝いの小母さんが出られるのに、先生自身が門を開けられる。

 

 驚きながら写真を見せると、「矢っ張りそうだ、これだよ蘇州は。午前中に社に届けなくてはいけないので急いでいる。待っていてくれすぐに仕上げるから、これを見ていてくれ」とアルバムを置いてアトリエへ。

 

 司馬さんとの取材旅行で撮った写真は一枚帆、これは上海の黄浦江の舟。蘇州は二枚帆である。挿絵の舟の絵が完成してアトリエから出てこられて、「よかった。君の写真があって。スケッチしているのは二枚帆だが、日時と場所を入れてなかった。社から届けられたのは一枚帆、有難う恥をかかなくて済んだ」。

 

 

大体挿絵は五枚描き、二枚は新聞社に渡し、三枚は関心のある方に差し上げている。“君もその一人”、君に持ってもらう分と一枚くださった。

 





藍那の里をあるく!!

2010-03-23 | 散策


 神戸市北区藍那、『北神戸 歴史の道を歩く』の著者・野村貴郎氏は「桃源郷を思わせる集落」と讃えている。 私もこの地域のなんともいえない空気感が大好きで、時々ふらっと訪ねている。昨日は、 新興住宅地の星和台から山道に入り、小野池に出た。やわらかな陽射しの中で、11羽のカモが、のんびり羽を休めていた。


 歩を進めると
義経伝承の相談ヶ辻、その先に優美な姿の宝篋印塔がある。真偽のほどは分からないが、和泉式部の墓とも言われてい る。別に紫式部の墓と伝えられる宝篋印塔もある。 

 斜面の住宅群をすり抜けるようにして神戸電鉄の藍那駅に出た。道路を挟んだ小高い所に、見るからに古そうな7本の卒塔婆が立っていた。

 私は公民館の横をすり抜けて急坂を登った。そこに、神戸農村舞台群の1つ、藍那八王子宮農村歌舞伎舞台があった。説明板には、「明治初年に建築された間口7.9メートル、奥行き5メートルの入母屋作り茅葺の舞台。藍那に
は厳島神社と釈迦堂にも舞台があったが、現在も昔の形を残すのは本舞台のみ」と記されていた。昭和40年に発行された原泰良著の『随筆沿線案内』には、「舞台群の中でも珍しい人形系舞台で異彩を放つ」と記されており、当時近くに「山田文楽座という一座があった」という。こんもりとした森の中にある農村舞台、そこに独り立つ。間違いなく都会の喧騒を忘れさせてくれる。


幸い藍那駅から至近の距離、構えることなく行ける別天地だ。超お薦め。

 





球児にあやかり、“甲子園”に便乗!?

2010-03-22 | ことば

 春のセンバツ高校野球大会が開幕した。「甲子園球場」の眼と鼻の先に住む友人の逢坂氏は、日本旅のペンクラブのホームページで、「居酒屋甲子園は考えもの?」と題して、自身の想いを綴っている。


 居酒屋、俳句、マンガ、M-1、ファッション、パソコンなど「高校球児の純粋な闘いにイメージをだぶらせた」イベントが色々あるようだ。私自身も最近「駅弁甲子園」、つい今しがた放送していたNHKの熱血!オヤジバトルも「オヤジたちの甲子園」と呼んでいたのを目にした。

 

 逢坂氏の記述。「よく考えるとこの“居酒屋甲子園”はお酒を伴うもの、そもそも高校生の闘いのイメージを借りることは大きな間違いだ。おまけにこのイベントを紹介した新聞記事には”甲子園優勝チームのような熱さ”などと書いていて、新聞もそこに気づいていないとはどうしたことだろうか」とお怒りだ。


 さてこの甲子園、”高校野球のメッカ”と呼ばれることもある。これは発祥の地という意味で使っているようだが、イスラム教の聖地であり、他の分野・領域で比ゆ的に使うのは好ましくない。またチベットは、人里離れた不便な田舎を指して「日本のチベット」などと呼んだりもする。


 借り物・あやかり・便乗でアピールしようという姿勢、私も好ましいとは思えない。





旅立つ人への“はなむけ”?

2010-03-18 | ことば

 

早くも花の便りが聞かれる。卒業シーズンたけなわ、梅田の地下街では毎日のように花束を抱えた袴姿の若い女性を見かける。


きょうは「はなむけ」という言葉に目を向けたい。“鼻向け”とも“餞”とも書く。昔は「旅立つ人の乗る馬のを目的地にむけ、旅の安全を祈った」ことを指したという。明鏡国語辞典では「旅立ちや門出を祝って金品(餞別)・詩歌・挨拶の言葉などを贈ること」と説明している。


これに対し『NHKことばのハンドブック』は「旅立つ人などに・・」としており、「社長が新入社員にはなむけの挨拶・・」といった使い方を“誤用”と決め付けている。

 

ここで問題となるのが“旅立つ”という言葉。またまた明鏡、1.旅行に出発する、2.(第二の人生に)門出する、3.(天国へ)旅立つ。さらに“旅立ち”については「二人の旅立ちを祝す」と用例を示している。


「はなむけ」を「旅立ち」に置き換えてしまうのは的確とはいえないが、お叱りを承知で続けよう。「旅立ち」にはこのようにいろんな意味が含まれている。

現に門出である結婚の場の“はなむけ”、社会への旅立ちである入社式での“はなむけ”、韻のあるいい響きを持つ言葉であり、かなり頻繁に使われているようだ。個人的には、目くじらを立てるつもりもない。


これは蛇足かもしれないが、旅立った人の霊を慰めるために「を手向ける」、「手向けの花」といった使い方もある。もしかすると、こちらのほうが“はなむけ”という言葉の本来の意味に近いのかもしれない。


写真の仏像は、仏師・大内青圃作「花と観音」。ご覧のとおり、愛らしいお顔の観音様です。






"すかし"でスッキリ!!

2010-03-15 | 散策

                           

  作庭家・重森千氏の案内で大徳寺の龍源院を訪ねた。底冷えのきつい日だったが、やわらかな陽光が射し込んだ枯山水の庭は、りりしい表情を見せていた。重森氏には、もう一度必ずこの庭に足を運ぶよう勧められた。周囲の様相でこの庭はとんでもなく姿を変えるし、見る人の気持ちを慮るように応えてもくれるという。


 そこにはいろんな要素が隠されている。

 その1つ、“すかし”という剪定技法。植木が周囲の景観にうまく溶け込むよう枝葉をすくように刈り取っている。植木の向こうにあるお堂や土塀などが透けるように見える。

  

  素人の私は、これまで「建物と庭がうまくマッチしている」とかなり曖昧 な表現をしていたが、重森氏の説明を聞いて謎が解けた。スッキリ!!という言葉がぴったり。まさに腑に落ちた感じで、嬉しい気分になった。
  “専門家に学ぶ”、肝に銘じたい。








ツギハギ・BOROの美!?

2010-03-01 | メディア

NHKの『美の壺』という番組をご存知だろうか。先週26日(金)のテーマはボロ着の“BORO”、世界のアーティストに注目されているそうだ。


私のような頭の堅い者からすれば、つぎはぎだらけのボロといえばまず雑巾、この厳しいご時世でいえば毎朝目にするホームレスの服装。ボロといえば「役に立たない」、ツギハギもいい響きはないが、どうして美を探究する番組のテーマになったのか。興味津々。

 

かなりのショックを受けた。テレビは、限られた時間の中で見た目だけの美しさを簡潔明瞭に表現することを得意とする。しかし、この企画ではボロの奥に秘められた美しさ、つまり自然と向き合う人の知恵、家族愛、子を慈しむ心、質素倹約の心がけなど、日本人の精神風土を巧みに描きこんでいた。

 

ドンジャと呼ばれるあて布だらけの藍の掛け布団、これに“家族が裸でくるまって寝る”習慣、ボロを長持ちさせるための幾何学模様の刺し子、裂いたハギレで織り上げた「朝焼け・夕焼けを思わせる」明るいトーンの裂織など、雪国の厳しい生活を強いられた人たちの思いが詰まっていた。収集家の田中忠三郎さんの訥々とした味のある喋りも胸に響いた。映像も良いし、組み立てもしっかりしている。超推薦、損はしないと思う。

私の感想などより、まずはご覧あれ。まだ間に合う。直近では、

BSハイビジョンが5日朝7時から、

総合テレビは6日土曜日の朝5時15分から。

 


追伸 
我が家にもいろんなものが転がっていた。どこで手に入れたのか
、誰が作ったのかさっぱり分からないが、刺し子のコースターや藍染の薬袋があった。

 私も少しは日本人の心を持ち合わせているのだろうか???