この日泉涌寺を訪ねた。
寺域に入ると途端に、時計のゆっくり動くような錯覚に陥る。
お寺と言えば殆どが坂道を上がるのだが、
ここは広い坂道を下ると伽藍が広がる。
集合まで少し時間があったので、興味本位の寄り道をした。
参道の左側にある戒光寺、こちらの本尊は
のど元に血をにじませた丈六の釈迦如来、
身代わりになったと言われている。
撮影厳禁なので、お姿を紹介することはできない。
入り口に飾ってあったシャガとアジサイの生け花は
実にオシャレだった。
拝観料がいらないというのには驚き。
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少し早めに奈良に到着。きた町をウロウロした。
歴史的建造物の現奈良女子大記念館、明治末期の建物のようだ。
構内に入れるのかどうか、春と秋には公開されるようだ。
ぜひ、見に行きたい。
奈良には珍しい三椿がある。岡部伊都子の『随想 花の大和路』から。
「二月堂近くの開山堂のそばにある“のりこぼし椿”と
伝香寺の“ちり椿”と白毫寺の“五色椿”とが奈良の三椿といわれてきた。
白毫寺は寺そのものがさびれているだけに、
ほったりとゆたかな大輪の椿を見て心うるおう日がある。
同じ幹から出たひとつの枝なのに、白ばかりの花、紅ばかりの花、
白と赤のぼかしぐあいがさまざまなものと、幾通りもの花が咲いている。
おおような名花の風格がある」。
高畑のバス停からなだらかな坂道を歩き、高円山にたどり着く。
眼下に奈良の町を見渡せる白毫寺、
盛りはすでに過ぎていたが、幸い“五色椿”を見ることができた。
寺名の由来になったともいわれる白毫寺椿もあった。
関西花の寺十八番札所であり、秋には萩が楽しめる。
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大和の地蔵霊場10か寺を回ると、寿命長遠・身命加護・女人泰産などの
十福を授かることができると言います。
奈良在住の俳人・倉橋みどり先生の案内で、このうち3か寺を訪ねました。
小糸枝垂れと磨崖仏の大野寺、女人高野の名で知られる室生寺、
それに巨大な石仏・子安延命地蔵がご本尊に聖林寺。
それぞれの由来などを聞いたが、私は特に表情に心をひかれた。
いずれも端正なお姿で、手の届きそうな身近な存在に見えた。
いずれも写真撮影は不可、そのお姿は目に焼き付けるしかなかった。
ひじょうに身近な存在に感じた。
白鳳9年(681)、役の行者の草創という大野寺。
境内には樹齢300年を超える2本の小糸枝垂桜がある。
昨日のことなど参考にならないと思うが、
ご覧のように花びらがはらはらと舞い散っていた。
“はかなさ”を象徴する光景だった。
花の向こうには磨崖仏、
この里の秘めた魅力をもっと探りたいと思った。