第85回アカデミー賞作品賞を受賞した「アルゴ」を見てきました。
昨年秋の、ちょうど仕事が立て込んでいた時期に公開され、
見逃して残念に思っていた作品の一つでしたが、
アカデミー賞前哨戦にあたる、各映画賞を立て続けに受賞して勢いづいた辺りから、
それまで地道に、ロングラン上映を続けていた映画館はもちろん、
他の劇場にも、リバイバル上映が拡がってくれたおかげで、
無事に鑑賞することができました。
*~*~*~*
描かれるのは、1979年11月に発生した在イラン米国大使館占拠事件の際に、
大使館の別棟から脱出して、カナダ大使に秘かに匿われた6人の救出劇。
彼らは大使館から出てしまったことで、人質になることは逃れられたけれども、
逆に正規の外交的手段による救出方法は望めなくなり、
また、カナダ大使私邸で身を潜めていることがイラン側に露見すれば
6人の身柄はもちろん、アメリカ大使館内で未だ人質となっている52人の同僚や、
大使夫妻をはじめとするカナダ側スタッフたちにも、どんな危害が及ぶかわからない。
絶望的な状況のもと、人質救出の専門家、CIAのT・メンデス(B・アフレック)が提案した、
"偽のSF映画 『アルゴ』 製作のロケハンでやって来たスタッフ" に件の6人を仕立てあげ、
秘密裏にイラン国外へと脱出させる作戦が展開していきます。
*~*~*~*
本編を見ていて感じたのは、
バランスよく作ってある作品だな ・・ ということ。
まずはプロローグにて、事件が起きるに至った時代背景を語り、
中東問題に疎く、この事件についても詳しくは知らない私のような観客でも、
ストーリーについていけるよう配慮された、始まり方になっています。
そして、場面は一気に、緊迫感溢れる大使館襲撃のシークエンスへ。
フェンスを乗り越え、敷地内に押し入ったイラン側の過激派たちが、
大使館の建物内に突入してくるまでに、重要書類をすべて処分しきることができるのか。
実話に基づいている作品なので、結末も明らかなのですが、
一刻を争う、恐怖と不安に駆られたシーンの描き方が、上手かったですね。
シュレッダーで処理した、大使館員リストの顔写真が徐々に復元されていく過程や、
バザールでのロケハンに向かう途中で、群集に取り囲まれる場面、
間一髪で空港から離陸した飛行機が、イランの領空を出たと告げられるまでの間 ―― 。
見ているこちら側も、思わず、肩に力が入ってしまいました。
けれども、人はそれほど長い時間、緊張に耐えられるものではありません。
なので、力を抜いて見られるシーンが、この映画でも当然差し挟まれるのですが、
その緩急というか、さじ加減が、なかなか良かった。
アカデミー賞では作品賞のほかに、
脚色賞、編集賞も獲得していますが、なるほど~。
派手さは無いけど、いい具合にまとまっていますね。
ちなみに、脱出作戦に協力するハリウッド・チームとメンデスとのやり取りや、
メンデスとは離れて暮らす一人息子とのエピソードが、そうした場面になるのですが、
これらのシーンには、往年のSF映画の名作や、映画人に対する "愛情" が、
さり気なく散りばめられています。
こうした、意外( と言ったら、失礼になるのかしら?)な細やかさも、
作品の好評さにつながっているのかもしれません。
俳優オンリーのB・アフレックには、正直、ピンと来るものがないのですが、
( ファンの方、すみません。。)
彼がこれまでに監督した作品、「 ゴーン・ベイビー・ゴーン 」 と 「 ザ・タウン 」は、
機会があったら、ちょっと見てみたくなりました。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
映画 『アルゴ』
◇原題:Argo
◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )、IMDb ( 関連ページ )
◇鑑賞日:2013.2.27. 映画館にて
昨年秋の、ちょうど仕事が立て込んでいた時期に公開され、
見逃して残念に思っていた作品の一つでしたが、
アカデミー賞前哨戦にあたる、各映画賞を立て続けに受賞して勢いづいた辺りから、
それまで地道に、ロングラン上映を続けていた映画館はもちろん、
他の劇場にも、リバイバル上映が拡がってくれたおかげで、
無事に鑑賞することができました。
*~*~*~*
描かれるのは、1979年11月に発生した在イラン米国大使館占拠事件の際に、
大使館の別棟から脱出して、カナダ大使に秘かに匿われた6人の救出劇。
彼らは大使館から出てしまったことで、人質になることは逃れられたけれども、
逆に正規の外交的手段による救出方法は望めなくなり、
また、カナダ大使私邸で身を潜めていることがイラン側に露見すれば
6人の身柄はもちろん、アメリカ大使館内で未だ人質となっている52人の同僚や、
大使夫妻をはじめとするカナダ側スタッフたちにも、どんな危害が及ぶかわからない。
絶望的な状況のもと、人質救出の専門家、CIAのT・メンデス(B・アフレック)が提案した、
"偽のSF映画 『アルゴ』 製作のロケハンでやって来たスタッフ" に件の6人を仕立てあげ、
秘密裏にイラン国外へと脱出させる作戦が展開していきます。
*~*~*~*
本編を見ていて感じたのは、
バランスよく作ってある作品だな ・・ ということ。
まずはプロローグにて、事件が起きるに至った時代背景を語り、
中東問題に疎く、この事件についても詳しくは知らない私のような観客でも、
ストーリーについていけるよう配慮された、始まり方になっています。
そして、場面は一気に、緊迫感溢れる大使館襲撃のシークエンスへ。
フェンスを乗り越え、敷地内に押し入ったイラン側の過激派たちが、
大使館の建物内に突入してくるまでに、重要書類をすべて処分しきることができるのか。
実話に基づいている作品なので、結末も明らかなのですが、
一刻を争う、恐怖と不安に駆られたシーンの描き方が、上手かったですね。
シュレッダーで処理した、大使館員リストの顔写真が徐々に復元されていく過程や、
バザールでのロケハンに向かう途中で、群集に取り囲まれる場面、
間一髪で空港から離陸した飛行機が、イランの領空を出たと告げられるまでの間 ―― 。
見ているこちら側も、思わず、肩に力が入ってしまいました。
けれども、人はそれほど長い時間、緊張に耐えられるものではありません。
なので、力を抜いて見られるシーンが、この映画でも当然差し挟まれるのですが、
その緩急というか、さじ加減が、なかなか良かった。
アカデミー賞では作品賞のほかに、
脚色賞、編集賞も獲得していますが、なるほど~。
派手さは無いけど、いい具合にまとまっていますね。
ちなみに、脱出作戦に協力するハリウッド・チームとメンデスとのやり取りや、
メンデスとは離れて暮らす一人息子とのエピソードが、そうした場面になるのですが、
これらのシーンには、往年のSF映画の名作や、映画人に対する "愛情" が、
さり気なく散りばめられています。
こうした、意外( と言ったら、失礼になるのかしら?)な細やかさも、
作品の好評さにつながっているのかもしれません。
俳優オンリーのB・アフレックには、正直、ピンと来るものがないのですが、
( ファンの方、すみません。。)
彼がこれまでに監督した作品、「 ゴーン・ベイビー・ゴーン 」 と 「 ザ・タウン 」は、
機会があったら、ちょっと見てみたくなりました。
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映画 『アルゴ』
◇原題:Argo
◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )、IMDb ( 関連ページ )
◇鑑賞日:2013.2.27. 映画館にて