昨年末から話題だった、
映画版「レ・ミゼラブル」をようやく見てきました。
フランスの文豪V・ユゴーの大河小説を基に、
ロンドンで舞台化され、四半世紀にわたりロングラン公演を続けている、
同名ミュージカルの映画化ですね。
ものすごく有名な作品ですが、
私はこれまで、あまりご縁がありませんでした。
小説は、完訳版(岩波文庫だと全4巻、新潮文庫では全5巻)は未読で、
小学生だった頃に、教科書だったか、子ども向けの読みもの本だったかに抜粋されていた、
"銀の燭台" と "荷馬車の下敷きとなった人を救う" エピソードを読んだことがあるだけ。
帝劇でのミュージカルは、かなり以前に、一度見たことがあるのですが、
憶えているのは、島田歌穂さん演じるエポニーヌの切ない場面くらい。
なので、Wikipedia で小説版の「あらすじ」と「登場人物」を予習してから行きました。
映画の本編が158分というのは、上映時間としては長い方ですが、
まずは、原作の小説自体が、1本の映画にまとめようと思ったら長編過ぎること、
更に、舞台用に脚本化された際に、ディテールが大胆に刈り込まれてしまっているだろうことから、
今回の映画でも、かなりのスピードで物語が進行していくはずなので、
予備知識が不足した状態では、置いてけぼり間違いなしとなりそうだったから ―― 。
これは、正解でした。
おかげで、サクサク進むストーリーや、場面展開(何年後 ・・ とか)に焦ることなく、
ファンテーヌの "I Dreamed a Dream" や、エポニーヌの "On My Own" に聴き入ることができました。
A・ハサウェイは、すごく頑張っていましたね。
賞がすべてとは思わないけれど、アカデミー賞助演女優賞というかたちで、
彼女の努力が報われたのは、本当に素晴らしいです。 受賞おめでとう!
歌を別録りするのではなく、演技と同時にライブ収録していく現場は、
かなり過酷な撮影だったはず ・・ と、思わずにはいられません。
シーンによっては、アングルを変えながら、何テイクも撮る必要があったり、
逆に、失敗は許されない、一発撮りを求められる場面もあるでしょう。
もちろん、映画俳優・女優にとっては当たり前のことだけれども、
それらをすべて、歌いながらこなしていくことは、
通常の撮影以上に、ハードルが高い挑戦だったのではないかと思います。
今作のメインキャストには、歌との関わりがある経歴の持ち主が多いけれど、
過去に、ミュージカルの舞台でトニー賞を受賞している、主演のH・ジャックマンは別として、
専門的に求められる特性が異なるというか、やはり、そういった部分での勝手の違いはあったでしょうね。。
ジャンル違いといえば、日頃は舞台方面で活躍している役者さんたちも、
この映画版には、多く出演しているようです。
エポニーヌを見たとき、知らない女優さんだけど、歌い方が安定していてすごく上手いなぁと思ったら、
レミゼのロンドン公演や、25周年記念コンサートで同役を演じている、S・バークスという女優さんなのだそう。
(それにしても、舞台版の日本公演でも思いましたが、エポニーヌは本当に印象に残るキャラクターですね。
大人ver. のエポニーヌが初めて登場するシーンからして、気遣うようにマリウスのことを見詰め、
"A Heart Full of Love" で一人取り残されつつも、機転を利かせてバルジャン父娘を屋敷の襲撃から救い、
"On My Own" で涙を流し、バリケードへと向かう為に少年の扮装に身を包んでいく、哀しく切ない覚悟。
彼女の最期は、マリウスをかばって銃弾に倒れるのですが、今回の映画では、その流れがわかりにくくて
残念でした。 でも、エピローグで笑顔の彼女を見ることができたので、まぁ、良いかな。)
プログラムでも、シアター系の代表的な役者さんについては触れてありましたが、
web上で、舞台版のファンの人たちによる、この映画のレビューを読んでいくと、
各役者さんたちの "過去のレミゼでの役" と "今回の役" とが、もっと詳しく書かれていて興味深いです。
私はシアター系の役者さんをほとんど知らないのですが、二人だけ、お名前が分かる俳優さんがいました。
ミリエル司教を演じたコルム・ウィルキンソンさん(最後の、バルジャンを迎えたシーンでは涙が。。)と、
軍将校役ハドリー・フレイザーさん(学生たちに "命を無駄にするな!" と無念そうに呼びかけていました)。
コルムさんはロンドンとブロードウェイの両方の舞台で、ジャン・バルジャンのオリジナルキャストとして、
ハドリーさんはマリウスや、グランテール、ジャヴェールなどの役で、
それぞれ、過去のレミゼ公演に関わっているのだそうです。
(何故この二人かというと、他作品で申し訳ないのですが、一昨年の秋に映画館で上映され、
思いがけずリピ鑑賞してしまった、「 オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン 」に出演していたから。
コルムさんはカーテンコールに登場した歴代ファントムの一人として、ハドリーさんは本編のラウル役で。)
・・ と、横道にそれてしまいましたが。
今回の映画版「レ・ミゼラブル」の謳い文句は、"ミュージカル版の完全映画化" でしたが、
プログラムの解説や、詳しいファンの方たちによると、"そっくりそのままスクリーンへ" という訳ではなく、
ちょこちょこと、舞台版とは異なるアレンジがしてあるそうです。
出演者の解釈や意見が取り入れられて、映画オリジナルの描き方をした箇所があったり、
ミュージカルでは削られていたけれども、ユゴーの小説には書かれている要素を復活させるなどして。
後者の、再アレンジを原典に拠って手掛けるというのは、面白いですね。
やはり一度は、原作小説の完訳版を読んでみるべきでしょうか。
映画の方も、スケジュール的な都合がつけば、もう一回くらい見てみても良いかな ・・ といった感じです。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
映画版「レ・ミゼラブル」をようやく見てきました。
フランスの文豪V・ユゴーの大河小説を基に、
ロンドンで舞台化され、四半世紀にわたりロングラン公演を続けている、
同名ミュージカルの映画化ですね。
ものすごく有名な作品ですが、
私はこれまで、あまりご縁がありませんでした。
小説は、完訳版(岩波文庫だと全4巻、新潮文庫では全5巻)は未読で、
小学生だった頃に、教科書だったか、子ども向けの読みもの本だったかに抜粋されていた、
"銀の燭台" と "荷馬車の下敷きとなった人を救う" エピソードを読んだことがあるだけ。
帝劇でのミュージカルは、かなり以前に、一度見たことがあるのですが、
憶えているのは、島田歌穂さん演じるエポニーヌの切ない場面くらい。
なので、Wikipedia で小説版の「あらすじ」と「登場人物」を予習してから行きました。
映画の本編が158分というのは、上映時間としては長い方ですが、
まずは、原作の小説自体が、1本の映画にまとめようと思ったら長編過ぎること、
更に、舞台用に脚本化された際に、ディテールが大胆に刈り込まれてしまっているだろうことから、
今回の映画でも、かなりのスピードで物語が進行していくはずなので、
予備知識が不足した状態では、置いてけぼり間違いなしとなりそうだったから ―― 。
これは、正解でした。
おかげで、サクサク進むストーリーや、場面展開(何年後 ・・ とか)に焦ることなく、
ファンテーヌの "I Dreamed a Dream" や、エポニーヌの "On My Own" に聴き入ることができました。
A・ハサウェイは、すごく頑張っていましたね。
賞がすべてとは思わないけれど、アカデミー賞助演女優賞というかたちで、
彼女の努力が報われたのは、本当に素晴らしいです。 受賞おめでとう!
歌を別録りするのではなく、演技と同時にライブ収録していく現場は、
かなり過酷な撮影だったはず ・・ と、思わずにはいられません。
シーンによっては、アングルを変えながら、何テイクも撮る必要があったり、
逆に、失敗は許されない、一発撮りを求められる場面もあるでしょう。
もちろん、映画俳優・女優にとっては当たり前のことだけれども、
それらをすべて、歌いながらこなしていくことは、
通常の撮影以上に、ハードルが高い挑戦だったのではないかと思います。
今作のメインキャストには、歌との関わりがある経歴の持ち主が多いけれど、
過去に、ミュージカルの舞台でトニー賞を受賞している、主演のH・ジャックマンは別として、
専門的に求められる特性が異なるというか、やはり、そういった部分での勝手の違いはあったでしょうね。。
ジャンル違いといえば、日頃は舞台方面で活躍している役者さんたちも、
この映画版には、多く出演しているようです。
エポニーヌを見たとき、知らない女優さんだけど、歌い方が安定していてすごく上手いなぁと思ったら、
レミゼのロンドン公演や、25周年記念コンサートで同役を演じている、S・バークスという女優さんなのだそう。
(それにしても、舞台版の日本公演でも思いましたが、エポニーヌは本当に印象に残るキャラクターですね。
大人ver. のエポニーヌが初めて登場するシーンからして、気遣うようにマリウスのことを見詰め、
"A Heart Full of Love" で一人取り残されつつも、機転を利かせてバルジャン父娘を屋敷の襲撃から救い、
"On My Own" で涙を流し、バリケードへと向かう為に少年の扮装に身を包んでいく、哀しく切ない覚悟。
彼女の最期は、マリウスをかばって銃弾に倒れるのですが、今回の映画では、その流れがわかりにくくて
残念でした。 でも、エピローグで笑顔の彼女を見ることができたので、まぁ、良いかな。)
プログラムでも、シアター系の代表的な役者さんについては触れてありましたが、
web上で、舞台版のファンの人たちによる、この映画のレビューを読んでいくと、
各役者さんたちの "過去のレミゼでの役" と "今回の役" とが、もっと詳しく書かれていて興味深いです。
私はシアター系の役者さんをほとんど知らないのですが、二人だけ、お名前が分かる俳優さんがいました。
ミリエル司教を演じたコルム・ウィルキンソンさん(最後の、バルジャンを迎えたシーンでは涙が。。)と、
軍将校役ハドリー・フレイザーさん(学生たちに "命を無駄にするな!" と無念そうに呼びかけていました)。
コルムさんはロンドンとブロードウェイの両方の舞台で、ジャン・バルジャンのオリジナルキャストとして、
ハドリーさんはマリウスや、グランテール、ジャヴェールなどの役で、
それぞれ、過去のレミゼ公演に関わっているのだそうです。
(何故この二人かというと、他作品で申し訳ないのですが、一昨年の秋に映画館で上映され、
思いがけずリピ鑑賞してしまった、「 オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン 」に出演していたから。
コルムさんはカーテンコールに登場した歴代ファントムの一人として、ハドリーさんは本編のラウル役で。)
・・ と、横道にそれてしまいましたが。
今回の映画版「レ・ミゼラブル」の謳い文句は、"ミュージカル版の完全映画化" でしたが、
プログラムの解説や、詳しいファンの方たちによると、"そっくりそのままスクリーンへ" という訳ではなく、
ちょこちょこと、舞台版とは異なるアレンジがしてあるそうです。
出演者の解釈や意見が取り入れられて、映画オリジナルの描き方をした箇所があったり、
ミュージカルでは削られていたけれども、ユゴーの小説には書かれている要素を復活させるなどして。
後者の、再アレンジを原典に拠って手掛けるというのは、面白いですね。
やはり一度は、原作小説の完訳版を読んでみるべきでしょうか。
映画の方も、スケジュール的な都合がつけば、もう一回くらい見てみても良いかな ・・ といった感じです。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
映画 『レ・ミゼラブル』 ◇原題:Les Miserables ◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 ) IMDb ( 関連ページ ) ◇鑑賞日:2013.3.1. 映画館にて |