TVおじさん

世相の鏡であるテレビから学び、時として批判も。メディア表現にも触れる。まだ元気、散策の想い出も綴りたい。

朝ドラ・おひさま 淡々とリアルに!!

2011-09-19 | メディア

いよいよ最終盤の『おひさま』、ここにきてあの生真面目な和成が・・。

月~土の週6回、半年におよぶ朝ドラで、これだけ視聴者をひきつけるのは並大抵のことではない。

 

 

人気の秘密を単純に解きほぐすことはできないが、ひとつはテーマを明確に示したことが挙げられる。

戦争、家族のカタチ、安曇野ののどかな光景などいろんな幹があるが、

私は“戦後の女性の目覚め”に着目したことが、視聴層を広げたのではないかと考える。

私のように60代半ばの男は“郷愁”に引っ張られるが、

もっと若い世代はあの“家族のぬくもり”に憧れを抱くのではないだろうか。

 

 

これはTVドラマに明るい先輩の指摘だが、

『おひさま』は「“淡々とリアルに”描かれている」点が特に良いと強調する。

子どもたちに戦意発揚を植えこむ陽子だが、夫を戦場に送りだし、兄を亡くす。

戦争を理屈っぽくなく“淡々と”描く。不幸は不幸としてとらえるが、深追いはしない。

ここでの家族の描き方が際立っている。

そば屋丸庵を営む丸山の家、徳子と道夫、陽子と和成それに日向子、

どこかにありそうだがなかなか見当たらない“ほのぼの家族”。

2組の親子夫婦の対比も面白いが、かつての教え子の面倒を見たり、

近隣の人たちが我が家のように挨拶もなく上がり込んだりする。

ヤマ場の22週、「お店っていつも入り口があいている」「みんなが来てくれる」といったセリフが光っていた。

それに21週の“夢”を語る場面での「夢がいつかひとつになるなんて」といったセリフは、

終盤に向けた今後の展開をはっきりと予感させた。この辺りは脚本家・岡田さんの力量だろう。

 

 

 当時の暮らしを実感させる演出もさすがと思う。私が感じた点を列挙する。

小道具として登場する旧タイプの黒電話、お世辞にも上手いとはいえない和成の吹くハーモニカ、

日向子に添い寝する陽子、徳子を中心としたさりげないスキンシップ、夢を乗せた宝くじ、

街頭録音、ラジオから流れるジャズ、近隣のおすそわけ等々、

当時を感じさせる仕掛けが随分埋め込まれており、リアリティーあふれる流れを作り上げている。

昭和レトロに盛り込まれた“癒やし”が隠し味となっている。

 

 

朝ドラはこれまでおおむね1週1話という展開だったが、

『おひさま』はここにきて1日1話の様相を見せ、話が軽く唐突に翌日へ引き込もうとする仕掛けが繰り返されている。「あざとさ」がやや気になるが、終盤に向けて大きなヤマ場を作ろうとする意図があるのだろう。

“絵本の中のおうち”が大きなカギを握り、“幸せ曲線急上昇”ということになるのだろう。

かなり多くの伏線が張られており、指折り数えただけでも残りの回数で描き切れるのか心配になる。

 

 

 可愛い日向子ちゃんの登場、家族の中でのびやかに動き回り、目をひきつける。

「おいでなさんし」といったセリフもいいが、ジャズに合わせて踊る姿はもっともっと見たかった。

『おひさま』ではみんながそれぞれにいい演技をしているが、その中でも日向子ちゃんは光っている。

長期にわたる連ドラは終盤の手前でやや失速しがちだが、

日向子ちゃんのあどけなさがこれを助けているように思えてならない。

安曇野の清々しい自然も露出度を増してきた。脚本・制作スタッフはすべてお見通しのことと思うが・・。



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