早稲田松竹で7/9(土)~15(金)まで上映されていた機会に見てきました。
6月に鑑賞した「 アイヒマン・ショー 」でも、法廷場面の証言中に出てきましたが、
"ゾンダーコマンド" という任務に就かされた被収容者のユダヤ人を主人公に据え、
アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所の、ある2日間を映し出していきます。
プログラムの「DIRECTOR'S NOTE」にも書かれている通り、
余計なドラマチックさと、ヒロイズムとを排除したストーリー展開が、特長です。
主人公の顔と、彼の目線が捉えたもの以外には、
決してピントを合わせない徹底したカメラワーク。
そして、ドイツ語・ハンガリー語・イディッシュ語・ポーランド語といった
多数の言語(字幕も、すべてには付かない配慮ぶり!)が飛びかうなかに充ちる様々な音。
視覚的にも、聴覚的にも、断片的にしか提示しないことで
却って臨場感を増した世界観が、観客を否応なしに取り込みます。
主人公サウルの行動は、極限状態の地獄で "人間として" 生きることを、
死者への "尊厳" と、自身の "エゴ" との、両面性を持って描かれます。
お蔭で、映画を見ている我々は、下手に物語へ感情移入することなく、
眼前に繰り広げられる光景を黙々と、目にし続けられるようになっている訳ですが、
この点、確実に、鑑賞後も続くモヤモヤの原因になり得ます。
こうした感覚こそが、作品が追求しているリアルさの一環なのでしょう。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
映画 『サウルの息子』
◇原題:Saul Fia
◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )、IMDb ( 関連ページ )
◇鑑賞日:2016.7.12. 映画館にて
6月に鑑賞した「 アイヒマン・ショー 」でも、法廷場面の証言中に出てきましたが、
"ゾンダーコマンド" という任務に就かされた被収容者のユダヤ人を主人公に据え、
アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所の、ある2日間を映し出していきます。
プログラムの「DIRECTOR'S NOTE」にも書かれている通り、
余計なドラマチックさと、ヒロイズムとを排除したストーリー展開が、特長です。
主人公の顔と、彼の目線が捉えたもの以外には、
決してピントを合わせない徹底したカメラワーク。
そして、ドイツ語・ハンガリー語・イディッシュ語・ポーランド語といった
多数の言語(字幕も、すべてには付かない配慮ぶり!)が飛びかうなかに充ちる様々な音。
視覚的にも、聴覚的にも、断片的にしか提示しないことで
却って臨場感を増した世界観が、観客を否応なしに取り込みます。
主人公サウルの行動は、極限状態の地獄で "人間として" 生きることを、
死者への "尊厳" と、自身の "エゴ" との、両面性を持って描かれます。
お蔭で、映画を見ている我々は、下手に物語へ感情移入することなく、
眼前に繰り広げられる光景を黙々と、目にし続けられるようになっている訳ですが、
この点、確実に、鑑賞後も続くモヤモヤの原因になり得ます。
こうした感覚こそが、作品が追求しているリアルさの一環なのでしょう。
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映画 『サウルの息子』
◇原題:Saul Fia
◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )、IMDb ( 関連ページ )
◇鑑賞日:2016.7.12. 映画館にて