末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

ビル・カニンガム&ニューヨーク

2013-11-19 22:16:36 | 映画のはなし
11月2日(土)~8日(金)まで 早稲田松竹 にて上映されていた、
「ビル・カニンガム&ニューヨーク」を見てきました。

ニューヨーク・タイムズ紙で長年にわたり、
ファッションコラム「ON THE STREET」と、
社交コラム「EVENING HOURS」を連載している、
名物フォトグラファーのBill。

交渉8年、撮影・編集2年。 足掛け10年の期間を経て完成した、
Billを被写体としたこのドキュメンタリーは、
予告編を見て抱いた、プロとしてのストイックさと、
軽やかなフットワークといった印象はそのままに、
更に、深みがしっかりと感じられる、とてもステキな作品でした。

この映画を見て興味を引かれたのは、以下の三点。

一つ目は、Billを通して、
ニューヨークのカルチャー史の一端が、垣間見られる作りになっていること。
ファッションの変遷や掲載誌関連、米国のファッション業界が抱える深刻な問題、
そして、カーネギーホールのスタジオアパートの歴史、等、
どれもが、ニューヨークという大都市が辿ってきた時代を見つめる際の、
興味深い切り口となりえるものばかりです。

二つ目は、"Bill's Words" 。
Billが語る、自分の仕事や生き方についての数々の言葉が、
地に足をつけ、強く、優しく、正直に生きてきた人の
"実" を伴っていて、深く心に響いて来ます。
この "ビル語録" は、プログラムにもバッチリ収録されていたので、
名画座での鑑賞ながら無事に購入できたことも、満足度upに繋がりました。

三つ目は、映画終盤のインタビューで、
"立ち入った話になるので、応えなくても構わない" 前提で問われた、
"あなたにとって「信仰」とは?" という質問に対しての、
Billが口を開くまでの "間" 。 そして、彼が口にした "言葉" と、見せた "表情" 。
人には、他人が土足で踏み込んではいけない領域があり、
Billにとってのそれが、この部分なのでしょう。
撮影交渉に長い時間を要した本作ですが、このインタビュー場面を本編に盛り込めたこと。
撮る側も、撮られる側も、誠実な仕事ぶりだし、
撮影を通して築かれたのであろう、信頼関係がよく伝わってきました。

「ビル・カニンガム&ニューヨーク」、
都内では、飯田橋ギンレイホール で、22日(金)まで上映されています。

また、DVDの発売は 2月に予定 されているようです。


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  映画 『ビル・カニンガム&ニューヨーク』

  ◇原題:Bill Cunningham New York
  
  ◇関連サイト:公式サイト ( 日本版
           IMDb ( 関連ページ

  ◇鑑賞日:2013.11.4. 映画館にて
BCNY
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